【カナダ】出願料金値上げ(2025年1月1日)

カナダ知的財産庁(CIPO )は、本年に続き、来年度の出願手続きのオフィシャルフィーの改訂を公示している。特許、意匠、商標など全種別について、一部の料金を除き、概ね5%弱ではあるが料金を値上げする。以下は、主な料金であるが、12月末までに支払いができれば現行料金が適用される。

特許関係の主な料金改定
・標準出願                      C$555.00            新C$579.42
・継続出願                      C$1110.00          新C$1158.84
・20以上超過クレーム     C$110.00            新C$114.84
・標準審査請求                C$277.00            新C$289.19
・認可                            C$416.00            新C$434.30
・特許年金2-4年次        C$125.00            新C$130.50
 同 5-9年次                C$277.00            新C$289.19
 同 10-14年次            C$347.00            新C$362.27
 同 15-19年次            C$624.00            新C$351.46

参照サイト:https://ised-isde.canada.ca/site/canadian-intellectual-property-office/en/patents/patent-fees

意匠関係の主な料金改定
・標準出願                      C$567.00            新C$591.95
・10以上意匠                  C$14.00               新C$14.62
・意匠維持年金                C$496.00            新C$517.82

参照サイト:https://ised-isde.canada.ca/site/canadian-intellectual-property-office/en/industrial-designs/fees-industrial-designs

商標関係の主な料金改定
・標準出願                       C$458.00            新C$478.15
 追加区分                       C$139.00            新C$145.12
・異議申立                       C$1040.00          新C$1085.76
・更新                             C$555.00            新C$579.42
 追加区分                       C$173.00            新C$180.61

参照サイト:https://ised-isde.canada.ca/site/canadian-intellectual-property-office/en/trademarks/fees-trademarks

【アメリカ】AIの特許適格性ガイドライン更新(7月17日発効)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2024年7月17日から適用する人工知能(AI)を含む新しい技術イノベーションに対応するため、特許対象適格性(35 § USC 101)に関するガイドライン更新版を公示した。

この最新の更新版では、AI技術関連する発明を含む特許出願と特許クレームの対象適格性を評価する方法にさらなる明確さと一貫性を示すことを目的とし、以前のガイダンスに基づき新しい事例を3件含めており、クレームが抽象的なアイデアを述べているかどうか、またはクレームが抽象的なアイデアを実際のアプリケーションに統合しているかどうかなど以下の通り

■  Claims to “collect[ing] information on a user’s movements and location history [and] electronically record[ing] that data” (i.e., “creating a digital travel log”), Weisner v. Google LLC, 51 F.4th 1073, 1082 (Fed. Cir. 2022) (citation omitted). Under the USPTO’s guidance, this is an example of “managing personal behavior or relationships or interactions between people.”

■  A claim to “monitoring the location of a mobile thing and notifying a party in advance of arrival of that mobile thing [ ] amount[s] to nothing more than the fundamental business practice of providing advance notification of the pickup or delivery of a mobile thing,” agreeing with the district court that “business practices designed to advise customers of the status of delivery of their goods have existed at least for several decades, if not longer.”Elec. Commc’n Techs., LLC v. ShoppersChoice.com, LLC, 958 F.3d 1178, 1181 (Fed. Cir. 2020). Under the USPTO’s guidance, this is an example of a fundamental economic principle or practice.

■  Claims to methods for detecting fraud in financial transactions during a payment clearing process, including determining when there is a match between two financial records, sending a notification to a bank with authorization to process the financial transaction when there is a match, and sending a notification to a bank to not process the financial transaction when there is not a match,Bozeman Fin. LLC v. Fed. Reserve Bank of Atlanta, 955 F.3d 971, 978 (Fed. Cir. 2020). Under the USPTO’s guidance, this is an example of a fundamental economic principle or practice.

