【WIPO】2021年の全世界の知的財産権出願は増加 

国際知的所有権機関(WIPO)は、11月21日付、世界知的財産指標2022(World Intellectual Property Indicators 2022)を公表し、2021年度の各種知的財産権の出願状況を分析し、2020年に比べて+3.6%増加し、その67.6%をアジア各国で占めているとした。

World Intellectual Property Indicators 2022

特許、実案、意匠、商標及び植物新品種ともに中国が全体の大半を占めていることは良く分かる。

参考サイト:https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2022/article_0013.html

【台湾】2021年度特許商標出願統計

台湾智慧財産局は3月14日付、2021年の特許及び商標出願統計を公示した。対前年比は、特許+1%、商標+2%の増加となった。 日本からの特許出願(発明、実案、意匠の合計)が13,324件(対前年比+1%)と引き続きトップ、2位はアメリカで7,986件(同+9%)、3位は中国で4,253件(同+13%)である。

種  別2021年2020年伸び率
発明49,11646,664+5.3%
実案15,79617,555-10.0%
意匠7,7018,019-4.0%
商標95,91794,089+1.9%

審査期間は、発明特許は14か月、商標は6.2か月である。

特許の出願ランキングは以下の通り1;

会社名発明実案意匠合計
1Taiwan Semiconductor Co. Ltd.1950001950
2QUALCOMM INCORPORATED84500845
3APPLIED MATERIALS, INC.758134793
4日東電工株式会社52900529
5Samson Electronics Co., Ltd.510010520
6東京エレクトロン株式会社463014477
7AU Optronics Corp46047471
8Acer Inc.3125595462
9キオクシア株式会社45701458
10Realtek Semiconductor Corp44002442

10位以下の日本企業には住友化学(246件)、富士フィルム(262件)が続いている。
商標では資生堂が第3位に入っている。

参照サイト:https://www.tipo.gov.tw/en/cp-896-903612-621ae-2.html
      https://www.tipo.gov.tw/en/cp-896-903611-1b9eb-2.html

【インド】PPHの申請12月20日より(12月13日)

インド知的財産庁(IP India)は、12月13日付、PPHの申請を12月20日より受け付けると公示した。

日本特許庁とインド知的財産庁は特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムに合意し第3期目になり、変わらず100件である。2019年12月4日の通知に基づき、PPHガイドラインの第5章に基づく書式5-1のPPH申請をする。なお、インド特許庁データベース(inPASS)で出願案件の審査官への割当て状況を確認することができる。

参照サイト:
日本特許庁 https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/japan_india_highway.html
インド知財庁 https://ipindia.gov.in/newsdetail.htm?773/

【韓国】特許法などの一部改正施行(8月17日)

韓国政府は特許法、実用新案法、デザイン保護法、商標法などの一部を改正する法律を2021年8月17日に公布し、公布後3ヶ月(一部は6ヶ月後)後から施行される。

特に、出願実務で影響があるのは、特許法第84条の審査請求料の返還の範囲が拡大されたことで、従来、審査前は全額返還、審査請求後は、
①専門機関による先行技術調査業務に対する結果通知があったとき、
②同一人により同じ発明が同じ日に2件以上の特許出願がある場合に、当該特許出願人に期間を定めて協議の結果を申告するよう命じる協議結果申告命令があったとき、
③拒絶理由通知があったとき、
は、特許出願を取下・放棄しても既に支払った審査請求料の返還はされなかった。
改正特許法では、
①は、先行技術調査業務の結果通知があった後に特許出願を取消・放棄した場合に、審査請求料の全額返還(約45万ウォン,約4.3万円)
②は、「協議結果申告命令があった後、申告期間が満了する前」に
③は、「拒絶理由通知後、意見書提出期間の満了前」に
特許出願を取消・放棄した場合、審査請求料の1/3の返還 (約15万ウォン,約1.4万円)
に改正された。なお、不法な手数料の減免を受けた場合は倍額の徴収を受ける。11月18日より施行。

その他の改正は以下の通り:
① 特許審判段階での調停制度の導入
 審判を終結することのできる調整制度の導入により、審判中に審判長が調停を必要と認める場合、当事者の同意を条件に産業財産権紛争調停委員会に付託できる。調整委員会に回付された審判事件は、回付された時から3か月以内に両当事者間の合意により迅速に終結することができる。
② 民事訴訟法(2002年法)の適時提出制度の準用
 特許審判の当事者が主導的に主張や証拠を適切な時期に提出せず、審判長が要求する時期より遅れた場合、故意或いは重過失で遅延した主張や証拠の提出は却下されるようになった。
③ 特許審判院での専門人材の配置
 最先端技術に対する専門性と信頼性を強化するために、特許審判院に関連専門家を配置し審判事件の支援とすることができるようになった。
④職権補正での誤りは無効措置
 審査官の誤った職権補正は初めからなかったものとなる。

