【中国】「インターネット不正競争暫定規定」(9月1日施行)

国家市場監督管理局は、5月6日付、局令第91号を公布し、「インターネット不正競争暫定規定(网络反不正当竞争暂行规定)」を2024年9月1日より施行することを5月11日付で公示した。これは、インターネット上での不正競争を予防、制止し、公平な競争の市場秩序を維持することで、イノベーションを奨励し、経営者と消費者の合法的権益を保護し、デジタル経済での競争行為を規範化し、健全で持続的発展を促進することを目的としている。

本規定は、「規定」は、全5章43条、総則、インターネット上の不正競争行為、監督検査、法的責任と付則からなり、主に以下の特徴がある。
(1)総則では全体的要求の明確化。
(2)インターネット上の不正競争行為を包括的に整理、列挙し、①インターネット環境下での新たな不正競争行為として、架空注文履歴ややらせレビュー、良いレビューに対する返金などのホットな問題を規制し、監督管理の盲点の解消。②インターネット上の不正競争行為を細分化し、トラフィックハイジャック、悪意のある妨害、悪意のある非互換の表現形式と認定要素を列挙。③架空注文履歴ややらせレビュー、違法データ取得、差別的待遇などの技術手段を利用した新たな不正競争行為を規制し、今後出現可能な新しい行為に監督管理の根拠の提供する。
(3)プラットフォーム事業者の責任強化。
(4)法執行処理手続き規定の最適化。インターネット上の不正競争行為の広域性、クロスプラットフォーム、クロスエリアなどの特徴に対し、監督検査手順に特別な規定を設け、重大な事件の接点に基づき管轄権を確定する。また、専門的オブザーバー制度を創設し、困難な問題解決に知的、技術的支援を提供する。
(5)法的責任の明確化。反不正当競争法に、電子商取引法、独占禁止法、行政処罰法などの法律を効果的に連携させ、違法所得を没収する法的責任を明確にし、監督管理効果を強化している。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/xwxcs/art/2024/art_b8580b91cdb841d399538e0c670d7907.html
規定 https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/fgs/art/2024/art_80019fe59e464196bef173dc56678a42.html

【中国】「不正競争防止法」の改正意見募集(11月22日)

市場監督管理総局(SAMR)は、「国務院2022年度立法工作計画」に基づき、公平な市場での競争を更に充実させるために不正競争防止法にあたる「反不当競争法」の改正草案意見聴取稿を起草し、11月22日に公示するとともに一般からの意見募集を開始した。提出期限は12月22日である。

 反不正当競争法は1993年に施行後、2017年、2019年と2度改正されているが、今回の改正では、新しい経済、業態、モデルが出現し、データ、アルゴリズム、プラットフォームなどを利用した新しいタイプの不正競争行為を早急に規制する必要性があるとし、こうした新しい状況に対応した公正な監督管理と公平な競争を保障するためとしている。改正意見募集稿は、現行の33条にかなりの修正を加えるとともに、15条加えた48条の編成となっている。主要な改正内容は、以下の通り

1.デジタル経済の不正競争防止規則を整備し、新しい経済、業態、モデルの発展のために現れた競争秩序を乱す行為の規範化と管理、特に、ネットワーク上での各種不正競争行為の規制やネットワーク事業者の管理責任を追加。
2.法執行の監督管理実務に存在する特徴的な問題に対する対応を補充・改善、特に、誤認混同、賄賂、虚偽宣伝・取引、営業秘密保護の強化。
3.不正競争行為の類型を新たに追加し法律適用の空白地帯を埋める、特に、優位な地位の事業者から中小企業の合法的権益保護、悪意のある取引行為の追加。
4.不正競争防止の強化による法的責任の整備、特に、新たな違法行為に対する処罰規定、故意の認定などによる処罰規定及び処罰額の科学的手法による調整の導入。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/hd/zjdc/202211/t20221121_351812.html
現行法改正案対照表 仮訳

【中国】ルブタンの赤いソールは中国で勝利(9月13日)

北京知識産権法院は、9月13日付、「500万元の賠償! 北京知識産権法院は「赤いソールの靴」は特定の影響力を持つ商品名、包装、および装飾を構成していると判断」とのニュースリリースをそのサイトに掲載した。

ルブタンが赤いソールのハイヒールの周知著名性を、日本で不正競争防止法)2条1項1号及び2号で周知著名な原告の表示と類似した商品等表示の使用した商品による誤認混同を争った事件で、日本の裁判所、東京地方裁判所民事第40部は今年2022年3月11日に門前払いした。同じ事件が、中国の北京で争われ、北京知識産権法院は半年後の9月13日にルブタンに軍配を上げ、被告に侵害停止と損害500万元(約1億円)と合理的支出44.5万元(約890万円)の賠償の支払いを命じた。詳細はひとりごとで。

参照サイト:http://bjzcfy.bjcourt.gov.cn/article/detail/2022/09/id/6908303.shtml

【中国】「最高人民法院による不正競争防止法の適用に関する解釈」の施行(3月20日)

最高人民法院は、3月17日付、2022年1月29日に最高人民法院裁判委員会第1862回会議で可決された「最高人民法院による反不正当競争法の適用に関する若干問題の解釈(最高人民法院关于适用《中华人民共和国反不正当竞争法》若干问题的解释)」法釈〔2022〕9号を公示し、3月20日から施行する。本司法解釈は2021年8月19日に意見募集稿を行ったものである。