ガイドラインの更新版は、以下のURLで確認することができる。また、USPTOのAI関連情報サイトもご参考まで。

参照サイト:https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-issues-ai-subject-matter-eligibility-guidance
AI関連情報サイト https://www.uspto.gov/initiatives/artificial-intelligence/artificial-intelligence-reports

【アメリカ】特許出願4月25日公開分にエラーで再公開(6月10日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、6月10日付の公示で、4月25日公開された特許出願の一部に出願日や基礎出願日(benefit date)に誤りがあるとして、再公開することを公示した。このエラーは公開のためのデータ処理中に発生した模様で、出願日等は審査の基準になる日付であるため、訂正公報を発行して、再公開することを決定した。

再公開のための手続きは、37 CFR 1.221(b)に基づき、USPTOが主導的に行うために、対象特許出願の出願人は特段の手続きをする必要ないが、USPTOは当該特許出願人に「公開請求受理通知(Notice of Acceptance of Publication Request”)」を発送する。なお、訂正特許出願公開公報には、公開番号の隣に「A9」の種別番号が記載される。

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/og-pgpubsapr2024.pdf

【アメリカ】意匠特許の自明性判断審査ガイドライン改正(5月22日)

アメリカ特許商標庁は、5月22日、LKQ Corp. v. GM Global Technology Operations LLC事件(以下、LKQ事件)のCAFCの2024年5月21日の判決を受けて、これまでの自明性判断の審査を変更するガイドライン改正(Updated Guidance and Examination Instructions for Making a Determination of Obviousness in Designs)を即日施行することを公示した。

LKQ事件は、GM社の意匠特許D797625(車両のフロントフェンダー)のライセンスをうけていたLKQ社がライセンス関係終了後、侵害警告を受けたことから当該意匠特許の無効を特許審判部(PTAB)に当事者系レビュー(IPR:inter partes review)を請求し、従来意匠D773370と韓国現代自動車の宣伝パンフレットの組合せで無効を主張し、PTABは、これまで意匠特許の自明性に長年適用されてきたRosen-Durlingテスト(主たる先行文献が対象意匠の権利範囲と「基本的に同じ」であり、補助的先行文献も主先行文献への適用の示唆がある程度に「関連していることをもとめるもの)に基づき、主張する組合せに自明ではないと判断した。これに不服のLKQ社は、CAFCに上訴した。CAFCは、Rosen-Durlingテストの適用が厳格すぎるとして特許審判部の裁定を覆し、発明特許の自明性判断に適用されるGrahamテストを加えたより柔軟な適用を示した。具体的には、後知恵から保護するために、先行意匠自体はすでに「存在するもの」であり、当業者にとって、係争意匠が「視覚的に外観が類似する」から始めるというものです。

ガイドライン改正では、事実確認(Factual Inquiry)1から4までのプロセスを示して、自明性判断手順を示している。また、今後さらにガイダンスとトレーニングを提供するとしている。

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/updated_obviousness_determination_designs_22may2024.pdf
LKQ事件のCAFC判決 https://cafc.uscourts.gov/opinions-orders/21-2348.OPINION.5-21-2024_2321050.pdf

【アメリカ】USPTO実務でのAIツールの使用に関するガイダンスの公示(4月11日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月11日付、USPTO実務でのAIベースツール使用に関するガイダンス(Guidance on Use of Artificial Intelligence-Based Tools in Practice Before the United States Patent and Trademark Office)を官報で公示し、特許や商標実務担当者、発明者、起業家などがUSPTO実務でAIが悪用されたり、チェックされないままに利用されたりすることによる、AIの使用によるリスクが発生しないように注意喚起するためのガイダンスとするとしている。

