【中国】検察機関の知的財産権事件保護典型事例

最高検察院は、4月25日付、4月19日まとめた検察機関の知的財産権事件保護典型事例を知的財産権の法的保護強化、包括的なイノベーション強力、合法化されたビジネス環境を構築し、新たな生産力の発展を促進のための参考として、9件の典型事例を地方政府の検察機関に通知した。知的財産権行政保護典型事例は以下の通り:

1.浙江兆某股份有限公司、方氏など6人の営業秘密侵害刑事事件
 青島雲蒙先進材料技術有限公司のアモルファスストリップの製造用スプレートラック、晶析装置、晶析装置の研削機構などのコア技術である営業秘密を被告企業とその従業員が同社の従業員を買収し取得し製造ラインを建設し、その従業員10人以上を引き抜いた事件で、青島人民法院は被告会社に300万元の罰金、4人に禁固3年から5年、罰金100~200万元、原告元従業員2人に懲役1年、罰金5万元を科した。上告棄却で結審。

2.劉氏など3人の著作権侵害刑事事件
 フィリップスやGEのCTなどの医療機器のセキュリティ保護されたソフトウェアや保守マニュアルなどを無断で持出しセキュリティを回避する手段を作成し、ネット上でダウンロード販売した事件で、上海人民法院は著作権侵害として被告らに禁固1年から3年2か月、罰金8万元~70万元を科した。

3.重慶乾波機械設備有限公司、官氏など著作権侵害刑事事件
 重慶乾波機械設備有限公司の役員が業務提携先のNC工作機械の制御システムマザーボードチップのリバースエンジニアリングを当該会社の臨時従業員に委託し、入手した技術で同機種を製造販売した事件で、重慶市人民法院は著作権侵害として官氏に禁固3年、罰金12万元を科した。

4. 関氏など3人の営業秘密侵害刑事事件
 寧波凯越国際貿易有限公司の営業職の従業員である関氏は就業中にドイツ顧客との取引情報を取得し、退職後自社設立し秘密保持義務に違反しドイツ顧客との取引を開始し原告に大きな損害を与えた事件で、寧波人民法院は関氏に禁固4年、罰金400万元を科し、その他の従業員に禁固1年8か月、罰金4~5万元を科した。

5.許氏など26人の登録商標虚偽表示、偽造登録商標商品販売刑事事件
 「ROLEX」時計の模倣品や部品、ケースなどに「ROLEX」商標を表示し大人数のグループで販売した事件で、江蘇省鎮江市人民法院は登録商標偽造罪、登録商標偽造品販売罪などで禁固1~6年、罰金6 万~5,000万元を科した。

6.叶氏の登録商標虚偽表示刑事事件
 被告は、商標権者に無断で第三者の「DELIXI」商標の銘板を作成し自社の配電ボックスに表示し販売し、登録商標偽造罪で刑事告訴された事件で、内モンゴル人民法院第一審で認定に誤りがあり、差戻審で禁固3年6月、罰金33万元が科された。

7.天長市新某有限公司vs湛江市蘇某有限公司、海口市椰某有限公司など不正競争民事紛争控訴民事事件
 原告の登録商標がその標章に悪影響があることを理由に無効とされた状況で、原告から製品の製造委託を受けていた被告が原告製品を無断で製造販売し不正競争行為として提訴された事件で、杭州人民法院は不正競争行為と認定し、15万元の賠償を認定した。

8. 上海今鼎貿易有限公司vs上海市嘉定区市場監督管理局登録商標権利侵害行政処罰執行事件
 商標権侵害した被告に侵害停止と罰金13万元を科したが、応じなかったために市場監督管理局が催告し行政訴訟を提起した事件で、強制執行の処罰決定が下された。

9. 「鎮湖刺繍」知的財産権行政保護行政公益訴訟事件
 国家無形文化遺産に選定されている「鎮湖刺繍」は江蘇省蘇州市湖丘区鎮湖街が発祥で手作り、2010年に国家地理的保護表示製品に指定された。機械刺繍の偽装品が大量に出回り意匠特許や著作権侵害紛争が頻発したが保護が難しいため、行政公益訴訟が検察院から勧告され、基準を満たさない製品に対する警告、処罰、調停を通じて対策に成功した。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn//xwfbh/wsfbt/202404/t20240425_652529.shtml

【中国】2023年知的財産権行政保護典型事例(4月26日)

国家知識産権局は、4月26日、2023年に行政保護を行った特許、商標及び地理的表示の紛争事件からそれぞれ10件の典型事例を公示した。対象事件は以下の通り、地理的表示事件は省略する。

●特許行政保護典型事例
1.「窓貼り機の切断予圧装置」実案特許201721264785.9(温州荘達印刷機械有限公司)侵害紛争事件、広東省広州市知識産権局、浙江省温州市知識産権局の合同処理(行政調停和解、合理的権利維持費用の支払)
2.「トナーカートリッジ及び画像形成装置」発明特許201010211753.9(富士ゼロックス株式会社)侵害紛争事件、北京市知識産権局処理(製造販売停止、製造機器などの廃棄、在庫などの市場投入禁止)
3.「新型汚水遮断環境配慮型雨水流入口」実案特許201920377144.7(安徽省亜京雨水利用技術有限公司)侵害紛争事件、南京市知識産権局処理(販売停止)
4.「薬瓶のラベル」意匠特許202130389718.5(河北坤安薬業有限公司)侵害紛争事件、河北省石家庄市知識産権局処理(製造販売停止、製造機器などの廃棄、在庫などの市場投入禁止)
5.「ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物含有医薬品」発明特許201210201489.X(AstraZeneca (Sweden) Ltd.)侵害紛争事件、上海市知識産権局処理(販売停止、サイトのネット接続切断)
6. 「包装箱(果汁文旦)」意匠特許202230645195.0(頼友陽)侵害紛争事件、福建省平和県知識産権局、山東省無棣県知識産権局共同処理(行政調停和解、司法確認)
7.「グリチルリチン酸ジアンモニウムの組成物」発明特許200610040759.8(江蘇正大天晴薬業股份有限公司)侵害紛争事件、浙江省杭州市知識産権局調停(行政調停、和解契約締結、司法確認)
8.「コンドーム(テクスチャーシリーズ)」意匠特許201530111370.8(蘇州翰墨科技有限公司)再犯侵害紛争事件、天津浜海高新技術産業開発区市場監督管理局処理(侵害停止、違法所得没収、罰金1万元)
9. 「不規則なシャーシ構造」実案特許202222656483.3(東莞市金河田実業有限公司)侵害紛争事件、安徽省馬鞍山市知識産権局処理(侵害停止、後日保護センターでの和解)
10. 「陶磁器花器(奇異)」意匠特許202130401899.9(景徳鎮市貝漢美陶磁有限公司)侵害紛争事件、江西省景徳鎮市知識産権局処理(侵害停止、後日行政調停、司法確認、賠償金支払)

●商標行政保護典型事例
1.「小米」商標第8228211号9類(小米科技有限責任公司)侵害紛争事件、広東省深圳市市場監督管理局(知識産権局)処理(侵害停止、罰金1265万元、営業許可取消)
2.「図+Castol」商標第5212636号、「嘉实多」商標第1972857号4類(Castrol Limited)侵害紛争事件、安徽省合肥市市場監督管理局(知識産権局)処理(侵害停止、侵害品没収、罰金20万元、拘留7日、信用喪失名簿記入)
3.「蓝月亮」商標第7613055号3類(広州藍月亮実業有限公司)侵害紛争事件、浙江省麗水市遂昌県市場監督管理局処理(侵害停止、教育指導)
4. 「〇に牛栏山」商標第866912号33類(北京順鑫農業股份有限公司欄山酒廠)侵害紛争事件、広西壮族自治区河池市天峨県市場監督管理局処理(5人逮捕、検察起訴中)
5. 「喜丰+図」商標第1372525号1類(広西鹿寨万強化肥有限責任公司)侵害紛争事件、広西壮族自治区賀州市市場監督管理局処理(12人逮捕、70万元資金凍結、3人検察起訴審理中)
6. 「〇にUL」商標第13084672号42類(UL LLC)侵害紛争事件、四川省成都市成華区市場監督管理局処理(罰金41万元)
7. 「kuka/顾家家居」商標第45419791号20類(顧家家居股份有限公司)侵害紛争事件、江蘇省南通市通州区市場監督管理局(知識産権局)処理(故意侵害、侵害標識没収、罰金17.5万元)
8. 「贵州茅台」商標第3159141号、「贵州茅台酒+図形」商標第10195605号など33類(中国貴州茅台酒廠(集団)有限責任公司)、「WULIANGYE+五粮液」商標第3467940号など33類(四川省宜賓五粮液集団有限公司)侵害紛争事件、遼寧省沈陽市市場監督管理局(知識産権局)処理(5人逮捕、2~3年の禁固、罰金)
9. 「図」商標第283610号、「柒牌」商標第12212099号25類(福建柒牌時装科技股份有限公司)侵害紛争事件、浙江省桐郷市市場監督管理局処理(侵害停止、罰金18万元、信用喪失名簿記入)
10. 「超级飞侠+図形」商標第18169925号20類(奥飛娯楽股份有限公司)侵害紛争事件、重慶市大渡口区市場監督管理局処理(侵害停止、製造用器具没収、罰金3万元)

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/26/art_3382_5.html

【中国】偽物・粗悪品製造販売犯罪典型事例(3月14日)

最高人民検察院は、3月14日付け、検察機関が法に基づき偽物・粗悪品の製造販売を処罰した模範となる典型的事例5件を発表した。
2023年に、中国の検察機関は、偽物粗悪品犯罪で8,503件14,560人を逮捕、18,777件38,936人を起訴し、行政法執行機関に偽物や粗悪品に関わる刑事事件1,634件1,778人を移送し、公安局に2,645件2,879人を刑事事件で立件するよう勧告した。最高人民検察院は、重大な偽物や粗悪品の刑事事件に監督と指導を強化するとともに、公安部、農業農村部、国家市場監督管理総局と共同で、偽造品や粗悪な農産物の製造・販売に関わる14件を刑事事件で処理した。さらに、国家著作権局及びその他の部門と共同で3 回に分けて 150 件の重大な侵害および著作権侵害事件の処理し、事件の大幅な進展を推進している。以下は、典型事例5件の概要である

事例1:解氏ら8名による粗悪レンジフード・ガスコンロ製造販売事件
概要:被告らは広東省や山東省から部品を購入しIROBAIN(老板时代)、OPAICN(广欧)などのブランドで粗悪レンジフードやガスコンロを製造し、WeChatで販売し、解氏など8名はそれぞれ228万元~21万元を売上げた。公安局は現場で偽造レンジフード408台とガスコンロ1,640台を押収し検査したところ、規格に不適合であった。
地域:江蘇省関雲県人民検察院、上訴棄却。
処罰:各被告ごと、禁固10年から1年、罰金120万元から1万元。
意義:(1)模倣品・粗悪家電製品の製造・販売犯罪を厳罰、(2)対象商品の品質とインターネットでの販売量を正確に把握。

