【アメリカ】「国内登録商標の国際登録での部分的置換に関する最終規則」公示(7月2日施行)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、5月30日、「国内登録商標の国際登録での部分的置換に関する最終規則」を公示し、2025年7月2日より施行する。マドリッド同盟総会の2021年2月1日に発効した標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書に基づく規則が延期され2025年2月1日施行されたことを受けて、国内登録商標の部分的な置換申請に対応するよう、商標規則37CFR § 7.28を以下のように改正した。
 (a)(2)項を具体的に置換対象を明確にし、(b)項を係属中の保護期間延長請求への対応を明確にし、新たに(C)項を追加し置換請求での記載要件を明確にした。(c)(3)項で置換える商品/役務を明確にすることが求められている。改正条文は以下の通り:

37CFR § 7.28
Replacement of U.S. registration by registered extension of protection.
(a) A registered extension of protection affords the same rights as those afforded to a previously issued U.S. registration if:
 (1) Both registrations are owned by the same person and identify the same mark; and
 (2) All the goods and/or services listed in the U.S. registration that are identified for replacement are covered by the registered extension of protection.
(b) The holder of an international registration with a registered extension of protection to the United States that meets the requirements of paragraph (a) of this section, or with a pending request for extension of protection that, once registered, will meet the requirements of paragraph (a) of this section, may file a request to note replacement of the U.S. registration with the extension of protection. If the request to note replacement is filed in reference to a pending request for extension of protection, the request will not be processed until the extension of protection registers.
(c) If the request to note replacement contains all of the following, the Office will take note of the replacement in its automated records:
 (1) The serial number or registration number of the extension of protection;
 (2) The registration number of the replaced U.S. registration;
 (3) The goods and/or services for which replacement is requested; and
 (4) The fee required by § 7.6.

(d) If the request to note replacement is denied, the Office will notify the holder of the reason(s) for refusal.

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2025/06/02/2025-09916/partial-replacement-of-an-earlier-national-registration-or-registrations-by-an-international

【シンガポール】新審査促進制度開始(5月20日)

シンガポール知的財産庁(IPOS)は、特許と商標出願に新たな審査促進制度を導入し、5月20日より開始した。これまでに審査促進制度は、2024年12月末で終了している。

特許審査促進制度SG Patents Fast
 特許出願の審査の第1回目のOA(拒絶理由通知)を受領する時期を出願人の希望する期間として、出願後4か月(SG Patents Fast 4)と8か月(SG Patents Fast 8)のオプションを用意し、その後のOAは4か月で発行される。
 対象は、分割出願でない、請求項20以下、同一出願の5件以下の制限がある。
 其々の条件で審査促進手数料の規定がある。

商標審査促進制度SG Trade Marks Fast
 商標出願の審査結果を3から6か月以内に受領できるようする。対象は、国内直接出願で、指定の分類表記載の商品や役務を選択した場合に適用を受けることができる。多区分出願の場合はすべての区分が対象となる。審査促進手数料は1区分SG$200であるが、一部が分類表不掲載の場合はSG$250/クラスとなるが、条件により手数料が変わる場合がある。

参照サイト:https://www.ipos.gov.sg/news/news-collection/circular–new-patents-and-trade-marks-acceleration-programmes/

【日本】日中韓商標類似群コード対応表2025版の公示(4月7日)

日本特許庁(JPO)は、4月7日付、例年作成している日中韓の三庁が商標審査においてそれぞれ使用している類似群コードの対応関係を示す一覧表(日中韓類似群コード対応表)の最新版(12-2025版、令和7年1月1日発効)公表した。

 一覧表は、エクセルファイルで、現地語の記載もあるため、中国や韓国出願時に参照すると便利である。
 中国での出願に利用する場合、対象となる商品が違っている場合があるので、Web検索などで指定商品確認することをお勧めする。中国の商標分類編成は、日本と違い機能分類となっており、また日本のように上位概念である類似群の名称を指定商品や役務とすることはできず、アメリカと同じように商品や役務名の列挙主義となっている。中国商標局のデータベースで指定商品の類似群と指定可能な商品名や役務名とそれぞれのコード番号の確認もお勧めする。
 指定商品と役務の選定には十分な注意が必要です、ご依頼を頂ければ、指定商品や役務のドラフトを提供します。

