【韓国】特許法改正施行、方法特許の申し出を侵害態様に追加(2020年3月11日)

韓国政府は特許法の改正を 2019年12月10日付で公布し、2020年3月11日から施行される。改正内容は、第2条(定義)の3項の実施について、ロ号の方法の発明の場合:「その方法を用いる行為」を「 その方法を用いる行為またはその方法の使用を申し出る行為」と改正し、使用の申し出を侵害態様に追加した。
 なお、 第94条(特許権の効力)に下記の②を追加し、侵害を知りながらの条件付きとしている。
②特許発明の実施が第2条第3号ロ目による方法の使用を申し出る行為の場合、特許権の効力は、その方法の使用が特許権または専用実施権を侵害するということを知りながらその方法の使用を申し出る行為にのみ及ぶ。

韓国特許法は、 「記録媒体に記録されたプログラム」のみを特許付与対象してきたために、オフラインで流通される場合にのみ保護され、コンピュータプログラムなどで具現化された発明技術の方法を含むソフトウェアがオンラインで販売、提供する行為を規制する改正が2005年から検討されており、今回の改正で導入されることになる。

ただし、「申出」が対象であり、「知りながら」を条件とするため、プログラムを侵害行為と知りながらオンラインで提供する者、具体的にはソフトウェアやデータを送信する行為やプラットフォームにアップロードする行為に対してのみ権利行使が可能であり、プログラムの使用には権利行使が可能ではない点に留意するしなければならない。もちろん、個人や善意の使用者にも権利行使はできない。権利範囲は狭く、また被疑侵害行為を立証する課題は大きいと思われる。

出展:Kim&Chang

【欧州】EUIPOは2019知的財産侵害現状報告を発行(6月6日)

欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、 2019知的財産侵害現状報告(2019 Status Report on IPR Infringement)の作成発行を去る6月6日付そのサイトで公示した。 これは、2018年に発表された「総合報告書( synthesis report )」の第2版と言えるもので、EUIPOとその協力パートナーのアンケートを含む調査結果に基づいている。ヨーロッパの企業、知的財産権侵害の経済的コスト、これらの権利が侵害される方法と経路、そしてこれらの侵害に対応して取られる行動などが分析されているので、欧州での状況を知ることができる。

内容は下記のような項目で整理されている。
1.ECONOMIC CONTRIBUTION AND THE VALUE OF IPR
2.WHY AND HOW ARE IP RIGHTS INFRINGED?
3.CONSEQUENCES OF IPR
4.ACTIONS TO COMBAT IPR INFRINGEMENT
5.CONCLUSION
個人的に内容は目新しいものではないが注目した点は、欧州企業の侵害対策平均的支出の聴取結果をまとめて報告している部分である。中規模企業でも1200-1300万円の経費を毎年かけていると言える。果たして日本企業にそのような予算を立てるのはどれくらいあるだろうか。知的財産担当者様にはこうした支出に経営者の理解を得る難しさがあることは、国際的には疑問、理解できない情況である。この状況は30年以上変わっていない、残念ながら知的財産後進国と言えるかもしれない、もしこうした予算を毎年計上しているようなら是非ご教示くださいm(vv)m。当方の理解を修正します。

参考サイト:
https://euipo.europa.eu/tunnel-web/secure/webdav/guest/document_library/observatory/docs/2019_Status_Report_on_IPR_infringement/2019_Status_Report_on_IPR_infringement_en.pdf

ところで、この報告書の内容的は模倣品対策の状況が報告されているといえる。この内容ならば、2017年EU税関の知的財産権利行使報告 (Report on the EU customs enforcement of intellectual property rights: Results at the EU border, 2017) の方が模倣品対策状況はよく理解することができる。
参考サイト: https://ec.europa.eu/taxation_customs/sites/taxation/files/report_on_eu_customs_enforcement_of_ipr_2017_en.pdf