特許侵害による損害賠償額の増額
2020年5月20日付、特許法の一部改正案が国会を通過した。現行の韓国特許法 第128条 は特許侵害による損害額の算定方法の特別規定で、第2項は逸失利益の算定であり、侵害品の販売数量×特許権者が利益額で算出できる。この損害額算定は特許権者の生産能力の範囲内でのみ認められるという限界がありました(第3項)。そのため、損害賠償額が低過ぎるという批判があった。
今回の特許法改正は、 第128条第2項の修正及び第3項を削除し、特許権者の生産能力の範囲を超えた販売数量に対しても、合理的実施料相当額程度の損害賠償請求が可能になった。これまで、実務上はこうした算定方法が適用された事例はあるが、日本と同じように明文化されといえる。
特許法の改正は政府が改正公布日から6か月後に施行されて、施行日以後の事件に適用される。施行日は2020年12月頃の予定。なお、実用新案法も特許法の準用で、同様に適用される。
第128条(損害賠償請求権等)
①特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し侵害により受けた損害の賠償を請求することができる。
②第1項により損害賠償を請求する場合、その権利を侵害した者がその侵害行為を組成した物を譲渡したときは、その物の譲渡数量に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益額を乗じた金額を特許権者又は専用実施権者が受けた損害額とすることができる。
③第2項により損害額を算定する場合、損害額は特許権者又は専用実施権者が生産することができた物の数量から実際に販売した物の数量を差し引いた数量に単位数量当たりの利益額を乗じた金額を限度とする。ただし、特許権者又は専用実施権者が侵害行為以外の事由で販売できなかった事情があるときは、その侵害行為以外の事由で販売できなかった数量による金額を差し引かなければならない。
④~⑨ (省略)
出展:Kim&Chang