【中国】最高検察院2023年度活動報告(3月15日)

2024年3月8日の第14回全国人民代表大会第2回会議で最高人民検察院検事長が行った最高人民検察院活動報告が、3月15日付、同サイトに公示された。知的財産関係のコメントは以下の通り。

イノベーションによる発展の保障
 検察院は知的財産権事件を扱うための45の措置を打ち出し、総合的保護を強化する。商標権、特許権、著作権、営業秘密侵害などの犯罪を告訴人数は、1万8000人で前年比40.8%増加した。訴訟では営業秘密保護を強化し「二次秘密漏洩」を防止した。 知的財産権民事行政訴訟監督は、2,508件と前年比2.7倍であった。知的財産権分野の公益訴訟は、873件を処理した。知的財産権に関する悪意訴訟の特別監督を実施したが、某文化メディア会社による音楽ビデオ作品著作権者を偽装し悪意訴訟を5800件以上提起し、広東省、山東省など9つの省・市の検察機関が同時に法に基づき再審監督を指導し5人の犯罪容疑者の逮捕した特徴的な対応を行った。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/tt/202403/t20240315_649599.shtml

【中国】偽物・粗悪品製造販売犯罪典型事例(3月14日)

最高人民検察院は、3月14日付け、検察機関が法に基づき偽物・粗悪品の製造販売を処罰した模範となる典型的事例5件を発表した。
2023年に、中国の検察機関は、偽物粗悪品犯罪で8,503件14,560人を逮捕、18,777件38,936人を起訴し、行政法執行機関に偽物や粗悪品に関わる刑事事件1,634件1,778人を移送し、公安局に2,645件2,879人を刑事事件で立件するよう勧告した。最高人民検察院は、重大な偽物や粗悪品の刑事事件に監督と指導を強化するとともに、公安部、農業農村部、国家市場監督管理総局と共同で、偽造品や粗悪な農産物の製造・販売に関わる14件を刑事事件で処理した。さらに、国家著作権局及びその他の部門と共同で3 回に分けて 150 件の重大な侵害および著作権侵害事件の処理し、事件の大幅な進展を推進している。以下は、典型事例5件の概要である

事例1:解氏ら8名による粗悪レンジフード・ガスコンロ製造販売事件
概要:被告らは広東省や山東省から部品を購入しIROBAIN(老板时代)、OPAICN(广欧)などのブランドで粗悪レンジフードやガスコンロを製造し、WeChatで販売し、解氏など8名はそれぞれ228万元~21万元を売上げた。公安局は現場で偽造レンジフード408台とガスコンロ1,640台を押収し検査したところ、規格に不適合であった。
地域:江蘇省関雲県人民検察院、上訴棄却。
処罰:各被告ごと、禁固10年から1年、罰金120万元から1万元。
意義:(1)模倣品・粗悪家電製品の製造・販売犯罪を厳罰、(2)対象商品の品質とインターネットでの販売量を正確に把握。

事例2:袁氏ら4名による粗悪肥料、商標偽造肥料の製造販売事件
概要:被告らは某農業集団の保有する2つの登録商標を無断で使用し、WeChatやECサイトにショップを開設し、模倣品や粗悪な肥料を製造販売し、778万元以上を売上げた。また、品質は国家基準を満たさない不良品であった。
地域:山東省林樹県人民検察院
処罰:袁氏は禁固15年と罰金500万元、郭氏らは、禁固8年6か月から8年と罰金200万元から130万元、商標権侵害罪には禁固3年、執行猶予3年、罰金15万元の判決を追加された。
意義:(1)農業生産の安全を確保、(2) 検察機関と郡農業農村局を含む13部門の連携。

事例3:青島某生物科技有限公司ほかの有害催淫性食品販売事件
概要:被告らは、ホスホジエステラーゼ及びその誘導体等の成分の食品への添加を禁止することを知りながら錠剤キャンディを青海、浙江省の拠点でそれぞれ30万錠以上生産し、チャットアプリやECサイトで腎臓強化などの虚偽広告を掲載し、上海、青海省、安徽省などで販売し、130万元以上を売上げた。食品からは国が禁止する成分シルデナフィルが含まれていることが判明した。
地域:上海鉄道運輸検察局
処罰:被告企業には50万元の罰金。賈氏ら被告13人には5年3か月から8か月の禁固、一部の被告には執行猶予と44万元から3000元の罰金が併科された。
意義:(1) 有毒・有害食品の製造・販売の厳格取締、(2) 検察と警察の協力と執行連携メカニズムを強化

