【アメリカ】USPTO特許出願料金改訂(2025年1月19日適用)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、11月20日付の官報で、4月3日に公示した最終特許出願関連手数料改定案をさらに改訂し、2025年1月19日より適用することを公示した。改正の目的は、特許制度を効果的かつ効率的に管理し、戦略的目標の達成に向けて前進し続けるためとしている。通常特許出願では、改定案で注目した継続出願、超過クレーム、IDSに加えて、出願から年金まで値上げ、意匠特許願では出願から登録まで全体的に値上げとなり、登録後の手続きを含め全般的な値上げとなっている。AFCP2.0(最終拒絶対応パイロットプログラム)は終了に伴い課金なし、出願係属中のターミナルディスクレームの請求は今回除外となった。

主な手数料は以下の通り:
手数料項目     現行料金     改訂料金  値上額
通常特許出願     $320       $350       $30
意匠特許出願     $220       $300       $80
仮出願        $300       $325       $25
3個超独立クレーム   $480       $600       $120
20個超クレーム    $100      $200       $100
多項従属クレーム   $860       $925       $65
通常特許サーチ    $700       $770       $70
意匠特許サーチ    $160       $300       $140
通常特許実体審査          $800       $880       $80
意匠特許実体審査          $640       $700       $60
通常特許公報発行          $1,200    $1,290    $90
意匠特許公報発行          $740       $1,300    $560
国際意匠特許公報発行  $740       $1,300    $560
特許年金3.5年次            $2,000    $2,150    $150
特許年金7.5年次            $3,760    $4,040    $280
特許年金11.5年次          $7,700    $8,280    $580

注目される料金改定は以下の通り:
1.(新設1.17(w)(1))最先日から6年以上経過した継続出願 $2,700
2.(新設1.17(w)(2))最先日から9年以上経過した継続出願 $4,000
3.RCE継続出願 1回目 $1,500 $140値上
4.RCE継続出願 2回目以降 $2,860 $860値上
5.IDS累計提出 1件~49件 $280 $20値上
(新設)IDS累計提出50件~100件未満 $200
(新設)IDS累計提出 100件~200件未満 $500から支払済み料金を引いた額
(新設)IDS累計提出 200件以上 $800から支払済み料金を引いた額
6.審査停止 初回 $300 $80値上、後続 $450 $230値上
7.特許期間調整(PTE) $2,500 $1,320値上げ
(新設)再審請求 $1,440 (ターミナルディスクレーム
8.AIA審判手続き(PTAB)
(新設)再審請求 $452
 IPR請求 請求項20個まで $23,750 $4,750値上
  20個以上$470 $95値上
 IPR審理開始決定後 同上 $28,125 $5,625値上
  20個以上$940 $190値上
 登録後或いはビジネス方法のクレームのIPR請求
  請求項20個まで $25,000 $5,000値上
  20個以上$595 $120値上
 登録後或いはビジネス方法のクレームのIPR審理開始決定後
  請求項20個まで $34,375 $6,875値上
  20個以上$1,315 $265値上

参照サイト
官報 https://www.federalregister.gov/documents/2024/11/20/2024-26821/setting-and-adjusting-patent-fees-during-fiscal-year-2025
USPTO https://www.uspto.gov/about-us/performance-and-planning/fee-setting-and-adjusting
料金表 Excelファイル https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/Patent-Fees-Current-Final-Unit-Cost-FR-2025.xlsx

【アメリカ】USPTO商標出願料金改定(2025年1月18日適用)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、11月18日付の官報で、3月25日に公示した商標出願関連手数料改定を2025年1月18日より適用することを公示した。出願から更新まで全体的に値上げとなる。更新出願手続き関連では、改正案より更新出願は抑え、宣誓書関連を一律上げる変更をしているため、来年の初めに更新を迎える登録商標を所有している場合、値上げ前に手続きを繰り上げることをお勧めする。下記の説明では、利用が少ないため、紙出願の手数料を値上げの説明を省略する。

出願手続きでは、現在の商標電子出願システムTEAS Standard及びTEAS Plusのために分かれた手数料を廃止し、単一の料金体系に改め、記載不備の補正と指定商品・役務の自由記載の場合の出願手数料を新設する。

登録後手続きでは、登録商標の維持率が減少しており、今後もその傾向が続くと予想されること、コストの増加などの理由から収益のバランスを調整するために、更新関連手数料を値上する。また、登録日から6年及び10年後に期限が到来する商標法8条もしくは71条(マドプロ)に基づく使用宣言書(Declarations of Use)の提出も値上げする。