事例2:袁氏ら4名による粗悪肥料、商標偽造肥料の製造販売事件
概要:被告らは某農業集団の保有する2つの登録商標を無断で使用し、WeChatやECサイトにショップを開設し、模倣品や粗悪な肥料を製造販売し、778万元以上を売上げた。また、品質は国家基準を満たさない不良品であった。
地域:山東省林樹県人民検察院
処罰:袁氏は禁固15年と罰金500万元、郭氏らは、禁固8年6か月から8年と罰金200万元から130万元、商標権侵害罪には禁固3年、執行猶予3年、罰金15万元の判決を追加された。
意義:(1)農業生産の安全を確保、(2) 検察機関と郡農業農村局を含む13部門の連携。

事例3:青島某生物科技有限公司ほかの有害催淫性食品販売事件
概要:被告らは、ホスホジエステラーゼ及びその誘導体等の成分の食品への添加を禁止することを知りながら錠剤キャンディを青海、浙江省の拠点でそれぞれ30万錠以上生産し、チャットアプリやECサイトで腎臓強化などの虚偽広告を掲載し、上海、青海省、安徽省などで販売し、130万元以上を売上げた。食品からは国が禁止する成分シルデナフィルが含まれていることが判明した。
地域:上海鉄道運輸検察局
処罰:被告企業には50万元の罰金。賈氏ら被告13人には5年3か月から8か月の禁固、一部の被告には執行猶予と44万元から3000元の罰金が併科された。
意義:(1) 有毒・有害食品の製造・販売の厳格取締、(2) 検察と警察の協力と執行連携メカニズムを強化

事例4:武氏らによる偽薬品販売事件
概要:被告らは、共謀して偽のアジブジン薬を共同製造し、2,700 箱以上販売、総額74.9万元を売上げた。対象薬物からはアジブジン成分は検出されなかった。
地域:河南省平頂山市湛河区人民検察院、二審で王氏に追加の禁固刑。
処罰:被告の武氏には禁固11年、罰金115万元の罰金、寧氏には禁固10年と罰金35万元、王氏には禁固6年、罰金2万元、被告の武氏と寧氏には懲罰的損害賠償が追加された。
意義:(1) 偽造医薬品の製造・販売の厳格取締、(2)犯罪と刑罰に相応の適用保証携

事例5:王氏ら約20名による登録商標偽造、商標虚偽表示パイプ継手販売事件
概要:被告の王氏らは浙江某パイプライン技術有限公司の登録商標の複数の登録商標を無断で使用し、PPR管継手を製造し、WeChatなどで販売し、総売上高は593万元を超え、不当利得は約50万元を超えた。葛氏、莫氏、魏氏などは模倣品であることを知りながら販売し、12.5万元から123.6万元を売上げた。
地域:浙江省新昌県人民検察院
処罰:被告の王氏には、登録商標偽造罪で禁固5年3か月、損害賠償101万元。葛氏、莫氏、魏氏など19人の被告に商標虚偽表示商品の製造販売罪で3年から8か月の禁固・執行猶予付きの禁固刑と罰金刑。肖氏と袁氏はそれぞれ懲役3年と懲役2年と罰金。民事賠償総額は280万元を上回った。
意義:(1)犯罪チェーンの捜査と適切な処罰、(2)刑民事による適切な権利者保護

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202403/t20240314_649482.shtml

【中国】税関2022年知的財産保護状況と典型的保護事例(4月26日)

中国海関総署(税関)は、4月26日付、記者会見を行い、2022年度の知的財産保護状況と典型的事例を発表した。2022 年、中国全土の税関は 64,600 件の知的財産保護措置を講じ、被疑権利侵害輸出入商品 60,900ロット、7,793.8万個を差押さた。 知的財産権の税関登録は23,412 件の申請があり、21,356 件が承認、登録された。その内、15,091件は中国国内の権利者によるものである。侵害品の差止は、商標権侵害で7632.3万個と全体の97.9%を占め、オリンピック・シンボルのマークを侵害する玩具、記念品、キーホルダー、スポーツシューズなど10,684個と多くを占めた。そのほか、電子機器、文具、オフィス用品、タバコが多くを占めている。差止の多い税関は、深圳、寧波、杭州、上海、厦門、広州、武漢、成都、黄埔、天津と東部湾岸が多いが、中西部の成都、武漢、西安、フフホトなどで増加が見られる。越境電子商取引などの新しいビジネスモデルの対策で成果を上げており、2.1万ロット、402.3万個の被疑侵害品を差止めた。

●2022年知的財産保護典型事例

事例1.有名ブランドの商標権侵害品の輸出差止、没収、公安局と連携
  厦門税関:カジュアルシューズ(UMBRO)、バックなど差止、没収、公安局は18名を逮捕、侵害品の押収(3.57億元)、侵害品の輸入戻しによる偽装として注目される

事例2.RCEP対応輸出での歯磨き剤商標権侵害品の差止・没収・罰金
   広州税関:歯磨き(COLGATE)のシンガポール向けRCEP対応輸出を差止
   RCEP加盟国へ輸出される侵害品の監督とリスク防止および管理で知的財産税関保護を含め強化

事例3.商標権侵害衣料品の輸入差止、没収・罰金
   深圳税関:大量なダウンジャケットなどの高額な商品(45.6万元)の輸出差止めて没収、罰金(商標権侵害は税関の職権で没収と罰金を科すことができる)

事例4.採掘用設備の発明特許侵害品の輸出差止
   黄埔税関:広州の中小企業の差止申請に対応し差止、侵害訴訟に情報提供

事例5.商標権侵害オートバイエンジン・部品類を市場監督管理局と連携し輸出差止
   江門税関:オートバイエンジン6000台などを発見し、市場監督管理局、権利者と連携

事例6.外国企業の知的財産権(商標、著作権)保護
   上海、汕頭、大連、南寧の税関:自動車部品(TOYOTA, FORD)、玩具(アナ雪、ミニオンズなど)、ボールペン(PILOT,三菱)、時計(TISSOT, TAGHEUER, OMEGA, SEIKO, LONGINES)

事例7.商標権侵害品の輸出差止と刑事訴追の連動
   杭州、蘭州、天津、昆明の税関:顔料、スポーツシューズ、キャリアケース、酒の差止と刑事訴追

事例8.越境電子商取引での商標侵害品の輸出差止
   福州、青島、拱北の税関:有名ブランド衣料品、携帯電話などの電子部品など

事例9.郵便ルートでの商標権侵害品の輸出差止
   南京、北京、ウルムチの税関:Disney、Marlboroなどの衣類やタバコなど

事例10. 著作権侵害ゲームカードの輸出差止
   寧波、成都、長沙、済南の税関:ポケモンカード

参照サイト:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1764155012478197170
      https://mp.weixin.qq.com/s/M0LIyoePAy0Z_7jyT2hDvg

【中国】検察院知財事件処理ガイドラインと2022年典型事例(4月26日)

4月26日、最高人民検察院は記者会見を開き、「人民検察院知的財産権事件処理ガイドライン(人民检察院办理知识产权案件工作指引)及び「検察機関2022年知的財産権保護典型事例」を発表した。別の発表によると、2022年1月から今年3月までに、知的財産権侵害犯罪7,300件、1.5万人起訴し、550人を公安に移送した。公安での立件は520件、410件を却下、追加操作により容疑者150人以上を逮捕し、980人の起訴となった。知的財産権民事行政訴訟事件は1100件の処理である。

 本ガイドラインは全45条、総則、知財刑事事件処理、民事・行政訴訟監督事件の処理、公益訴訟事件処理、附則からなり、検察機関が処理する知的財産事件には、刑事、民事、行政、公益訴訟が含むまれ、職務執行が、逮捕の審査、起訴の審査などを経て、法律監督、検察官の起案、起訴などを通じて、知的財産紛争に検察の機能を果たすことを明確にしている。
 知的財産権民事訴訟の監督事件の範囲は26条に規定されており、以下の通り:
(1)著作権、商標権、特許権(訳注:発明特許、実用、意匠特許を含む、以下同じ)、植物新品種権、集積回路配置設計専有権、企業名名称(商号)権、特殊標識(訳注:ロゴなど、以下同じ)専有権、インターネットドメイン名、知的財産権非侵害確認などの知的財産権所の帰属、権利侵害紛争事件;
(2)著作権、商標、特許、植物新品種、集積回路配置設計、営業秘密、インターネットドメイン名、企業名称(商号)、特殊標識、技術契約、フランチャイズなどに知的財産権契約に関する紛争事件;
(3)偽物、営業賄賂、虚偽宣伝、営業秘密侵害、営業誹謗などの不正競争紛争事件;
(4)独占合意、市場での支配的地位の濫用、事業者集中(企業結合)などの独占紛争事件;
(5)その他知的財産権に関連民事事件。
 近年の虚偽訴訟の多発を抑制するため第29条に虚偽訴訟罪などが言及されている。刑事告訴では損害の補償がされないため、補償能力はあっても損失を補償しない者に対しては、寛大な制度を適用できないことを定めており、一定の圧力となることが期待されている。

●検察機関2022年知的財産権保護典型事例
事例1.中某科学技術有限会社、陸某昌氏ら3名による焼成炉の営業秘密侵害事件(江蘇省常熟市)
事例2.紀某民氏ら4名による製袋機械の営業秘密侵害事件(上海市)
事例3.湖北双某鼓風機股份有限公司、茹某鵬氏ら3名による送風機の営業秘密侵害事件(遼寧省瀋陽市)
事例4.王某中氏など7名による地図作品の著作権侵害事件(浙江省嘉興市)
事例5.長興偉某機械有限公司、李某栄氏、馬某利氏によるコンピュータソフトウェア著作権侵害事件(浙江省湖州市)
事例6.洪某設氏ら58名による有名ブランド登録商標虚偽表示商品オンライン販売事件(上海市)
事例7.羅某洲氏など10名による有名ブランドイヤホン登録商標虚偽表示事件(広東省深圳市)
事例8.「白蕉海鱸(シーバス)」地理標識保護行政公益訴訟事例(広東省珠海市)
事例9.成都晴某商貿股份有限公司と濾某股份有限公司などの商標権取消再審行政紛争控訴事件(3年連側不使用撮りけりにおける偽造証拠)
事例10.南通某酒業有限公司と和某氏、国家知的財産権局の商標権無効宣告行政紛争控訴事件(侵害品と登録商品の類否)

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zhlxjcznjqzscqfzbz/22xwfbh_sp.shtml
仮訳

【中国】CNIPA2022年商標行政保護典型事例(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、全国知的財産権週間に合わせて、2022年度の商標行政保護事例10件を公示した。2022年度の登録商標にまつわる違法行為を地方政府の知的財産部門が処理した事件は4.4万件(特許含む)となっているが、良く知られる有名ブランド衣料品、医薬品やコロナウィルス検査キット、レストランやガソリンスタンドなどでの侵害に加え、無権での商標印刷行為や真製品用QRコードの不正利用なども典型事例として挙げている。

案例1.“爱马仕”第14580986号、“LOUIS VUITTON”第241017号(25類)など登録商標専用権侵害事件
担当部局:浙江省杭州市余杭区市場監督管理局
商標権者:Hermes International、Louis Vuitton Malitiなど
侵害者:オンラインショップサイト余杭区良渚街道深紅女装店
【概要】侵害者はオンラインショップで“爱马仕(Hermès)”、“易威登(LOUIS VUITTON)”、“古驰(GUCCI)”、“香奈儿(CHANEL)”などの有名ブランドのニセモノ衣料を販売しているとの投訴があり、公安局と市場監督管理局が共同で倉庫を捜査したところニセモノと確認し、大量な製品と商標タグを押収し、1600万元の売上を確認した。移送を受けた公安局は販売関与の27名を刑事訴追、4か所の営業拠点が破壊し標識など10万点、約5000万元を押収。

