2019年に最高人民法院に最高知識産権法院が設立されてから、初めての民事第二審と行政第二審が、「集中審査期間」に同時に行われた。これは対象特許や紛争当事者が同じものであり、民事事件と行政事件の同時裁判における新しい試みであり、今後こうした事案は増える方向にあると思われる。
民事訴訟は、厦門実正電子科技有限公司が「過熱保護回路構造」の実用新案特許ZL201220203855.0を侵害するとして、楽金電子(天津)電器有限公司、烟台万昌電器有限公司と浙江天猫网絡有限公司を浙江省杭州市中級人民法院に2017年10月25日に提訴し、保護範囲に入らないため非侵害との判決が2019年3月20日に下された事件((2017)浙01民初1405号))に対する第二審((2019)最高法知民終366号)で、原審維持の判决が下された。
行政不服訴訟は、楽金電子(天津)電器有限公司が専利復審委員会に本件実用新案特許ZL201220203855.0に対して、進歩性なしによる無効取消を2018年1月9日請求したが先行技術文献が異なる技術的特徴のため進歩性ありとの審決(第36449号)を下したことに対する行政不服訴訟を北京知識産権法院に申立て、北京知識産権法院が原審維持の判決((2018)京73行初8992号))を2019年7月1日に下し、この判決の取消を求めた第二審((2019)最高法知行終142号))で、こちらも原審維持の判決が下された。
この試みでは、保護範囲や解釈の違いや矛盾を減らすために同じ技術調査官を指名していること、当事者の座席配置の問題は円卓会議のように当事者を両側、専利復審委員会が真ん中に着席するようにしたこと、判決を一般が理解しやすいように「案件の審理経過」、「事実認定」、「判決の要旨」を明記するようにしたことが指摘されている。
本件の結果は原審維持であるが、もし「新たな証拠」や「事実認定の違い」或いは外的要因などなどが訴訟中に生じた場合はどうなるのであろうか、法院長のお考えのようになるほうが良いように個人的には考えるがどうなるか注目していきたいところです。
参考サイト:https://www.chinacourt.org/index.php/article/detail/2019/12/id/4716813.shtml