事例4:武氏らによる偽薬品販売事件
概要:被告らは、共謀して偽のアジブジン薬を共同製造し、2,700 箱以上販売、総額74.9万元を売上げた。対象薬物からはアジブジン成分は検出されなかった。
地域:河南省平頂山市湛河区人民検察院、二審で王氏に追加の禁固刑。
処罰:被告の武氏には禁固11年、罰金115万元の罰金、寧氏には禁固10年と罰金35万元、王氏には禁固6年、罰金2万元、被告の武氏と寧氏には懲罰的損害賠償が追加された。
意義:(1) 偽造医薬品の製造・販売の厳格取締、(2)犯罪と刑罰に相応の適用保証携

事例5:王氏ら約20名による登録商標偽造、商標虚偽表示パイプ継手販売事件
概要:被告の王氏らは浙江某パイプライン技術有限公司の登録商標の複数の登録商標を無断で使用し、PPR管継手を製造し、WeChatなどで販売し、総売上高は593万元を超え、不当利得は約50万元を超えた。葛氏、莫氏、魏氏などは模倣品であることを知りながら販売し、12.5万元から123.6万元を売上げた。
地域:浙江省新昌県人民検察院
処罰:被告の王氏には、登録商標偽造罪で禁固5年3か月、損害賠償101万元。葛氏、莫氏、魏氏など19人の被告に商標虚偽表示商品の製造販売罪で3年から8か月の禁固・執行猶予付きの禁固刑と罰金刑。肖氏と袁氏はそれぞれ懲役3年と懲役2年と罰金。民事賠償総額は280万元を上回った。
意義:(1)犯罪チェーンの捜査と適切な処罰、(2)刑民事による適切な権利者保護

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202403/t20240314_649482.shtml

【中国】公安部は双11前にネット権利侵害典型的刑事事件10件を公示(11月10日)

中国公安部は、11月10日、インターネット独身の日“双11”を前に、本2021年の「崑崙2021」の特別プロジェクトによりインターネットにおける権利侵害犯罪に対する対策をこれまで継続し1600件以上対策し、容疑者の検挙や偽物販売チェーンの分断など対策結果と典型的刑事事件10件を発表し、予防意識を呼び掛けた。

中国では、ここ数年、SNS-EC取引やライブストリーミングなどによる商品販売などの新業態、新モデルが発展し、ネットショッピングはすでに国民の消費の重要なルートとなっているところ、ニセモノや粗品の生産販売も増えており、消費者や有名メーカーの合法的な権益が侵害され、市場の公平な秩序も著しく乱されている。公安機関は特別プロジェクトにより健康や安全に危害を及ぼす権利侵害の犯罪事件を集中的に摘発し、「ライブストリーミング(直播帯貨」や「代行購入(海淘代購)」など海外の拠点を含むネットショッピングを利用して詐欺的にニセモノを販売する犯罪グループを集中的に摘発し、インターネットでの海賊版犯罪産業チェーンを排除、摘発し効果的に抑制したとしている。

典型事例は以下の通りで、いずれも高額大量販売が対象となっている。
1.山東省濰坊公安機関「3・23」、有毒有害ダイエット食品を製造販売事件
2.浙江省金華公安機関「7・05」、海賊版図書の印刷・販売事件
3.江蘇徐州公安機関「10・27」、偽ブランド保温カップ販売事件
4.河南省商丘公安機関「12・04」、偽ブランド偽羽毛布団を製造販売事件
5.広東省清遠公安機関「10・23」、偽ブランドドライヤー製造販売案件
6.黒竜江省チチチハル公安機関「6・10」、偽造ブランド腕時計の製造販売事件
7.遼寧省瀋陽公安機関「8・27」の偽造ブランドの内装建築材料を製造販売事件
8.山東省青島公安機関「4・12」の偽ブランド衣服や靴の製造販売事件
9.福建省莆田公安機関「7・13」、海外代理購入と偽った偽ブランド品販売事件
10.山西省太原公安機関「9・26」、偽ブランド衣服と鞄靴の販売事件

参照サイト:https://www.mps.gov.cn/n2253534/n2253535/c8200813/content.html

【中国】最高検察院による知的財産権司法保護と指導性事件の発表(2月8日)

最高検察院は、2月8日付、「法により知的財産権の司法保護サービスの強化、イノベーション型国家建設の保障」と題する新聞発表会を開催し、検察院での司法保護活動の状況及び第26回目となる指導性事件を公表した。主なポイントは以下の通り:

