最高人民法院は、最高人民法院による「中華人民共和国民法典」総則編の適用に関する若干問題の解釈(最高人民法院关于适用《中华人民共和国民法典》总则编若干问题的解释)法釈〔2022〕6号が2021年12月30日最高人民法院裁判委員会第1861回会議で可決され、2022年3月1日から施行されることを、2月24日付公示した。
本解釈は、以下の9編39条からなり、民事事件を正しく審理し、法に基づき民事主体の合法的権益を保護し、社会と経済秩序を守るため、裁判の実務と結びつけ制定された。
1.一般規定 (第1条~第3条)
2.民事権利能力と民事行為能力 (第4条~第5条)
3.監督保護(後見) (第6条~第13条)
4.行方不明宣告と死亡宣告 (第14条~第17条)
5.民事法律行為 (第18条~第24条)
6.代理 (第25条~第29条)
7.民事責任 (第33条~第34条)
8.訴訟時効 (第35条~第38条)
9.附則 (第39条)
気になる条項は以下の通り:
第1条 民法典第2編から第7編までに民事関係規定がある場合、人民法院は直接当該規定を適用する。民法典第2編から第7編に規定がない場合、民法典第1編の規定を適用する、但しその性質により適用できない場合は除く。
同一の民事関係について、その他の民事法律の規定は民法典の相応の規定の細分化に属する場合、当該民事法律の規定を適用しなければならない。民法典の規定がその他の法律を適用する場合、当該法律の規定を適用する。
民法典及びその他の法律に民事関係に対する具体的な規定がない場合、民法典の基本原則に関する規定に従うことができる。
第2条 一定の地域、業界内で長期にわたり一般人が民事活動に従事する際に普遍的に遵守する民間の風習、慣行などは、民法典第10条に規定される習慣と認定することができる。
当事者が習慣の適用を主張する場合、習慣とその具体的な内容について相応の証拠を提供しなければならない。必要に応じ、人民法院は職権に基づいて明らかにすることができる。
習慣を適用し、社会主義の中核的価値観に違背してはならず、公序良俗にも違背してはならない。
第3条 民法典第132条にいう民事権利の濫用について、人民法院は権利行使の対象、目的、時間、方式、当事者間にもたらされる利益の不均衡の程度などの要素に基づいて認定することができる。
行為者が国の利益、社会公共の利益、他人の合法権益を毀損することを主な目的として民事権利を行使する場合、人民法院は民事権利の濫用を構成すると認定しなければならない。
民事権利の濫用を構成する場合、人民法院は当該濫用行為に相応の法律効力が発生しないように認定しなければならない。民事権利の濫用による損害を構成する場合、民法典第7編などの関連規定に基づき処理する。
第18条 当事者が書面または口頭の形式を採っていないが、実施行為自体で既に相応の意思表示を行うとともに、民事法律行為の成立条件に合致していることを表明している場合、人民法院は民法典第135条に規定されるその他の形式で実施した民事法律行為と認定することができる。
第19条 行為者は行為の性質、相手当事者或いは目的物の種類、品質、規格、価格、数量などに対して誤認を生じ、通常の理解によれば当該誤認行為が生じなければ行為者は相応の意思表示をしない場合、人民法院は民法典第147条に規定される重大な誤解と認定することができる。
行為者が自ら実施した民事法律行為に重大な誤解があったことを証明するとともに、当該民事法律行為の取消を請求する場合、人民法院は法によりこれを支持する。但し、取引習慣などにより行為者に取消を請求する権利がないと認定される場合を除く。
第20条 行為者がその意思表示の伝達に第三者の誤認があったことを理由に民事法律行為の取消を請求する場合、本解釈第19条の規定を適用する。
第21条 故意に虚偽の状況を告知、或いは告知義務を負う者が故意に真実の状況を隠蔽し、当事者が誤認に基づき意思表示をした場合、人民法院は民法典第148条、第149条に規定される詐欺と認定することができる。
第27条 無権代理行為が追認されず、相対者が行為者に債務の履行或いは損失の賠償を請求した場合、行為者の無権代理行為を知っているか或いは知り得べきであったことについて立証責任を負う。行為者が証明できない場合、人民法院は法により相対者の相応の訴訟請求を支持し、行為者が証明できる場合、人民法院はそれぞれの過失に基づき行為者と相対者の責任を認定しなければならない。
第28条 人民法院は、同時に以下に掲げる条件に合致する場合、民法典第172条に規定される相対者には行為者に代理権があると信じる理由があると認定することができる:
(1)代理権の様相が存在する場合;
(2)相対者が行為者の行為時に代理権がないことを知らず、かつ過失もない場合。
表見代理を構成するかどうかで紛争が発生した場合、相対者は無権代理が前項第1項に規定する条件に合致することについて立証責任を負わなければならない。被代理人は相対者が前項第2項の規定に規定する条件に合致しないことについて立証責任を負わなければならない。
第30条 国家利益、社会公共利益、本人又は他人の人身権利、財産権利及びその他の合法的権益を進行中の不法侵害から免れるために、侵害行為を実施する者に対する不法侵害の制止行為は、民法典第181条に規定された正当防衛と認定しなければならない。
第32条 国の利益、社会公共利益、本人又は他人の人身権利、財産権利及びその他の合法的権益を発生している急迫危険から免れるために、やむを得ず緊急措置を取った場合、民法典第182条規定の緊急避難と認定しなければならない。
第34条 他人の民事権益を保護するために自分が損害を受けた場合、被害者は民法典第183条の規定に基づいて受益者に適切な補償を請求した場合、人民法院は被害者が受けた損失と賠償を受けた状況、受益者が受益した利益の多少と経済条件などの要素に基づいて受益者が負担する補償額を確定することができる。
第35条 民法典第188条第1項に規定される3年間の訴訟時効期間は、民法典の訴訟時効の中止、中断に関する規定を適用することができ、延長の規定は適用されない。当該条第2項に規定される20年に中止、中断の規定は適用されない。
第38条 訴訟時効は民法典第195条の規定に基づき中断した後、新しい訴訟時効期間内に、再び第195条に規定の中断事由が生じた場合、訴訟時効が再び中断したと認定することができる。
権利者が義務者の代理人、財産代理人或いは遺産管理人などに履行請求を提出した場合、民法典第195条に規定された訴訟時効が中断したと認定することができる。
第39条 本解釈は2022年3月1日から施行する。
民法典施行後の法律事実による民事事件は、本解釈施行後まだ終審していない場合、本解釈を適用する。本解釈が施行される前にすでに終審し、当事者が再審を申請したり、裁判監督手続に従って再審を決定したりした場合、本解釈は適用されない。