案例2.“上島+SHANGDAO+黒地図形”第10487572号(28類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:安徽省馬鞍山市市場監督管理局
商標権者:上海群政実業有限公司
侵害者:馬鞍山市花山区某商貿銷售中心(仮名)
【概要】市場監督管理局は通報を受けて被訴侵害者を検査し、登録商標を侵害する麻雀卓を発見したが、当事者が複数の麻雀卓を仕入れて部品を組換えた麻雀卓に当該商標を付して販売していたために、国家知識産権局に照会したところ、組換え自体は商標権侵害でないが、商標を誤認されやすく使用する行為は侵害に該当するとの回答を受けて、商標法57条7項の商標権侵害と認定し、違法項の是正と罰金2.2万元の行政処分を下した。

案例3.“丸+同仁堂+図” 第 171188 号(5類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:広西壮(チワン)族自治区凭祥市市場監督管理局
商標権者:中国北京同仁堂(集団)有限責任公司
侵害者:黄某氏(仮名)ほか
【概要】市場監督管理局の職員が市内で「同仁牛黄清心丸」「安宮牛黄丸」などの表示がある薬品、薬品パッケージ及び包装機械を発見し、「同仁堂」安宮牛黄丸、清心丸11582丸、各種パッケージ、銘板、説明書21万枚、総額784万元を押収した。薬品の検査結果、成分が基準と不一致のため、商標虚偽表示、偽薬品製造罪で公安に移送。公安は南寧など複数の製造拠点で15名を逮捕、偽薬製造拠点を破壊、偽薬など44.6万個、総額2000万元を押収。

案例4. “図形+HEAD & SHOULDERS”第 75811 号(3類)など登録商標専用権侵害事件
担当部局:上海市青浦区市場監督管理局
商標権者:宝潔公司(P&G)
侵害者:上海甬領包装印刷有限公司
【概要】市場監督管理局は通報を受けて侵害者を捜査し、当該商標以外に「PANTENE」「愛生活」などの商標を無断で印刷に従事していることを発見し、各種登録商標標識36万枚、印刷機、全自動型切機、封印機各1台を押収。商標法57条4項に違反し、量が多いため公安に移送、刑事告訴となり懲役5年、罰金50万元の処罰。

案例5.“SINOPEC+図形”第1385942号(37類)ほか登録商標専用権侵害事件
担当部局:湖北省荊州市公安県市場監督管理局
商標権者:中国石油化工集団有限公司(SINOPEC)ほか
侵害者:公安県中宏石化有限責任公司
【概要】市場監督管理局は通報を受けて、被訴侵害者のガソリンスタンドを捜査し、スタンドの装飾、看板、給油機などにSINOPECが保有する商標に類似する標識が複数使用されていることを発見し、無作為に選んだ消費者に照会したところSINOPECのものと誤認していた。被訴侵害者は既に17.5万元を売上た。捜査を受け被疑侵害標識を撤去したが、罰金30万元の行政処分。

案例6.“洞子”第18634764 号、第3278749号(43類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:重慶市渝中区市場監督管理局
商標権者:王蔓蓮
侵害者:重慶洞味鮮老火鍋有限公司
【概要】商標権者は被訴侵害者のレストランで自社の登録商標が無断で使用されていると投訴、市場監督管理局は通報を受けて捜査し、看板やメニュー、エプロンに使用されていることを確認し、和解による調停を勧めた。被訴侵害者は当該商標の使用を停止、1万元の賠償金を支払うことで合意、裁判所による司法確認完了。市場監督管理局は別に侵害停止と罰金3000元の行政処分。

案例7.“iHealth” 第12935531号(5類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:広東省惠州仲愷高新技術産業開発区市場監督管理局
商標権者:北京愛和健康科技有限公司
侵害者:陳某某氏、王某某氏 (それぞれ仮名)
【概要】市場監督管理局は通報に基づき、公安機関と連携して工場を検査し、本件登録商標が許諾を得ずに印刷された新型コロナウイルス抗原検出キットの完成品、部品、パッケージ及び生産機械を押収した。公安局は侵害者を逮捕し、刑事告訴、、陳氏には懲役4年6か月、罰金5万元、王氏は懲役2年6か月、罰金3万元の行政処罰。

案例8.“FILA ”第26919515A号(25類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:江西省撫州市市場監督管理局
商標権者:満景(IP)有限公司(独占使用者:斐楽体育有限公司)
侵害者:童服客桟服飾(杭州)ネットショップ
【概要】市場監督管理局は通報に基づき、ネットショップ運営者を捜査したが、「有名ブランドの工場出荷代行商品」との宣伝のみで、実商品がなかったものの、ネットショップで購入し配送された商品には当該商標が印刷されていたことから、権利侵害と認定し、侵害行為の停止、侵害品と違法所得の没収、罰金6.6万元の行政処罰。

案例9.“NIKE”第4516216 号(25類)、“得物”第 31033869号(35類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:北京市東城区市場監督管理局
商標権者:耐克創新有限合伙公司(Nike)、上海識装信息科技有限公司
侵害者:陳某某氏(仮名)
【概要】市場監督管理局はNIKEブランドの商品が露店で販売されているとの通報に基づき捜査し、当事者は訪問販売者から当該商品を100足仕入れて販売していることが判明、また真製品識別「得物」QRコードの偽造コートもつけられていたことから、侵害品没収、罰金3万元の行政処罰。識別コードの会社の商標も保護されたことの意味がある。

案例10 .“QUATTROFLOW”第G1407263 号(7類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:上海市虹口区市場監督管理局
商標権者:PSG Gemany GmbH
侵害者:上海良輔環境科技有限公司
【概要】市場監督管理局は投訴を受けて、商標権者の販売代理店である侵害者の事業所を捜査したところ、自社で設計開発した主要部品を組立て、本件商標に類似する商標を付してポンプ製品を販売していていることを発見した。当該製品は国家の品質基準に合格していたもの、商標権侵害として、侵害品を没収廃棄、違法所得没収、罰金162.7万元の行政処罰。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2023/4/26/art_3207_184726.html

【中国】CNIPA2022年特許行政保護典型事例(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、全国知的財産権週間に合わせて、2022年度の特許行政保護典型事例10件と商標行政保護事例10件を公示した。2022年度の特許(発明、実案、意匠)にまつわる紛争を地方政府の知的財産部門が処理した紛争事件は5.8万件、保護支援事件7.1万件、調停仲裁事件8.8万件となっているが、その内の侵害事件では医薬品や食品などを典型事例で挙げているが、行政調停や省際越境事件処理が目立っている。

案例1.“櫛(くし)”意匠特許侵害事件
担当部局: 安徽省涇県知識産権局
特許番号:306931506S (202130464274.7)
特許権者:汪強
侵害者:安徽涇県朴存商貿有限公司
【概要】ECサイトでの侵害品販売に評価書を提出して行政投訴。知識産権局は類否判断主体の「一般消費者」を含め国家知識産権局(CNIPA)に意見を求め、特定の判断者の知識レベルや認知能力に基づく判断を避けることを主な目的とすることを前提に、保護範囲に入るとして販売停止処分。

案例2.“動物用薬瓶”実用新案特許侵害事件
担当部局: 湖南省長沙市芙蓉区知識産権局
特許番号:210096380U(201920076353.8)、203122427U (201320028054.X)
特許権者:湖南楽福地医薬包材科技有限公司、湖南千山製薬機械股份有限公司
侵害者:長沙某商貿有限公司(仮名)
【概要】2つの行政投訴があり合併調査審理モデルを適用、技術専門家が参加し、調査、証拠収集、技術支援が行われ、それぞれ保護範囲に入ると判断。1件は行政調停により和解成立し、長沙市中級人民法院で司法確認完了。2012076353.8(折畳み式蓋)は販売停止命令、ライセンス契約するようを命じる行政裁決。

案例3.“銅線補助固定クリップ”シリーズ発明特許侵害事件
担当部局:広東省中山市知識産権局
特許番号:107026009B(201710330407.4)など10件
特許権者:中山展暉電子設備有限公司
侵害者:元従業員
【概要】特許権者は元従業が製品図面を不正な手段で入手し製造販売した「全自動巻線機」が10件の発明特許権侵害を中山市知的財産権局にと営業秘密侵害を中山市公安局港湾支局に投訴した。同時に立件、共同現場調査で侵害仮認定、被訴侵害者が抗弁しないために行政調停で和解成立、160万元の賠償と侵害行為の停止の調停合意書締結。

案例4.“押し板ガイドスライド機能付き高効率電池材料焼成炉”実用新案特許侵害事件
担当部局: 江蘇省知識産権局
特許番号: 205655661U (201620358253.0)
特許権者: 蘇州滙科機電設備有限公司
侵害者:無錫中工熱控科技有限公司
【概要】特許権者は被訴侵害者が中堅技術者を引抜き、実案特許技術と同じスラブ炉製品を生産販売していると行政投訴、知識産権局は立件後現場調査で確認した関連製品や図面から請求項1を完全に侵害するとして販売停止、在庫の販売中止と行政裁決、被訴侵害者は行政不服訴訟を二審の最高人民法院まで訴求したが棄却された。完成品ではなく部品など関連部材など現場での収集証拠からの侵害判断に意味がある。

案例5.“フライドポテトボックス(薯条盒)”意匠特許侵害事件
担当部局: 天津市河東区知識産権局
特許番号:305171075S(201930039762.6)
特許権者:陸明燕
侵害者:天津某市场管理有限公司(仮名)
【概要】個人事業者の特許権者の侵害投訴を受けた知識産権局は侵害状況を検討後、被訴侵害者の反論に法的認定を良く説明説得し、侵害行為の停止の和解の行政調停にまとめた。調停和解書は裁判所による司法確認完了。

案例6.“ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤(糖尿病)”発明特許侵害事件
担当部局:北京市知識産権局
特許番号:102134230B(201110006009.X)
特許権者: 武田薬品工業株式会社
侵害者:北京百灵威科技有限公司、北京迈瑞达科技有限公司
【概要】特許権者の投訴を受けて、被訴侵害者1は侵害事実を知らず、製品回収、販売停止を弁明、被訴侵害者2はそのサイトでの販売の申し出のみで掲載を削除と弁明があったが知識産権局はぞれぞれの製品が保護範囲に入るとして、販売の申し出を禁じる行政裁決をだした。外国企業の権利保護をアピールすることが目的。

案例7.「エキス入りキャンディ」特許虚偽表示商品販売事件
担当部局: 河北省石家庄市橋西区市場監督管理局
特許番号: 101053352B(200710068855.8)
侵害者:郑州庞博教育科技有限公司
【概要】通報を受けた市場監督管理局がインターネットライブ販売サイトで販売するキャスターの特許3件の説明に対して事実関係を確認したところ、その立証できず、うち1件は関係があるものの特許権者からの使用許諾もないことから、特許法実施細則84条1項3号に違反するとして、違法所得72,206.70元の没収と罰金108,310.10元を科した。