参照サイト:https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/kokusai/jpo_cnipa_kipo-ruiji2025.html
CNIPAによる商標登録に用いる商品とサービス分類の正確な理解に関するガイド

【中国】「商標行政法執行証拠規定」公示(2025年1月1日施行)

国家市場監督管理総局(SAMR)と国家知識産権局(CNIPA)は、2025年1月2日、共同で「商標行政法執行証拠規定(商标行政执法证据规定)」を2024年12月26日に各関係部門に通知し、2025年1月1日から施行することを公示(国市監稽発〔2024〕117号)した。

本規定は、これまで商標行政法執行法には専門的な証拠規定が制定されいなかったために、商標行政執行、証拠収集、証拠審査と認定などの内容と要件をさらに明確にし、事業主体の正当な権益を保護することを目的として、2023年12月1日に「商標行政法執行証拠基準規定(意見募集稿)」として起草され、2024年8月19日に「商標行政法執行証拠規定(意見募集稿)」が2度目に公示された。最後の意見募集稿の一部が修正され、24条の構成となっている。

主な内容は、目的と法律根拠、適用主体と事件範囲、証拠の概念、証拠の種類を明確にし、主に、証拠として、書類証拠、物的証拠、視聴覚資料、電子データ、証人証言、当事者の陳述、鑑定意見、現場記録及び外国での証拠などの要件、各証拠に対する収集要件と認定を明確にしている。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/zfjcs/art/2025/art_307c8233e0e3432a9c7d1c73a68968b5.html?xxgkhide=1
仮訳

【カタール】商標国際登録マドプロ加盟(2024年8月3日発効)

WIPOは、5月6日付、カタール政府が2024年5月3日に国際商標条約マドプロ協定に加盟手続きを行い、131番目の加盟国となり、8月3日に発効することを5月29日に公示した。中東では、バーレーン、オマーン、UAEについて4か国目となる。

 上記の加盟手続きには、以下の条件が伴います。
①議定書第5条(2)(b)および(c)の宣言:保護の暫定的拒絶通知期間の1年を18か月間とし、異議申立による暫定的拒絶通知はこの期限満了後も可。
②議定書第8条(7)(a) の宣言:出願や更新の場合、個別手数料の支払い方式となる。
③議定書規則第20条の(6)(b)の通知:ライセンスはカタール官庁に直接手続きをする。
④議定書規則第27条の2(6)の通知:カタールでは商標登録の分割の手続きがないため、WIPOに通知なし。
⑤議定書規則第27条の3(2)(b)の通知:カタールでは商標登録の併合の手続きがないため、WIPOに通知なし。

出典:https://www.wipo.int/documents/497990/2472660/madrid_2024_10.pdf

【ミャンマー】商標制度導入後初の商標公報発行(5月1日)

ミャンマー知的財産庁(MIPD)は、5月1日付、最初の商標公報TM/2024/01を発行した。これにより、異議申立の対象出願が公告されたことなり、60日間の異議申立期間が始まった。異議申立のオフィシャルフィーは150,000チャント(約1.1万円)。なお、6月1日に第2回目が発行されている。商標公報の発行は、現在のところ不定期で発行時期の規定がないが、月初1回のようである。

最初の商標公報は、13、15、23、40類を除く、41区分に410件が公告されており、内、22件が国内出願である。公報は、ミャンマー語と英語の併記であり、内容確認に不都合はない。日本企業の商標は、37件公告されている。

