【中国】「人民法院のオンラインでの訴訟規則」の施行(2021年8月1日)

最高人民法院上訴は、6月16日付、「人民法院のオンラインでの訴訟規則(人民法院在线诉讼规则)」(法釈〔2021〕12号)を公示し、8月1日より施行することを発表した。

中国では既にオンラインでの訴訟や行政審判が開始されているが、オンラインでの訴訟活動を推進し、規範化するために、オンラインでの訴訟規則を整備し、法により当事者及びその他の訴訟参加者など訴訟主体の合法的権利を保障し、公正で効率的な事件審理を確保することを目的として、本規則を制定している。この規則の意義は、第1条に以下の通り規定しており、オフラインつまり通常の裁判所での審理と同等の法的効力があると明記しているところである。

第1条 人民法院、当事者及びその他の訴訟参加者などは、電子訴訟プラットフォームに依拠し、インターネット或いは専用ネットワークを通じ、オンラインで立案、調停、証拠交換、質疑、審理、送達など全部或いは部分的に訴訟の局面を遂行することができる。 オンラインでの訴訟活動とオフラインでの訴訟活動は同等の法的効力を備える。

本規則の対象は第2章に規定され、以下の通り:
(1)民事、行政訴訟事件;
(2)刑事迅速手続き事件、減刑・仮釈放事件、及びその他の特殊な理由によりオフライン審理に適さない刑事事件;
(3)民事特別手続き、督促手続き、破産手続きと非訴執行審査事件;
(4)民事、行政執行事件と刑事付帯民事訴訟執行事件;
(5)その他オンライン方式審理に適した事件。

本規則は全39条からなり、オンラインで訴訟を開始するための当事者の同意、訴訟参加者、訴訟環境、起訴、立案から公判までの対応、訴訟証拠や資料、証拠の原本や現物との確認、守秘義務、裁判書類の保存など、一連の事項が規定されている。詳細は仮訳でご確認ください。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-309551.html
仮訳

【中国】最高人民法院による外国訴訟当事者のためのオンライン訴訟参加規定導入(2021年2月3日)

最高人民法院は、2021年2月3日付、「最高人民法院による越境訴訟当事者のためのオンライン立案サービス提供に関する若干の規定(关于为跨境诉讼当事人提供网上立案服务的若干规定)」を公布し、裁判所のワンストップでの多元的紛争解決と訴訟サービスシステムを全面的に建設、推進するため、人民法院による外国の訴訟当事者の対応レベルを向上させ、国際的事業者の経営環境構築を支援するため、中国のインターネット裁判システムを活用したオンライン立件サービスを提供する。なお、外国の当事者を「越境訴訟当事者」と呼び、対象範囲を諸外国並びに、香港・マカオ・台湾を含めている。

本規定は全12条で、越境訴訟サービスの内容、サービス対象、サービス方法、越境訴訟当事者の身分証明の確認、委託代理ビデオ証明、オンライン立案プロセス、証拠資料の認定などを明確にし、第一審民商事登録立案サービスを提供することを目的としている。

中国では2018年1月よりインターネット裁判を開始しており、オンラインでの裁判は常態化しているため、早期の解決のために、域外当事者の訴訟当事者としての認証や証拠の提出など利便を追及した内容となっている。

ヨーロッパやインド、アセアンの一部ではオンラインでの民事行政事件処理がコロナ対策を含めて進んいるところ、日本の司法制度は遅れており、運用の電子化、証拠や審理の電子的記録、旧態依然たる処理制度や裁判官の態度はますます古臭い時代遅れのものと感じられる。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-286331.html
仮訳    http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-286341.html