以上

【インド】高等裁判所に知財専門廷設置(2021年7月7日)

インドの高等裁判所(High Court of India)は、2021年7月7日付、デリー高等裁判所(High Court of Deli, New Deli)通知667号で、審判所改革条例「The Tribunals Reforms Ordinance (Rationalisation and Conditions of Service) ,2021 No.2 of 2021」(以下、条例)に基づき、知的財産廷(Intellectual Property Division)を設置したことを公示した。今後は、知的財産関連の民事事件、行政不服事件などはデリー高等裁判所の知的財産廷が処理することになる。

この件については、4月4日付の条例の公布ともに、知的財産審判部(IPAB)や著作権、税関の審判部門が廃止され、行政部門から同地域の高等裁判所に移管されると紹介されていた。今回の決定で、インド国内の民事事件、行政審判事件、税関の審判事件はデリーの知的財産廷がまとめて対応することになる。対象とな法律は以下の通り:
The Patents Act, 1970
The Trademarks Act, 1999
The Copyright Act, 1957
The Geographical Indications of Goods (Registration and Protection) Act, 1999
The Protection of Plant Varieties and Farmers’ Rights Act, 2001
The Customs Act, 1962The Cinematograph Act, 1952
The Control of National Highways (Land and Traffic) Act, 2002
The Airport Authority of India Act, 1994

現在、デリー高等裁判所では対応する処理規則の確定を行っているようであるが、これまでも数多くに知的財産権訴訟の対応をしており、報道ではIPABから3000件の事件が移管されたということである。経験のある裁判所にまとまったのは統一した判断などメリットも多い、また、日米や中国と同じような専門裁判所が設立されたと判断できる。

参照サイト:https://delhihighcourt.nic.in/writereaddata/Upload/PublicNotices/PublicNotice_4W1UGE3WNT9.PDF

【台湾】「専利審査基準」の「コンピュータソフトウェア関連発明の改訂施行(2021年7月1日)

台湾経済部智慧産権局は、6月9日付、「専利審查基準」の第二編第十二章コンピュータソフトウェア関連発明(電腦軟體相關發明)の改正を公示し、2021年7月1日に施行する。

AI、IoT、ビッグデータなどの技術の急速な開発により、さまざまな分野で応用され、コンピュータソフトウェア関連の発明が数多く出願される状況にあり、審査基準を以下の観点から改正している。
1.第2節 明細書及び請求の範囲
  実施可能要件の判断基準を明確化
2.第3節 発明の定義(適格性)の判断原則を明確化
 フローチャートのステップ1(定義)と2(具現化)で関連する判断手順を明確化
3.第4.2節 特許要件の進歩性関連の内容を改訂
 「当業者」、「進歩性が否定される要素」と「進歩性が肯定される要素」を追加
 「簡単な変更」で従来の進歩性が否定される要素を明確化
4.その他
(1)第 2.2.1.2 節 ものの請求項に構造上の限定条件の記載を必須としない
(2)第2.2.3節及び第2.2.4節 請求項が不明確な状況と明細書に裏付けられる項目を追加
(3)第 2.3 節注意事項(2) 一般的な機能によりものを特定する請求項とミーンズ・プラス・ファンクションに関する挙証責任の分担を規定
(4)事例 
 1.実施可能要件 2件
 2.発明定義   13件
 3.進歩性    5件

関連サイト:https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-891201-9f474-1.html
      Lee&Li説明サイト

【韓国】デザイン保護法改正(10月21日施行)

韓国政府は、物品の外観形態がない、或いは、物品に表示されない画像について意匠登録及び保護を認めるデザイン保護法(日本に意匠法)の改正を2021年3月24日付で議決し、4月20日に公布した。改正法は公布後6ヶ月の2021年10月21日から施行される。