参照サイト:https://ipd.gov.mm/translate/publication-for-opposition-of-trademark

【中国】2023年商標異議無効10大事件(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、2023年の商標出願の異議申立と商標権無効取消の10大事件として、異議申立5件、無効取消審判5件を公示した。国家知的財産権局は知的財産権の源流保護をさらに強化し、商標審査の質と効果の向上を推進するとともに、商標出願秩序を規範化し、公平な競争市場環境を維持し、商標審査政策での審査基準、規則、モデルを持続的に整備するとしている。

1.「黄塔膏薬」商標第61172988号35類(滑県黄塔寺骨傷医院)異議申立事件
 本商標には9類に同一標章で河南省の老舗(老舗ブランド)と認定された先登録商標があり、かつ出願人も同一地域であり、市場での誤認混同を制止、無形文化遺産の商標保護で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000125642号、条文13条、申立人:滑県骨科医院

2. 「只此青绿」商標第59222968号41類(福建匠心巧思文化発展有限公司)異議申立事件
 本商標の事件は同名の舞踊詩劇の名称として先に使用され既に高い知名度が認定され、悪意先取り登録行為を規制し、優れた伝統文化の発展で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000021546号、条文32条、申立人:中国東方演芸集団有限公司

3. 「慢飞天使MAN FEI ANGEL及び図」商標第64310227号33類(姚娜)異議申立事件
 本商標の「慢飛天使」は障害のある児童に使用される特殊な意味や指定商品が白酒など強い酒類であることを総合的に考慮し、不良な社会的影響の規定を適用し、社会的配慮で出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000098977号、条文10条1項(8)号、申立人:中国貴州茅台酒厂(集団)有限責任公司

4. 「宝鲁日」商標第60172218号29類(内蒙古牛牛勇敢商貿有限公司)異議申立事件
 本商標は有名な農村生活記録ブロガーの名前であり、出願日前にすでにSNS上で多くのファンと再生数があり、一定の知名度を認定し先取り行為を規制し、農村経済の新たな発展に配慮し出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000012871号、条文32条、申立人:宝鲁日

5. 「白水畈」商標第60596619号31類(武漢市沁野実業有限責任公司)異議申立事件
 本商標の「白水」は「白水畈萝卜(白水産大根)」など湖北省農産物の地理的表示として使用されていることや出願人と地域の関係がないことに加え、このほかに大量な地理的表示に関する出願があるため悪意先取りと認定し、商標登録秩序を乱すと判断し出願を却下した。審決:(2023)商标异字第0000074081号、条文4条、申立人:咸寧市咸安区高橋白水畈萝卜協会

6. 「DEMARSON」商標第47589108号14類(泉州市弘康電子商務有限公司)無効宣告事件
 本商標の事件は複数の関連する会社がその関係を隠蔽し、申請人を含む多数の会社の商標と同一或いは類似する商標を大量に先取りや買い溜めしていることを認定し無効とし、商標の悪意先取りの取締りと抑止力を高めた。審決:商评字[2023]第0000070611号、条文44条、申立人:Demarson Company

7. 「蜂花佳人」商標第55926680号3類(滕州市業明蜜蜂養殖服務専業合作社)無効宣告事件
 本事件は有名商標の保護を求める適用要件を明確にし無効とし、企業の権利維持コストを下げ、民族ブランドの合法的権益の保護に意義がある。審決:不明、条文不明、申立人:不明

8. 「MASTRO’S STEAKHOUSE M及び図」商標第36365304号43類(天津津服教育信息諮詢有限公司)無効宣告事件
 本商標は類似関係にあり、商標代理機構と権利者の代表者などが同一と利害関係あり法律を回避する悪意のある登録行為がある認定し無効とし、本件以外にも大量の業務に関係のない商標登録があるため信義誠実の原則違反を判断した意義がある。審決:商评字[2023]第0000288394号、条文19条4項、31条、44条、申立人:Mastro’s Restaurants LLC

