【中国】最高人民法院による第39回指導的事件の公示(12月20日)

最高人民法院は、12月20日付、知的財産関連での第39回目の指導的事件を8件公示した。指導的事件は同種の事件でのリーディングの判例として参照されることになる。その概要は以下の通り。

指導的事件217号
慈溪市博某塑料製品有限公司vs永康市朕某工貿有限公司、浙江天某網絡有限公司等実用新案特許侵害事件
ポイント:ECサイトで「モップ掃除具」の実用新案特許侵害製品販売があり、一審で侵害認定、二審で実用新案特許無効となり、非侵害が確認されたが、係争中に関連サイトリンクの削除とその回復や仮差止と担保金が適正だったかどうかが注目された事件である。

指導的事件218号
蘇州賽某電子科技有限公司vs深圳裕某科技有限公司等集積回路配置設計侵害事件
ポイント:「リチウム電池保護チップ」に関する配置設計の保護範囲と独創性が争われた事件である。

指導的事件219号
広州天某高新材料股份有限公司、九江天某高新材料有限公司vs安徽紐某精細化工有限公司等営業秘密侵害事件
ポイント:懲罰的賠償の適用の可否が争われた事件である。

指導的事件220号
嘉興市中某化工有限責任公司、上海欣某新技術有限公司vs王某集団有限公司、寧波王某科技股份有限公司等営業秘密侵害事件
ポイント:元従業員による営業秘密侵害で、使用用途や故意侵害の場合の損害額決定方法が争われた事件である。

指導的事件221号
張某勲vs宜賓恒某投資集団有限公司、四川省宜賓市呉某建材工業有限責任公司等独占禁止事件
ポイント:水平的独占協定(談合)で、参加事業者の損害などが争われた事件である。

指導的事件222号
広州德某水産設備科技有限公司vs広州宇某水産科技有限公司、南某水産研究所財産損害賠償事件
ポイント:「循環水処理装置」の発明特許の帰属紛争中に年金不払いにより対象特許が失効したことによる損害賠償事件である。

指導的事件223号
張某龍vs北京某蝶文化伝播有限公司、程某、馬某著作情報ネットワーク送信権侵害事件
ポイント:写真作品の情報ネットワーク送信権侵害事件で、管轄権が争われた事件である。

指導的事件224号
某美(天津)図像技術有限公司vs河南某廬蜂業有限公司著作情報ネットワーク送信権侵害事件
ポイント:写真作品の情報ネットワーク送信権侵害事件で、所有権の立証責任が争われた事件である。

参照サイト:https://www.chinacourt.org/article/detail/2023/12/id/7713491.shtml

【中国】最高検察院による知的財産権司法保護と指導性事件の発表(2月8日)

最高検察院は、2月8日付、「法により知的財産権の司法保護サービスの強化、イノベーション型国家建設の保障」と題する新聞発表会を開催し、検察院での司法保護活動の状況及び第26回目となる指導性事件を公表した。主なポイントは以下の通り:

1.最高検察院は昨年11月に、知識産権検察弁公室を設置し、党中央の政策決定に従い、知的財産権にまつわる刑事、民事、行政の検察機能を統合し、一体化して事件を処理することを推進している。これに合わせて、北京、天津、上海など8省市の検察機関で一年間の知的財産権検査機能集中実施プロジェクトを実施している。
2.「検察機能を十分に履行し、知的財産権保護強化に関する意見」などを公布し、知的財産権に関わる事件の処理の規範化を進めた。特に、現実的ニーズに応え、刑事と民事の対応を総合的に運用し、商業秘密の司法保護を強化するために、技術調査や二次的漏洩メカニズムを健全化し、公平で秩序ある市場競争秩序を維持するよう努めた。
3.知的財産権保護のために部門間のコミュニケーションと協力を強化するために、関係機関と緊密に協力し、権利侵害や偽造品分野での情報共有プラットフォームの確立し共同推進を開始した。今後は政府組織やこくがいとの連絡や調整を行い、積極的に検察の機能を発揮し、知的財産権の全てのチェーン保護を強化し、知的財産権保護全体の効果を高める
4.知的財産権の刑事事件としては商標や著作権にかかるものが多数を占めるが、商業秘密犯罪の基本状況としては、事件数の増加幅は大きいが絶対数は少なく、起訴数は知財侵害刑事事件総件数の0.5%である。事件受理地域に偏りがあり、11の省での起訴受理数が全体の80%を占める。逮捕や起訴に至らない状況が多く、全刑事事件のよりそれぞれ10ポインと5ポイント高い。軽い処罰や執行猶予が多く、事件の約80%で被告人に懲役3年以下が言い渡される。犯罪の多くは企業のコア技術秘密で従業員或いは元従業員による犯罪である。
5.今回発表する指導性事件は、虚偽登録商標罪、虚偽偽登録商標商品販売罪、著作権侵害罪、商業秘密侵害罪が含まれる。犯罪手段としては伝統的な知的財産侵害犯罪やインターネット環境での新しいタイプの犯罪が含まれている。
 (1) 鄧秋城、双善食品(厦門)有限公司などの“STARBUCKS VIA”商標虚偽登録商標商品販売事件
 (2) 広州卡門実業有限公司の“KM”商標虚偽登録商標商品事件監督事件
 (3) 陳力など8人の著作権侵害事件
 (4) 姚常龍など五人の“CISCO”“HP”“HUAWEI”虚偽偽登録商標事件
 (5) 金義盈氏の営業秘密侵害事件

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zgjjxyfjqzscqsfbhfwbzcxxgjjsxwfbh/xwfbh.shtml
      https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbh/202102/t20210208_508826.shtml