今回の改正では、画像を「デジタル技術または電子的方式により表現される図形・記号等で、器機の操作に利用され、または機能が発揮されるものに限定」すると規定し、実施行為を「画像を生産・使用・電気通信回線を通じた方法で提供し、もしくはその画像を電気通信回線を通じた方法で提供するための申出(電気通信回線を通じた方法で提供するための展示を含む)をする行為、或いは、その画像を保存した媒体を譲渡・貸渡し・輸出もしくは輸入し、またはその画像を保存した媒体を譲渡もしくは貸渡しするための申出(譲渡または貸渡しのための展示を含む)をする行為」と規定して保護を強化することにした。一方で、著作権法との関係では、保護を受ける応用美術著作物と画像デザインの区別が難しいと改正に対する指摘がされている。

従来、韓国の意匠保護では、2003年から審査基準上「物品の液晶画面など表示部に表示される図形など」を画像デザインとして保護してきたが、これまでの日本同様物品性を要件としていた。日本の改正もあり、今回の改正で物品性を排除し、ホログラム、仮想キーボード、投影・投射による画像もデザイン登録を受けることができるようになるため、日本の出願を韓国に優先権主張して出願できるようになる利便性が広がる。施行規則は5月以降に取りまとめられるため、KIPOに対する聴取では以下のことが分かっている。

1)優先権主張
 優先権主張は施行日6か月前からの基礎出願から可能。
2)意匠名称
 日本の出願の援用ができる模様で、従来は「画像デザインが表示されたディスプレイパネル」などで物品の記載が必要であったが、「‥‥用画像」のような表現とすることができる。
3)その他
 調査をする場合は、ロカルノ分類の14類に入る模様だが、今後指針が出される可能性がある。
 機能性のない画像につては従来通り物品性を伴う出願が好ましいと思われる。

出展:Kim&Chan

【フィリピン】最高裁判所の知的財産権事件手続き規則改正施行(2020年11月16日)

フィリピン最高裁判所(The Supreme Court of the Philippines)は、10月16日付、知的財産権事件手続き規則の2020年改正版(The 2020 Revised Rules of Procedure for Intellectual Property Rights Cases (2020 IPR Rules))が2020年11月16日に施行されることを公示しました。今回の改正は、2019年の民事訴訟法、証拠規則の改正に対応しており、国内の知的財産権訴訟の絶え間なく変化する状況に対応し、訴訟手続きの改善、円滑で効率的な解決を促進することを目的としており、最終的に創造的な活動と革新、技術移転、および外国投資を促進する法的環境の構築を促進するように設計されている。特に、商標関係では、商標権侵害事件と不正競争事件での商標の使用証拠の認定基準と顕著性や誤認混同の立証証拠としての市場調査に関する規定が新たに設けられたことには評価できる。

主な改正の内容は下記の通り;

  • 原告と被告の提訴や答弁は証拠による立証要件を導入、単純な事実証言から厳格化
  • 宣誓供述書から承認証言付きの司法宣誓供述書へと厳格化
  • 応答期間の緩和、被告の弁駁応答は召喚状送達後30日、これに対する原告答弁期間は15日とそれぞれ15日と5日増加
  • 提訴却下申立理由を管轄権、他の関連事件などに制限
  • 延長申立ての理由を災害などに制限
  • 外国居住の被告に対する電子的送達の導入
  • 刑事事件では事件解決の促進の規則導入
  • ディスカバリーなどにビデオ会議などの電子通信方式の導入
  • 商標権侵害事件と不正競争事件での商標の使用証拠の認定基準の導入
  • 顕著性や誤認混同の立証証拠としての市場調査に関する規定の導入
  • 侵害品の廃棄基準の改正
  • 法定処理期間を60日に短縮
  • 対応する特別商事裁判所の追加 Baguio, Iloilo, Cebu, Cagayan de Oro, Davao

参照サイト:https://sc.judiciary.gov.ph/14262/
 改正規則 https://sc.judiciary.gov.ph/14365/

【台湾】意匠審査基準の改正(2021年11月1日)

台湾経済部智慧財産局は、特許審査基準の第3部意匠特許(設計専利)実体審査の改正を2020年9月29日に公布し、11月1日から施行した。今回の改正は、(I)意匠の説明書や図面開示要件の緩和、(II)建築物や内装設計を意匠の保護対象とする定義、(III)分割出願規則の緩和、(IV)画像意匠が適用されたコンピュータプログラム製品を物品に追加;(V)その他であり、対象は第1章、第2章、第3章、第7章、第8章及び第9章で、概要は以下の通り;

