アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2021年7月2日付、特許規則37 CFR § 1.4(e)手書き署名要件の最終的廃止を公示し、同日施行した。
特許規則§ 1.4(e)は、以下の通りで、黒或いはそれに準じた色での手書き署名を求めている:
§ 1.4 Nature of correspondence and signature requirements.
(e) The following correspondence must be submitted with an original handwritten signature personally signed in permanent dark ink or its equivalent:
(1) Correspondence requiring a person’s signature and relating to registration to practice before the Patent and Trademark Office in patent cases, enrollment and disciplinary investigations, or disciplinary proceedings; and
(2) Payments by credit cards where the payment is not being made via the Office’s electronic filing systems.
この規則に対しては、2004年に改正され、自筆署名以外に、S-Signatureという/で囲んだ記載方法が採用され、2013年にイメージデータの電子署名を採用する改正がされた。その後、2020年3月にコロナ蔓延による異常な事態により、特許及び商標出願での手書き署名の要件を放棄する公示を行った。その後、USPTOは本条項の改正を検討し続け、今回の改正により、§ 1.4(e)(1)項に加え、(2)項のクレジットカード決済を含めて、手書き署名が不要とする決定を行った。これにより、FAXでの続きに加え、S-SignatureやOED電子出願での手続きで手書き署名に替えることができるようなった。
ところで、S-SignatureはSlash-Signatureとも呼ばれるが、/John T. Smith/ John T. Smith のような形式で記載する表示形式であり、USPTOはその例を以下のサイト、ページ1-3で紹介している。
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/sigexamples_alt_text.pdf
こうした署名を本人がする必要があり、PDF化する際の識別など同一性をどう保持することや本人の立証をするような手段や方法を予め決めておくことが必要である。いずれにしても手書き署名を知財部門で署名付きPDF化する方法や電子署名アプリを利用する方法などあろうが一定の社内規定を定めて保全措置をすることが肝要である。
参照サイト:https://public-inspection.federalregister.gov/2021-14036.pdf