【マレーシア】特許法及び規則2022年改正施行(3月18日)

マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、3月17日付、マレーシア特許法及び規則2022年改正を2022年3月18日に施行を公示した。主な改正内容は以下の通り、なお、改正法の一部は後日の施行になる点に注意が必要である。

1.オフィシャルフィーの値上げ
​ 全てのオフィシャルフィー(PartI,II,III,PCT)が値上げされた。特に、超過クレーム料金の段階的改定が多い。
2.電子出願制度
 改正法では電子出願は準備が完了するまで保留とされている。
3.塩基配列リスト
 特許出願で塩基配列を含む場合、出願明細書に含まれるものとし出願とともに提出しなければならない。
​4.優先権主張の回復
 出願人は、優先期間内に特許出願を提出しなかったことが意図的でない場合、所定の料金を支払い、優先権主張の回復を要求できる。
 国内特許出願の場合、優先権主張期間満了日から2か月以内に回復請求できる。
 PCT出願の場合、優先日から30か月の満了日から1か月以内、または早期審査請求日から1か月以内に請求できる。
5.公開と早期公開
 PCT出願を除き、最先の出願日起算18か月で官報に掲載される。なお、印刷発行はされず、電子的閲覧が可能である。早期公開をオフィシャルフィーの支払とともに請求することができる。
6. 情報提供(Third Party Observations)
 第三者は特定な特許出願に対し、新規性と進歩性違反を理由に、出願公開より3か月以内(PCT出願は移行出願後3か月以内)に情報提供をすることができる。
7.実体審査請求
 実体審査請求時の対応国の審査状況の情報提供はオプションの対応になる。
 修正実体審査請求した場合、選択国での最終処分ある場合に、変更はできない。
 審査延期申請(料金支払要)は、修正実体審査請求のみ可能となり、選択国の審査未了の場合となる。
8.実体審査応答期限
  審査意見に対応数する期限が2か月から3か月に変更。
9.分割出願(26B条)
 分割出願のための延期申請はできなくなった。
 実体審査の第1回目の審査意見で認可が明確である場合、出願人は認可を遅らせないように、審査意見の発行日から3か月以内に分割出願を検討することになる。
10.年金納付
 年金納付期間を最大5年間分一括納付ができる。
11.失効特許の回復
 失効した特許の回復手続き期限を2年から12か月に短縮した。
12.マレーシア国外で最初に出願するための要件
 マレーシア国外で最初に出願承認請求には、所定の願書での請求と料金の支払いを条件とする。
 本件については、居住者の定義が以下の通り明確にされた;
 a)マレーシア市民とは、マレーシアの居住者、
 b)マレーシアの非市民とは
   i)マレーシアに永住権を取得し、通常マレーシアに居住している;
   ii)マレーシアに入国および滞在するための有効な証明書を所持し、マレーシアに居住している;
   iii)マレーシアの法律に基づき成立、設立、または登録された法人;
   iv)マレーシアの法律に基づき設立または登録された法人化されていない団体。
13.国家管轄当局への情報開示義務
 2017年生物資源および利益共有法[法律795]へのアクセスの下で設立された国家管轄当局または関連する管轄当局に、特許登録局がチェックポイントとしての機能する目的で、関連特許出願の公開前に情報の開示を可能とする。
14.担保権
 所定申請書と料金の支払いをすることで、担保権登記をすることができる。
15.強制実施権
​ TRIPS協定31条の2に従い、マレーシアでの医薬品の生産と当該医薬品の輸出を可能とする。

​今後の施行となる規定
1)微生物の寄託(26c条)
2)包袋閲覧 
3)登録後異議申立

関連サイト:
特許法2022年改正法
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/02-PATENTS-AMENDMENT-ACT-2022.pdf
特許規則2022年改正規則
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/PERATURAN-PERATURAN-PATEN-PINDAAN-2022.pdf
改正法実施政令
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/DIRECTIVE-OF-PATENTS-ACT-1983-AND-PATENTS-REGULATIONS-1981-17.03.2022-1.pdf

【マレーシア】商標法改正施行(2019年12月27日)

マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、12月27日付、マドプロ国際商標条約への加盟発効及び国内商標法の改正施行を公示した。改正内容は下記の通り。

  • 保護対象を非伝統的商標に拡大
    音、色(単色或いは組合せ)、ホログラム、位置、におい、形状(商品自体かパッケージ)、動き、及び商標要素の組合せの出願が可能になった
  • 多区分一出願の導入
  • 団体・証明商標制度の導入と防御商標制度の廃止
  • 出願日認定の明確化
    従来の出願受付日から、未補完書類や外国語商標の翻訳や翻案がある場合、補完が完成した時点で、出願日が認定されるように変更となった。優先権主張のある場合、優先権主張日まで出願日(登録日と見なし)は繰り下がらない。優先権主張を伴う出願の場合、先願による排除権のみが機能する
  • 拒絶理由通知の明確化
    絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由に分けた審査がされるようになる。また、当事者の同意書を審査に活用するコンセント制度を導入、但し無条件受け入れではない
  • 分割出願及び出願併合制度を導入
  • 登録証発行廃止
    簡便なシールを添付した認可通知が発行される。登録証が必要な場合は、別途有料で発行を請求することができる
  • 登録確定の推定期間の短縮
    除斥期間が7年から5年に短縮された
  • 不使用取消理由の追加
    商標が希釈化し一般名称となった場合、また、品質、性質や地理的出所などと誤認されるようになった場合も、不使用取消の対象となる。
  • ライセンス登録義務の廃止
    被許諾使用者の登録義務を廃止し、ライセンス契約書があれば第三者対抗要件となる。なお、ライセンス登録は可能であるため、ライセンス登録をお勧めする。
  • 商標権侵害の拡大解釈導入
    指定商品や役務の解釈を類似するところまで、禁止権を拡大解釈するように変更した。また、侵害行為者を侵害寄与や侵害関係者として、代行、保管、展示などの行為者も侵害行為者に含む。こうしたことから原告の侵害立証義務が少し緩和されると思われる
  • 模倣品対策の規定導入
    虚偽表示や誤認させる使用に対する罰金1万リンギットを規定した
  • 理由のない警告に対する救済の導入
    単純な警告から訴訟など具体的な権利行使に動く可能性が高い
  • 担保権の導入
    商標権も一般物件と同様に担保の対象となった
  • 弁護士依頼者間の秘匿特権の規定
  • 移行措置
    旧法中出願の係属中出願には旧法が適用されるが、新法の適用を請求する権利が出願には留保されている。

参照サイト:
商標法 http://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2019/12/ACT-815-TRADEMARKS-ACT-201.pdf
ガイドライン https://drive.google.com/file/d/1go_DlUdCQ3wpKM2oMhlR6yKjPzgA_63I/view

【マレーシア】マドプロ国際商標条約加盟(2019年12月27日発効)

マレーシア政府は、9月27日付、WIPOにマドリッド協定議定書(マドリッドプロトコル)に基づく国際商標条約納品の批准手続きを行い、106番目の加盟国となった。これで、加盟国は122か国である。マレーシアを指定した出願は2019年12月27日から可能となる。

アジアでの加盟国は、日本、 韓国、 中国(除く、香港・マカオ)、インド、シンガポール、フィリピン、モンゴル、ベトナム、ブータン、北朝鮮(指定不可)で、マレーシアが加わり、今後はタイとインドネシアが予定されている。

参照サイト
https://www.wipo.int/madrid/en/news/2019/news_0027.html