【中国】国家知識産権局による特許の虚偽表示と広告における違法行為の認定(10月9日)

国家知識産権局は、10月9日付の山東省と安徽省からの特許の虚偽表示と広告における違法行為に対する行政処分に関する照会に対する回答(国知発保函字〔2021〕160号)を10月12日に公示した。本件は、山東省市場監督管理局による「特許表示の規範的でない行為」、安徽省知識産権局による「同一の違法行為」に対する法律適用に関する対処方法の照会であり、国家知識産権局は以下の4点の回答・指示を行っている。

1.特許の無効或いは終了後も製品やその包装に特許表示を継続する行為について
 特許法実施細則第84条の規定に基づくと、「特許権が無効宣告を受けた後、或いは終了後も製品或いはその包装に特許表示を継続する」行為は、特許法第68条に規定する特許詐称行為に該当する。また、商品の包装上の法律法規或いは国の関連規定による標記以外の文字、図形、画面などが商業広告の特徴に合致する場合、広告法の規定が適用される。従って、製品或いはその包装に無効宣告後或いは権利終了後の特許を表示する場合、広告法を適用して処罰することも、特許法を適用して処罰することもでき、罰金は「行政処罰法」第29条の規定に基づき執行される。
「特許法第68 条 特許を詐称した場合、法により民事責任を負うほか、専利法執行部門は是正を命じるとともに公告し、違法所得を没収し、違法所得の5 倍以下の罰金を科すことができる。没収した違法所得或いは違法所得額が5万元以下の場合、25 万元以下の罰金を科すことができる。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。」
「行政処罰法第29条 当事者の同一の違法行為に対して、2回以上の罰金を科する行政処罰を与えてはならない。同一の違法行為が複数の法律規則を違反した場合、罰金を科さなければならない。罰金額は高い規定で処罰する。」

2.他人の特許番号の表示及び関連の販売に関する行為について
 「許可なく製品或いは製品の包装に他人の特許番号を表示する」、「製品説明書などの資料に許可なく他人の特許番号を使用する」、「特許証、特許公報或いは特許出願書類を偽造或いは変造する」行為、及び、「許可なく製品或いは製品の包装に他人の特許番号を表示した」製品を販売、「特許権が付与されていない製品或いはその包装に特許標識を表示した」製品を販売、「特許権が無効宣告を受けた後、或いは終了後も製品或いはその包装に特許表示を継続した」製品を販売した行為は、特許法実施細則第84条の規定により認定する。

3.製品説明書などの資料に未登録の特許を使用する行為について
 製品説明書などの資料において特許出願を特許と称する行為については、特許法実施細則第84条を適用して認定する。上記製品説明書を広告とする、或いは登録されていない特許出願を広告に使用する行為については、広告法第12条を適用して認定する。
「広告法第12条 広告が特許製品或いは特許方法に関わる場合、特許番号と特許の種類を明示しなければならない。特許権を未取得の場合、広告に特許権を取得済みと虚偽の表示をしてはならない。未登録特許出願及び既に満了、取消或いは無効の特許を広告に使用してはならない。(第59条により広告主などに10万元以下の罰金)」

4.特許標識表示に関する規範について
 広告に特許製品或いは特許方法が関連する場合、特許番号及び特許種別を明示しなければならない。販売行為における特許標識の規範的でない行為は「専利標識表示弁法」を適用し認定する。

今回の通知は、これまでも特許の虚偽表示の違反行為が数多く実施されている状況があり、国家知識産権局は違法行為であることを折に触れて説明してきたことを追認するとともに、広告法の適用のほうが罰金が倍になる可能性もあるので、強い処罰を認める立場を表明したものと言える。当職もこれまで、折に触れてこのリスクを報じてきました。権利が満了したり、無効となった特許を引き続き、ウェブサイト、パンフレット類、製品に記載している場合、競合先から投訴をされることになりかねないのでご留意ください。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/10/12/art_546_170706.html?xxgkhide=1

【中国】「医薬品、医療機器、保健食品、特殊医療用途調整食品の広告審査管理暫定弁法」施行(2020年3月1日)

国家市場管理監督総局は、12月24日付、6月に意見募集していた「医薬品、医療機器、保健食品、特殊医療用途調整食品の広告審査管理暫定弁法《药品、医疗器械、保健食品、特殊医学用途配方食品广告审查管理暂行办法》」を 12月13日に第16回局務会議で審議可決し、2020年3月1日から施行することを公示した (局令2019-21号)。本弁法は、広告法の第9条、第16条、第17条、第18条、第19条に基づき、事業視覚の停止のほかに同じく第55条、第57条、第58条、第59条、第65条の処罰を受けることになる。なお、悪質な場合の処罰の3倍以下などの増額も規定されている。

なお、注意すべき広告宣伝に関する記載や表記事項は下記の通り:
(1)国家機関、国家機関従業員、軍隊単位または軍隊人員の名称や名義またはイメージを使用し、或いは軍隊装備、施設などを利用して広告宣伝する;
(2)研究機関、学術機構、業界協会または専門家、学者、医師、薬剤師、臨床栄養士、患者などの名称や名義、またはイメージを使って推薦、証明する;
(3)科学法則に反し、すべての病気を治療し、すべての症状に適応し、すべての人に適応すること、或いは正常な生活と病気を治療するために必要なことを明示、暗示する;
(4)一般公衆が置かれている健康状態と病気に対して不必要な心配と恐怖を引き起こす、或いは当該製品を使用しないと病気になるかまたは病状が重なる内容で誤解させる
(5)「安全」「安全無毒無副作用」「毒や副作用が小さい」を含む、「天然」成分であることを明示または暗示し、安全性が保証されるなどの内容がある;
(6)「热销(売れ行き好調)、抢购(買占め、品薄)、試用」「家庭必备(家庭必需)、免费治疗(無料治療)、免费赠送(無料贈呈)」など誘導性があり、「评比(批評)、排序(順位)、推荐(推薦)、指定、选用(選択)、获奖(受賞)」などの総合的評価内容が含まれる内容があり、「无效退款(払戻無効)、保险公司保险(保険会社の保険)」などの保証内容により、消費者に任意で、薬品、保健食品及び特殊医療用途調整食品を過剰に使用させる内容がある;
(7)医療機関の名称、住所、連絡先、診療項目、診療方法及び義診、医療相談電話、特約外来診察などの医療サービスの内容が含まれる;
(8)法律、行政法規の規定が含まれてはいけないとするその他の内容がある。

本弁法の施行に合わせて、 食品広告発表暫定規定、薬品広告審査弁法、医療機器広告審査弁法などが廃止される。医療機器にはコンタクトレンズなど日本ではそのカテゴリーに含まれない製品も含まれるので、関係者は対象を調べるなど注意が必要である。

関連サイト: http://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/201912/t20191227_309564.html 意見募集稿: http://www.samr.gov.cn/hd/zjdc/201906/t20190606_302244.html