【マレーシア】特許法及び規則2022年改正施行(3月18日)

マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、3月17日付、マレーシア特許法及び規則2022年改正を2022年3月18日に施行を公示した。主な改正内容は以下の通り、なお、改正法の一部は後日の施行になる点に注意が必要である。

1.オフィシャルフィーの値上げ
​ 全てのオフィシャルフィー(PartI,II,III,PCT)が値上げされた。特に、超過クレーム料金の段階的改定が多い。
2.電子出願制度
 改正法では電子出願は準備が完了するまで保留とされている。
3.塩基配列リスト
 特許出願で塩基配列を含む場合、出願明細書に含まれるものとし出願とともに提出しなければならない。
​4.優先権主張の回復
 出願人は、優先期間内に特許出願を提出しなかったことが意図的でない場合、所定の料金を支払い、優先権主張の回復を要求できる。
 国内特許出願の場合、優先権主張期間満了日から2か月以内に回復請求できる。
 PCT出願の場合、優先日から30か月の満了日から1か月以内、または早期審査請求日から1か月以内に請求できる。
5.公開と早期公開
 PCT出願を除き、最先の出願日起算18か月で官報に掲載される。なお、印刷発行はされず、電子的閲覧が可能である。早期公開をオフィシャルフィーの支払とともに請求することができる。
6. 情報提供(Third Party Observations)
 第三者は特定な特許出願に対し、新規性と進歩性違反を理由に、出願公開より3か月以内(PCT出願は移行出願後3か月以内)に情報提供をすることができる。
7.実体審査請求
 実体審査請求時の対応国の審査状況の情報提供はオプションの対応になる。
 修正実体審査請求した場合、選択国での最終処分ある場合に、変更はできない。
 審査延期申請(料金支払要)は、修正実体審査請求のみ可能となり、選択国の審査未了の場合となる。
8.実体審査応答期限
  審査意見に対応数する期限が2か月から3か月に変更。
9.分割出願(26B条)
 分割出願のための延期申請はできなくなった。
 実体審査の第1回目の審査意見で認可が明確である場合、出願人は認可を遅らせないように、審査意見の発行日から3か月以内に分割出願を検討することになる。
10.年金納付
 年金納付期間を最大5年間分一括納付ができる。
11.失効特許の回復
 失効した特許の回復手続き期限を2年から12か月に短縮した。
12.マレーシア国外で最初に出願するための要件
 マレーシア国外で最初に出願承認請求には、所定の願書での請求と料金の支払いを条件とする。
 本件については、居住者の定義が以下の通り明確にされた;
 a)マレーシア市民とは、マレーシアの居住者、
 b)マレーシアの非市民とは
   i)マレーシアに永住権を取得し、通常マレーシアに居住している;
   ii)マレーシアに入国および滞在するための有効な証明書を所持し、マレーシアに居住している;
   iii)マレーシアの法律に基づき成立、設立、または登録された法人;
   iv)マレーシアの法律に基づき設立または登録された法人化されていない団体。
13.国家管轄当局への情報開示義務
 2017年生物資源および利益共有法[法律795]へのアクセスの下で設立された国家管轄当局または関連する管轄当局に、特許登録局がチェックポイントとしての機能する目的で、関連特許出願の公開前に情報の開示を可能とする。
14.担保権
 所定申請書と料金の支払いをすることで、担保権登記をすることができる。
15.強制実施権
​ TRIPS協定31条の2に従い、マレーシアでの医薬品の生産と当該医薬品の輸出を可能とする。

​今後の施行となる規定
1)微生物の寄託(26c条)
2)包袋閲覧 
3)登録後異議申立

関連サイト:
特許法2022年改正法
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/02-PATENTS-AMENDMENT-ACT-2022.pdf
特許規則2022年改正規則
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/PERATURAN-PERATURAN-PATEN-PINDAAN-2022.pdf
改正法実施政令
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/DIRECTIVE-OF-PATENTS-ACT-1983-AND-PATENTS-REGULATIONS-1981-17.03.2022-1.pdf

【タイ】商標審査基準の改訂施行(1月17日)

タイ知的財産局(DIP)は、2022年1月17日付、商標登録審査基準に関する政令No.18/2565を公示した。2021年3月に意見募集を行った内容に準じており、概要と主に以下のような内容が注目される。