その他の手続きの手数料は、異議申立や無効取消に代わる情報提供(LOP:Letters of protest)の手続きコストが今後も増加する可能性が高いため、また、請願(Petition)及び放棄出願復活の請願も同様に手続きの収益のバランスを調整するため値上げする。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/03/26/2024-06186/setting-and-adjusting-trademark-fees-during-fiscal-year-2025

【アメリカ】PTAB 決定に対する長官レビューの最終規則施行(10月31日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、10月1日の官報で特許審判部(PTAB)の決定に対する
AIAに基づく長官レビュー(Director Review)の最終規則を公示し、10 月 31 日に施行する。最終規則は、USPTOが2024年4月に意見募集した規則案に多くの意見提出があったもののと概ね変わっていない。

長官レビュー請求対象の決定は以下の通り:
(1) Decision on institution 審理開始決定
(2) Final decision (defined as a final written decision in an inter partes or post grant review proceeding or a final decision in a derivation proceeding) 審判合議体による最終審理結果( IPR、PGR、派生手続きに関する審決)
(3) Decision granting rehearing of a decision on institution or a final decision 審理開始の決定或いは審決に対する再審理の決定
(4) Other decision concluding an AIA proceeding その他、AIA手続き結果の決定

最終規則では、IPR当事者系(Inter Partes Review)やPGR付与後(Post Grant Review)の決定、135 条に規定される派生手続きに関する決定や、IPR や PGR の請求却下なども長官レビューの対象となる点が明確化されている。また、長官レビューの請求期間が延長された場合、審判合議体の決定が確定しない点も明確にしている。

最終規則ではさらに、局長が自らの判断で(sua sponte)その決定の審査開始できること、当事者による請求のタイミングと形式を規定すること、基礎となるPTAB手続きに及ぼす影響に言及すること、CAFC控訴すべき期限を明確にすること、長官による審査委任などが規定されている。

なお、USPTOは、6月18日に特許審判部(PTAB)の手続きで、PTAB の審理パネルによる審決に関して、庁幹部からの独立性と公正性を高めることを目的としたPTAB 審決案の回付・レビューに関する最終規則を公示し、7月12日から施行しており、回付方法や手順を定めたほか、PTAB 幹部が審決発行前に審理パネルに連絡を取ることを禁止、長官はが個別事件の審理パネルの構成や再構成の指示や影響を及ぼすことなどの禁止が規定されている。

参照サイト:長官レビュー規則 § 42.75 https://www.federalregister.gov/documents/2024/10/01/2024-22194/rules-governing-director-review-of-patent-trial-and-appeal-board-decisions
回付レビュー規則 https://www.federalregister.gov/documents/2024/06/12/2024-12823/rules-governing-pre-issuance-internal-circulation-and-review-of-decisions-within-the-patent-trial

【アメリカ】After Final Consideration Pilot Program(AFCP2.0)終了(12月14日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、9月30日付、2013年に始まりその後延長を続けてきたAfter Final Consideration Pilot Program(AFCP2.0)は9月30日が延長期限であったが、短期間延長し2024年12月14日をもって終了することを公示した。

特許出願の審査でFinal Office Actionに対する補正があれば審査官に見てもらえる可能性が高まるためAFCP2.0を利用することができたが、USPTOの労力やコストの増大もあるため、2025年から手数料$500で継続するパブコメ募集してたが否定的な意見が多くあり終了を決めた。
代替するプログラムは提案されていない。

12月15日からのFinal OAを受けた対応は、① 意見書提出(37 CFR 1.116);② RCEの提出、③ Appeal、④ 分割や継続出願の対応になる。

参照サイト:https://www.uspto.gov/patents/initiatives/after-final-consideration-pilot-20


【アメリカ】特許権利期間調整ミス発生(9月25日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、9月25日、特許権利期間調整 (PTA)を決定するために使用している特許権利期間調整ソフトウェアの更新作業で設定ミスがあることを発見したと公示した。この設定ミスのために、2024年3月19日から7月30日までに発行された特許に影響を及ぼし、USPTOの審査による遅延(35USC154(b)(1)(A))及びその重複制限(35USC154(b)(2)(A))に基づく重複量の計算が正確でない可能性があるとしている。35USC154(b) に基づくその他の PTAの 計算には影響がなかったようである。

