【中国】知的財産権の保護強化に関する意見(11月24日)

7月24日付、習近平総書記が主催した中央全面改革委員会第9回会議で、「知的財産権の保護強化に関する意見(関于強化知識産権保護的意見)が審議・採択された。11月24日に、この意見が発行され、2020年から2022年と2025年までに知的財産制度による保護を完成するための重要な内容、国際的な競争力強化のための方針として明確された。
以下は、その全文に基づき概要を要約でご紹介する。

(1)4つの約束

1.権利侵害懲戒レベルの強化
 特許法、商標法、著作権法、地理的表示などの関連法律を整備するとともに、懲罰的賠償制度の導入、賠償額上限をアップさせる。特に、違法所得の没収、侵害品の処分、行政ルートによる特別プロジェクトによる処分をさらに研究、重点的に実行する。悪意商標登録、非正常特許出願及び悪意訴訟などの行為を規制する。また、営業秘密などのビジネス情報の有効な保護を検討するとともに、刑法などの法律を整備し、刑事処罰を強化する。

2.証拠の標準を厳格に規範化
 知的財産権民事、刑事、行政事件の「三合一」の裁判機構改革をさらに推進、充実させ、裁判基準を統一する。また、行政ルートでの商標や特許審が判断基準を整備する。司法、行政、仲裁、調停などの異なるルートの証拠基準を規範化する。知的財産権民事訴訟証拠規則の司法解釈の制定、公証取得制度の研究などを進めて、権利者の立証困難問題の解決や挙証責任の負担軽減に努力する。

3.事件執行措置の強化
 知的財産権紛争の調停協議の司法確認メカニズムを確立し、健全化する。特に、信用情報での「ブラックリスト」を確立し、権利侵害企業名簿を社会に公開する制度を確立し、信用喪失情報を共同で懲戒するメカニズムを健全化するとともに、知的財産権保護にかかる重大事件の公開審理を段階的に確立し、国内での監督と検査を強化し、統一公平な法治環境の形成を推進する。

4.新業態、新分野の保護制度を確立
 新業態、分野に対して、特許、商標、著作権、植物新種、集積回路配置図設計などの保護を強化するとともに、医薬品特許保護期間延長制度の確立を模索する。スポーツ中継による知的財産権の保護を研究する。電子認証技術の普及・応用を強化する。クロスボーダー商取引での知的財産権保護ルールを研究し、プラットフォームの保護管理基準を制定する。
 企業における知的財産権保護マニュアルを作成し、契約書式見本、権利保全手続きなどの業務指針などを制定し、企業のリスク管理メカニズムや最適化を支援する。また、伝統文化、伝統知識などの分野の保護方法を制定し、漢方薬の知的財産権の保護を強化する。

(2)社会的監督と共同統治を強化し、優れた知的財産保護を確立
5.法執行監督レベルの強化
6.健全な社会統治モデルの確立。
7.専門的技術支援の強化。
 科学技術の研究開発を進めて、オンラインでの追跡、モニタリング、識別、検査システムなど技術的手段を通じて、知的財産権保護を強化する。技術調査官の制度を充実させて、技術事実の正確かつ効率的な認定を推進する。知的財産権侵害の鑑定能力強化し、損害評価制度を検討し、司法鑑定機構の専門化、規範化を強化する。

(3)連携メカニズムの最適化による知的財産権の迅速保護
8.登録確認・維持手続きの最適化
 審査期間の短縮と実用新案と意匠特許の川上での審査品質向上に注力する。重大な権利侵害事件の行政審判で遠隔地での審理利用を進める。行政での権利確認から司法保護まで連携システムで情報の共有や連携を高め効率アップを図る。
9.部門・地域を超えた事件の協働を強化
10.簡単な事件や紛争の迅速処理
 電子商取引などでは実用新案や意匠特許の評価書を有効活用する。ウェブサイトの管理の規範化を進めて侵害等の行為に打撃を与える。
11.知的財産権の迅速処理機関を設立
 重点技術産業集積地域には知識産権保護センターを設立し、迅速な審査、迅速な権利確定、迅速な権利維持をワンストップで提供する。また、紛争解決に調停を活用して紛争の早期解決を図る。

(4)外国と連携を図り、知的財産権保護環境を形成
12.国際的協力関係の強化
 今後国際的な展示会にブースを設けて、中国の知的財産権保護の状況を紹介する。一帯一路の重要な影響を十分利用し、連携国との審査結果などを共有することを進める。
13.内外の権利者とのコミュニケーションチャネルを改善
 内外の関連団体との交流を図り、内外の権利者の懸念事項に積極的に対応する。
14.外国での権利維持支援サービスの強化
 外国での知的財産権紛争警告、知的財産権関連法律改正などの情報サービスの拡充を図り、リスク防止、保険サービスの紹介、外国で中国企業の合法的権益保護支援を図る。
15.外国での協力と情報取得メカニズムを改善
 現地の大使館や領事館との共同により、中国企業の海外知的財産保護環境の改善を促進する。

(5)基礎的プラットフォームを建設し、知的財産権保護活動の支援強化
16.基礎的プラットフォームを設置
 全国知的財産権ビックデータセンターと保護監視情報ネットワークを確立し、登録、公告、紛争処理、事件の概要などの情報に対する統計モニタリングを強化し、プラットフォームの機能を充実させ、民間へのサービスレベル向上を図る。
17.専門人材チームの設置
18.資源投入と支援レベルを強化

(6)組織の実行力強化による業務実施を確保
19.組織の指導力強化
20.徹底的実行
21.評価制度の強化
22.奨励や激励の強化
23.宣伝や誘導の強化

参考サイト:
http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1143991.htm
http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1144081.htm