【欧州】ドイツ連邦憲法裁判所はUPC法案に違憲判決(3/20)

ドイツ連邦憲法裁判所(Bundesverfassungsgericht,FCC)は、3月20日、長く待たれていた統一特許裁判所(UPC)法案批准がドイツ憲法に違反するとの請求に対する判断を行い、法案批准を無効とする判決を下した。これは、ドイツ議会でのUPC法案に対する多数決の採決が議員の2/3の承認の要件を満たしていないとするものである。実際の議会の投票は5:3(出席者不足)で決定されたと認定した。

既にご紹介の通り、EU統一特許裁判所(UPC)及び単一特許(UP)制度の開始を遅らせていた2つの課題の1つは、イギリス政府のスポークスマン Baylee Turner が 2月27日に 「イギリスはUP/UPCへの関与を追求しない」と発表したことで解決した。もう1つの課題は、ドイツのUPC協定批准に関するドイツ憲法裁判所の決定であったが、今回の違憲判決で、振り出し戻った。

ドイツはUPCに必須の署名国であり、憲法違反の立場をとったため、UPC準備委員会の運営は更に厳しいものとなった。新型コロナウィルスで各国分離、運営中断の状況もあり、UPCは更に遅れることになりそうである。 UPC準備委員会はドイツの批准とイギリスに代わる支所の設立が当面の課題となり、2021年を目指して何らかの対策が求められ、今後の対応が注目される。

参照サイト: https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/EN/2020/bvg20-020.html
https://www.unified-patent-court.org/news/federal-constitutional-court-decision