USPTO は既にこのミスの原因を特定し、プログラムを修正したとしている。なお、ミスによりPTA掲載にミスがあり、その修正を求める特許権者は、37CFR1.705(b)に基づき、特許公報に記載されている PTA期間の再検討を速やか請求する必要があるとしている。

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/og-pta-software-error.pdf

【カナダ】出願料金値上げ(2025年1月1日)

カナダ知的財産庁(CIPO )は、本年に続き、来年度の出願手続きのオフィシャルフィーの改訂を公示している。特許、意匠、商標など全種別について、一部の料金を除き、概ね5%弱ではあるが料金を値上げする。以下は、主な料金であるが、12月末までに支払いができれば現行料金が適用される。

特許関係の主な料金改定
・標準出願                      C$555.00            新C$579.42
・継続出願                      C$1110.00          新C$1158.84
・20以上超過クレーム     C$110.00            新C$114.84
・標準審査請求                C$277.00            新C$289.19
・認可                            C$416.00            新C$434.30
・特許年金2-4年次        C$125.00            新C$130.50
 同 5-9年次                C$277.00            新C$289.19
 同 10-14年次            C$347.00            新C$362.27
 同 15-19年次            C$624.00            新C$351.46

参照サイト:https://ised-isde.canada.ca/site/canadian-intellectual-property-office/en/patents/patent-fees

意匠関係の主な料金改定
・標準出願                      C$567.00            新C$591.95
・10以上意匠                  C$14.00               新C$14.62
・意匠維持年金                C$496.00            新C$517.82

参照サイト:https://ised-isde.canada.ca/site/canadian-intellectual-property-office/en/industrial-designs/fees-industrial-designs

商標関係の主な料金改定
・標準出願                       C$458.00            新C$478.15
 追加区分                       C$139.00            新C$145.12
・異議申立                       C$1040.00          新C$1085.76
・更新                             C$555.00            新C$579.42
 追加区分                       C$173.00            新C$180.61

参照サイト:https://ised-isde.canada.ca/site/canadian-intellectual-property-office/en/trademarks/fees-trademarks

【アメリカ】AIの特許適格性ガイドライン更新(7月17日発効)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2024年7月17日から適用する人工知能(AI)を含む新しい技術イノベーションに対応するため、特許対象適格性(35 § USC 101)に関するガイドライン更新版を公示した。

この最新の更新版では、AI技術関連する発明を含む特許出願と特許クレームの対象適格性を評価する方法にさらなる明確さと一貫性を示すことを目的とし、以前のガイダンスに基づき新しい事例を3件含めており、クレームが抽象的なアイデアを述べているかどうか、またはクレームが抽象的なアイデアを実際のアプリケーションに統合しているかどうかなど以下の通り

■  Claims to “collect[ing] information on a user’s movements and location history [and] electronically record[ing] that data” (i.e., “creating a digital travel log”), Weisner v. Google LLC, 51 F.4th 1073, 1082 (Fed. Cir. 2022) (citation omitted). Under the USPTO’s guidance, this is an example of “managing personal behavior or relationships or interactions between people.”

■  A claim to “monitoring the location of a mobile thing and notifying a party in advance of arrival of that mobile thing [ ] amount[s] to nothing more than the fundamental business practice of providing advance notification of the pickup or delivery of a mobile thing,” agreeing with the district court that “business practices designed to advise customers of the status of delivery of their goods have existed at least for several decades, if not longer.”Elec. Commc’n Techs., LLC v. ShoppersChoice.com, LLC, 958 F.3d 1178, 1181 (Fed. Cir. 2020). Under the USPTO’s guidance, this is an example of a fundamental economic principle or practice.

■  Claims to methods for detecting fraud in financial transactions during a payment clearing process, including determining when there is a match between two financial records, sending a notification to a bank with authorization to process the financial transaction when there is a match, and sending a notification to a bank to not process the financial transaction when there is not a match,Bozeman Fin. LLC v. Fed. Reserve Bank of Atlanta, 955 F.3d 971, 978 (Fed. Cir. 2020). Under the USPTO’s guidance, this is an example of a fundamental economic principle or practice.

