【アメリカ】After Final Consideration Pilot Program(AFCP2.0)終了(12月14日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、9月30日付、2013年に始まりその後延長を続けてきたAfter Final Consideration Pilot Program(AFCP2.0)は9月30日が延長期限であったが、短期間延長し2024年12月14日をもって終了することを公示した。

特許出願の審査でFinal Office Actionに対する補正があれば審査官に見てもらえる可能性が高まるためAFCP2.0を利用することができたが、USPTOの労力やコストの増大もあるため、2025年から手数料$500で継続するパブコメ募集してたが否定的な意見が多くあり終了を決めた。
代替するプログラムは提案されていない。

12月15日からのFinal OAを受けた対応は、① 意見書提出(37 CFR 1.116);② RCEの提出、③ Appeal、④ 分割や継続出願の対応になる。

参照サイト:https://www.uspto.gov/patents/initiatives/after-final-consideration-pilot-20


【欧州】EPO見做し送達10日ルールの廃止(10月14日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)の管理理事会は、10月14日づけで、従来から主に郵送見做し送達に対応する猶予期間として運用されてきたに10日ルールを廃止するEPCの規則改正を可決し、2023年11月1日より施行することを発表した。

現在、10 日間の猶予期間は、ヨーロッパ特許出願で一部を除き、概ね殆どの手続きに適用されており、例えば、EPO の送達書類は、その印刷日から 10 日後に配達されたとみなされ、オフィスアクションの場合、4か月+10日となる。 これは一般的に「10日ルール」と呼ばれており、出願人は現状では期限満了後約 10 日以内に EPO に応答する猶予がある。
 管理理事会は、このたび、この「10 日ルール」の廃止を決定したため、今後は、文書の印刷日に配達されたと見做し、指定された月数のみで期限日を計算することになる。今回の発表から実施まで1年ほどあり、必要な規則改正と、経過措置があれば、その内容が公式に公示される。

 期限徒過する或いはした場合は、延長申請や回復措置で費用をかけることになるが、今後は 猶予期間がなくなることで持ち時間が少し厳しくなるものの、明確な業務管理となり、デジタルかつ電子出願の時代に安全な業務につながるものと理解する。

参照サイト:https://www.epo.org/news-events/news/2022/20221021.html

【アメリカ】特許出願書類の手書き署名規則の廃止(7月2日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2021年7月2日付、特許規則37 CFR § 1.4(e)手書き署名要件の最終的廃止を公示し、同日施行した。

特許規則§ 1.4(e)は、以下の通りで、黒或いはそれに準じた色での手書き署名を求めている:
 § 1.4 Nature of correspondence and signature requirements.
(e) The following correspondence must be submitted with an original handwritten signature personally signed in permanent dark ink or its equivalent:
 (1) Correspondence requiring a person’s signature and relating to registration to practice before the Patent and Trademark Office in patent cases, enrollment and disciplinary investigations, or disciplinary proceedings; and
 (2) Payments by credit cards where the payment is not being made via the Office’s electronic filing systems.

この規則に対しては、2004年に改正され、自筆署名以外に、S-Signatureという/で囲んだ記載方法が採用され、2013年にイメージデータの電子署名を採用する改正がされた。その後、2020年3月にコロナ蔓延による異常な事態により、特許及び商標出願での手書き署名の要件を放棄する公示を行った。その後、USPTOは本条項の改正を検討し続け、今回の改正により、§ 1.4(e)(1)項に加え、(2)項のクレジットカード決済を含めて、手書き署名が不要とする決定を行った。これにより、FAXでの続きに加え、S-SignatureやOED電子出願での手続きで手書き署名に替えることができるようなった。

ところで、S-SignatureはSlash-Signatureとも呼ばれるが、/John T. Smith/ John T. Smith のような形式で記載する表示形式であり、USPTOはその例を以下のサイト、ページ1-3で紹介している。
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/sigexamples_alt_text.pdf
こうした署名を本人がする必要があり、PDF化する際の識別など同一性をどう保持することや本人の立証をするような手段や方法を予め決めておくことが必要である。いずれにしても手書き署名を知財部門で署名付きPDF化する方法や電子署名アプリを利用する方法などあろうが一定の社内規定を定めて保全措置をすることが肝要である。

参照サイト:https://public-inspection.federalregister.gov/2021-14036.pdf

【中国】CNIPAは6月末までに特許出願補助金制度廃止を指示(1月27日)

国家知識産権局(CNIPA)は、1月27日付、国知発保字〔2021〕1号を各地方政府の知識産権局、直属組織、各団体に発し、地方政府の知的財産権部門は特許出願に対する支援政策の規範を強化し、量によるイノベーション発展の知財の役割は既に終えており、特許の高品質による発展要求を強く実行するため、イノベーションの保護を目的としない非正常特許出願行為を排除するための具体的な施策を指示した。注目は、その中で、2021年6月末までに、特許出願時の資金援助の全面的に廃止を示唆し、登録時の補助金も2025年までに全面的に廃止するよう指摘している。

 具体的には、各地方政府は資金支援、奨励金、補助金などの方法で特許出願(発明、実案、意匠を含む)に財政支援を行っているが、現在の資金支援の範囲は、発明特許の登録時(PCTなど国外での登録を含む)に限定されるべきで、支援方法は登録後に補助する方法でなければならず、支援金の総額は登録時までのオフィシャルフィーの50%を超えてはならず、特許年金や代理人費用を支援金に含めることはできない。そして、虚偽により特許支援金が詐取された場合、回収すべきであるとしてる。
 また、こうした支援金は第14次5か年計画の最終年2025年までに全て廃止し、各地方の財政支援は特許保護強化、特に、特許の転化、行政保護、公共サービスへと重点を移行しなければならないと指摘している。

なお、対象となる非正常特許出願行為として、以下のような事例を挙げている。
(1)「特許出願行為の規範化に関する若干の規定」(国家知識産権局第75号局令)第3条に規定する6種類;
 (a)同一の出願人による内容が明らかに同一の複数の特許出願、或いは他人にそれをさせた場合;
 (b)同一の出願人による明らかに先の技術或いは意匠の特許出願を剽窃した複数の特許出願、或いは他人にそれをさせた場合;
 (c)同一の出願人による異なる材料、成分、配合比、部品などを簡単に代替或いは足した複数の特許出願;
 (d)同一の出願人による実験データ或いは技術的効果が明らかに捏造された複数の特許出願;
 (e)同一の出願人によるコンピュータ技術などを用いてランダムに製品形状、パターン或いは色を生成させた複数の特許出願;
 (f)他人或いは特許代理人の支援を受けた上記(a)から(e)の特許出願。
(2)出願人が故意に関連する特許出願を分散させて行った特許出願。
(3)出願人がその研究開発能力と明らかに矛盾した特許出願。
(4)出願人による異常な転売のある特許出願。
(5)出願人による特許出願で、複雑な構造で簡単な機能を実現する技術、従来の或いは簡単な特徴を組合せ或いは積み重ねるなど明らかに技術改良の常識から外れた技術であるもの。
(6)その他、民法典に規定する信義誠実の原則に違反、特許法関連規定に合わない特許出願管理秩序を乱す行為による特許出願。

詳しくはひとりごとをご覧ください。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/1/27/art_545_156433.html