本ガイダンスは、USPTO 実務で AI を使用することで発生する可能性のある規則、方針、或いは問題点の網羅的なリストを提供することを目的としたものではなく、AI が発明プロセスの一部として使用された場合のAIの使用について個別に取り上げている。アメリカの特許実務では、先行技術を調査し、クレームを作成し、出願明細書のレビューを容易にし、特許出願の審査プロセスを自動化し、審査官の対応についての洞察を得るためにもAIツールを活用するなどAI依存度が高まっているため、そうしたAIツールを使用する際に懸念されるリスクとして、不完全や不正確な出力、重大な虚偽記載や脱落など十分な確認をしないことによる手続き上の問題のみならず、秘密保持や倫理問題が生じるのは当然であろう。

官報では、セクション II でUSPTO の既存の規則と方針の概要を説明し、セクション III でこれらの既存の規則と方針がUSPTO実務でAIツールの使用という文脈でどのように適用されるかについて説明している。 具体的には、セクション III(A) でUSPTO に提出する文書の作成におけるAIの使用、セクション III(B) でAIを活用した USPTO への文書提出、セクション III(C)でUSPTO のITシステムとの通信におけるAIの適切な使用について説明し、セクション III(D)でAIの使用に関連する機密保持と国家安全保障上の懸念を提起している。
II. The USPTO’s Existing Rules and Policies
 A. Duty of Candor and Good Faith
 B. Signature Requirement and Corresponding Certifications
 C. Confidentiality of Information
 D. Foreign Filing Licenses and Export Regulations
 E. USPTO Electronic Systems’ Policies
 F. Duties Owed to Clients
III. Application of the Existing Rules as to the Use of AI, Including Generative AI, Before the USPTO
 A. The Use of Computer Tools for Document Drafting
 1. All Submissions and Correspondence With the USPTO
 2.Additional Examples in the Patent Context
 3. Additional Examples in the Trademark Context
 B. Filing Documents With the USPTO
 C. Accessing USPTO IT Systems
 D. Confidentiality and National Security Considerations
 E. Fraud and Intentional Misconduct
IV. Conclusion

なお、アメリカでのAIが発明者になりうるかどうかの判断は、USPTOが特許法§100(f)(g)項に定義される発明者は自然人だけであるとして、Stephen Thaler博士のAI(DABUS)を出願人とする特許出願を拒否したことに対する異義申立を最終的に最高裁判書が2023年4月24日に棄却しているため、AIは発明者になり得ない情況であった。これを受けて、USPTOは、2024年2月13日にAI補助による発明者確定ガイド(Inventorship Guidance for AI-Assisted Inventions)を公示している。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/04/11/2024-07629/guidance-on-use-of-artificial-intelligence-based-tools-in-practice-before-the-united-states-patent

【アメリカ】特許出願料金2025年度改定案の公示(4月3日)

アメリカ特許商標庁は、4月3日、予てから意見募集稿していた特許出願手数料の2025年度の改定案を公示した。比較的大きな値上げとなっている。

新たに設けられる料金項目
1.AFCP2.0(最終拒絶対応パイロットプログラム $500
2.最先日から5年以上経過した継続出願 $2,200
3.最先日から8年以上経過した継続出願 $3,500
4.IDS累計提出 50件~100件未満 $200
5.IDS累計提出 100件~200件未満 $500から支払済み料金を引いた額
6.IDS累計提出 200件以上 $800から支払済み料金を引いた額
7.PTAB審決の再審請求 $440

影響のある値上げとなる主な料金項目(抜粋)
(1)意匠特許出願手数料
 基本出願 $300 $80値上
 サーチ  $300 $140値上
 審査   $700 $60値上
 発行認可 $1,300 $560値上
 国際出願アメリカ指定 $1,300 $280値上

(2)通常特許出願手数料
 RCE継続出願 1回目 $1,500 $140値上
 RCE継続出願 2回目 $2,500 $500値上
 RCE継続出願 3回目 $3.600 $1,600値上
 超過クレーム 20個以上 $200/個 $100値上
 超過独立クレーム 3個以上 $600/個 $120値上
 審査停止 初回 $300 $80値上、後続 $450 $230値上
 ターミナルディスクレーム OA前 $200 $30値上
  最終OA前 $500 $330値上 認可/拒絶査定前 $800 $330値上
 特許期間調整請求(PTA) $300 $90値上
 医薬品等特許期間調整請求(PTE)  $6,700 $5,520値上