基準は以下の8章から構成されている。
第1章 一般原則
第2章 商品商標の審査
第3章 サービスマークの審査(商品商標準拠)
第4章 証明商標の検討
第5章 団体商標の審査
第6章 商標登録の公示
第7章 商標登録に対する異議申立
第8章 不服審判
付録 商標法

1)商標の識別力を 5 段階に定義分け具体例を提示(第2部第1節)
 ①独創的(fanciful)  Kodak Pepsiなど意味がなく翻訳でもない
 ②恣意的(arbitrary)  34類のCamel
 ③示唆的(suggestive) Greyhound(犬種)、Make THE Difference(スローガン) 
 ④記述的(descriptive) Sharp、Crunchy  (Secondary meaningも考慮)
 ⑤一般的(generic)  Peanuts、Printer

2)特に注意する非登録の対象
 ①幾何学模様やパターン、その繰り返しや連続するもの
 ②説明文;スローガン、LOL(Laugh Out Loudの略)など
 ③結合文字で顕著性がないもの;Clearview(コンタクトレンズ)WatchKit(スマートウォッチ)、DryDre(布製品)
 ④字母と単語からなる標章;BWhite
 ⑤3文字以上のローマ字や数字の組合せからなる標章;ABC、123、NPK(窒素リン酸カリウム)、XXL(衣類サイズ)、34B(下着サイズ)、32GB(メモリーサイズ)
 ⑥公序良俗に禁止される標章に旭日旗が含まれる

3)非登録対象の例外
 ①日本を含む商標(2.6.1節3)項)
  (1)政府から許可を受けている、あるいはそうした旨の文書がある場合
   “Allow the company… to use the word JAPAN to register a trademark”

4)使用による識別性
 テレビ、印刷メディア、オンラインまたはソーシャルメディア、チャネルを介してタイで標章を2年以上連続して宣伝することは、使用による識別性獲得のための「合理的に期間」と見なされる。

参照サイト:http://www.ipthailand.go.th/images/3534/2565/TM/TM_2565.pdf

【タイ】日タイPPH試行プログラム2年延長(2022年1月1日)

タイ知的財産庁(DIP)は、1月13日付、日本特許庁は1月11日付、2021年末で期限の切れた日本タイPPH試行プログラムを2023年12月31日まで2年間延長することを公示した。DIPはまた1月17日よりPPHの申請書式が変更されたこと、また電子出願で提出できることを公示した。

参照サイト:https://www.ipthailand.go.th/images/a-manual/PPH_1.pdf
日本特許庁サイト

【インドネシア】特許法改正案(8月18日)

インドネシア知識産総局(DGIP,DJKI)は、2016年に改正された特許法を改正することについて、Dede Mia Yusanti局長がメディ発表を行い、24項目を紹介した。改正の目的は雇用創出機会の創出及び国際標準への対応であるが、全体的に現状の実務を含めた調整が多い。しかし、特許実施義務については負担が増えそうである。なお、改正時期は不明である。