第1章 説明書及び図面
2.3.2画像デザインの外観が変更されたもの
2.3.3各図面間の同一、対称性、またはその他の理由による省略
3.1 具備しなければならない図面
3.2.5色彩を主張しない意匠
第2章 意匠とは
1. 意匠の定義
1.1 前書き
1.2 意匠は物品に適用されなければならない
2.2純粋に機能的な物品
第3章 特許要件
2.4.3.4(3) 判決原則/その他の注意事項(色彩の視覚効果)
3.4.5.6 従来意匠を使用した外観
第7章 分割及び変更
1.2.2 分割要件/実体的要件
第8章 部分意匠
2.1.3 意匠の説明
2.2.1 具備しなければならない図面
第9章 アイコン意匠
1. アイコン意匠の定義
1.1 一般原則
1.2 アイコン意匠の態様
2. 説明書と図面
2.3出願の意匠の解釈
3.2.1 特許要件/物品の同一或いは類似判断
3.2.2 特許要件/外観の同一或いは類似判断
3.2.3 事例
3.3 創作性
3.4 先願原則
4. 一意匠一出願

参照サイト:https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-881881-d8fd4-1.html

【インド】特許規則改正の公示(10月19日)

インド特許意匠商標総局(IP INDIA)は10月22日付、10月19日の特許規則の改正(Patents (Amendment) Rules, 2020)を公示し、2019年5月31日付の改正案に基づく、優先権証明書の英語訳の提出(第21条)及び実施報告義務(第131条)の改正を施行した。

第21条のPCT出願における優先権主張の提出は、(1)項と(2)項の改正となり、緩和された。
(1)インドを指定する国際出願の出願人が特許協力条約の規則17.1(先の国内出願又は国際出願の謄本を提出する義務)のパラグラフ(a)、(b)または(bの2:国際事務局が優先権書類を実施細則に定めるところにより国際出願の国際公開の日前に電子図書館から入手可能である場合には、出願人は、優先権書類の提出に代えて、国際事務局に対し、国際公開の日前に、当該優先権書類を当該電子図書館から入手するよう請求することができる。)の要件を遵守していない場合、国際特許条約の規則17.1のパラグラフ(d:指定官庁は、(a)に規定する先の出願が国内官庁としての当該指定官庁に出願されている場合又は当該指定官庁が実施細則に定めるところにより優先権書類を電子図書館から入手可能な場合は、(c)の規定により優先権の主張を無視することはできない。)に従い、出願人は、規則20のサブ規則(4)に記載されている期限の満了前に、当該規則に記載されている優先権書類を特許庁に提出しなければならない。
(2)特許協力条約の規則51の2.1のパラグラフ(e:指定官庁が適用する国内法令は、第27条の規定に従い、出願人に対し優先権書類の翻訳文を提出することを要求することができる。ただし、次の場合に限る。)のサブパラグラフ(i: 先権の主張の有効性が、その発明が特許を受けることができるかどうかについての判断に関連する場合)またはサブパラグラフ(ii:受理官庁が4.18及び20.6の規定に基づき要素又は部分を引用により含めることに基づいて、 20.3(b)(c)、20.5(d)又は20.5.の2(d)の規定に基づき国際出願日が認められた場合において、82の3.1(b)の規定に基づき当該要素又は部分が優先権書類に完全に記載されているかどうかを決定するために、指定官庁が適用する国内法令が、明細書、請求の範囲又は図面の部分については、出願人に優先 権書類の翻訳文のどの部分に当該部分が記載されているかに関する表示を提出することを要求できる場合)が適用される場合、出願人または出願人により正式に承認された者によって正式に検証されたその英訳は、規則20のサブ規則(4)で指定された期限内に提出されなければならない。
(3)(改正なし)出願人が上記(1)項または(2)項の要件を遵守しない場合、特許庁は、状況に応じて、その要請日から3か月以内に優先権書類またはその翻訳を提出するよう出願人に要請しなければならない。、そして、出願人がその対応をしなかった場合、出願人の優先権主張は法の目的により認められない。

第131条の実施報告義務は会計年度終了後3か月以内から6か月以内と緩和され、書式27も改められた
(2)上記(1)項で言及される陳述は、特許が付与された会計年度の直後から始まる会計年度から始めて、各会計年度に関して1回提出されるものとし、特許が付与された会計年度の直後から始まる会計年度から始まり、各会計年度の満了から6ヶ月以内に提供されるものとする。