(3)AIA審判手続き(PTAB)
 IPR請求 請求項20個まで $23,750 $4,750値上
  20個以上$470 $95値上
 IPR審理開始決定後 同上 $28,125 $5,625値上
  20個以上$940 $190値上
 登録後或いはビジネス方法のクレームのIPR請求
  請求項20個まで $25,000 $5,000値上
  20個以上$595 $120値上
 登録後或いはビジネス方法のクレームのIPR審理開始決定後
  請求項20個まで $34,375 $6,875値上
  20個以上$1,315 $265値上

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/04/03/2024-06250/setting-and-adjusting-patent-fees-during-fiscal-year-2025

【アメリカ】商標出願料金2025年度改定案の公示(3月26日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月26日、予てから検討していた商標出願手数料の改定案を官報で公示した。
出願システムの変更などもあり料金体系を統一しているが、電子出願の料金は以下の通り:
 電子出願料金$350/区分($100)
 *出願時の記載不備の補正 $100
 *指定商品・役務の事由記載 $200
 *事由記載で1000文字を超える指定商品・役務 $200
 使用宣誓(AAU/SOU) $150/区分($50)
 更新出願 $550/区分($50)
 8条使用宣誓 $300/区分($75)
 15条不可争宣誓 $250/区分($50)
 情報提供 $600($200)
 請願 $400($150)
 放棄出願復活の請願 $250($100)

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/03/26/2024-06186/setting-and-adjusting-trademark-fees-during-fiscal-year-2025

【アメリカ】MTAクレーム補正申立改正で意見募集(3月4日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月4日付の官報で、AIA改正特許法に基づくに特許審判部(PTAB)での審判手続き(PGR(Post Grant Review)、IPR(Inter Partes Review)及び CBM(Covered Business Method)など)で暫定試行されているクレーム補正申立(MTA(Motion to Amend)を正式に施行すること及びその手続き上の立証の分担を明確にするための規定に関する意見募集を開始した。提出期限は、5月3日まで。

MTAは、PTABの審判手続きでクレームの補正が認められる比率が低いとの要望を受けて、2019年3月15日に試行導入され、特許権者は補正申立でPTAB による予備的見解の請求(request for preliminary guidance)希望するか、申立人の応答などを受けてMTAの修正版を提出することができるが、昨年8月までの試行中の審理では約10%で利用され、内88%で予備的見解を請求し、その72%でMTAの修正版(内75%)或いは予備的見解に答弁(内、25%)を出していることが分かっている。こうしたことから、試行手続きは評価されているとして、特許規則 審判部での審理(37CFR Part 42)の一部を修正するとしています。
§ 42.121 Amendment of the patent
(d) Burden of persuasion. On any motion to amend:
(1) Patent owner’s burden. A patent owner bears the burden of persuasion to show, by a preponderance of the evidence, that the motion to amend complies with the requirements of paragraphs (1) and (3) of 35 U.S.C. 316(d), as well as paragraphs (a)(2) and (3) and (b)(1) and (2) of this section;
§ 42.221 Amendment of the patent.
(d) Burden of persuasion. On any motion to amend:
(1) Patent owner’s burden. A patent owner bears the burden of persuasion to show, by a preponderance of the evidence, that the motion to amend complies with the requirements of paragraphs (1) and (3) of 35 U.S.C. 326(d), as well as paragraphs (a)(2) and (3) and (b)(1) and (2) of this section;

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/03/04/2024-04127/motion-to-amend-practice-and-procedures-in-trial-proceedings-under-the-america-invents-act-before


【アメリカ】自明性判断のための最新ガイドラインを発表(2月27日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2月27日付、アメリカ最高裁の KSR vs Teleflex判決での自明性判断ための柔軟なアプローチを強調する最新ガイドライン(Updated Guidance for Making a Proper Determination of Obviousness)を官報に公示した。