公示された改正内容は以下の通り:
1. 第4条(d)号の修正
 単なるコンピュータプログラムは非特許対象であるところ、技術的効果と特徴がある場合、特許保護対象とする。
2. 第4条(f)号の削除
 発見を非特許対象から削除する。
3. 第6条(1)項の修正
 特許出願の新規性喪失の例外のグレース期間を6か月から12か月に拡大する。
4. 第9条1項(c)号を第4条(c)号に移行
 科学と数学の分野における理論と方法は非特許対象へ移行する。
5. 第19条に項を追加
 第三者への実施許諾(TRIPS第28条(2)項,対応)を追加する。
6. 第20A条の追加
 第20条でいう特許権者はインドネシアでの特許実施に関する陳述書を提出し、特許付与後、毎年末に大臣に報告しなければならない。
7. 第26条に遺伝資源(SDG)の申告義務の追加
 発明が遺伝資源に関する場合、明細書及び願書に明確正確に記載しなければならず、政府が承認する公式機関により承認されなければならない。
8. 第25条に項を追加
 発明が遺伝資源或いは伝統的知識に関連する場合、遺伝的資源或いは伝統的知識の出所の陳述を提出しなければならない。
9. 第24条に項を追加
 (1)項に規定のクレーム数が10個を超える場合、超過手数料を支払わなければならない。
10. 第28条に項を追加
 (1)項に規定の出願人は、インドネシアの法定住所として、代理人の住所を記載し、選択しなければならない。
11. 第30条に項を追加
 (1)項に規定の優先権主張が12か月以内にされなかった場合、期限満了後4か月以内に提出することができる。優先権主張料金は支払わなければならない。
12. 第34条に項を追加
 第25条(2)項(b)号の明細書が外国語の場合、英語以外の場合は英語とインドネシア語の翻訳文、明細書が英語の場合、インドネシア語の翻訳文を提出しなければならない。
13. 第36条(方式審査での却下)に項を追加
 (1)項に記載の見做し取下げ出願は、料金の支払いとともに再出願することができる。
14. 第51A条の追加
 第51条に記載の実体審査は料金の支払いとともに予備実体審査で処理することができる。
15. 第57A条の追加
 第51条に記載の実体審査の早期審査は公開後に料金の支払いとともに請求することができる。
16. 第63A条(分割出願)の追加
 実体審査請求は、料金の支払いと共に大臣に請求することができる。
17. 第67条(審判請求)に項を追加
 (1)項(c)号での申立人、被申立人の居所がインドネシア国内にない場合、インドネシアの代理人を通じて提出しなければならない。
18. 第68条(拒絶査定)に項を追加
 出願拒絶査定に対する審判請求は、出願拒絶の通知日或いは実体審査での拒絶査定通知日から3か月以内に提出しなければならない。
19. 第72条に項を追加
 商事裁判所への提訴は、特許審判委員会による審査・決定後にすることができる。
20. 第84A条(強制実施権の請求)の追加
 強制実施権の付与に関する第81条(4)号および第84条(1)b号は、独占と競争を管轄する事業競争監督委員会の決定がある場合、除外される。
21. 第103条(強制実施の終了)に項を追加
 強制実施権は強制実施権の最初の認定日から2年間公共の利益を害する状況での如何なる実施も認められない。
22. 第109条(政府による特許実施)に項を追加
 政府に実施する意図がない場合、特許権者は政府の承認がある場合にのみ特許を行使することができる。
23. 第111A条(第109条(1)(b)号)の追加
 インドネシアで製造できない医薬品の政府による輸入調達の決定(強制実施権の設定)
24. 第112条(国防、安全保障)に項を追加
 特許権者が1項に記載の排他的権利を行使できない場合、年金納付義務を免除する。

参照サイト:https://www.dgip.go.id/artikel/detail-artikel/djki-sosialisasikan-rancangan-revisi-undang-undang-paten-kepada-stakeholder-terkiat?kategori=liputan-humas

【シンガポール】シンガポールIP戦略2030を発表(5月18日)

シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2013IPハブマスタープランを公布し、その後2017年にその更新を行っており、イノベーションによる知財エコシステムの構築による世界市場での位置を確立する活動を支援してきた。最近の無体財産(IA: Intangible assets)と知的財産(IP: Intellectual Property)が経済成長の動力になることを鑑み、シンガポールIP戦略2030を新たに国家戦略とし、地域の企業や幅広いイノベーションを支援することで、シンガポールが標榜するResearch Innovation Enterprise (RIE:研究イノベーション起業)計画を推進し、健康・生命医学、都市・持続可能性、先端製造技術、スマート・デジタル経済の分野で世界とアジアでハブのポジションの確立を狙っている。

SIPS 2030 Infographic

参照サイト:https://www.ipos.gov.sg/media-resources/media/events/singapore-ip-strategy-2030

【ベトナム】委任状要件の厳格化(11月23日)

ベトナム知的財産庁(NOIP)は、11月23日付、通知No.13822号を公告し、委任状に関する要件を強化しました。この通知は、8月に公布された2030年までの知的財産戦略の一部とのことで、2007年の知的財産規則に関する通知を一部改正するもので、知的財産権強化の一環で行われる。

この新規定は、従来の委任状の要件を強化するもので、
1.委任者が個人(出願人)の場合、当人の署名でなければならず、指定された代理人が署名する場合、公証認証が必要となる。
2.委任者が会社或いは組織(出願人)の場合、当該会社や組織の所有者、或いは代表権を持つ者の署名でなければならず、知財部門や事業部門の管理職が署名する場合は、それが署名する権限があることを確認する書類(社内委任状)の提出が必要となる。
3.現地代理人が署名する場合、委任状にその署名権限が記載されていることが必要となる。