9. 「十万个为什么100000 WHYS及び図」商標第17085619号16類(上海少年児童出版社有限公司)無効宣告事件
 「10万のなぜ」は書籍、印刷出版物などの分野で長期的に使用されてすでに高い知名度と識別度があり商標の出所を区別する役割を果たすことができると認定し無効とし、有名図書ブランドの権利の安定性を維持した意義がある。審決:商评字[2021]第0000155297号、条文44条、申立人:四川天地出版社有限公司

10. 「铂金优选(プラチナ優先)」商標第52695434号など8件(奥倫潤滑油(無錫)有限公司)無効宣告事件
 一連の事件は、同業者でありながら申立人の国際的によく知られた商標を知りながら、類似する商標を出願登録している状況は正当化されるものではないと認定し、信義誠実の原則に違反し法律効果と社会効果の統一を図るためにも無効とした。審決:商评字[2023]第0000310547号、条文15条2項、申立人:奥倫国際貿易(蘇州)有限公司 POLSKI KONCERN NAFTOWY ORLEN SPOLKA AKCYJNA 

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/4/26/art_3382_6.html

【サウジアラビア】商標出願審査手続きの簡素化(2024年4月)

サウジアラビア知的財産庁(SAIP)は、2024年4月から商標出願の審査手続きで、10日間の補正期間を廃止すると通達した。これにより、従来、審査手続きで、出願に不備がある或いは障害がある場合、先ず10日間の補正機会が与えられていたが、最終拒絶査定が通知されることになる。この通知を受けた場合は、60日以内に審判請求し、審判手続きの中で必要な対応をすることになる。

 今回このような改正がされた背景には、業務効率の向上(処理遅延対策)、正確・適切な出願の奨励を計っているようである。従って、出願前に商標調査や指定商品・役務の検討を十分行うことが望ましい。

出典:代理人情報

【アメリカ】商標出願料金2025年度改定案の公示(3月26日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、3月26日、予てから検討していた商標出願手数料の改定案を官報で公示した。
出願システムの変更などもあり料金体系を統一しているが、電子出願の料金は以下の通り:
 電子出願料金$350/区分($100)
 *出願時の記載不備の補正 $100
 *指定商品・役務の事由記載 $200
 *事由記載で1000文字を超える指定商品・役務 $200
 使用宣誓(AAU/SOU) $150/区分($50)
 更新出願 $550/区分($50)
 8条使用宣誓 $300/区分($75)
 15条不可争宣誓 $250/区分($50)
 情報提供 $600($200)
 請願 $400($150)
 放棄出願復活の請願 $250($100)

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/03/26/2024-06186/setting-and-adjusting-trademark-fees-during-fiscal-year-2025

【日本】仮想空間及び非代替性トークンの指定商品・役務ガイドライン(3月29日)

特許庁は、3月29日、仮想空間に関する商品・役務を指定する商標登録出願が増加していることから「仮想空間及び非代替性トークン(NFT)に関する指定商品・指定役務のガイドライン」を公表した。

「仮想商品」とは、「主に仮想空間上で商品等の形状を表示するためのデジタルデータ」として、9類と35類の小売りに以下のような例示をした。
①本取扱いの公表以降採用可能とするもの
 第9類「ダウンロード可能な仮想被服」(英:downloadable virtual clothing) 
 第35類「オンラインによるダウンロード可能な仮想被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(英:online retail services for downloadable virtual clothing)
②採用できない表示
 指定商品名が広範で不明確や間際らしい表示、加えて、9類以外での区分で指定された仮想商品と解釈しうる表示
 後半の表示は、現在、3類で登録になり異議係属中の案件があるが、その登録を否定する内容になるような内容ではある。

