【中国】特許権濫用訴訟で被告の合理的支出は原告が負担(6月3日)

最高人民法院は、2021年5月31日に最高人民法院裁判委員会第1840回会議で可決された、上海市高級人民法院からの負託に対する「最高人民法院の知的財産権侵害訴訟における原告の権利濫用を理由に被告が合理的な支出の賠償を申立てる問題する返答」を司法解釈〔2021〕11号として公示した。

司法解釈〔2021〕11号は、上海市高級人民法院に対する文面となっており、以下の通り:

貴院の「知的財産権侵害訴訟における原告の権利濫用を理由として被告が合理的な支出の賠償を申立てる問題の照会」(沪高法〔2021〕215号)を受領した。研究の結果、次のように返答する。
知的財産権侵害訴訟において、被告は証拠を提出し、原告の起訴が法律に規定する権利濫用を構成し、その合法的権益が損なわれたことを証明し、法により原告にその訴訟で支払った合理的弁護士費、交通費、宿泊費などの費用を賠償するよう申立てた場合、人民法院は法によりこれを支持する。被告は別に原告にいたいて、上記の合理的な費用の賠償を請求する提訴をすることもできる。

基本的に、合理的支出とは言え、立証義務はあるので、適宜証拠を残しておくことが必要である。請求書だけでは証拠と言えず、支払った事実(領収書など)の証明がなければ、真実性がない。なお、これまでの中国の裁判所は合理的支出の主張に対して満額支払ったことは稀で、合理的かどうかを裁判所内部で査定し、認定され金額が合理的支出として認められる。税金のような必要経費というわけにはいかないことに注意が必要である。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-307061.html