案例8.“椅子(月亮椅、ムーンチェア)”意匠特許侵害事件
担当部局:四川省宜賓市、四川省濾州市、重慶市栄昌区の知識産権局
特許番号:306888296S (202130435026.X)
特許権者:杜朝彬
侵害者:羅某氏、重慶市栄昌区某藤芸厂、(各仮名)
【概要】特許権者が所在地の異なる侵害者をそれぞれ管轄する知識産権局に被訴侵害者を行政投訴したために、立件を決定した3地域の知識産権局は共同運営体制をとり、地域を跨ぐ事件の研究と対応を行うとともに、被訴侵害者の製造販売に併合審理を行い、販売状況が悪くすでに販売していないことから和解にまとめるとともに、調停和解書の司法確認を完了した。

案例9.“置換オキサゾリジノン及び血液凝固の分野での使用”発明特許侵害事件
担当部局: 江蘇省南京市知識産権局
特許番号: 1262551C(00818966.8)
特許権者:Bayer AG(拜耳医药保健股份公司)
侵害者:南京恒生制药有限公司
【概要】特許権者は被訴侵害者が「第18回世界製薬原料薬中国展」展示会に出展した薬剤が係争特許を侵害し、販売の申し出にあたるとして行政投訴、被訴侵害者は旧特許法69条5項(行政審査を受ける医薬品のための情報収集)に該当すると非侵害を主張した。知識産権局は侵害と判断し侵害行為停止の行政裁決。被訴侵害者の行政不服訴訟は二審の最高人民法院でも棄却された

案例10.“断熱窓ユニットのためのスペーサ枠用スペーサプロファイル及び断熱窓ユニット”発明特許侵害事件
担当部局:上海市知識産権局
特許番号:101044292B(200580030094.6)
特許権者:Technoform Glass Insulation Holding GmbH(泰诺风玻璃隔热控股股份有限公司)
侵害者:威海宇光施尔乐节能材料有限公司ほか
【概要】特許権者は被訴侵害者が「第31回中国国際ガラス工業技術展覧会」で展示した関連製品が特許侵害するとして行政投訴、担当した知識産権局は当事者間に業務委託業務関係があり和解の意思があるが、上海浦東と山東省威海市と地域が離れていることから共同運営体制をとり、ネット会議により調停和解書を締結し、司法確認を完了した。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2023/4/26/art_3207_184726.html

【中国】上海法院2022年知的財産権10大事例(4月25日)

上海高級人民法院は、4月25日に記者会見を行い、「2022年上海法院知識産権裁判白書」及び「上海知的財産権法院知的財産権司法保護状況(2022)」を公表するとともに、上海法院の「2022年度知的財産権10大事例」と「知的財産権保護レベル強化典型事例」を発表した。2022年に上海市の裁判所が受理した知的財産権訴訟事件は42,150件、審決42,763件と前年比▲20.9%、▲12.9%それぞれ減少した。一審受理事件のうち、特許、コンピュータソフトウェア、営業秘密などの技術系事件が4,288件と98.8%を占めており、半導体チップ、新材料などの重点分野や重要なコア技術に関する事件が少なくない。また、懲罰的賠償請求事件が22件受理され、15件が処理された。

●2022年知的財産権10大事例

事例1:動的GUI意匠特許侵害事件 (2019)沪73民初399号
 北京金山安全软件有限公司vs上海触宝信息技术有限公司ほか
 【原告は保有する意匠特許ZL201830455426.5、「移動通信端末用グラフィカルユーザーインターフェイス」を被告ソフトウェアの動的GUIが侵害したと提訴、裁判所は動的GUIにおいて最初のインタフェース全体設計とその動的変化の全ての変化過程が全体的視覚効果に及ぼす差異の程度を同時に考慮すると両者の全体的視覚効果に実質的差異がない、一方、製造販売行為が実質的な侵害行為と認定し、侵害の停止、35万元の損害賠償を命令。】

事例2:“十万个为什么(10万のなぜ)”商標権侵害及び不正競争事件 (2020)沪0107民初2585号、(2021)沪73民终600号
 上海少年儿童出版社有限公司vs四川天地出版社有限公司ほか
 【原告の「十万のなぜ」は1961年に出版されて以来、現在まで続く一連の児童科学図書で高い知名度があり、その商標権(17085619)取得後、被告の同一名や類似名称の図書出版物、ウェブサイトでの使用を商標権侵害と不正競争で提訴、裁判所は、「十万のなぜ」は問答式の図書の一般名ではなく長期の使用による知名度と識別力があり他人の使用は誤認混同が生じると商標権侵害を認定、被告のその使用は同業者として誤認混同惹起、他人の商品の固有の名称を無断で使用する不正競争行為を構成するとし、侵害停止、影響の除去、60万元の損害賠償を命令。控訴は原審維持。】

事例3:“天地华宇(天地華宇)” 商標権侵害及び不正競争事件 (2019)沪73民初401号、(2021)沪民终269号
 上海华振物流有限公司ほかvs天地华宇集团有限公司ほか
 【原告は「天地华宇」に36類の物流をカバーする登録商標4707630などを保有し、2007年には一定の知名度があるところ、2008年に無錫市に物流会社として設立された被告は2017年からグループ会社含め社名に「天地华宇」含めるように変更し、SNSやウェブサイトで当該商標を使用しているとして提訴、裁判所は商標権侵害と不正競争行為(同じ名称の使用)を認定し、侵害停止、企業名称の変更、影響の除去、60万元の損害賠償を命令。争点は、共同被告の一つが実際に社名を使用していない事実があり、二審ではその発生のリスクを認定した。】

事例4:“琅琊榜(狼牙榜、Nirvana in Fire)”密室ゲーム著作権侵害及び不正競争事件 (2021)沪0110民初17435号
 东阳正午阳光影视有限公司vs北京叁零壹文化传播有限公司ほか
 【原告は、人気のある原本小説の作家の許諾のもとにゲーム及び派生作品の開発の独占的権利を保有し、被告の提供する「狼牙榜の権謀天下」と題する密室ゲームは著作物を改変したもので、かつ商品名として一定の知名度のある「狼牙榜」を大量に宣伝などで使用しているとして提訴、裁判所は被告ゲームのストーリーはオリジナルから離れているがゲームで展開されるプロセスは改変にあり、「狼牙榜」は高い知名度と栄誉を持ち一定の影響を持つ商品名と認定し、侵害停止、105万元の損害賠償を命令。共同被告のプラットフォーム事業者は非侵害判断。】

事例5:外国貿易顧客情報営業秘密侵害事件 (2020)沪0104民初2330号、(2021)沪73民终805号
 容重实业(上海)有限公司vs上海路漫实业有限公司など
 【原告は2015年からドミニカ、パキスタンなどの顧客と金属材料の輸出入業務に従事しており、顧客ごとの理引き条件や仕様を「Top Secret」と記載し管理するとともに従業員にも守秘義務を課している。被告は同社の外販部に勤務後退社し、妻と被告会社を設立し、 前出顧客と取引を行っていた。これを知った原告は当該顧客情報の使用が営業秘密侵害を構成するとして提訴、一審裁判所は当該ビジネス情報が営業秘密であること、被告在職中に営業秘密を取得したことを認定し、侵害停止と475万元の損害賠償を命令。二審では顧客開拓過程の事実認定となったが立証不十分で一審判決維持。】

事例6:“支付宝(AliPay)”携帯アプリに注意喚起戦略不正競争事件 (2020)沪0115民初87715号、(2021)沪73民终852号
 支付宝(中国)网络技术有限公司vs江苏斑马软件技术有限公司
 【原告の決済アプリは大きな利用者と取引量があり携帯電話で利用されている。被告のアプリはアップルiOSで動作する携帯電話にインストールされると、利用者のECサイト出決済時に被告の決済アプリにジャンプするかどうか確認するポップアップが割り込み表示され、そのまま開くを選択すると被告サイトでの決済を実現する。原告は利用者から苦情、協力事業者から安全性の警告を受けたことから不正競争行為と提訴、裁判所は携帯アプリの正確な運用の慣行、アプリ決済機能の事業モデルの妨害、無秩序の決済スキームの導入による利便性や安全性に深刻な影響があり、利用者だけでなく公共の利益にも損害が及ぶと認定し、影響の除去、48.5万元の損害賠償を命令。控訴棄却。なお、本件では訴訟前仮差止が認められている。】

事例7:中国サッカースーパーリーグ写真独占使用許諾での市場での支配的地位の濫用事件 (2020)沪73知民初736号、(2021)最高法知民终1790号
 体娱(北京)文化传媒股份有限公司vs中超联赛有限责任公司、上海映脉文化传播有限公司
 【中国サッカー協会からスーパーリーグの無形資産の開発運営の委託を受けた被告の中超联赛社は中国スーパーリーグ公式画像協力機構の運営者の公開入札を行い、上海映脉社が落札し、同機構の名称の使用権や撮影した画像の独占権を獲得した。原告は応札したが失注した。その後、リーグの写真の使用者や報道機会などの使用に制限が発表され、商業的使用が難しくなったため、原告は被告の市場での支配的地位を濫用し市場の競争を排除し、原告及びその他の取引相手の合法的利益を損害したとして提訴、裁判所は入札による参入障壁の不存在、上海映脉社の民事権益などに合理的理由があり、市場に対して排除または制限競争の効果を生んだ証拠がないとして、提訴棄却。二審では市場シェアから支配的地位にあることは認定したものの、一審判決維持、控訴棄却。】

事例8:“龙井茶(龍井茶)”地理表示商標侵害行政処罰不服事件 (2021)沪0115行初399号、(2022)沪73行终1号
 特威茶餐饮管理(上海)有限公司vs上海市浦东新区知识产权局
 【第三者の浙江省農業技術普及センターは「龙井茶Longjing Tea」の登録証明商標5612284を30類に保有している。原告は、シンガポールから茶葉を輸入し、「盛玺龙井茶」や「龙井茶」をパッケージに無断で表示し国内で販売した。被告知識産権局は商標法57条2項に該当する侵害行為として、侵害停止、侵害品没収、54.5万元の罰金を科した。行政不服再審も処分を維持したため、被告は取消を求めて提訴。裁判所は、原告の立証不十分、被告の処分は合法的として請求棄却。控訴棄却。】

事例9:レーザー加工海賊版ソフトウェア販売による著作権侵害刑事事件 (2022)沪0112刑初577号
 被告 王某氏
 【上海柏楚電子科技股份有限公司が販売するレーザー切断ソフトウェア(CypNest)の海賊版を第三者から入手し、当該ソフトを複製しTaobaoやWeChatを通じて34.4万元売上げた。公安局は逮捕、被告も犯罪事実を認めた、当該ソフトウェアの鑑定をしたところ90%以上の類似度があり、告訴した。裁判所は、著作権侵害罪を認定したが、被告が自白するなどの贖罪の行動が見られるため処罰を軽減し、懲役3年、罰金20万元、被害者への賠償を命令。本件ではソフトウェアプログラムの実質的な類似で比較方法、複製比率、除外事項に基づく判定である。】

事例10:中芯国际公司の営業秘密侵害刑事事件 (2022)沪03刑初67号
 被告:周某某氏
 【被告は中芯国際集成電路制造(上海)有限公司の従業員であり、労働契約や秘密保持契約に違反し、会社のプロセスセンサー半導体回路技術情報を持ち出した。被告は逮捕され、告訴された。裁判所は、被告は会社との約定に違反し、不正な手段で営業秘密を入手し、重大な損害を与えた営業秘密侵害罪を認定したが、被告が自発的に供述したことを自首と判断したため処罰を軽減し、懲役1年、執行猶予1年、罰金6万元を科し、関連機材を没収。】