「仮想役務」については、
①仮想空間のプラットフォーム自体の提供に関する表示例
 第38類「仮想空間におけるチャットルーム形式による通信」(英:providing chatrooms in virtual environments)
 第42類「仮想空間のホスティング」(英:hosting virtual environments)
②仮想空間のプラットフォーム上での役務の提供に関する表示例
 第35類「仮想空間における他人のためのプロダクトプレイスメントによるマーケティング」(英:marketing through product placement for others in virtual environments)
 第36類「仮想空間で提供されるオンラインによる銀行業務」(英:online banking services rendered in virtual environments)
 第41類「娯楽のための仮想空間において提供される模擬旅行の実施」(英:simulated travel services provided in virtual environments for entertainment purposes)
③仮想空間と現実とで役務の目的や結果が変わらず、同じ区分・類似群コードで採用できる例
 第35類「仮想空間における広告業」(英:advertising for others in virtual environments)
 第41類「仮想空間における音楽コンサートの上演」(英:presentation of music concerts in virtual environments)
*仮想空間のサービスの提供で、提供結果が仮想空間で消費される場合と現実空間で消費される場合で区分が変わる可能性があるように理解する。

NFTについては、省略する。

参照サイト:https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/kaso_nft_guideline.html



【日本】商標法、特許法などの改正施行(2024年4月1日)

経産省は、11月24日付、第211回通常国会で6月7日に成立した「不正競争防止法等の一部を改正する法律(令和5年法律第51号)が閣議決定を受けて施行日を2024年4月1日とすることを公示した。この法改正には、以下の話題となっていた商標法の改正他、特許法、意匠法、実用新案法及び不正競争防止法が含まれている。

(1) デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化
①登録可能な商標の拡充(商標法4条ほか)
 他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和
 他人が既に登録している商標と類似する商標出願に対するコンセント制度の導入
②意匠登録手続の要件緩和
 新規性例外の適用の緩和(意匠法4条ほか)
③デジタル空間での模倣行為の防止(不競法2条)
 商品形態の模倣行為について、デジタル空間上でも不正競争行為の対象
④営業秘密・限定提供データの保護の強化
 他者との共有を前提に一定の条件下で利用可能な情報のカテゴリーを新設
(2) コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備
⑤在外者への送達制度の改正
⑥書面手続のデジタル化等のための見直し
⑦手数料減免制度の見直し
(3) 国際的な事業展開に関する制度整備
⑧外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充
⑨国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化
 外国での営業秘密侵害を国内で起訴できるようにする

参照サイト:https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231124001/20231124001.html



 

【アメリカ】商標審査決定サーチツール公開(2月17日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2月17日付け、新しく商標審査決定のサーチツールを公開した。サーチツールの収録する対象は、2020 年の商標近代化法によって導入された不使用を理由に異議申立をする査定系の抹消(Expungement)および再審査(Reexamination)手続きの審査結果と、当事者が USPTO 商標実施規則或いはUSPTO出願システムなどの使用条件に違反した場合の行政命令および制裁命令(Administrative and sanctions orders)の決定である。

2月24日現在、808件が収録されており、簡便な方法で確認することができる。

Trademark Decisions and Proceedings サイト

参照サイト:https://developer.uspto.gov/tm-decisions/search/expungement

【中国】商標局2つのガイドを公示(1月19日)

国家知識産権局商標局は、1月19日付で、商標資源の保護、出願品質の監督を強化し、市場関係者が商標の出願と使用の過程で信義誠実の原則に従うため、参照できる「地名を含む商標の登録出願及び使用ガイド(关于含地名商标申请注册与使用的指引)」と「商標使用を禁止する標識ガイド(关于禁止作为商标使用标志的指引)」を公示した。

1.「地名を含む商標の登録出願及び使用ガイド」
 商標法 10 条 1 項 (2)号、(7)号、(8)号、(10)号、10条 2 項の禁止規定に違反することで商標の登録や登録が無効となり使用ができない地名の出願や使用について解説している。具体的には、中国の行政地、地方の特定の地域などの名称、外国の比較的良く知られた地名などについて、具体的に説明している。

2.「商標使用を禁止する標識ガイド」
 商標法第10条1項、は、商標として使用できない標識(絶対的拒絶理由)を規定し、その登録の制限と使用の禁止を明確にしています。具体的には、国家の組織名称、国歌、国旗、ロゴのほか、社会的に悪影響のある標識に等について具体的に解説している。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/1/19/art_66_181565.html
      https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/1/19/art_66_181566.html

