国務院は、2018年11月19日付、国務院令第706号を発布し、2018年9月6日に国務院第23回常務会議の審理を経て、11月6日付改正専利代理条例(特許代理条例)が成立し、2019年3月1日から施行することを公示した。
ご参考まで、2018年10月末時点で、特許代理人は、専業特許代理人が18,468人に達し、特許代理事務所(中国の場合は原則、会社組織でなければならない)は2,140社に達している。
専利代理条例は、1991年3月4日に成立以降、数回の改正がされているが、特許代理のサービスレベルを向上させ、特許代理人の名称を「専利代理師(特許代理士)」とし、特許代理業界への参入を緩和する。しかし、いわゆる「黒代理」問題を抑制し、特許代理支援サービス提供などを今回の題目としている。主に、下記を改正のテーマとしている。
1.権力の管理を簡素化し、革新と起業家精神を支援し、大衆の負担を軽減し、市場の活力と創造性を刺激する。
2.管理を統合し、日々の監督を強化し、市場秩序を標準化し、革新的な事業体の正当な権利と利益を保護する。
3.サービスを最適化し、利便性を高め、サービス効率を向上させる。
改正特許代理条例では、特許代理士の署名責任を追加し、特許代理援助サービスを提供することを提唱し、特許代理事務所の情報公開を促進し、特許代理業界の自律を強化し、違反行為に対する政府の監督管理などを強化することで、結果的に間接的ながらも特許代理のサービスレベルの向上を目指すものとなっている。
特許代理支援サービスとは、外国出願、特許ウォッチング、分析、ライセンス、質権融資、特許訴訟、調停などのサービスのことを指し、こうした顧客支援サービスの提供する代理事務所の数が増加している。
特許代理業界参入緩和策として、2014年に特許代理事務所設立登記の最低限度額と財産証明の提出義務を廃止、2016年に「パートナー/株主人事証明書」「パートナー/株主退職証明書」「事務所住所証明書」「事業施設証明書」などの証明書の提出義務を廃止し、現在では、事件発生後の管理やランダム抽出による監督管理に変わってきている。こうした成長と並行して、新たな規範化の課題として、事務所としての従業員と事業規模の不均衡、需要に応じたサービスレベルの未成長、「掛証」「黒代理」と呼ばれる虚偽宣伝や安値競争などが発生しており、これらの問題は法律面から解決するとしている。
なお、法令などに違反した場合の罰則は、警告、罰金5~10万元、業務停止6~12か月、未登録の代理行為は違法所得の没収及び違法所得の5倍以下の罰金となっている。
改正専利代理条例は、全5章32条から構成されており、下記のような条項の構成となっている。
- 総則 (第1~6条)
- 専利代理機構と専利代理師(第7~12条)
- 専利代理業務(第13~23条)
- 法律責任(第24~28条)
- 付則(第29~32条)
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参考サイトは下記の通り。