ガイドラインの更新版は、以下のURLで確認することができる。また、USPTOのAI関連情報サイトもご参考まで。

参照サイト:https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-issues-ai-subject-matter-eligibility-guidance
AI関連情報サイト https://www.uspto.gov/initiatives/artificial-intelligence/artificial-intelligence-reports

【アメリカ】特許出願4月25日公開分にエラーで再公開(6月10日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、6月10日付の公示で、4月25日公開された特許出願の一部に出願日や基礎出願日(benefit date)に誤りがあるとして、再公開することを公示した。このエラーは公開のためのデータ処理中に発生した模様で、出願日等は審査の基準になる日付であるため、訂正公報を発行して、再公開することを決定した。

再公開のための手続きは、37 CFR 1.221(b)に基づき、USPTOが主導的に行うために、対象特許出願の出願人は特段の手続きをする必要ないが、USPTOは当該特許出願人に「公開請求受理通知(Notice of Acceptance of Publication Request”)」を発送する。なお、訂正特許出願公開公報には、公開番号の隣に「A9」の種別番号が記載される。

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/og-pgpubsapr2024.pdf

【アメリカ】意匠特許の自明性判断審査ガイドライン改正(5月22日)

アメリカ特許商標庁は、5月22日、LKQ Corp. v. GM Global Technology Operations LLC事件(以下、LKQ事件)のCAFCの2024年5月21日の判決を受けて、これまでの自明性判断の審査を変更するガイドライン改正(Updated Guidance and Examination Instructions for Making a Determination of Obviousness in Designs)を即日施行することを公示した。

LKQ事件は、GM社の意匠特許D797625(車両のフロントフェンダー)のライセンスをうけていたLKQ社がライセンス関係終了後、侵害警告を受けたことから当該意匠特許の無効を特許審判部(PTAB)に当事者系レビュー(IPR:inter partes review)を請求し、従来意匠D773370と韓国現代自動車の宣伝パンフレットの組合せで無効を主張し、PTABは、これまで意匠特許の自明性に長年適用されてきたRosen-Durlingテスト(主たる先行文献が対象意匠の権利範囲と「基本的に同じ」であり、補助的先行文献も主先行文献への適用の示唆がある程度に「関連していることをもとめるもの)に基づき、主張する組合せに自明ではないと判断した。これに不服のLKQ社は、CAFCに上訴した。CAFCは、Rosen-Durlingテストの適用が厳格すぎるとして特許審判部の裁定を覆し、発明特許の自明性判断に適用されるGrahamテストを加えたより柔軟な適用を示した。具体的には、後知恵から保護するために、先行意匠自体はすでに「存在するもの」であり、当業者にとって、係争意匠が「視覚的に外観が類似する」から始めるというものです。

ガイドライン改正では、事実確認(Factual Inquiry)1から4までのプロセスを示して、自明性判断手順を示している。また、今後さらにガイダンスとトレーニングを提供するとしている。

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/updated_obviousness_determination_designs_22may2024.pdf
LKQ事件のCAFC判決 https://cafc.uscourts.gov/opinions-orders/21-2348.OPINION.5-21-2024_2321050.pdf

【アメリカ】USPTO実務でのAIツールの使用に関するガイダンスの公示(4月11日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月11日付、USPTO実務でのAIベースツール使用に関するガイダンス(Guidance on Use of Artificial Intelligence-Based Tools in Practice Before the United States Patent and Trademark Office)を官報で公示し、特許や商標実務担当者、発明者、起業家などがUSPTO実務でAIが悪用されたり、チェックされないままに利用されたりすることによる、AIの使用によるリスクが発生しないように注意喚起するためのガイダンスとするとしている。

本ガイダンスは、USPTO 実務で AI を使用することで発生する可能性のある規則、方針、或いは問題点の網羅的なリストを提供することを目的としたものではなく、AI が発明プロセスの一部として使用された場合のAIの使用について個別に取り上げている。アメリカの特許実務では、先行技術を調査し、クレームを作成し、出願明細書のレビューを容易にし、特許出願の審査プロセスを自動化し、審査官の対応についての洞察を得るためにもAIツールを活用するなどAI依存度が高まっているため、そうしたAIツールを使用する際に懸念されるリスクとして、不完全や不正確な出力、重大な虚偽記載や脱落など十分な確認をしないことによる手続き上の問題のみならず、秘密保持や倫理問題が生じるのは当然であろう。