【アメリカ】商標出願の応答期限を3か月に短縮、12月3日より(10月12日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、10月12日付け、2021年11月17日の最終規則で公示された2020年商標近代化法を受けて、商標出願の早期認可手続き、複雑な案件に対する応答にフレキシブルな対応を進めるために、今後発行される審査意見(OA)に対する応答期間を3か月に短縮することを公示した。

 本件の対象は、2022年12月3日から係属中の商標出願に発行されるOAが対象であり、現行のOA発行日から6か月を3か月に短縮される。対象となる商標出願は、通常の使用ベースと使用予定ベース出願(§ 1(a)、(b))、及び外国での出願ベース(§44(e),(f))が対象である。なお、マドプロ経由のアメリカ移行出願のOA応答期間は従来と変わらず6か月である。
 応答期間の延長がさらに必要な場合は、法定期限内に延長申請の提出とともにUSD125支払うことで、3か月(OA発行日から6か月まで)延長することができる。なお、再延長はできない。応答期限内に応答できなかった場合は、失効扱いになるため、回復手続きを行うか、再出願で対応することになるので、注意が必要である。

 登録後に発効されるOAについては、2023年10月7日より3か月が適用される。

参照サイト:www.uspto.gov/trademarks/laws/2020-modernization-act/new-response-deadline-applications
官報公示 https://www.federalregister.gov/documents/2022/10/13/2022-22217/changes-to-implement-provisions-of-the-trademark-modernization-act-of-2020-delay-of-effective-date

【タイ】商標審査基準の改訂施行(1月17日)

タイ知的財産局(DIP)は、2022年1月17日付、商標登録審査基準に関する政令No.18/2565を公示した。2021年3月に意見募集を行った内容に準じており、概要と主に以下のような内容が注目される。

基準は以下の8章から構成されている。
第1章 一般原則
第2章 商品商標の審査
第3章 サービスマークの審査(商品商標準拠)
第4章 証明商標の検討
第5章 団体商標の審査
第6章 商標登録の公示
第7章 商標登録に対する異議申立
第8章 不服審判
付録 商標法

1)商標の識別力を 5 段階に定義分け具体例を提示(第2部第1節)
 ①独創的(fanciful)  Kodak Pepsiなど意味がなく翻訳でもない
 ②恣意的(arbitrary)  34類のCamel
 ③示唆的(suggestive) Greyhound(犬種)、Make THE Difference(スローガン) 
 ④記述的(descriptive) Sharp、Crunchy  (Secondary meaningも考慮)
 ⑤一般的(generic)  Peanuts、Printer

2)特に注意する非登録の対象
 ①幾何学模様やパターン、その繰り返しや連続するもの
 ②説明文;スローガン、LOL(Laugh Out Loudの略)など
 ③結合文字で顕著性がないもの;Clearview(コンタクトレンズ)WatchKit(スマートウォッチ)、DryDre(布製品)
 ④字母と単語からなる標章;BWhite
 ⑤3文字以上のローマ字や数字の組合せからなる標章;ABC、123、NPK(窒素リン酸カリウム)、XXL(衣類サイズ)、34B(下着サイズ)、32GB(メモリーサイズ)
 ⑥公序良俗に禁止される標章に旭日旗が含まれる

3)非登録対象の例外
 ①日本を含む商標(2.6.1節3)項)
  (1)政府から許可を受けている、あるいはそうした旨の文書がある場合
   “Allow the company… to use the word JAPAN to register a trademark”

4)使用による識別性
 テレビ、印刷メディア、オンラインまたはソーシャルメディア、チャネルを介してタイで標章を2年以上連続して宣伝することは、使用による識別性獲得のための「合理的に期間」と見なされる。

参照サイト:http://www.ipthailand.go.th/images/3534/2565/TM/TM_2565.pdf