【中国】「最高人民法院などによる虚偽・悪意訴訟の処罰に関する司法意見」の公示(3月10日施行)

最高人民法院は、2021年3月10日付、3月4日に成立した「最高人民検察院、公安部、司法部、の虚偽訴訟の犯罪処罰をさらに強化することに関する意見」、法発2021-10号を公示し、同時に施行した。虚偽訴訟については、2018年9月に最高人民検察院と共同で「虚偽訴訟を扱う刑事事件について法律適用の若干の問題に関する解釈」を公布して、刑法に規定の虚偽訴訟にかかる罪状、量刑基準などが明確にしたが、実際は依然として虚偽訴訟が減少せず、また、司法の民事と刑事のコミュニケーションや協力メカニズムが十分でなく、民事訴訟と刑事訴訟の手続きがうまくいかないなどの課題があった。こうした状況を改善するために、最高人民法院は最高人民検察院、公安部、司法部と共同で調査や意見聴取を行い、虚偽訴訟の処罰と連携体制を確立することで、虚偽訴訟の処罰強化のための具体的な規定を行った。

虚偽訴訟とは、主に、原告となる当事者が単独或いは他人と悪意のある共謀を行い、証拠の偽造、虚偽の陳述などの手段を講じて、民事事件の基本的事実を捏造し、民事訴訟を提起することで、司法秩序を妨害したり他人の合法的権益を侵害したりする場合を言い、刑事罰の対象となる。

本司法意見は、中国で多発している虚偽や悪意による訴訟に対する刑事処罰をすることと目的として公布されたもので、全29条からなる。全体の構成は以下の通り:
第一章 総則
第二章 虚偽訴訟犯罪の選別と発見
第三章 事件端緒の移送と取締
第四章 手続きの連携
第五章 責任追及
第六章 協力体制
第七章 付則

知的財産関係では、第5条の虚偽訴訟犯罪の発生しやすい民事事件として、同条8号に著名商標の認定を伴う事件が挙げられている。実際のところ、商標に関わらず著作権など含む不正競争事件では、虚偽や悪意に基づく知財関係の民事訴訟は発生しており、判例ではしばしばこうした主張がされる。例えば、著作権侵害事件(2019)京73民終50号は最近の事例である。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-290281.html