最高人民法院は、6月24日、記者会見を開き、2024年2月4日に最高人民法院裁判委員会第1915回会議で採択された、「最高人民法院による独占民事紛争事件の審理における法律の適用に関する若干の問題の解釈(最高人民法院关于审理垄断民事纠纷案件适用法律若干问题的解释)」(法釈[2024]6号)の公布と2024年7月1日からの施行を発表した。併せて、独占禁止典型事例5件を発表した。
本司法解釈は、「中国独占禁止法(反垄断法)」の改正後2年経過し、2012年の司法解釈に代わる新たな司法解釈として公示されたことになる。独占禁止民事訴訟は2013年から2023年に民事一審977件が審理されており、最高人民法院知識産権法院も2019年1月から2024年5月末までに178件を受理し、131件を結審している。これまでに最高人民法院は独占禁止指導的判例3件、典型事例28件を発表している。2022年の改正独占禁止法に対応し、実体的条項に対応した司法解釈を整備したと言える。本司法解釈起草では、政治主導、立法精神の堅持、新業態と国際競争に対応、司法経験の踏襲、国内外の独禁法理論に立脚するとの5つの基本原則を堅持したとしている。
本司法解釈は2022年11月に意見募集稿された内容とほぼ同じであり、その主な内容は、新たに37条が追加され、全6章51条からなり、構成は以下の通り
第1章 手続き規定 第1~13条
第2章 関連市場の定義 第14~17条
第3章 独占協議 第18~27条
第4章 市場での支配地位の濫用 第28~42条
第5章 民事責任 第43~49条
第6章 附則 第50~51条
第3章では、独占協議を規定しており、主に水平独占協定における協同行為、行為主体、後発薬医薬品(パテントリンケージ)、データやアルゴリズム、プラットフォーム待遇、及び垂直型独占協議の立証責任、反競争効果認定及びその例外、組織支援行為、独占協定免除などの事項を規定しており、第4章で部は市場支配地位の濫用を規定し、主に市場支配地位の定義、各種タイプの市場支配地位濫用行為の分析認定などの事項が含まれている。
なお、発表された5件の典型事例は以下の通り
事例1.「自動車販売」垂直型独占契約の後継訴訟事件[最高人民法院(2020)最高法知民終1137号民事判決書]
事例2.「デスロラタジン柑橘系原薬特許」市場での支配的地位の濫用事件[最高人民法院(2020)最高法知民終1140号民事判決書]
事例3.「工業潤滑油」ハブアンドスポーク協定事件[最高人民法院(2021)最高法知民終1315号民事判決書]
判例4.「希土類永久磁石材料特許」市場での支配的地位の濫用事件[最高人民法院(2021)最高法知民終1482号民事判決書]
判例5.「交通信号制御機」水平型独占協定事件[最高人民法院(2024)最高法知民終455号民事判決書]
参照サイト:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1802740484749027991&wfr=spider&for=pc
仮訳
典型事例 https://baijiahao.baidu.com/s?id=1802742336196787083&wfr=spider&for=pc