官報では、セクション II でUSPTO の既存の規則と方針の概要を説明し、セクション III でこれらの既存の規則と方針がUSPTO実務でAIツールの使用という文脈でどのように適用されるかについて説明している。 具体的には、セクション III(A) でUSPTO に提出する文書の作成におけるAIの使用、セクション III(B) でAIを活用した USPTO への文書提出、セクション III(C)でUSPTO のITシステムとの通信におけるAIの適切な使用について説明し、セクション III(D)でAIの使用に関連する機密保持と国家安全保障上の懸念を提起している。
II. The USPTO’s Existing Rules and Policies
 A. Duty of Candor and Good Faith
 B. Signature Requirement and Corresponding Certifications
 C. Confidentiality of Information
 D. Foreign Filing Licenses and Export Regulations
 E. USPTO Electronic Systems’ Policies
 F. Duties Owed to Clients
III. Application of the Existing Rules as to the Use of AI, Including Generative AI, Before the USPTO
 A. The Use of Computer Tools for Document Drafting
 1. All Submissions and Correspondence With the USPTO
 2.Additional Examples in the Patent Context
 3. Additional Examples in the Trademark Context
 B. Filing Documents With the USPTO
 C. Accessing USPTO IT Systems
 D. Confidentiality and National Security Considerations
 E. Fraud and Intentional Misconduct
IV. Conclusion

なお、アメリカでのAIが発明者になりうるかどうかの判断は、USPTOが特許法§100(f)(g)項に定義される発明者は自然人だけであるとして、Stephen Thaler博士のAI(DABUS)を出願人とする特許出願を拒否したことに対する異義申立を最終的に最高裁判書が2023年4月24日に棄却しているため、AIは発明者になり得ない情況であった。これを受けて、USPTOは、2024年2月13日にAI補助による発明者確定ガイド(Inventorship Guidance for AI-Assisted Inventions)を公示している。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/04/11/2024-07629/guidance-on-use-of-artificial-intelligence-based-tools-in-practice-before-the-united-states-patent

【アメリカ】特許出願料金2025年度改定案の公示(4月3日)

アメリカ特許商標庁は、4月3日、予てから意見募集稿していた特許出願手数料の2025年度の改定案を公示した。比較的大きな値上げとなっている。

新たに設けられる料金項目
1.AFCP2.0(最終拒絶対応パイロットプログラム $500
2.最先日から5年以上経過した継続出願 $2,200
3.最先日から8年以上経過した継続出願 $3,500
4.IDS累計提出 50件~100件未満 $200
5.IDS累計提出 100件~200件未満 $500から支払済み料金を引いた額
6.IDS累計提出 200件以上 $800から支払済み料金を引いた額
7.PTAB審決の再審請求 $440

影響のある値上げとなる主な料金項目(抜粋)
(1)意匠特許出願手数料
 基本出願 $300 $80値上
 サーチ  $300 $140値上
 審査   $700 $60値上
 発行認可 $1,300 $560値上
 国際出願アメリカ指定 $1,300 $280値上

(2)通常特許出願手数料
 RCE継続出願 1回目 $1,500 $140値上
 RCE継続出願 2回目 $2,500 $500値上
 RCE継続出願 3回目 $3.600 $1,600値上
 超過クレーム 20個以上 $200/個 $100値上
 超過独立クレーム 3個以上 $600/個 $120値上
 審査停止 初回 $300 $80値上、後続 $450 $230値上
 ターミナルディスクレーム OA前 $200 $30値上
  最終OA前 $500 $330値上 認可/拒絶査定前 $800 $330値上
 特許期間調整請求(PTA) $300 $90値上
 医薬品等特許期間調整請求(PTE)  $6,700 $5,520値上

(3)AIA審判手続き(PTAB)
 IPR請求 請求項20個まで $23,750 $4,750値上
  20個以上$470 $95値上
 IPR審理開始決定後 同上 $28,125 $5,625値上
  20個以上$940 $190値上
 登録後或いはビジネス方法のクレームのIPR請求
  請求項20個まで $25,000 $5,000値上
  20個以上$595 $120値上
 登録後或いはビジネス方法のクレームのIPR審理開始決定後
  請求項20個まで $34,375 $6,875値上
  20個以上$1,315 $265値上

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/04/03/2024-06250/setting-and-adjusting-patent-fees-during-fiscal-year-2025