●2022年上海法院知的財産権保護レベル強化典型事例
事例1:“怡宝”商標権侵害と不正競争事件 (2020)沪73民初787号、(2022)沪民终73号
 华润怡宝饮料(中国)有限公司vs上海洁士宝日化集团有限公司
事例2:“百强家具”商標権侵害と不正競争事件 (2018)沪73民初515号、(2020)沪民终256号
 北京世纪百强家具有限责任公司vs上海朗聚实业有限公司ほか 
事例3:“威乐”商標権侵害と不正競争事件 (2019)沪0104民初19337号、(2021)沪73民终744号
 威乐(中国)水泵系统有限公司vs威乐水泵(上海)有限公司
事例4:“华为”商標権侵害事件 (2022)沪0116民初11663号
 华为技术有限公司vs暨奢服饰(上海)有限公司
事例5:“N”標識模倣商品不正競争事件 (2017)沪0115民初1798号、(2020)沪73民终327号
 新百伦贸易(中国)有限公司vs纽巴伦(中国)有限公司、赵某某
事例6:假冒“美心”模倣月餅登録商標侵害刑事事件 (2021)沪03刑初113号、(2021)沪刑终122号
 被告:庄某某など
事例7:児童書の海賊版製造販売による著作権侵害刑事事件 (2021)沪0110刑初517号
 被告:张某某など
事例8:従業員の転職による生産ライン図面営業秘密侵害刑事事件 (2021)沪03刑初167号
 被告:黄山富田精工智造有限公司、方某某など
事例9  北京冬季五輪関連番組の著作権侵害提訴前仮差止事件 (2022)沪0115行保1号
 央视国际网络有限公司vs珠海创嗨新网络科技有限公司
事例10 “剧本杀(殺人ミステリー)”商標権侵害の提訴前仮差止事件 (2021)沪0107行保1号
 湖南快乐阳光互动娱乐传媒有限公司vs上海新革文化传播有限公司ほか

参照サイト:上海高級人民法院

【中国】「最高人民法院知識産権法庭典型事例(2022)」の公示(3月30日)

最高人民法院知識産権法庭は、3月30日付、2022年に審理された3,468件の技術の絡む知的財産権と独占事件の中から20件を典型事例として精選し公示した。今回典型事件として発表された事件は、特許民事事件7件、特許行政事件3件、植物新品種事件3件、営業秘密侵害事件3件、独占禁止事件4件で、主に次の4点にを関連している。
1.知的財産権の保護レベルを強化し、イノベーション創造活力をさらに刺激
2.権利保護の難題に新たなルートを模索し、革新的方法でイノベーションを保護
3.平等保護の原則を維持し、市場志向、法の支配、国際化による一流のビジネス環境を構築
4.独占行為を厳格に規制し、市場の公平な競争秩序を維持

各事件の概要と意義は以下の通り:

(1)特許民事事件
1.中国初の医薬品特許リンケージ訴訟
 中外製薬株式会社vs温州海鶴薬業有限公司:(2022)最高法知民終905号
 【意義】中国特許法改正後の初めての後発医薬品特許リンケージ訴訟
2.「メラミン製造法」発明特許及び営業秘密の侵害訴訟
 四川金象赛瑞化工股份有限公司、北京烨晶科技有限公司vs山東华鲁恒升化工股份有限公司、寧波厚承管理咨询有限公司、寧波安泰环境化工工程设计有限公司、尹某氏:(2020)最高法知民終1559号、(2022)最高法知民終541号
 【意義】共同侵害行為と認定し、最高の損害賠償額2.18億元、内資と外資企業、国有と民営企業などの各種企業を平等に保護。
3.「橋梁伸縮継手装置」の標準必須特許侵害訴訟
 徐某氏、宁波路宝科技实业集团有限公司vs河北易德利橡胶制品有限责任公司、河北冀通路桥建设有限公司:(2020)最高法知民終1696号
 【意義】交通運輸部発行の標準規格の必須特許であり、ライセンシーの過失に対する特許権者による賠償請求を認定。
4.「動的パスワードUSBケーブル」実用新案特許侵害訴訟
 深圳市租电智能科技有限公司vs深圳市森树强电子科技有限公司など:(2022)最高法知民終124号
 【意義】不安定な特許無効宣言係属中に裁判審理を進める場合、当事者の利益の公平性や誠実性を考慮し、裁判所は当事者に自発的に補償の約定の奨励や指導可。
5.「固着式アンカーボルト」実用新案特許侵害訴訟
 福州百益百利自动化科技有限公司vs上海点挂建筑技术有限公司、张某氏:(2021)最高法知民終1066号
 【意義】侵害者の宣伝内容に基づき侵害規模と賠償額を総合的に決定、比較安価な部品で約5000万円の賠償額を認定。
6.「ガス化炉除塵装置及びシステム」2件の特許権帰属訴訟
 航天长征化学工程股份有限公司vs鲁西化工集团股份有限公司、聊城市鲁西化工工程设计有限责任公司:(2020)最高法知民終1652号、(2020)最高法知民終1293号
 【意義】共同開発の守秘義務に違反し改良技術を無断でした特許出願の帰属に関し、実質的な創造的技術貢献がなく改良技術に該当せず原告に帰属すると認定。
7.「縫合器と縫合針キット」の実案特許権及び発明特許出願権帰属訴訟
 浙江左元医疗技术有限公司vs万某氏:(2022)最高法知民終1330号、(2022)最高法知民終2365号
 【意義】元従業員による職務発明の権利化に対する帰属紛争であり、原告の立証不足を調停で解決。

(2)特許行政事件
8. 「L-オルニダゾール」2件の発明特許無効行政訴訟
 長沙市华美医药科技有限公司与国家知識産権局、南京圣和药业股份有限公司:(2020)最高法知行終475号、(2020)最高法知行終476号
 【意義】化合物の医薬品用途の進歩性(創造性)判断において、従来技術に具体的かつ明確な示唆があるか否か全面的かつ総合的に考慮しなければならないと一審判決を破棄、審決維持。
9.「コンピュータ装置活動のためのカードメタファー」発明特許無効行政訴訟
 アップルコンピュータ貿易(上海)有限公司vs国家知識産権局、クアルコム:(2021)最高法知行終1号
 【意義】国際的に有名な科学技術企業間の紛争、技術的解決策のいくつかの技術的特徴の相互依存による相乗効果での特定の機能が実現される場合進歩性があると判示し、審決維持。
10. 「リバロキサバン製剤」発明特許侵害行政裁決不服訴訟
 南京恒生制药有限公司、南京生命能科技开发有限公司vs南京市知識産権局、バイエル知識産権有限责任公司:(2021)最高法知行終451号、(2021)最高法知行終702号
 【意義】南京市知的財産権局はバイエル社から特許侵害処理を申立てを受け、両社のウェブサイト出の販売の申し出ははBolar条項例外に該当せず侵害停止を裁決、裁判所もこれを維持。

(3)植物新品種事件
11.「YA 8201」トウモロコシ植物新品種権利侵害訴訟
 四川雅玉科技股份有限公司vs雲南金禾种业有限公司、雲南瑞禾种业有限公司:(2022)最高法知民終783号、(2022)最高法知民終789号
12.「楊氏金紅1号」キウイ植物新品種権利侵害訴訟
 四川依顿猕猴桃种植有限责任公司vs馬辺彝族自治県石丈空猕猴桃专业合作社:(2022)最高法知民終211号
13.「彩甜糯6号」雑種トウモロコシ親植物新品種侵害訴訟
 荆州市恒彩农业科技有限公司vs鄭州市华为种业有限公司、甘肃金盛源农业科技有限公司:(2022)最高法知民終13号

(4)営業秘密事件
14. 雑種トウモロコシ新品種親本「W68」営業秘密侵害訴訟
 河北华穗种业有限公司vs武威市搏盛种业有限责任公司:(2022)最高法知民終147号
 【意義】最高人民法院が初めて審理した繁殖材料の営業秘密侵害事件で、作物育種の過程で形成される育種中間体、近交系親などは、育種家の創造的労働の知的成果であり、技術情報と担体の両方の特徴があり、不可分であり、一般に知られず、相応の秘密保持措置を講じられていれば営業秘密として法的に保護できると判示。
15.「石油・ガス微生物探査」営業秘密侵害訴訟
 盎亿泰地质微生物技术(北京)有限公司vs英索油能源科技(北京)有限责任公司、罗某氏、李某氏、胡某氏、张某氏:(2021)最高法知民終1363号
 【意義】元従業員が新会社を設立し、元勤務先の営業秘密を侵害した事件で明らかに主観的悪意があり原告の取引会を不当に奪取したとして、被告企業のすべての利益を侵害利益と認定。
16.「有客多」ウィジェットソースコード営業秘密侵害訴訟
 深圳花儿绽放网络科技股份有限公司vs浙江盘兴数智科技股份有限公司、浙江盘石信息技术股份有限公司:(2021)最高法知民終2298号
 【意義】営業秘密のソースコードを契約により開示を受けた被告が守秘義務に違反して公開した事件で、商品価値の判断に研究開発費、当該技術秘密の実施収入、期待利益、競争上の優位性を維持するための時間などを総合的に勘案できると判示。

(5)独占事件
17.給排水公的企業による市場の支配的地位の濫用限定取引訴訟
 威海宏福置业有限公司vs威海市水务集团有限公司:(2022)最高法知民終395号
 【意義】裁判所が初めて暗黙の取引制限を認定した独占事件で、独占禁止法での取引の制限は事業者が取引相手の自由な選択を実質的に制限しているかどうかであり、限定取引行為が明示的直接的でも、暗黙的間接的でもよいことを明確化。
18.中国スーパーリーグ画像独占授権での市場の支配的地位の濫用訴訟
 体娱(北京)文化传媒股份有限公司vs中超联赛有限责任公司、上海映脉文化传播有限公司:(2021)最高法知民終1790号
 【意義】原告が入札に参加したが落札できなかったことだけで、民事権利の排他性或いは排他的民事権利自体が独占禁止法の予防と規制の対象ではないことを判示。
19. ゼネラルモーターズの最低再販価格限定に関する垂直独占契約後継訴訟
 缪某vs上汽通用汽车销售有限公司、上海逸隆汽车销售服务有限公司:(2020)最高法知民終1137号
 【意義】独占禁止法執行機関が独占の行政処罰後、消費者が独占行為による損害賠償を主張した独占禁止後継民事訴訟で、原告の立証負担がないと判断され、独占禁止での行政法執行と司法連携が現実された。
20.茂名コンクリート企業協同行為水平独占協議行政処罰不服訴訟
 茂名市电白区建科混凝土有限公司vs広東省市场监督管理局:(2022)最高法知行終29号
 【意義】水平独占合意における「その他の協同行為」には明確な合意や決定が直接現れないため、隠蔽性が強く、実務上認定に難があるが、当事者の意思連絡、情報交流と値上げ行為の一致性から水平独占合意を認定した。また、罰金の算定での「前年度売上」の「前年度」は処罰を行った時点と時間的に最も近く、事実上最も関連する違法行為が存在する年度として確定することを明確化。