 最新ガイダンスは、KSR事件後の連邦巡回裁判所の先判決に焦点を当て、自明性の判断に対する柔軟なアプローチの要件を強調する一方で、クレームされた発明が自明であるという結論に達する場合には、合理的な説明の必要性がることを強調している。特許審査基準(MPEP)の記載に合わせ、審査官が特許出願で自明性判断のガイドとして機能する。なお、意匠特許での適用は、LKQ vs GM Global Technology Operations (No. 21-2348, Fed. Cir.) の判決を待ちである。ガイドの目次は以下の通り:
 I. The America Invents Act Impacted the Time Focus of the KSR Inquiry
 II. The Graham Inquiries Continue To Control Obviousness Determinations After KSR
 III. The Federal Circuit’s Implementation of KSR Has Reiterated a Flexible Approach to Obviousness
  A. Flexible Approach To Understanding the Scope of Prior Art
  B. Flexible Approach to Providing a Reason To Modify the Prior Art
  C. Flexible Approach to Obviousness Does Not Negate the Need for Articulated Reasoning and Evidentiary Support
 IV. All Evidence Relevant to the Question of Obviousness That Is Properly Before the Decision-Maker Must Be Considered
 V. Office Personnel Will Continue To Apply Reasoning to Facts in Order To Reach a Proper Legal Determination of Obviousness

 なお、USPTOは、AIの普及が従来技術に与える影響、当業者の知識、自明性を含む特許性の判断の評価にも取り組んでおり、順次公表するとしている。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/02/27/2024-03967/updated-guidance-for-making-a-proper-determination-of-obviousness

【アメリカ】GUIなど電子画像の意匠特許出願審査に関するMPEP補足の修正の公示(2024年1月29日)

アメリカ特許商標庁 (USPTO) は、2023年11月16日付でGUIやアイコンを含むコンピュータ生成の電子画像にかかる意匠が特許法でいう法定要件(35USC171)を満たすかどうかの特許審査便覧(MPEP)の補足ガイドラインを2023年11月17日に施行したが、そのガイドラインの具体例の2,4,5に修正があるとして、修正版を公示した。

参照サイト:https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2024-01-29/pdf/2024-01717.pdf
修正内容 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/171-section-v-examples.pdf

【アメリカ】「特許の実施可能要件ガイドライン」公示(1月10日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2024年1月10日付、

米国特許商標庁 (USPTO) は、最高裁判所でのAmgen Inc. et al. vs. Sanofi et al.事件を受け、技術分野に関係なく、アメリカ特許法112条(a)項(35USC112(a))に基づき、特許出願が実施可能要件に適合しているかどうか、或いは特許の有効性を確認するために使用されるガイドラインを公示した。実施可能要件(the enablement requirement)とは、特許明細書の記載が当業者に当該特許のすべてのクレーム(請求の範囲)の発明を実施や使用できるために完全、明瞭、簡潔かつ正確な用語で記載することを求めるものである。このガイドラインでは、上記の事件を受けて、クレームに記載された用語が適切であるかどうか判断するためのものであり、発明を実現するために必要な実施例の記載数量が妥当かどうかを確認する従来からの In Rewands 事件の要件を変更するものではないとしている。

特許商標庁長官のキャシー・ビダル氏は、「このガイドラインは、審査官と特許審判控訴委員会の裁判官による実施可能要件の一貫した分析を促進し、その結果、実施可能要件の不備に関し、出願人、特許権者及び関連第三者に対するUSPTOの通知がより明確になる。」とは述べている。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/01/10/2024-00259/guidelines-for-assessing-enablement-in-utility-applications-and-patents-in-view-of-the-supreme-court

【アメリカ】訂正証明書を電子発行開始(1月30日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、1月4日付、特許証の電子発行を昨年4月18日から開始していることから、2024年1月30日から訂正証明書(certificates of correction)を電子発行することを公示した。

