【中国】悪質な商標登録の取締りに関する通知(4月12日)

国家知識産権局は、3月28日付の各地方政府の知的財産部門に対する「国家知的財産権局の商標の悪意登録行為を持続的厳格的取締に関する通知(国家知的財産権局の商標の悪意のある登録行為を持続的に厳しく取り締まることに関する通知(国知発弁函字〔2022〕54号)を4月12日付で公示した。
 その内容は以下の通りであるが、アメリカ合衆国通商代表部(USTR)が2022年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」を発表し、悪意先取り商標を知財問題でも大きく取り上げているのでそうした指摘に対する対応とも読める内容である。

2022年全国知的財産権局会議に基づく、悪質な商標登録の取締りに対し、関係部門や内部の連携、新しい作業パターンを構築し、市場関係者の合法的権益を守り、社会の公益を守り、中国の知的財産大国から知的財産強国への転換を加速すべく、ここに関連事項について決定し、以下の事項を通知する。

一.是正を重点的に強化し、典型的な行為を打撃
 一般の懸念と世論にさらに焦点を当て、「商標審査審理指南」に規定される使用を目的としない商標の悪意登録出願の若干の状況に基づき、「囤商标:商標買いだめ」「傍名牌:名声便乗」「搭便车:フリーライド、ただ乗り」「蹭热点:話題便乗」が際立った表現の商標の悪意買占め(恶意囤积)と悪意先取り(恶意抢注)行為の対策を強化し、信義誠実の原則、公序良俗に違反し、不正な利益を謀り、商標登録秩序を乱す、以下の典型的な違法行為を重点的に打撃する;
(1)党の重要な会議、重要な理論、科学的主張、政治論述などと同一・類似する標識の悪意先取りする;
(2)国家戦略、国家政策、大型プロジェクト、大型科学技術プロジェクト、比較的高い知名度の重要イベント、重要な展覧会、重大な考古学的発見などと同一・類似する標識の悪意先取りする;
(3)重大な公衆衛生事件などの重大な敏感な事件、突発的事件に特有の語彙と同一・類似する標識の悪意先取りする;
(4)高名な政治、経済、文化、民族、宗教などの一般人物の姓名の悪意先取りする;
(5)出願数が正常な事業活動のニーズを明らかに超え、真の使用意図を欠く商標登録出願する;
(6)複数人で一定の知名度のある或いは顕著性のある商標またはその他の商業標識を大量に複製、模倣、剽窃する;
(7)公共の文化資源、行政区画名称、商品或いはサービスの通称、業界用語などと同一・類似する標識を大量に登録出願する;
(8)商標を大量に譲受人を分散して譲渡し、商標登録秩序を乱す;
(9)商標代理人が委託人による上述行為を知り或いは知りうべきところ、その委託を受け或いはその他の不正な手段により商標代理秩序を混乱させる;
(10)その他の中国の商標登録管理秩序、社会の公共利益と公共秩序に著しく消極的、負の影響を及ぼす。

二.監視警報を強化し、正確な識別を実現
 使用を目的としない悪意のある商標出願や出願人などの主要な監視リストを改善し制度を向上させる。また各地の知識産権局と商標審査協力センターは当該地の出願動向に対して必要な措置や協力をする。
三.システム管理を強化し、法による厳正処罰
 関連の基準や手続きの改善し、法律で定められた裁量の範囲内で悪意のある商標登録を最大限に防止および規制する。代理人や出願に対し出願の整合性を確認する。各地の知識産権局は不法な行為が確認できれば行政処分を行う。
四.代理監督管理を強化し、業界秩序を維持
 実名や署名などに厳格な登録管理システムを導入改善し、商標審査、裁判、記録管理の調整と連携を向上させる。各地の知識産権局は商標代理事務所の監督管理と処分を強化、公表する。
五.信用監督管理を強化し、合同懲戒を実施
 信頼できない事業者のリストを充実し監督を強化する。法律法規の重大な違反を伴う信頼できない事業者のリスト情報を他の関連部門と共有し、重大な法律違反のある者に対しては共同罰則を実施する。
六.協同協力を強化し、連携統治力を形成
 省政府と緊密に連絡を取り、商標行政法執行監督の調整手続きを改善し、法執行基準を統一し、事件監督および同様事件の共有を通じて取り締まりの効率を改善する。各地の知識産権局は商標出願件数をベースとする評価を改め、補助金や奨励による支援を中止し、監督責任を果たし、悪意のある商標登録出願を防止および管理する。
七.制度的保護を強化し、政策供給を改善
 商標法と施行規則の改正を推進し、悪意のある商標登録関連の規制条項の導入や強化を加速する。各地の知識産権局は不正に対する信用評価と処罰体系を改善、罰則を強化し、迅速な対応と地域の法執行協力関係を改善し、取り締まりを強化する。
八.積極的な指導を強化し、良好な雰囲気の造営
 典型的な事例と違法な手続きを行った関連主体や代理人の情報の公開による効果的な抑止や不正行為をしない雰囲気を造営する。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2022/4/12/art_75_174557.html

【中国】オリンピック関連不正商標出願却下(2月14日)

国家知識産権局は、2月14日付、悪意先取り商標出願(恶意抢注)として、冬季オリンピックの機会に、オリンピック標識保護条例、商標法に基づき、「冰墩墩」、「雪容融」や「谷爱凌」など429件の商標出願を却下し、「谷爱苓」や「饼敦敦」など43件の登録商標を無効処分したことを公示した。

「冰墩墩(bīng dūn dūn)」と雪容融(Xuě róng róng)」は、オリンピックのマスコットのビンドゥンドゥン、とシュエ・ロンロン、「谷爱凌」は、アメリカ系中国人のフリースタイルスキー選手である。また、登録商標では「谷爱凌」に加え、模した「谷爱苓」、卓球選手で有名な「许昕」や「孙颖莎」が含まれている。

日本特許庁や政府関係団体には、積極的に日本選手、卓球選手なら石川佳純さんとかや皇族などの名前や類似の標章の出願や登録について、個人が対応するには負担が大きすぎるので、CNIPAに連絡し対応してもらいたいものだ。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/2/14/art_75_173173.html