韓国知的財産庁(KIPO)は、特許法、商標法、デザイン保護法及び不正競争防止法の改正が公布された。
特許法は、2020年10月20日付、第225条第2項の改正の公布及び施行が同日にされた。
本改正前の特許法は、特許権または専用実施権の侵害罪に対して7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金に処するものの、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」として規定しており、実効性のある手段になっていないとの指摘が提示されていた。これに対し改正特許法では、親告罪として規定されていた特許権または専用実施権の侵害罪を被害者が起訴を望まないという意思を確実に表明する場合にのみ起訴をしない「反意思不罰罪」(被害者告訴不要)に変更することによって特許権の保護を一層強化した。
なお、韓国の刑事訴訟法では、刑事告訴の期間が「親告罪に対しては、犯人を知った日から6カ月を経過すれば告訴することができない」と制限されているが、今回の特許法改正により特許侵害罪の場合、この告訴期間(6カ月)の制限なしに、捜査機関が職権捜査して処罰可能となった。
商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法では、2020年10月20日付、「アイディア侵害禁止規定」に3倍賠償の規定を追加する改正、法定損害賠償額の増額が公布された。
2019年7月9日に特許法改正と不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法という)の営業秘密侵害行為に3倍賠償制度は導入施行されているが、今回商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法の「アイディア侵害禁止規定」においてもその規定が導入された。商標法とデザイン保護法は公布と同日に施行された。不正競争防止法での施行は2021年4月21日の予定である。
3倍賠償制度に関する規定はいずれの法律でもほぼ同じ内容であり、賠償金額の算定時に考慮しなければならない8項目について次の通り規定している。
①侵害者の優越的地位の有無;
[商標法のみ「侵害行為により該当商標の識別力または名声が損傷された程度」と規定している]
②故意または損害発生のおそれを認識した程度;
③侵害行為により特許権者及び専用実施権者が受けた被害の規模;
④侵害行為により侵害者が得た経済的利益;
⑤侵害行為の及ぶ期間・回数など;
⑥侵害行為による罰金;
⑦侵害者の財産の状態;
⑧侵害者による被害救済努力の程度。
商標法とデザイン保護法の法定賠償額は次の通り改正され、同日施行された。
①法定損害賠償金を5千万ウォンから1億ウォンに引上げ;
②故意侵害の場合における法定損害賠償金を3億ウォンに引上げ;
③使用料相当額の基準を“通常”受取ることができる金額から“合理的”水準に変更。
情報提供:Kim&Chang