参照サイト:http://www.ipindia.nic.in/newsdetail.htm?713
 https://kyk-ip.com/2019/06/01/%e3%80%90%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e3%80%91%e7%89%b9%e8%a8%b1%e8%a6%8f%e5%89%87%e6%94%b9%e6%ad%a3%e6%a1%88%e5%85%ac%e7%a4%ba6%e6%9c%881%e6%97%a5%ef%bc%89/

【韓国】知財法改正公布(10月20日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、特許法、商標法、デザイン保護法及び不正競争防止法の改正が公布された。

特許法は、2020年10月20日付、第225条第2項の改正の公布及び施行が同日にされた。
 本改正前の特許法は、特許権または専用実施権の侵害罪に対して7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金に処するものの、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」として規定しており、実効性のある手段になっていないとの指摘が提示されていた。これに対し改正特許法では、親告罪として規定されていた特許権または専用実施権の侵害罪を被害者が起訴を望まないという意思を確実に表明する場合にのみ起訴をしない「反意思不罰罪」(被害者告訴不要)に変更することによって特許権の保護を一層強化した。
 なお、韓国の刑事訴訟法では、刑事告訴の期間が「親告罪に対しては、犯人を知った日から6カ月を経過すれば告訴することができない」と制限されているが、今回の特許法改正により特許侵害罪の場合、この告訴期間(6カ月)の制限なしに、捜査機関が職権捜査して処罰可能となった。

商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法では、2020年10月20日付、「アイディア侵害禁止規定」に3倍賠償の規定を追加する改正、法定損害賠償額の増額が公布された。
 2019年7月9日に特許法改正と不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法という)の営業秘密侵害行為に3倍賠償制度は導入施行されているが、今回商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法の「アイディア侵害禁止規定」においてもその規定が導入された。商標法とデザイン保護法は公布と同日に施行された。不正競争防止法での施行は2021年4月21日の予定である。
 3倍賠償制度に関する規定はいずれの法律でもほぼ同じ内容であり、賠償金額の算定時に考慮しなければならない8項目について次の通り規定している。
①侵害者の優越的地位の有無;
 [商標法のみ「侵害行為により該当商標の識別力または名声が損傷された程度」と規定している]
②故意または損害発生のおそれを認識した程度;
③侵害行為により特許権者及び専用実施権者が受けた被害の規模;
④侵害行為により侵害者が得た経済的利益;
⑤侵害行為の及ぶ期間・回数など;
⑥侵害行為による罰金;
⑦侵害者の財産の状態;
⑧侵害者による被害救済努力の程度。
 商標法とデザイン保護法の法定賠償額は次の通り改正され、同日施行された。
①法定損害賠償金を5千万ウォンから1億ウォンに引上げ;
②故意侵害の場合における法定損害賠償金を3億ウォンに引上げ;
③使用料相当額の基準を“通常”受取ることができる金額から“合理的”水準に変更。

情報提供:Kim&Chang

【インド】PPHの追加申請11月2日より(10月17日)

インド知的財産庁(IP India)は、PPHの追加申請を11月2日より受け付けると公示したが、最終ロットは5件に限られている。

インド知的財産庁は、2019年12月4日の通知に基づき、同年12月5日からPPHガイドラインの第5章に基づく書式5-1のPPH申請の受理を開始した。当初、100件の申請に対し56件を受理し、その後、2020年3月9日と8月10日に追加の申請を受け、39件が受理された。今回は、残りの5枠を受け入れるとのことである。枠が限られているため早めの申請をお勧めします。

参照サイト:http://www.ipindia.nic.in/newsdetail.htm?712/
JPO https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/japan_india_highway.html

【台湾】特許出願に対する情報提供の規則改正施行(2020年9月1日)

台湾経済部智慧財産局は、8月25日付、特許法施行規則第39条の発明特許出願に対する情報提供の規則に関する「発明特許出願に対する第三者意見作業要点」」を改正し、9月1日付施行することを公示した。この改正では、第三者の意見提出期間、事由、提出書式及び提出方法を規定し、第三者の意見に対する処理の原則を明確にし、審査官の証拠調査の支援、特許付与の安定性を向上させるとともに、一般の審査参加の機会を増やすことを目的としている。本要点の概要は下記の通り。