参照サイト:https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-394812.html

【中国】「最高人民法院知的財産権法廷裁判要旨(2022)」の公示(3月30日)

最高人民法院は、3月30日付、「最高人民法院知的財産権法廷裁判要旨(2022)(最高人民法院知识产权法庭裁判要旨摘要(2022))」を公示し、2022年に審理された3468件の知的財産権の技術類と独占の事件から61件の典型事例を抽出し、以下の6カテゴリーに75の要旨にわけ、各界の研究と参考のために発表した。
1.特許行政事件 (13件)
2.特許民事事件 (31件)
3.植物新品種事件 (8件)
4.営業秘密事件 (10件)
5.独占事件 (12件)
6.訴訟手続き (1件)

(1)特許行政事件
1.ビジネスモデルの特許性(2021)最高法知行終382号
2.特許出願明細書の暗示的な開示内容に基づく請求項の追加は補正違反(2021)最高法知行終440号
3.必要な技術的特徴欠如の判断(2021)最高法知行終987号
4.最も近い従来技術の選択(2019)最高法知行終235号
5.特許進歩性判断における「合理的な成功予測」(自明性)の考慮(2019)最高法知行終235号
6.発明思想の違いの改良動機及び技術的示唆(進歩性)に及ぼす影響(2022)最高法知行終316号
7.新規性喪失例外適用期間(2020)最高法知行終588号
8.特定の欠陥を有する技術的解決案の実用性の判断(2022)最高法知行終68号
9.部品意匠に関する一般消費者の判断(2021)最高法知行終464号
10.機能性と美観性を備えた意匠設計の全体的視覚効果に及ぼす影響(2021)最高法知行終464号
11.特許権期限満了通知に対する訴求可能性(2022)最高法知行終54号
12.ライセンス販売行為の認定(2021)最高法知行終451号
13.不特定第三者に対するライセンス販売行為は医薬品と医療機器の非行政審査対象(2021)最高法知行終451号

(2)特許民事事件
14.クレーム解釈での明細書での特定技術用語の定義と具体的実施形態の識別(2020)最高法知民終580号
15.クレーム解釈における外部証拠使用の規則(2020)最高法知民終580号
16.発明名称がクレーム保護範囲を限定する役割(2020)最高法知民終1469号
17.均等侵害判断における背景技術、発明の目的の考慮(2021)最高法知民終860号
18.同日出願された発明特許と実用新案特許による連帯保護(2020)最高法知民終1738号
19.被疑侵害製品製造者の認定(2021)最高法知民終1784、1840号
20.複数の主体による方法特許侵害判断(2022)最高法知民終817号
21.黙示の特許ライセンスの認定(2022)最高法知民終139号
22.先行技術による抗弁の基本的事実の合法性(2020)最高法知民終1568号
23.合法的出所による抗弁の適用対象(2021)最高法知民終434号
24.「製品情報記載なし商品」の合法的出所の抗弁の認定(2021)最高法知民終1138号
25.貸与製品を使用した合法的出所の抗弁(2021)最高法知民終1118号
26.合法的な出所の抗弁の主観的要件(2022)最高法知民終593号
27.標準必須特許侵害事件における差止救済(2022)最高法知民終817号
28.部品製品特許侵害の損害賠償算定基礎の選択(2020)最高法知民終589号
29.権利侵害者による公表経営業績は損害賠償算定根拠(2021)最高法知民終1066号
30.権利侵害和解後の再犯は懲罰的賠償対象(2022)最高法知民終871号
31.特許権者の特許無効手続支出は特許侵害事件で合理的支出に非該当(2022)最高法知民終1165号
32.合法的な出所の抗弁が成立した使用者に合理的支出の負担義務(2021)最高法知民終1406号
33.特許無効後の調停書での支払済みのライセンス料には公平性を適用(2021)最高法知民終1986号
34.特許侵害訴訟における非合法収集証拠の認定【案号】(2022)最高法知民終222号
35.有効性に疑義のある特許侵害事件で将来の利益補償に誘導【案号】(2022)最高法知民終124号
36.特許詐称行為での権利侵害及び損害賠償の法的根拠(2021)最高法知民終2380号
37.特許権非侵害確認訴訟の審理範囲(2020)最高法知民終696号
38.非侵害訴訟における「合理的期限内の提訴」の認定(2021)最高法知民終2460号
39.権利帰属紛争期間のPCT出願人の善管注意義務(2022)最高法知民終130号
40.職務発明権利権属紛争における発明者確認と権利帰属の併合審理(2021)最高法知民終2146号
41.職務発明の発明者奨励報酬の支払主体の決定(2021)最高法知民終1172号
42.後発医薬品申請者の4.2類陳述と医薬品特許クレームの対応関係(2022)最高法知民終905号
43.医薬品特許リンケージ訴訟における後発医薬技術の判断基準(2022)最高法知民終905号
44.医薬品特許リンケージ訴訟は「先行裁定、別途提訴」を適用(2022)最高法知民終2177号

(3)植物新品種事件
45.審査機関に非保存の標準サンプルの無性繁殖許可品種の保護範囲の決定(2022)最高法知民終782号
46.ハイブリッドトウモロコシ品種と親品種の親子関係の認定(2022)最高法知民終13号
47.植物新品種特異性判定における既知品種の決定(2021)最高法知行終453号
48.許可品種繁殖材料を繰り返し使用した別の品種の繁殖材料の侵害判定(2022)最高法知民終13号
49.無性繁殖授権品種の栽培行為の侵害判定(2022)最高法知民終435号
50.品種権者による侵害停止請求に代わるライセンス料を支払請求認可(2022)最高法知民終211号
51.交配品種の親植物の新品種権の侵害利益の寄与率(2022)最高法知民終783、789号
52.権利侵害繁殖材料の不活化処理後の損害賠償責任の負担(2021)最高法知民終2105号

(4)営業秘密事件
53.交雑種の親は営業秘密保護の対象(2022)最高法知民終147号
54.図面を営業秘密の担体とする場合の技術秘密の内容決定(2021)最高法知民終2526号
55.営業秘密保護のための技術案の認定(2020)最高法知民終1889号
56.繁殖材料の秘密保持性の認定(2022)最高法知民終147号
57.共同侵害行為における主観的過失の主要な3つの情況(2022)最高法知民終541号
58.営業秘密侵害事件における共同故意侵害の認定及び責任(2022)最高法知民終541号
59.営業秘密侵害事件における製造者の販売停止責任(2022)最高法知民終541号
60.営業秘密侵害者による技術秘密媒体の廃棄責任及びその実施方法(2022)最高法知民終541号
61.営業秘密侵害での賠償の約定の決定と処理(2021)最高法知民終1687号
62.営業秘密侵害損害賠償確定における事業機会要因の考慮(2021)最高法知民終1363号

(5)独占事件
63.特許侵害訴訟による和解協議での独占禁止審査(2021)最高法知民終1298号
64.独占禁止行政処罰決定の後継民事賠償訴訟における証明力(2020)最高法知民終1137号
65.ストック住宅売買仲介サービス関連市場の認定(2020)最高法知民終1463号
66.仲介サービス市場シェアの評価指標(2020)最高法知民終1463号
67.その他の協同行為の認定(2022)最高法知行終29号
68.共同市場支配的地位の認定における行為一貫性を考慮(2021)最高法知民終1977号
69.スポーツ競技における事業権利の独占的授権に関する独占禁止審査(2021)最高法知民終1790号
70.公共事業者の取引行動の暗黙の制限の決定(2022)最高法知民終395号
71.再販商品の最低価格を制限する垂直独占契約における損害賠償(2020)最高法知民終1137号
72.限定取引行為による損害の認定(2022)最高法知民終395号
73.独占禁止法による消費者権益の保護(2021)最高法知民終1020号
74.独占禁止法の罰金規定における「前年度売上高」における「前年度」の確定(2022)最高法知行終末29号

(6)訴訟手続き 
75.訴訟の過程では専門的問題の鑑定要否を考慮(2022)最高法知民終541号

判決文の翻訳が必要な場合、当社にご用命ください。

参照サイト:https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-394832.html

【中国】2021年度知的財産権行政保護典型事例公示(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日付、2021年度知的財産権行政保護典型事例として、特許権紛争10件、商標権紛争10件、地理的標識その他の紛争10件を公示した。概要は以下の通り:

〇特許行政保護典型事例
1.広東省広州市白雲区:ガラス瓶意匠特許権侵害再犯事件
 対象特許:ZL201430342259.5 馮敏
 侵害者:広州利仕佳生物科技工程有限公司
 2019年の侵害差止行政処分後行政不服訴訟でも請求棄却、以後侵害行為の継続
 特許法65条、広東省専利条例違反、違法所得10,300元没収、罰金3.6万元
2.上海市: 耐酸性乳酸菌の発明特許権侵害事件
 対象特許:ZL200780015449.3 BIOGAIA AB(Sweden)
 侵害者:上海箐護母嬰用品有限公司
 特許法65条違反、行政差止処分
3.河北省石家庄市:メシル酸レンバチニブ薬剤の販売の申し出によるの発明特許権侵害事件
 対象特許:ZL01819710.8  衛材 R&D 管理有限公司
 侵害者:河北智恒医薬科技股份有限公司(オンラインサイト)
 特許法65条違反、行政差止処分
4.山東省青島市;家具の意匠特許権侵害事件
 対象特許:12件の意匠特許権  美克国際家居用品股份有限公司
 侵害者:豊宝旭家具商行
 類似意匠による特許法65条違反、専利行政執行弁法を運用し行政差止処分
5.広東省深圳市:風呂用椅子の意匠特許権侵害事件
 対象特許:ZL201630533112.3  陳順紅
 侵害者:深圳市雅麗興実業有限公司(オンラインサイト) 申立人:摩西某社
 類似意匠による65条特許法、深圳経済特区知識産権保護条例違反、行政差止処分
6.安徽省全椒県:飲料用瓶(白瓶)の意匠特許権侵害事件
 対象特許:ZL201730022291.9 江蘇蘇薩食品有限公司
 侵害者:全椒県平安超市など10店舗
 類似意匠による特許法65条、安徽省専利条例違反、行政差止処分
7.寧夏ウイグル族自治区銀川市:無煙タバコ用パッケージの意匠特許権侵害事件
 対象特許:ZL201230312419.2 寧夏石豊元科技有限公司
 侵害者:金石源(寧夏)科技有限公司
 類似意匠による特許法65条違反、行政差止処分
8.江蘇省南京市:ECサイトで23件の特許虚偽表示事件
 侵害者:南京美貝爾美容医院有限公司
 特許法68条、広告法、反不正当競争法違反 罰金30.39万元
9.北京市:インテリジェント洗浄装置の実用新案特許権侵害事件
 対象特許:ZL201721278070.9 深圳洛克時代科技有限公司
 侵害者:某科技(蘇州)有限公司 申立人:北京某世紀科技股份有限公司
 特許法65条違反、行政和解、和解書を北京知識産権法院で司法確認
10.吉林省白城市:「厨房粗大ごみ選別システム」発明特許の発明者報酬調停事件
 対象特許:ZL202011145035.6 佳园再生科技有限公司
 申立人:発明者の李某氏
 特許法16条、実施細則第77条、第78条違反 報酬契約締結、年次営業利益の2%とライセンス契約使用料の10%、裁判所で民事裁定書作成