1.最高検察院は昨年11月に、知識産権検察弁公室を設置し、党中央の政策決定に従い、知的財産権にまつわる刑事、民事、行政の検察機能を統合し、一体化して事件を処理することを推進している。これに合わせて、北京、天津、上海など8省市の検察機関で一年間の知的財産権検査機能集中実施プロジェクトを実施している。
2.「検察機能を十分に履行し、知的財産権保護強化に関する意見」などを公布し、知的財産権に関わる事件の処理の規範化を進めた。特に、現実的ニーズに応え、刑事と民事の対応を総合的に運用し、商業秘密の司法保護を強化するために、技術調査や二次的漏洩メカニズムを健全化し、公平で秩序ある市場競争秩序を維持するよう努めた。
3.知的財産権保護のために部門間のコミュニケーションと協力を強化するために、関係機関と緊密に協力し、権利侵害や偽造品分野での情報共有プラットフォームの確立し共同推進を開始した。今後は政府組織やこくがいとの連絡や調整を行い、積極的に検察の機能を発揮し、知的財産権の全てのチェーン保護を強化し、知的財産権保護全体の効果を高める
4.知的財産権の刑事事件としては商標や著作権にかかるものが多数を占めるが、商業秘密犯罪の基本状況としては、事件数の増加幅は大きいが絶対数は少なく、起訴数は知財侵害刑事事件総件数の0.5%である。事件受理地域に偏りがあり、11の省での起訴受理数が全体の80%を占める。逮捕や起訴に至らない状況が多く、全刑事事件のよりそれぞれ10ポインと5ポイント高い。軽い処罰や執行猶予が多く、事件の約80%で被告人に懲役3年以下が言い渡される。犯罪の多くは企業のコア技術秘密で従業員或いは元従業員による犯罪である。
5.今回発表する指導性事件は、虚偽登録商標罪、虚偽偽登録商標商品販売罪、著作権侵害罪、商業秘密侵害罪が含まれる。犯罪手段としては伝統的な知的財産侵害犯罪やインターネット環境での新しいタイプの犯罪が含まれている。
 (1) 鄧秋城、双善食品(厦門)有限公司などの“STARBUCKS VIA”商標虚偽登録商標商品販売事件
 (2) 広州卡門実業有限公司の“KM”商標虚偽登録商標商品事件監督事件
 (3) 陳力など8人の著作権侵害事件
 (4) 姚常龍など五人の“CISCO”“HP”“HUAWEI”虚偽偽登録商標事件
 (5) 金義盈氏の営業秘密侵害事件

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zgjjxyfjqzscqsfbhfwbzcxxgjjsxwfbh/xwfbh.shtml
      https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbh/202102/t20210208_508826.shtml

【中国】最高検察院と公安部による「営業秘密侵害刑事事件の立件訴追基準」の改定(9月17日)

最高人民検察院と公安部は2020年9月18日に、「営業秘密侵害刑事事件の立件に関する訴追基準の改正に関する決定」の通知をウェブサイトに公示し、9月17日付発布された「最高人民検察院、公安部の営業秘密侵害刑事事件の立件に関する訴追基準の決定」の改正を施行した。

本決定の改正は、7月10日付で意見募集した「最高人民検察院、公安部の公安機関が管轄する刑事事件についての訴追基準の規定(二)」に対応するものと思われる。意見募集では、違法所得額や損失額を50万元としていたが、現行と同じ30万元となっている。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202009/t20200918_480430.shtml
仮訳

【中国】「行政執行機関による被疑犯罪事件の移送に関する規定」の改正施行(2020年8月7日)

国務院は、8月14日付、2020年8月7日に国務院令第730号で改正施行された「行政執行機関による被疑犯罪事件の移送に関する規定」を公示した。なお、本規定は、2001年7月に施行され、公安局(警察署)が事件に刑事事件の状況が見られる場合の検察への事件移送に関するものである。

追加条項は2つで、
第3条第2項「知的財産権分野の違法事件は、行政執行機関が調査に基づいて収集した証拠と明らかにされた事件の事実に基づき、犯罪の合理的な疑いがあると判断し、公安機関がさらに証拠を収集し、刑事事件として立件の訴追基準に達するかどうかを判断する必要がある場合、公安機関に移送しなければならない。」
第18条 関係機関は本規定の第15条、第16条、第17条に列挙される違法行為があり、監察機関が法により違法な公職者に処分を与える必要がある場合、その機関とその上級主管機関または関係人民政府は関連規定に基づき関連事件の手がかりを監察機関に移送し処理しなければならない。」
改正条項は
第18条が第19条となり、「行政執行機関は法により違法行為を取り締まる過程で、公職者が汚職賄賂、職務怠慢、または職権を利用して公民の人身権利と民主的権利を侵害するなどの違法行為を発見し、職務犯罪の疑いがある場合、刑法、刑事訴訟法、監察法などの法律規定に基づき、速やかに事件の手がかりを監察機関または人民検察院に移管し、処理しなければならない。」

ところで、知的財産権事件が刑事事件として移送されるのは商標権侵害や著作権侵害が主であるが、移送にかかる証拠は民事訴訟でも利用できる可能性がある。レイドでは弁護士が同席し、証拠の選定や民事訴訟での使用度など確認することが好ましい。調査会社がレイドを担当した場合、そうした証拠の活用の手続きができないことがほとんどである。

参照サイト:http://www.gov.cn/zhengce/content/2020-08/14/content_5534841.htm