【中国】検察院知財事件処理ガイドラインと2022年典型事例(4月26日)

4月26日、最高人民検察院は記者会見を開き、「人民検察院知的財産権事件処理ガイドライン(人民检察院办理知识产权案件工作指引)及び「検察機関2022年知的財産権保護典型事例」を発表した。別の発表によると、2022年1月から今年3月までに、知的財産権侵害犯罪7,300件、1.5万人起訴し、550人を公安に移送した。公安での立件は520件、410件を却下、追加操作により容疑者150人以上を逮捕し、980人の起訴となった。知的財産権民事行政訴訟事件は1100件の処理である。

 本ガイドラインは全45条、総則、知財刑事事件処理、民事・行政訴訟監督事件の処理、公益訴訟事件処理、附則からなり、検察機関が処理する知的財産事件には、刑事、民事、行政、公益訴訟が含むまれ、職務執行が、逮捕の審査、起訴の審査などを経て、法律監督、検察官の起案、起訴などを通じて、知的財産紛争に検察の機能を果たすことを明確にしている。
 知的財産権民事訴訟の監督事件の範囲は26条に規定されており、以下の通り:
(1)著作権、商標権、特許権(訳注:発明特許、実用、意匠特許を含む、以下同じ)、植物新品種権、集積回路配置設計専有権、企業名名称(商号)権、特殊標識(訳注:ロゴなど、以下同じ)専有権、インターネットドメイン名、知的財産権非侵害確認などの知的財産権所の帰属、権利侵害紛争事件;
(2)著作権、商標、特許、植物新品種、集積回路配置設計、営業秘密、インターネットドメイン名、企業名称(商号)、特殊標識、技術契約、フランチャイズなどに知的財産権契約に関する紛争事件;
(3)偽物、営業賄賂、虚偽宣伝、営業秘密侵害、営業誹謗などの不正競争紛争事件;
(4)独占合意、市場での支配的地位の濫用、事業者集中(企業結合)などの独占紛争事件;
(5)その他知的財産権に関連民事事件。
 近年の虚偽訴訟の多発を抑制するため第29条に虚偽訴訟罪などが言及されている。刑事告訴では損害の補償がされないため、補償能力はあっても損失を補償しない者に対しては、寛大な制度を適用できないことを定めており、一定の圧力となることが期待されている。

●検察機関2022年知的財産権保護典型事例
事例1.中某科学技術有限会社、陸某昌氏ら3名による焼成炉の営業秘密侵害事件(江蘇省常熟市)
事例2.紀某民氏ら4名による製袋機械の営業秘密侵害事件(上海市)
事例3.湖北双某鼓風機股份有限公司、茹某鵬氏ら3名による送風機の営業秘密侵害事件(遼寧省瀋陽市)
事例4.王某中氏など7名による地図作品の著作権侵害事件(浙江省嘉興市)
事例5.長興偉某機械有限公司、李某栄氏、馬某利氏によるコンピュータソフトウェア著作権侵害事件(浙江省湖州市)
事例6.洪某設氏ら58名による有名ブランド登録商標虚偽表示商品オンライン販売事件(上海市)
事例7.羅某洲氏など10名による有名ブランドイヤホン登録商標虚偽表示事件(広東省深圳市)
事例8.「白蕉海鱸(シーバス)」地理標識保護行政公益訴訟事例(広東省珠海市)
事例9.成都晴某商貿股份有限公司と濾某股份有限公司などの商標権取消再審行政紛争控訴事件(3年連側不使用撮りけりにおける偽造証拠)
事例10.南通某酒業有限公司と和某氏、国家知的財産権局の商標権無効宣告行政紛争控訴事件(侵害品と登録商品の類否)

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zhlxjcznjqzscqfzbz/22xwfbh_sp.shtml
仮訳

最高検察院は市場競争秩序犯罪典型事例を発表(8月4日)

8月4日、最高人民検察院は6件の法に基づく市場競争秩序破壊犯罪の典型的実例を発表し、検察機関が市場競争秩序破壊犯罪を厳罰に処す態度、市場競争秩序の総合管理への積極的介入と効果を示した。

2019年6月から2022年6月までに、検察は虚偽登録商標罪、談合入札罪、商業秘密侵害罪、虚偽広告罪、商業信用毀損、商品名誉毀損罪などで1.8万件、4.1万人を起訴し、そのうち虚偽登録商標罪7400件1.5万人、談合入札罪2300件7000人、商業秘密侵害罪130件250人を起訴した状況がある。今回発表された6事例は最近検察が取扱った市場競争秩序破壊事件の中から典型例と選出したもので、最近の特徴をある程度反映し、複雑で多様な犯罪類型と絶えず現れる犯罪だけでなく、刑事民事の交差、刑執行などの状況にも関連していると説明している。

典型事例は以下の通り、
1.廖氏などによる有名ブランド商品模倣品販売事件
2.元従業員王氏による営業秘密侵害事件
3.李氏と范氏による競合ネットアプリの信用、評判毀損事件
4.南通インターネット会社などによる競合ウェブサイト攻撃事件
5.丁氏などのコンクリート市場独占を目的とした組織的暴力事件
6.馮氏、黄氏の非国家公務員グループでの贈収賄事件