1.本局は、特許法施行細則第39条の規定に基づき、特許出願の審査決定前に第三者が発明を特許とすべきでないと意見を陳述した場合、本要点を適用する。
2.第三者が意見を提出する場合、発明特許出願の特許査定前に提出しなければならない。
3.第三者は、発明特許出願が特許法第46条に規定する拒絶の対象になる場合、本局に情報提供をすることができる。
4.第三者が情報提供する場合、所定の情報提供書式(第三者意見書)に記入し、当該特許出願番号を記載し、先行文献、理由及び関連書類を添付しなければならない。
5.第三者は、書面または本局の電子申請システムを通じて意見を提出しなければならない。
6.情報提供の対象となる発明特許出願が実用新案特許出願を伴う場合、発明特許出願の出願番号の表示は、対応する実用新案特許出願の出願番号で置き換えることができる。
7.情報提供の内容が具体的に明確でない場合、理由や証明が不十分でない場合、或いは関連がない場合、採用しないことがある。また、既に、当該出願が取下げられたか、受理されない、或いは審査決定が出されている場合も同様とする。
8.第三者から情報提供が提出された場合、出願人にその事実を通知する。
9.第三者から情報提供が提出された後、本局はその意見の処理状況や審査結果を第三者につうちしない。
10. 第三者が提出した情報提供内容(先行文献リスト)は、特許出願の早期公開または公告後に、本局の特許公開情報照会システムで開示される。

参照サイト:https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-880698-8c060-1.html

【韓国】デザイン保護法施行規則の改正施行(2020年9月1日)

韓国特許庁はデザイン保護法施行規則の一部を改正し、が2020年9月1日付施行した。主な内容は以下の通り。

1.審査対象の拡大
韓国は、特定な分野のみを審査対象とする一部審査制度を実施しており、今回は、以下の分野を審査対象加えた。
第1類(食品)
第3類(他類に明記されない旅行用品、ケース、パラソルおよび身の回り品)
第9類(物品運送・処理用包装および容器)
第11類(装飾用品)
従来の第2類(衣類およびファッション雑貨用品)、第5類(繊維製品、人造および天然シート織物類)、第19類(文房具、事務用品、美術材料、教材)に加え、比較的幅広い対象となった。

2.図面提出要件の緩和
従来、フォントの書体を出願する場合、図面を別に作成して提出しなければならないところ、図面の代わりにフォントファイル自体を提出することが認められる。また、出願図面を補正する場合、出願時のファイル形式でのみでの補正を異なるファイル形式でも補正が可能になり、要件が緩和された。

ところで、韓国特許庁によるとデザイン権(意匠権)の重要性が高まり、権利保有期間が10年前に比べ2年弱伸びている。これは10年前(2010年)の平均権利保有期間5.1年で、2019年は平均6.9年と1.8年伸びている。2019年に消滅したデザイン権の保有期間は、10年以上が19.6%、3年~10年は41.5%、3年以内は30.1%である。2010年と比較すると、10年以上は3.8倍の増加(2010年5.2%→2019年19.6%)、3年以内は0.7倍の減少(2010年41.8%→2019年30.1%)している。出願人別では、大企業と中小企業がそれぞれ7.1年と7年で、10年前と比べて大企業は2.5年、中小企業は1.9年延びている。

情報元:Kim&Changほか

【香港】改正商標条例公布(2020年6月19日)

香港特別行政府香港知識産権署は、6月19日付、改正商標条例(Trade Marks Ordinance 2020)を公布した。この改正ではマドプロに対応する部分、書式及びその他を含む、35の改正がされているが、マドプロ部分の5条及び第4部を除いて施行された。なお、マドプロについては、香港とWIPO間でのマドプロ加盟国手続きは未だ行われていないために、WIPOはこの件について、何らの公示も行っていない。
その他の部分では、
1.書類の送付先の変更、2.登録商標の変更、3.出願の変更、4.延長申請、5.譲渡、6.団体商標、7.優先権主張、8.分類、9.同意などによる使用、10.防御商標、11.相対的拒絶理由、12.更新と回復措置、13.不使用取消などがある。
また、第12A部の権利行使では、96A条から96L条で税関に被疑侵害品の査察やその他の権限を付与している。

参照サイト:公示 https://www.info.gov.hk/gia/general/202006/19/P2020061900203.htm?fontSize=1
改正商標条例:https://www.gld.gov.hk/egazette/pdf/20202425/cs1202024253.pdf
https://www.ipd.gov.hk/sc/intellectual_property/trademarks/registry/log_of_change_2020.pdf

なお、6月16日付、絶対的拒絶理由に関する改正審査基準が公示されている。

参照サイト:https://www.ipd.gov.hk/sc/intellectual_property/trademarks/registry/Absolute_grounds_for_refusal.pdf