〇商標行政保護典型事例
1.上海市松江区:上海麦浅貿易有限公司など悪意商標登録出願事件
 侵害者:上海麦浅貿易有限公司、江蘇窖真酒業有限公司など 6社,夥同麦浅知識産権代理(上海)有限公司
 商標法4条、68条、商標出願行為を規範化のための若干の規定3条違反 出願1058件・登録504件に対して警告、違法所得 2.3 万元没収、罰金9.5万元
2.浙江省温州市:“華昊”馳名商標侵害事件
 対象商標:6864591 号“华昊” 24類プラスチック材料(繊維代用品) 華昊無紡布有限公司
 馳名商標:7442473 号“华昊” 17類断熱材 江蘇華昊建設工程有限公司
 侵害者:温州優貝格無紡布制品有限公司 申立人:華昊無紡布有限公司
 商標実施条例72条 馳名商標認定の紛争あり、プラスチックフィルム侵害品の廃棄処分
3.広西チワン族自治区百色市右江区:“協和医院”など 登録商標権侵害事件
 対象商標:8902069 号“図形+协和医院 ”、8902075 号“建物図形”44類病院 中国医学科学院北京協和医院
 侵害者:百色科健医院
 商標法57条、60条違反 “百色协和医院”の著名商標に対するフリーライドによる侵害停止、罰金5万元
4.北京市通州区:“環球影城” 登録商標権侵害事件
 対象商標:31639187 号“环球影城”43類ホテル  UNIVERRSAL CITY SYUDIOS LLC
 侵害者:北京德業雲天酒店管理有限公司
 商標法57条、60条違反 Web,WeChatなどで称号の一部に使用し違法所得514.90万元、罰金10万元
5.山東省日照市:“STIHL” など登録商標権侵害事件
 対象商標:1445026 号“STIHL”、9137205 号“製品図形 ”7類チェーンソー ANDREAS STIHL AG & CO. KG
 侵害者:武義凱航工具製造有限公司、烏茲別克斯坦某公司
 商標法57条、60条違反 侵害品630台没収、罰金3万元

6.湖南省長沙市雨花区:“茶顔悦色” など登録商標権侵害事件
 対象商標:15335343 号“ 茶顔悦色”、 23460067 号“女性図形”30類茶飲料 湖南茶悦文化産業発展集団有限公司
 侵害者:許昌茶顔悦色食品有限公司、湖南高橋大市場露露商行(合法的出所立証も再犯)
 商標法57条、60条違反 侵害品368個、違法所得9.31万元に侵害停止、罰金30万元
7.江蘇省江陰市:LV、CHANELなど登録商標権侵害事件
 対象商標:LV、CHANELなど多数
 侵害者:江陰市澄北衣之獨秀服裝店(オンラインサイト)
 商標法57条違反 商標25件、関連商品1640個、違法所得200万元のため行政法執行機関犯罪嫌疑事件移送規定3条により刑事移送
8.湖北省十堰市張湾区:“TVT”登録商標権侵害事件
 対象商標:207927 号“TVT”6類バルブ 天津塘閥閥門制造有限責任公司
 侵害者:武漢華盛電子有限責任公司
商標法57条、60条違反 消防バルブ150個に侵害停止、罰金25万元
9.浙江省永康市:カーメーカーの登録商標の偽造、侵害事件
 対象商標:ベンツ、アウディ、ポルシェなど多数
 侵害者:永康市普燁五金製品廠
 商標法57条、60条違反 135登録商標135件を部品やエンブレムなど1万個に侵害品没収、商標標識廃棄、罰金25万元
10.天津市和平区:天津市麦購商業管理社ほかの商標権侵害事件
 侵害者:麦購休閑広場マーケットの複数の店舗、天津市麦購商業管理理有限公司
 商標法60条、実施条例57条、75条違反 マーケットの複数の店舗による商標権侵害商品販売と黙認した管理者会社の監督責任に罰金4万元

〇地理的標識、オリンピック標識などでの10大典型事例
1.広東、江西、湖北、湖南省:“馬壩油粘米”の地理的標識侵害事件
 地理的標識“马坝油粘米”
 侵害者:生産主体11社(オンラインサイト)
 製品質量法5条、食品安全法71条、反不正当競争法6条、地理的標識製品保護規定21条
 違法製品172袋,包装袋 3336 個を没収、違法所得2.41 万元、罰金14.85 万元
2.浙江省三門県:“三門青蟹” パッケージ作成による証明商標権侵害事件
 商標権:3897098 号“図形+三門青蟹”、8136757 号“三門青蟹”  カニ(生もの)
 侵害者:章某氏、黄某氏
 商標法57条、60条違反、侵害品と金型没収、罰金2.5万元
3.湖北省洪湖市:“洪湖蓮藕”を農産物に使用による証明商標権侵害事件
 商標権:31756376 号“洪湖蓮藕+図形”  レンコン
 侵害者:武漢市強鑫蔬菜産銷専業合作社
 商標法57条違反、罰金277.25万元
4.山東省煙台市:“BORDEAUX”団体商標権侵害事件
 商標権:19564618 号“BORDEAUX“ 
 侵害者:煙台金沙岸葡萄酒有限公司
 商標法57条、地理標識保護規定21条、外国地理的標識商品保護弁法違反、侵害品828本没収、罰金5万元
5.北京市朝陽区:“冬奥”イベント広告に使用による オリンピック標識侵害事件
 侵害者:北京卡路里体育有限公司(WeChat)
 オリンピック標識保護条例4条,5条違反 罰金5万元
6.江蘇省南京市:“オリンピック五輪図案”付きマスク販売によるオリンピック標識侵害事件
 侵害者:南京紐絮商貿有限公司ほか(天猫オンライン店舗)
 オリンピック標識保護条例4条違反 侵害品没収、罰金24.56万元
7.安徽省馬鞍山市:“奥运”“奥林匹克”など広告に使用によるオリンピック標識侵害事件
 侵害者:馬鞍山奥潤房地産開発有限公司、馬鞍山新華広告有限公司、皖江晩報社
 オリンピック標識保護条例4条違反 罰金各10万元、1万元(最後の会社)
8.安徽省亳州市譙城区:「中華人民共和国成立70周年活動標識」の特殊標識侵害事件
 侵害者::亳州市醉陶坊酒業有限公司(オンライン店舗)
 特殊標識管理条例16条違反 違法所得7332.85元没収、罰金14,700元
9.広東省広州開発区:「中国共産党成立100周年慶祝活動標識」の特殊標識侵害事件
 侵害者:広州騰徽五金製品有限会社
 特殊標識管理条例16条違反 侵害品没収、罰金2,800元
10.浙江省杭州市拱野区:「2022年第19回アジア大会マスコット」の特殊マーク侵害事件
 侵害者:杭州市拱野区舞房子舞踏用品商行
 特殊標識管理条例16条違反 侵害品没収、違法所得1,400元、罰金2800元

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/4/26/art_53_175218.html

【中国】 2021年度商標異議及び評審典型事例の公示(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日付、2021年度特許商標異議及び評審の典型事例9件を公示した。その概要は以下の通り:

1.商標出願37486163号“法雷奥”(21類)異議申立事件
  (2021)商標異字第0000015561号
  出願人:東莞市智可班貿易有限公司
  申立人:VALEO
  要旨:多数の悪意出願に適切な対応がされた。

2.商標出願35539392号“子腊贡米ZILAGONGM+図”(30類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第0000015561号
  出願人:花垣県石欄鎮子臘村錦秀農業専業合作社
  申立人:花垣県品牌保護発展学会
  要旨:地方の特色ある農産物の商標出願行為を規制し、公平な競争市場秩序が維持された。

3.商標出願42073902号“诗词大会”(16類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第0000084470号
  出願人:河南好字学堂文化伝播有限公司
  申立人:中央電視台
  要旨:有名TV番組の名称に類似する商標の悪意先取り登録に適切な対応がされた。

4.商標出願33696336号“LAB HERCULES”(5類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第000008299号
  出願人:深圳我要発科技有限公司(代理人:深圳好牌品牌管理有限公司)
  申立人:上海睿雅実業有限公司
  要旨:代理人による悪意先取り、買いだめ商標登録行為に適切な対応がされた。

5.商標出願46826528号“七个桔儿”(35類)異議申立事件
  (2021) 商標異字第0000148652号
  出願人:紹興恒熙商貿有限公司
  申立人:蕲春七个桔児文化伝媒有限公司
  要旨:有名オンライン生放送ブランドの先取り商標登録行為に適切な対応がされた。

6.商標出願41971424号“冰墩熊Temperament Bea+図”(42類)却下再審事件
  商評字[2021]第0000007791号
  出願人:郭石偉
  要旨:北京2022年冬季五輪とパラリンピックのマスコットキャラクターを剽窃した商標登録行為に適切な対応がされた。

7.登録商標16647402号“康涅克”(33類)無効取消事件
  商評字[2021]第0000299642号
  権利者:浙江臻酒網絡科技有限公司
  申立人:フランス国立コニャック産業局
  要旨:地理的標識を剽窃した商標登録行為に適切な対応がされた。

8.登録商標29135506号“麦乐兹MAILEZI”(30類)無効取消事件
  商評字[2021]第0000231565号
  権利者:香港誉豊集団(国際)有限公司
  申立人:McDonald’s
  要旨:他人の知名商標を商品やサービスに400を超える商標を先取り登録した商標登録行為に適切な対応がされた。

9.登録商標36878950号“姚安娜”(3類)無効取消事件
  商評字[2021]第0000039624号
  権利者:郭輝
  申立人:姚思為、華為技術有限公司
  要旨:有名な一般人の氏名権を保護し、悪意のある商標先取り登録行為に適切な対応がされた。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/4/26/art_53_175221.html

【中国】 2021年度特許無効10大事件の公示(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日付、2021年度特許無効10大事件を公示した。その概要は以下の通り:

1.名称:新規のスルホンアミド系化合物とそのエンドセリン受容体拮抗剤としての応用
 特許番号:発明特許ZL01820481.3
 特許権者:Eckert Rhein Pharmaceuticals Ltd.
 無効申立人:南京正大天晴製薬有限公司
 結論:補正後有効維持
 要旨:薬品化合物審判の典型的な事例で、優先性の認定、形態素化合物の十分な開示の判断、化合物の進歩性の判断の例示となる。

2.名称: 置換多環式カルバモイルピリドン誘導体のプロドラッグ
 特許番号:発明特許ZL201180056716.8
 特許権者:塩野義製薬株式会社
 無効申立人: 劉奕彤
 結論:有効維持
 要旨: 明細書に記述される技術的効果を正しく評価し、マーカシュクレームが明細書によりサポートされ得るかどうかの判断の例示となる。

3.名称: 画像取得によるネットワーク接続を取得するためのデータ伝送方法及びそのシステム
 特許番号:発明特許ZL201010523284.4
 特許権者:上海科斗電子科技有限公司
 無効申立人: 掌閲科技股份有限公司
 結論:無効
 要旨:当事者がその請求を撤回しても審理手続きが終了しない法律規定に対する解釈において特許権者と社会公衆の利益を合理的にバランスさせる判断の例示となる。

