国家知識産権局は、12月14日付、国知発保字〔2020〕52号を公示し、知的財産権保護業務の全面的な強化において、法の執行基準を統一し、事件処理のレベルを高めるために、知的財産権行政法執行業務の指導する第1回知的財産権行政法執行指導事例を地方関連機関に向けて、通知した。以下、概要をご参考まで。
指導事件1:上海市崇明区市場監督管理局
上海章元情報技術有限公司によるDun & Whiteの登録商標専用権侵害事件
他人の登録商標を広告の検索キーワードとして使用し、検索結果ページに他人の登録商標が表示される行為は商標の使用を構成すると判断した。侵害者は商業情報コンサルなどのサービスを提供する過程で、アメリカのDun & White International Co., Ltd.の登録商標と同一、類似の文字を使用し、関連公衆を誤認誘導する行為を行い、商標法第25条第(2)項に規定する商標侵害行為を構成するとし、同第60条の規定に基づき、権利侵害行為の停止とともに罰金53.933万元(約910万円)の行政処罰を科した。
指導事件2:元北京市工商行政管理局豊台分局
北京宏源利得商貿有限公司による「Tiger」などの登録商標専用権侵害事件
販売店と卸業者の株主が相互に関係するという重大な関連関係があり、また、商標権者の登録商標に類似する商標登録出願をして却下された経緯があるため、販売店に主観的に明らかに知るべき状況が存在するため商標権侵害行為を構成すると推定された。当事者の行為は商標法第57条第(3)項の規定による侵害行為と認定され、同第60条第2項の規定に基づき、権利侵害行為の停止、侵害品の靴6687足の没収、罰金557,735.20元(約945万円)の行政処罰を科した。
指導事件3:武漢市東湖新技術開発区市場監督管理局
武漢科順連合防水工程有限公司による「CKS科順」の登録商標専用権侵害事件
請負工事において、請負業者が権利侵害建築資材を購入し、請負工事に使用する行為を販売行為と見なし、そこには主観的故意が明らかにあり、違法性のある関連商品を移転、交換することは悪質であり、重い処罰を与えなければならないと判断した。商標法第57条第(3)項に規定する侵害行為を構成するとし、商標法第60条の規定に基づき、権利侵害行為の停止、侵害品の没収と廃棄、罰金20元(約330万円)の行政処罰を科した。
指導事件4:河北省邯鄲市知的所有権局
特許分割出願の仮保護の調停紛争事件
発明特許出願の「仮保護の期間」は特許出願公開日から登録日までであるが、分割出願の場合、公開日は親出願、分割出願のうちいずれか早い方の公開日を基準とする。本件では親出願の公開日は分割出願の公開日より前のため親出願の公開日が基準日となる。係争発明特許は分割出願で、その親出願はすべて登録になり、合法的かつ有効な状態である。調停過程で、双方当事者が仮保護起算日について異なる見解を示され、邯鄲市知的所有権局は分割出願の仮保護期間の起算期間を確定した。
指導事件5:国家知識産権局集積回路図設計行政法執行委員会
レイアウトデザイン専有権侵害紛争事件
集積回路のレイアウトデザインの専有権の保護範囲を決定するためには、レイアウトデザインの客観的な担体を決定し、客観的な担体に明記されたレイアウトデザインに基づき、具体的な事件の対象がレイアウトデザインの保護範囲の全部であるか否か、或いはその中の独創性にあるか否かを確定しなければならない。なお、登録時に提出したレイアウトデザインのコピーまたは図面(紙或いは電子版)はレイアウトデザインの専有権を確定するための担体となる。また、登録時に既に事業に利用されているレイアウトデザインで、登録時に提出された集積回路のサンプルがある場合、レイアウトデザインの専有権を確定するための参考とすることができる。本件では、2018年8月16日に、委員会は被疑者が生産、販売したECH 485チップがレイアウトデザイン専有権を侵害したと判断した。委員会は事件に関わるレイアウトデザイン専有権の侵害停止を命じ、事件に関する図面、マスク及び図面設計を含む集積回路を没収、廃棄を命じた。併せて、処理決定後、双方当事者が訴訟を起こすべきではないことも裁定した。
参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2020/12/15/art_75_155622.html