【アメリカ】商標出願料金2025年度改定案の公示(3月26日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月26日、予てから検討していた商標出願手数料の改定案を官報で公示した。
出願システムの変更などもあり料金体系を統一しているが、電子出願の料金は以下の通り:
 電子出願料金$350/区分($100)
 *出願時の記載不備の補正 $100
 *指定商品・役務の事由記載 $200
 *事由記載で1000文字を超える指定商品・役務 $200
 使用宣誓(AAU/SOU) $150/区分($50)
 更新出願 $550/区分($50)
 8条使用宣誓 $300/区分($75)
 15条不可争宣誓 $250/区分($50)
 情報提供 $600($200)
 請願 $400($150)
 放棄出願復活の請願 $250($100)

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/03/26/2024-06186/setting-and-adjusting-trademark-fees-during-fiscal-year-2025

【アメリカ】MTAクレーム補正申立改正で意見募集(3月4日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月4日付の官報で、AIA改正特許法に基づくに特許審判部(PTAB)での審判手続き(PGR(Post Grant Review)、IPR(Inter Partes Review)及び CBM(Covered Business Method)など)で暫定試行されているクレーム補正申立(MTA(Motion to Amend)を正式に施行すること及びその手続き上の立証の分担を明確にするための規定に関する意見募集を開始した。提出期限は、5月3日まで。

MTAは、PTABの審判手続きでクレームの補正が認められる比率が低いとの要望を受けて、2019年3月15日に試行導入され、特許権者は補正申立でPTAB による予備的見解の請求(request for preliminary guidance)希望するか、申立人の応答などを受けてMTAの修正版を提出することができるが、昨年8月までの試行中の審理では約10%で利用され、内88%で予備的見解を請求し、その72%でMTAの修正版(内75%)或いは予備的見解に答弁(内、25%)を出していることが分かっている。こうしたことから、試行手続きは評価されているとして、特許規則 審判部での審理(37CFR Part 42)の一部を修正するとしています。
§ 42.121 Amendment of the patent
(d) Burden of persuasion. On any motion to amend:
(1) Patent owner’s burden. A patent owner bears the burden of persuasion to show, by a preponderance of the evidence, that the motion to amend complies with the requirements of paragraphs (1) and (3) of 35 U.S.C. 316(d), as well as paragraphs (a)(2) and (3) and (b)(1) and (2) of this section;
§ 42.221 Amendment of the patent.
(d) Burden of persuasion. On any motion to amend:
(1) Patent owner’s burden. A patent owner bears the burden of persuasion to show, by a preponderance of the evidence, that the motion to amend complies with the requirements of paragraphs (1) and (3) of 35 U.S.C. 326(d), as well as paragraphs (a)(2) and (3) and (b)(1) and (2) of this section;

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/03/04/2024-04127/motion-to-amend-practice-and-procedures-in-trial-proceedings-under-the-america-invents-act-before


【アメリカ】自明性判断のための最新ガイドラインを発表(2月27日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2月27日付、アメリカ最高裁の KSR vs Teleflex判決での自明性判断ための柔軟なアプローチを強調する最新ガイドライン(Updated Guidance for Making a Proper Determination of Obviousness)を官報に公示した。

 最新ガイダンスは、KSR事件後の連邦巡回裁判所の先判決に焦点を当て、自明性の判断に対する柔軟なアプローチの要件を強調する一方で、クレームされた発明が自明であるという結論に達する場合には、合理的な説明の必要性がることを強調している。特許審査基準(MPEP)の記載に合わせ、審査官が特許出願で自明性判断のガイドとして機能する。なお、意匠特許での適用は、LKQ vs GM Global Technology Operations (No. 21-2348, Fed. Cir.) の判決を待ちである。ガイドの目次は以下の通り:
 I. The America Invents Act Impacted the Time Focus of the KSR Inquiry
 II. The Graham Inquiries Continue To Control Obviousness Determinations After KSR
 III. The Federal Circuit’s Implementation of KSR Has Reiterated a Flexible Approach to Obviousness
  A. Flexible Approach To Understanding the Scope of Prior Art
  B. Flexible Approach to Providing a Reason To Modify the Prior Art
  C. Flexible Approach to Obviousness Does Not Negate the Need for Articulated Reasoning and Evidentiary Support
 IV. All Evidence Relevant to the Question of Obviousness That Is Properly Before the Decision-Maker Must Be Considered
 V. Office Personnel Will Continue To Apply Reasoning to Facts in Order To Reach a Proper Legal Determination of Obviousness

 なお、USPTOは、AIの普及が従来技術に与える影響、当業者の知識、自明性を含む特許性の判断の評価にも取り組んでおり、順次公表するとしている。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/02/27/2024-03967/updated-guidance-for-making-a-proper-determination-of-obviousness