公証認証が必要となったわけではないが、部門長の名前と役職で委任状に署名している場合、早急に対応を変える必要がある。

参照:NOIP No.13822/TB-SHITT

【ベトナム】日本からのPPHは104件(10月28日)

ベトナム知的財産局は、日本特許庁との特許審査ハイウェイ(PPH)について合意し、2020年10月1日から2021年3月31日の期間に、日本からベトナムに発明特許出願する104件を対象とすることを合意した公示しました。

 参照サイト:http://noip.gov.vn/web/guest/thong-bao/-/asset_publisher/vTLYJq8Ak7Gm/content/thong-bao-ve-tiep-nhan-yeu-cau-tham-inh-nhanh-on-sang-che-pph-tu-ngay-01-10-2020-en-ngay-31-3-2021-theo-thoa-thuan-hop-tac-giua-cuc-so-huu-tri-tue-va-?inheritRedirect=false&redirect=http%3A%2F%2Fnoip.gov.vn%2Fweb%2Fguest%2Fthong-bao%3Fp_p_id%3D101_INSTANCE_vTLYJq8Ak7Gm%26p_p_lifecycle%3D0%26p_p_state%3Dnormal%26p_p_mode%3Dview%26p_p_col_id%3Dcolumn-1%26p_p_col_count%3D1

【マレーシア】PPH特許審査ハイウェイプログラム本格実施(2020年10月1日)

日本とマレーシアは、PPH特許審査ハイウェイプログラムを2014年10月1日から試行してきたが、2020年10月1日から本格実施することに合意した。手続きに、変更はない。

参照サイト:日本 https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/japan_malaysia_highway.html
マレーシア http://www.myipo.gov.my/en/home/

【シンガポール】審査促進制度の対象範囲を拡大(2020年9月1日)

シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2020年4月27日付け通知No.2/2020を公示し、シンガポール特許審査促進計画(SG Patent Fast Track Programme)を同5月4日から実施した。なお、このファーストトラック(審査促進)制度は、時限付きのパイロットプログラムで、審査期間を6か月とし、2022年4月29日まで2年間の審査促進制度である。

この審査促進制度は、2018年や2019年に開始したフィンテックやAIに関する審査促進制度に代わる制度で、新たな審査促進の対象は下記の新たな技術分野である。
・短い製品ライフサイクルの技術(例:フィンテック、インダストリー4.0(第四次産業革命)及びAI人工知能)
・環境や公衆衛生にかかる原因を持つ技術(例:食料安全保障、気候変動の緩和、廃水とスマートエネルギー管理、COVID-19治療薬)。
なお、審査促進制度を利用できる対象としては、シンガポール直接出願(分割出願除く)で請求項が20個未満であるが、1ヶ月の上限が10件以下とされている。
参照サイト:https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/patents/circulars/(2020)-circular-no-2-launch-of-sg-patent-fast-track-programme-on-4-may-2020-(final).pdf

IPOSはこれに加えて、8月25日付け通知No.6/2020を公示し、その対象を商標と意匠に拡大し、9月1日より開始した。

この追加の審査促進の条件としては、対象者が上記の特許でのファーストトラック申請が受理された出願人であり、その対象が商標と意匠の出願であることにある。審査期間は商標で3か月(スムーズにいかない場合6か月)、意匠で1か月である。なお、商標の場合、通常の商標出願で、指定商品や役務はIPOSが認めた表現であることが条件となっている。
参照サイト:https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/patents/circulars/(2020)-circular-no-6—expansion-of-sg-patent-fast-track-programme-on-1-september-2020.pdf

【ミャンマー】警告通知登録済み商標の出願受付開始(ソフトオープン)の公示(2020年10月1日)

ミャンマー商業省は、8月28日付、商業省通知No.63/2020で商標法に基づく登録に関する通知を公表した。この通知は、商標制度を先使用主義(First to Use System)から先願主義(First to File System)に移行するもので、商標法第93条(a)に規定される標章の権利者、つまり商標法施行前に登記所に警告通知登録済み商標(Cautionary Notice)救済の登録をした権利者の商標の受理開始/暫定導入のためのものであり、懸案のソフトオープン(Soft Opening)に関する通知である。