4.名称: 左心耳閉塞器
 特許番号:発明特許ZL201310567987.0
 特許権者:先健科技(深圳)有限公司
 無効申立人: 蔡景莉
 結論:無効
 要旨: 新規性グレース期間の適用を解釈した決定で、特許権者は他人が自分の同意なしに技術内容を開示したことを知った場合、必要な申告を速やかに履行する義務があるとの判断の例示となる。

5.名称: 軸流ファン
 特許番号:発明特許ZL200710026747.4
 特許権者:広東美的制冷設備有限公司
 無効申立人: 珠海格力電器股份有限公司
 結論:無効
 要旨: 一方が委託した鑑定書の証拠能力の判定とパラメータ定義のある製品クレームと公開証拠を用いた技術対比に対する判断の例示となる。

6.名称: イメージセンサCS3825C
 集積回路配置設計登録番号:BS.175539928
 特許権者:珠海市矽旺半導体有限公司
 無効申立人: 深圳市芯智鋭光电科技有限公司
 結論:有効維持
 要旨: 専有権保護対象、独創的な審理範囲、申請登録期限の判断の例示となる。

7.名称:計器ケース
 特許番号:意匠特許ZL201030122941.5
 特許権者:福建順昌虹潤精密儀器有限公司
 無効申立人: 厦門希科自動化科技有限公司
 結論:無効
 要旨:判断主体である「一般消費者」が持つべき知識レベルと認知能力を明示し、各設計の特徴が全体的視覚効果に及ぼす異なる影響のレベルの判断の例示となる。

8.名称: 防爆装置
 特許番号:実用新案特許ZL201521112402.7
 特許権者:寧徳時代新能源科技股份有限公司
 無効申立人:東莞塔菲爾新能源科技有限公司ほか
 結論:補正後有効維持
 要旨: 新エネルギー分野における構造類製品の創造性判断の典型例で、技術的示唆があるかどうかを判断する際に区別特徴間の関係に注目する必要があることの判断の例示となる。

9.名称: キノリン誘導体による潜在性結核治療薬
 特許番号:発明特許ZL201210507318.X
 特許権者:Jensen Pharmaceutical Co., Ltd.
 無効申立人: 王立群
 結論:補正後有効維持
 要旨:医薬用途発明の進歩性の判断において、「成功合理的な期待」があるかどうかを正確に評価すべきであることことの判断の例示となる。

10.名称: 給排水用のライブジョイント
 特許番号:実用新案特許ZL201920390483.9
 特許権者:浙江天雁控股有限公司
 無効申立人:孟祥麟 
 結論:有効維持
 要旨:優先権の証拠を確認するとき、本国優先権文書の立証責任の分担と取得ルートの判断の例示となる。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/4/26/art_53_175222.html

【中国】 市場監督部門による2021年典型的知的財産執行事例

国家市場監督管理総局は、4月21日付、市場監督部門による2021年典型的知的財産執行事例20件を公表した。当該事件は以下の通りであるが、知的財産代理機構による不正事件が散見される。

1.浙江省新昌県:浙江中野農業機械装備社によるJohn Deere社の登録商標専用権侵害事件
  違法取引370億元、侵害トラクター1台没収、違法所得4.6万元没収、罰金1,055万元
2.江蘇省睢寧県:優尚輸出入貿易(睢寧)社によるCostco Wholesale社の登録商標専用権侵害事件
  Taobaoサイトでの違法取引211億元、侵害品没収、罰金105万元
3.遼寧省鞍山市:刑事告訴による鉄東区小張通信部品社の登録商標専用権侵害事件
  “HUAWEI”“”“Samsung”などを付した携帯電話用バッテリー販売、違法所得没収、罰金26.3万元
4.江西省安遠県:江西宇暉実業社によるAkzoNobel社の登録商標専用権侵害事件
  外的塗料販売、侵害品324缶没収、罰金5万元
5.広西チワン族自治区南寧市:南寧中囲石油化学社による中国石油化学社の登録商標専用権侵害事件
  誤認混同を目的とした類似商標使用 罰金60万元
6.安徽省亳州市譙城区:安徽金口酒業社による「馳名商標」文字使用事件
  広告や展示会での「馳名商標」文字の使用 罰金10万元
7.貴州省威寧イ族回族ミャオ族自治県:張氏による他人の登録商標標識を無断印刷事件
  タバコ外箱包装紙に許可なく“云烟”“紅塔山”などの登録商標を1億件以上印刷、執行妨害、刑事移送
8.湖北省保康県:孟氏による商標専用権侵害のための便宜供与事件
  白酒用の瓶、キャップ、ラベルなどを侵害と知りながら提供し侵害幇助 罰金17万元
9.江蘇省南京市:南京健波防護用品社によるオリンピックマーク専有権侵害事件
  五輪が印刷されたマスク6万枚の販売 罰金18万元
10.重慶市涪陵区:涪陵搾菜集団社によるオリンピックマーク専有権侵害事件
  「東京オリンピック」を含む宣伝写真をウェブサイトに利用 罰金15万元
11.広東省佛山市:佛山市愛佳衛生用品社の特許虚偽表示事件
  未登録の特許出願を特許と表示かつ当該技術未使用のおむつ製品を300箱販売 特許表示削除、違法所得6.8万元没収、及び罰金同額
12.北京市海淀区:北京卓一慧衆知識産権代理社による商標代理市場秩序混乱事件
  商標出願委託者に対する不適切な対応 警告処分、罰金2万元 
13.天津市紅橋区:天津企業承信泰知識産権代理社による不正競争手段での商標代理市場秩序混乱事件
  コンフリクトのある競合会社から業務受任 罰金2.5万元および経営者の張氏1.5万元、鄭氏に1万元の罰金
14.アモイ市:厦門参玖参科技社による不正競争手段での商標代理市場秩序混乱事件
  異なる委託者のために同一商標出願を受任 警告と罰金2.35万元および経営者にも警告と罰金11750元
15.四川省:四川徳龍商標代理社による不正競争手段での商標代理市場秩序混乱事件
  地理的表示の出願において虚偽の証拠を提出 罰金4万元及び経営者罰金2万元
16.上海市松江区:麦浅知識産権代理(上海)社などの悪意ある登録商標出願事件
  商標先取り登録のために6つの会社を登録し、商標出願1058件、登録商標504件、商標譲渡32件で違法所得2.4万元 違法所得2.4元没収、罰金16.5万元。
17.深セン市:潘氏の悪意商標出願事件
  著名なスポーツ選手の氏名を無断で商標出願 警告、罰金5000元。
18.山東省煙台市:君鼎(煙台)知識産権代理社による特許代理事件
  ハイテク認定補助金を狙った23件の特許出願 違法所得4万元没収、罰金8万元。
19.湖南省:湖南協遠知識産権服務社による無段特許代理事件
  特許出願代理資格なく55件の特許出願代理 違法所得29850元没収、罰金29,850元。
20.甘粛省蘭州合創知識産権代理服務社による無段特許代理事件
  特許出願代理資格なく18件の特許出願代理 違法所得80740元没収、罰金161,480元

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/202204/t20220421_341456.html

【中国】最高人民法院による独占禁止と不正競争指針と典型事例の記者発表会(9月27日)

最高人民法院は、9月27日、8月30日の中央包括的深化改革委員会第21回会合が開催され、習近平総書記出席の独占禁止の強化と公正な競争政策の徹底的な実施が社会主義市場経済システムを改善するための固有の要件であるとの発言を受けて、人民法院の独占禁止及び不正競争関連の裁判のための指針が作成された。裁判所は主に不正競争の裁定を担っているといえる。これを受けて、今後の基本方針と典型事例10件が発表された。

1.基本指針
(1)裁判の役割を十分に発揮し、公正な競争のための法的環境を構築
 2018年~2020年に、全国の裁判所は不正競争民事事件の受理は14,736件、年平均18%増加した。独占民事事件の受理は158件、年平均で60件を超える。傾向としては営業秘密侵害事件などの増加と高額賠償、また新しい形態の事件として、データの権益保護、ネット事業者二拓問題、ビックデータなどSNSでも注目を受けている。

(2)司法解釈の積極的制定を推進し、規則制度を継続的に改善
 昨年以来、インターネット上の知財権、知財権の刑事保護、営業秘密、知財民事訴訟での証拠、懲罰的賠償など多数の司法解釈と規範性文書を発表したが、今後は不正競争分野、独占禁止(二)の司法解釈の制定を予定している。

(3)国家安全保障を維持するため、国内外の法治を調整
 OPPOとSisvel市場支配地位紛争(Frand)、TCLとEricssonの市場支配地位濫用紛争など世界的市場での独占事件など外国事件の司法管轄と域外適用の主導権問題に対応し、中国の司法主権と当事者の合法的権益を確実に守る。

(4)同時に複数の措置を講じて司法のサービス保証レベルを向上
 行政による独禁法の執行と司法の連携を強化し、行政法執行基準と司法裁判基準の統一を促進し、行政部門との情報交換などを含めた交流と協力を強化し、効率的な監督管理体制を共同で推進する。

2.不正競争と独禁法の典型事例(営業秘密侵害事件のみ概説)

(1)「優先鋸」営業秘密侵害事件 (2019)最高法知民終7号
 優鎧公司は離職した従業員が設立した路啓公司が販売する位置決め裁断機が技術秘密を使用しており、当該製品を使用した魯麗公司も併せて提訴した。第二審では現場での技術対比を行い切断方法と手順が技術秘密に該当するとして、侵害停止と600万元(約10,200万円)の賠償を命じた。なお、魯麗公司は証拠隠滅行為があり罰金が科せられた。原告の立証義務の軽減と証拠隠滅に対する司法の信義誠実の原則確保の意思表示がポイントである。

(2).「平編み機部品」営業秘密使用許諾契約紛争民刑事事件 (2019)最高法知民終333号
 慈星公司は必沃公司と平編み機の部品の製造委託契約を締結し技術図面を秘密保持契約を締結して供与したが、必沃公司が同一部品を外部に販売していることを発見し、契約違反を理由に製造販売差止及び損害賠償を求めて提訴した。一方、寧波市公安局は必沃会社が営業秘密侵害の疑いで立件捜査していた。第一審は営業秘密侵害に関係するとして、事件を公安局に移送したところ、被告は不服で控訴した。第二審は犯罪と紛争は異なる法律関係にあり、第一審は技術秘密使用許諾契約について審理をしなければならないと再審理を命じた。営業秘密侵害事件では刑事事件が並行するのは当然であるため、民事と刑事が同時処理されることがままあるが、公安は経済紛争を理由に立件を避け、裁判所は犯罪の嫌疑を理由に民事訴訟の避けるようなことがあり得るところ、本件では刑事責任と民事責任の両方が混同されずに適切に処理されたことがポイントである。

(3)「愛奇芸アカウント」不正競争事件 (2019)京73民終3263号
(4)「陸金所金融サービスプラットフォーム」不正競争事件 (2019)沪0115民初11133号
(5)「720ブラウザ広告遮断」不正競争事件 (2018)粤73民終1022号
(6)「微信データ権益」不正競争事件 (2019)浙8601民初1987号
(7)「ネット決済」行為不正競争事件 (2019)渝05民初3618号
(8)「公共企業」の市場支配地位濫用事件 (2018)桂01民初1190号
(9) 「煉瓦協会」独占紛争事件 (2020)最高法知民終1382号
(10) OPPOとSisvel 市場支配地位濫用事件 (2020)最高法知民轄終392号

参照サイト:http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-324471.html
      http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-324491.html