反不正当競争法(不正競争防止法)は、2018年1月と2019年4月に改正法が施行されており、旧法に対応する法釈[2007]2号「最高人民法院による不正当競争民事事件の審理に関する法律適用の若干問題解釈」に代わる司法解釈となる。なお、営業秘密については、法釈「2020]7号の「最高人民法院による営業秘密侵害の民事事件の審理における法律適用に関する若干の問題の規定」が施行されている。

今回の改正は、意見募集稿の34条に1条追加6条削除及び修正を含む29条からなり、善意使用、悪意による互換性排除、ネットワーク利用、データ収集、時効、裁判所の管轄権に関する条項が除外され、27条に外国発生事件の域内結果発生に対する管轄権を確認している。全体的に見ると、混同行為、虚偽宣伝や中傷について、複数の条項を設けて明確にしている一方、1条と24条は反不正当競争法2条が適用できる条件から特許法、商標法、著作権法などの規定に定める場合は除くというように考えられる。つまり、商標と商号などに及ぶ侵害行為と不正競争行為が関係する事件の場合で、商標法の適用と不正競争防止法の適用の両方が考えられる被疑者の行為を提訴するとき、通常は両方の法適用を主張しますが、どちらかにしろというようなもので、訴権の制限や賠償の制限をしているように理解できる。また、2条は競争関係がないと適用しないと理解できるから、反不正当競争法の利用に一定の制限をつけることを意識しているように理解できる。
以下、一部をご参考まで。全文仮訳はひとりごとをご参照ください。

第1条 事業者が市場競争秩序を乱し、その他の事業者或いは消費者の合法的権益を損ない、反不正当競争法第二章(不正競争行為)及び特許法、商標法、著作権法などの規定に違反する場合、人民法院は反不正当競争法第2条を適用しこれを認定することができる。

第2条 事業者と生産事業活動において取引機会の争奪、競争優位を損なうなどの関係にある市場主体は、人民法院が反不正当競争法第2条に規定される「その他の事業者」と認定することができる。

第3条 特定ビジネス分野で一般的に遵守され、認められている行動規範は、人民法院が反不正当競争法第2条に規定される「商道徳」と認定することができる。
 人民法院は事件の具体的な情況を結びつけて、業界規則或いは商慣行、事業者の主観的状態、取引相手方の選択意欲、消費者の権益、市場競争秩序、社会公共の利益に対する影響などの要素を総合的に考慮し、法により事業者が商道徳に違反しているか否かを判断しなければならない。
 人民法院は事業者が商道徳に違反しているか否かを認定するとき、業界主管部門、業界協会或いは自律した組織が制定した就業規範、自主規制、技術標準などを参照することができる。

第4条 一定の市場での知名度があるとともに商品の出所を区別する顕著な特徴のある標識は、人民法院が反不正当競争法第6条に規定される「一定の影響がある」標識と認定することができる。
 人民法院は反不正当競争法第6条に規定される標識が市場で一定の知名度があるかどうかを認定する場合、中国国内の関連公衆の周知の程度、商品販売期間、地域、金額及び対象、宣伝持続時間、程度及び地域範囲、標識が保護を受けた情況などの要素を総合的に考慮しなければならない。

参照サイト:https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-351291.html

【韓国】知財法改正公布(10月20日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、特許法、商標法、デザイン保護法及び不正競争防止法の改正が公布された。

特許法は、2020年10月20日付、第225条第2項の改正の公布及び施行が同日にされた。
 本改正前の特許法は、特許権または専用実施権の侵害罪に対して7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金に処するものの、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」として規定しており、実効性のある手段になっていないとの指摘が提示されていた。これに対し改正特許法では、親告罪として規定されていた特許権または専用実施権の侵害罪を被害者が起訴を望まないという意思を確実に表明する場合にのみ起訴をしない「反意思不罰罪」(被害者告訴不要)に変更することによって特許権の保護を一層強化した。
 なお、韓国の刑事訴訟法では、刑事告訴の期間が「親告罪に対しては、犯人を知った日から6カ月を経過すれば告訴することができない」と制限されているが、今回の特許法改正により特許侵害罪の場合、この告訴期間(6カ月)の制限なしに、捜査機関が職権捜査して処罰可能となった。

商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法では、2020年10月20日付、「アイディア侵害禁止規定」に3倍賠償の規定を追加する改正、法定損害賠償額の増額が公布された。
 2019年7月9日に特許法改正と不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法という)の営業秘密侵害行為に3倍賠償制度は導入施行されているが、今回商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法の「アイディア侵害禁止規定」においてもその規定が導入された。商標法とデザイン保護法は公布と同日に施行された。不正競争防止法での施行は2021年4月21日の予定である。
 3倍賠償制度に関する規定はいずれの法律でもほぼ同じ内容であり、賠償金額の算定時に考慮しなければならない8項目について次の通り規定している。
①侵害者の優越的地位の有無;
 [商標法のみ「侵害行為により該当商標の識別力または名声が損傷された程度」と規定している]
②故意または損害発生のおそれを認識した程度;
③侵害行為により特許権者及び専用実施権者が受けた被害の規模;
④侵害行為により侵害者が得た経済的利益;
⑤侵害行為の及ぶ期間・回数など;
⑥侵害行為による罰金;
⑦侵害者の財産の状態;
⑧侵害者による被害救済努力の程度。
 商標法とデザイン保護法の法定賠償額は次の通り改正され、同日施行された。
①法定損害賠償金を5千万ウォンから1億ウォンに引上げ;
②故意侵害の場合における法定損害賠償金を3億ウォンに引上げ;
③使用料相当額の基準を“通常”受取ることができる金額から“合理的”水準に変更。

情報提供:Kim&Chang