当初、ソフトオープンは2019年の12月を予定していたものであるので、10か月遅れの導入となった。このため、正式な商標制度の導入は6か月後の来年4月で同時に意匠法と著作権法が施行され、更に特許法の施行は更に6か月後の来年10月からになると予想される。

ソフトオープンでの救済手続き期間は6か月後の来年3月末までとなる。
出願手続きは、現地代理人を通じた手続きとなり、商標分類と指定商品を明確にする必要がある。なお、オフィシャルフィーなどは別途公示される。
警告通知登録済み商標(Cautionary Notice)の出願の必要書類は以下の通り:
a)登記所で登録した標章
b)登記証(コピー)
c)新聞などでの公告したことの証明
d)実際の使用資料
e)広告などの資料
f)使用を立証する納税領収書或いは費用領収書
g)権利者に変更がある場合の証明書類
h)その他の書類(警告通知登録に関連)
注:商標自体や分類と指定商品は変更できない

(以下、9月4日加筆) 代理人からの情報によると、警告通知未登録で使用証拠を提出できる商標についても、救済手続きで出願ができるようである。この場合の必要書類は下記の通り:
1)商標見本
2)分類と指定商品
3)使用を立証する納税領収書或いは費用領収書
4)当該商標を使用した広告や営業活動を示す証拠
5)ミャンマーでの実際の当該商標の使用証拠
6)権利者に変更がある場合の証明書類

(以下、9月19日加筆) ソフトオープン中の救済出願の出願日は、原則、2021年3月末までの手続き期限中であれば、商標法正式施行日(2021年4月1日?)に統一される。条件としては、オフィシャルフィーを支払っていることであり、救済出願を期限内に行っても、オフィシャルフィーの支払いが施行日以降であれば、出願日は支払い日に繰り下がる。オフィシャルフィーの公示は来年2021年2月ごろと予想されるため、現在急いで救済出願をする必要はなく、オフィシャルフィーの公示を待って、必要な書類と適切な出願内容を確定し、救済出願を行うことが好ましい。

参照サイト:https://www.facebook.com/ip.myanmar/

【ミャンマー】知的財産局業務開始はまだ先のこと

ミャンマー知的財産権中央委員会(CCIP、教育省下部組織)は、6月3日付、組織成立後の初めての委員会を開催し、知的財産方針を決定する知的財産権機関と実務を行う知的財産局の今後の業務内容と計画を確認した模様でである。

副大統領で、委員会の会長の認識、知的財産局長の今後の組織やインフラ整備に関する発言からすると新型コロナウィルパンデミックの影響とWTO/TRIPSのグレース期限満了日の2021年7月1日を鑑みると実質的なソフトオープンは、早くても秋口まで遅れそうな雰囲気である。

ソフトオープンとは、知的財産局の正式オープンに合わせて、商標法の施行する計画で、その6か月前に商標法の仮試行により、既存の先使用権者の権利を保証するための手続き開始を言う。意匠法、著作権法は知的財産局オープン後6か月、特許法は1年後の施行の予定である。

25日のJetroのセミナーの紹介では、これまでに21万件以上の公示登記(Cautionary Notice)されており、2019年には国内9054件、外国7437件の合計16,491件(前年比13%増)が駆け込み含めて登記されたとのことである。

参照サイト:https://www.president-office.gov.mm/en/?q=briefing-room/speeches-and-remarks/2020/06/04/id-10013
https://www.globalnewlightofmyanmar.com/vp-u-henry-van-thio-chairs-intellectual-property-central-committee-meeting/

【ミャンマー】商標出願暫定受理開始遅延

最近のミャンマーの情報によると、商標出願暫定受理(Soft opening)は、4月になり、知的財産庁の正式オープンは9月以降になる模様です。

Cautionary Noticeの関係の対応が未だの関係者の方は、2か月弱あるので早めの対応をお勧めします。

以上

【マレーシア】商標法改正施行(2019年12月27日)

マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、12月27日付、マドプロ国際商標条約への加盟発効及び国内商標法の改正施行を公示した。改正内容は下記の通り。

