台湾智慧産権局が昨年5月に公布した商標法改正とその施行規則が2024年5月1日より施行された。主な改正点は以下の通り。
1.早期審査制度の導入
早急に権利を取得する必要がある場合侵害品に対する権利行使などのために早期に権利取得が必要な場合、審査促進を請求することができる。早期審査請求は、NT$6,000(区分毎)の納付が必要であるが、以下の条件を満たすことが必要である;
(1)すべての指定商品・役務について、商標を既に使用している或いは使用の準備を進めている出願で、
(2)以下のいずれかに該当する
A. 第三者が当該出願商標を無断で使用、或いは使用の準備を進めている;
B. 当該出願商標の使用に対して第三者から侵害警告を受けている;
C. 当該出願商標に対して第三者から使用許諾を求められている;
D. 当該出願商標を利用し市場参入計画があり、提携先と販売等の契約締結がある;
E. 当該出願商標を展示会に出展予定がある;
F. その他のビジネス上の必要性と緊急性を証明できる状況場合。
注意事項としては、当該商標出願に未使用、未準備の指定商品・役務がある場合、分割出願や減縮の必要がある。使用の準備については、具体的実質的な証拠の提出が必要である。提出書類に不備がある場合、10営業日以内に補正通知がある。不備がなければ2か月以内に初回の審査意見通知書或いは登録査定が発行される。
2.機能的要素の取り扱い
出願標章に機能的要素がある場合、点線で表示するなどディスクレームする対応が求められる。
3.非法人組織等の出願人適格要件の緩和
パートナーシップの組織、法に基づき設立登記された非法人団体、商業登記法により登記された個人・パートナーシップ企業まで拡大された。
4.使用意図の確認
悪意など産業や商標制度の健全な運営を阻害する出願を排除するため、出願人に指定商品・指定役務に使用意図があることを、必要に応じて審査手続き中に証拠提出が求められる場合がある。
5.情報提供手続き
第三者による提供情報を採用する場合に、出願人の権利保護のために応答の機会を与える規定が追加された。
6.譲渡は譲受人の手続き
出願後の出願人変更や移転登録は、権利承継人が行わなければならないと規定が明確にされた。
7.商標代理人資格
商標代理業務の専門性の認定し代理人情報の透明性を高めることで、出願人や権利者の権益保護のために商標代理人資格が新設された。商標代理人登録が必要で、認定試験に合格するか一定期間の商標審査業務経験が必要である。
8.フェアユースの明文化
非侵害の対象に、商業取引の習慣に該当する信義誠実の原則に従い、商品或いはサービスの使用目的を表示する場合であって、他人の商品或いはサービスを示すために他人の商標を使用する必要がある場合が追加され、修理サービスでメーカーの商標を掲げるなどの行為は非侵害になる。
9.税関での侵害確認手続きの簡素化
商標権者は税関に真贋確認方法の情報を登録しておくことで、税関で発見された被疑侵害品の確認を現場だけでなく写真などの情報を税関から受けて真贋確認ができるようになる。
出典:代理人情報