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202208/t20220804_569841.shtml

【中国】 最高人民検察院の新時代の知的財産権検察業務の全面的強化に関する意見 (3月1日)

最高人民検察院は、3月1日付、新聞発表会を行い、「最高人民検察院の新時代の知的財産権検察業務の全面的強化に関する意見」、「検察機関による総合的司法保護に関する典型事例」などを発表した。

会見では、2021年の検察の活動結果として、全国の検察機関は知的財産権侵害事件4,590件で7,835人を逮捕(前年比それぞれ+16.8%、+9.2%)し、知的財産権侵害事件6,565件で14,020人を起訴(前年比それぞれ+12.3%、+15.4%)した。また、知的財産関連の民事調停事件の監督538件を受け入れ、前年比3倍の増加となったと報告している。

人民検察院は国の法律監督機関であり、知的財産権犯罪を追及し、知的財産権法律の統一的かつ正確な実施を監督する重要な職責と使命を担っている。ここ数年来、各クラスの検察機関は党中央の政策決定と実施を貫徹し、知的財産権保護の重点分野と際立った問題に焦点を当て、知的財産権司法保護に引き続き力を入れ、経済社会の発展を促進するために積極的な貢献しているとして、本意見を公示した。本意見の目的は、知的財産検察のシステムとメカニズムをさらに改善し、知的財産検察機関の専門化を積極的に進め、知的財産検査の職務を包括的に遂行することとしており、以下の項目での課題と対策を明示している。
なお、営業秘密の保護については、ハイテク技術、核心技術分野及び企業の生存と発展にかかわる営業秘密侵害事件に焦点を当てて事件処理に注力するとしており、法定の原則を堅持し、窃盗、利誘、詐欺、脅迫、電子侵入またはその他の不正な手段による営業秘密犯罪、外国のための営業秘密犯罪の打撃に力を入れるとしている。

1.全体要求
 (1)指導思想
 (2)基本原則
 (3)主要目標
2.事件処理を中心に知的財産権の検察での総合的保護の質と効果を向上
 (4)知的財産権刑事検察の質と効果の向上
 (5)知的財産権民事検察の正確な職責履行の強化
 (6)知的財産権行政検察の深化を推進
 (7)知的財産権分野の公益訴訟の着実な展開
 (8)知的財産権の総合的司法保護を全面的に推進
 (9)営業秘密保護の強化
 (10)知的財産権の法律法規の改正と整備を積極的に推進
 (11)知的財産権の国際的協力をさらに推進
3.知的財産権検察体制・メカニズムを確立・整備
 (12)知的財産権司法改革を協同して推進
 (13)行政区画を跨る知的財産権検察制度を積極的に構築
 (14)司法協力メカニズムを改善
 (15)専門技術者による事件処理補助メカニズムの確立
4.組織の指導を強化し、知的財産権検察業務の基礎確立
 (16)政治と組織の保障を強化
 (17)機構の専門化建設を強化
 (18)規範的建設を強化
 (19)職責履行能力の向上
 (20)知的財産権検察活動の宣伝強化
 (21)情報化の推進を加速

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/index.shtml
      https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbh/202203/t20220301_546231.shtml

【中国】2021年上期の刑事事件情況(7月25日)

最高人民検察院は、7月25日、2021年6月までの全国検察機関の処理した統計データを発表した。今年上半期に検察が受理した各種刑事起訴事件数は前年同期を超え、1,102,975人が起訴審理され、パンデミックの情況下で刑事犯罪の発生件数が再び上昇傾向にあることが明らかになった。

最高人民検察院は昨年、知的財産権検査事務室を設立し、今年より知的財産権刑事、民事、行政の検察を集中的に実施するようになった。特に、北京、上海など9つの省市で知的財産権の集中的な検察業務を行い、知的財産権を保護し、発展を推進している。こうした知的財産関連でも処理強化の結果、件数が上昇している。

1,刑事検察状況
2021年上期の全国の検察が受理した知的財産権侵害事件では、容疑者逮捕4,286人(前年比+99%増)、起訴6017人(前年比+12.6%増)、不起訴540人(前年比-2.6%減)であった。主な起訴理由は登録商標偽造罪と登録商標偽造商品販売罪で、それぞれ2676人と2138人と起訴総数の80%を占める。事件は経済が発達している東南地域を中心で、広東1463人、上海987人、浙江416人、河南371人、江蘇341人を起訴し、合わせて全国の起訴総数の59.5%を占める。

2.民事検察状況
2021年上期の全国の検察が受理し知的財産権と競争紛争の民事裁判では、調停書監督受理事件100件(前年同期53件)であった。主な事件は知的財産権の帰属、権利侵害紛争で合計63件と全体の63%を占める。知的財産権契約紛争は28件と同28%を占める。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202107/t20210725_524723.shtml