  • 保護対象を非伝統的商標に拡大
    音、色(単色或いは組合せ)、ホログラム、位置、におい、形状(商品自体かパッケージ)、動き、及び商標要素の組合せの出願が可能になった
  • 多区分一出願の導入
  • 団体・証明商標制度の導入と防御商標制度の廃止
  • 出願日認定の明確化
    従来の出願受付日から、未補完書類や外国語商標の翻訳や翻案がある場合、補完が完成した時点で、出願日が認定されるように変更となった。優先権主張のある場合、優先権主張日まで出願日(登録日と見なし)は繰り下がらない。優先権主張を伴う出願の場合、先願による排除権のみが機能する
  • 拒絶理由通知の明確化
    絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由に分けた審査がされるようになる。また、当事者の同意書を審査に活用するコンセント制度を導入、但し無条件受け入れではない
  • 分割出願及び出願併合制度を導入
  • 登録証発行廃止
    簡便なシールを添付した認可通知が発行される。登録証が必要な場合は、別途有料で発行を請求することができる
  • 登録確定の推定期間の短縮
    除斥期間が7年から5年に短縮された
  • 不使用取消理由の追加
    商標が希釈化し一般名称となった場合、また、品質、性質や地理的出所などと誤認されるようになった場合も、不使用取消の対象となる。
  • ライセンス登録義務の廃止
    被許諾使用者の登録義務を廃止し、ライセンス契約書があれば第三者対抗要件となる。なお、ライセンス登録は可能であるため、ライセンス登録をお勧めする。
  • 商標権侵害の拡大解釈導入
    指定商品や役務の解釈を類似するところまで、禁止権を拡大解釈するように変更した。また、侵害行為者を侵害寄与や侵害関係者として、代行、保管、展示などの行為者も侵害行為者に含む。こうしたことから原告の侵害立証義務が少し緩和されると思われる
  • 模倣品対策の規定導入
    虚偽表示や誤認させる使用に対する罰金1万リンギットを規定した
  • 理由のない警告に対する救済の導入
    単純な警告から訴訟など具体的な権利行使に動く可能性が高い
  • 担保権の導入
    商標権も一般物件と同様に担保の対象となった
  • 弁護士依頼者間の秘匿特権の規定
  • 移行措置
    旧法中出願の係属中出願には旧法が適用されるが、新法の適用を請求する権利が出願には留保されている。

参照サイト:
商標法 http://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2019/12/ACT-815-TRADEMARKS-ACT-201.pdf
ガイドライン https://drive.google.com/file/d/1go_DlUdCQ3wpKM2oMhlR6yKjPzgA_63I/view

【ミャンマー】知的財産制度の導入スケジュール(10月16日)

本日のミャンマー商業省知的財産庁の説明によると、ミャンマーでの知財制度の導入は以下のようなスケジュールになる。

2019年12月末
知的財産庁と商標法の暫定導入(遅くとも2020年1月)
・知的財産部門の編成は下記の3部構成である
 知的財産中央委員会(IPCC)が政策担当
 知的財産庁(IPA)が組織上の上位組織(審判兼ねる)
 知的財産局(IPD)が特許(小特許含む)、意匠、商標の登録業務
・商標の正式施行前に警告通知登録済み商標(Cautionary Notice)救済の登録受理開始/暫定導入(Soft Opening)
・商標法に対する実施細則、審査基準を完成
・意匠法に対する実施細則、審査基準を完成
・著作権法に対する実施細則を完成

2020年6月(商標法暫定導入の6か月後)
・商標出願正式受理開始(Grand Opening)
・意匠出願受理開始
・著作権法発効
・特許法に対する実施細則、審査基準の完成
・地理的表示(GI)に対する実施細則、審査基準の完成

2020年12月
・特許受理開始
・地理的表示の受理開始

なお、WIPOの各条約に加盟 現状で審査官は36名であり、50名を増員する予定とのこと。 以上、ご参考まで。

【インドネシア】内国人による文字商標出願に対する規制

DGIPによる公式発表はないものの、インドネシア内国人による外国語出願を規制し、インドネシア語以外の外国語の商標出願を受理しない実務が開始された模様である。これは、インドネシア言語に関する政令No.24/2009 を参照し、商標法第20条に基づく拒絶になるようである。

先取り商標出願が増加しているインドネシアでの実務には朗報である。詳細は、未だ公示されていないため、各現地代理人に照会ください。

ご参考まで。オフィシャル情報が確認できないため、無責任なアップですみません。