現在、訂正証明書は、紙で発行されており、指定されたアドレスに郵送されているが、1月30日より特許証が電子発行されているか否かにかかわらず、電子発行のみ行うとしている。

参照サイト:https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-soon-issuing-certificates-correction-patents-electronically

【アメリカ】USPTO半導体技術出願審査促進パイロットプログラム導入(12月1日)

アメリカ特許商標庁は、11月30日付、CHIPS法(半導体製造支援・科学法)に対応しSemiconductor Technology Pilot Programを12月1日から施行することを公示した。このパイロットプログラムは、半導体製造装置関連の発明に関する特許出願の審査をPPH制度のように促進する内容となっている。

パイロットプログラム期間は、2023年12月1日から2024年12月2日まで、或いは対象出願が1000件に到達した時点までとしている。対象技術はIPCのH10、H01Lの対象技術で、仮出願ベースではないこと、出願時に審査促進の請願をだすことが条件となっている。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2023/12/01/2023-26340/semiconductor-technology-pilot-program
 https://www.uspto.gov/patents/initiatives/patent-application-initiatives/semiconductor-technology-pilot-program

【アメリカ】GUIなど電子画像の意匠特許出願審査に関するMPEP補足の公示(2023年11月17日施行)

アメリカ特許商標庁 (USPTO) は、2023年11月16日付、GUIやアイコンを含むコンピュータ生成の電子画像にかかる意匠が特許法でいう法定要件(35USC171)を満たすかどうかの特許審査便覧(MPEP)の補足ガイドラインを公示し、11月17日に施行した。この補足は、現在の USPTOでの審査実務慣行を反映しており、法規則を改正するものではないが、出願実務ではよくある問題点を明確にしているため、有意義なガイドラインとなっている。

 MPEPで対象となる部分は:1500章意匠特許1504.01(a) Computer-Generated Icons(意匠特許のコンピュータ生成のアイコン)のI節である。
I.GUIDELINES FOR EXAMINATION OF DESIGN PATENT APPLICATIONS FOR COMPUTER-GENERATED ICONS
 アメリカの意匠特許でのアイコンやGUIなどの保護は、日本の意匠出願のように物品から分離したり、単なる表面の模様のデザインと単独にしたりすることは認められていない「a design is inseparable from the article to which it is applied and cannot exist alone merely as a scheme of surface ornamentation」とされている。つまり、GUIやアイコンなどには、製造物品(Article of Manufacture、物品性)の要件が適用されることから、このI節ではこの要件と願書の記載内容に対する審査方針が規定されている。
 今回の補足は、Ex parte Strijland事件(コンピュータ生成のアイコン自体は表面の装飾にすぎないとの判断)を受けて設けられたI節に対するもので、出願したアイコンの意匠は特許を受けることのできる意匠であり、アイコンが適用された対象物である表示画面などから分離せず、単独で存在せずに操作において不可欠(integral)で機能する(active)画像データであることを製造物品としての認可条件としている。補足では、コンピュータプログラムにより表示画面に現れる意匠設計であるアイコンやGUIなどは「操作において不可欠で機能する画像データである」ことから意匠特許の付与対象であることを明確していく方針であり、その条件としては、願書に適切に装置における電子画像が表現され(presented)、権利請求(claimed)されていることおよび図面に適切な両者の関係が破線なりで表現されているを条件とするとしている。したがって、今回の補足では、意匠名称(Title)、説明(Description)とクレーム(Claim)の記載、および図面(Drawings)がそうした要件を満足するものとなるように、審査基準を明示することにあり、具体的に5つ例示で解説、補正案を示唆する内容となっている。例えば、例1は認可対象で、以下の通り:

詳細は、以下の公示を参照ください。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2023/11/17/2023-25473/supplemental-guidance-for-examination-of-design-patent-applications-related-to-computer-generated
仮訳