【中国】市場監督管理総局2023年知的財産権執行10大典型事例(5月10日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、5月10日、2023年度の知的財産権法執行で、商標権侵害、特許虚偽表示、悪意商標出願、違法な商標使用や特許代理活動を取締り、以下の典型的事例を選定し公示した。

1.孫氏らの有名ブランド自動車ガラス偽造販売調査処分事件(浙江省海寧市市場監督管理局)
 被疑者は、2018年からガラスメーカーから自動車ガラスを購入し、BMW、ベンツ、ホンダ、フォルクスワーゲン、トヨタ、GM、フォード、マツダ、フィアット、ロードタイガー、レクサス、ジャガーなどのブランドの商標を印刷し、浙江、江蘇、山東、河南、湖北、湖南などで販売し、2億元以上を売り上げた。商標法57条違反し、市場監督管理局は公安局と協働し、9人を逮捕、26人を拘束した。

2.劉氏らの偽造化粧品不法製造販売調査処分事件(江蘇省東台市市場監督管理局)
 被疑者らは、2022年から住宅でL’Oreal、Fresh、Lancome、Olayの化粧品の偽物を製造販売し、正規品に近い価格で販売し1.3億元に達した。市場監督管理局と公安機関は、生産拠点3か所、販売拠点2か所で大量は包装材料などを押収、上海、広東、浙江など5省8市にまたがる化粧品の不法製造販売ネットワーク1カ所を捜査破壊し、容疑者17人を逮捕した。

3.南寧市日月泉茗茶店の「中茶」登録商標侵害調査処分事件(広西チワン族自治区南寧市市場監督管理局)
 被疑者の店内で「中茶」の標章、「中国土産畜産輸出入会社雲南省茶支社」と商標権を侵害する大量のプーアル茶500万元相当が発見され、公安機関と連携して製造販売拠点を追跡し、11人を逮捕し、9000万元相当の茶葉を押収した。

4.天津北江軽自動車技術有限公司の「DENSO」「TOYOTA」登録商標侵害調査処分事件(天津市北辰区市場監督管理局)
 被疑者の事業所の捜査でDENSO」「TOYOTA」ブランドの偽点火コイル5.4万本、約1,717.5万元相当が発見され、商標法57条に違反し、犯罪行為があるとして公安局に移送し処理した。

5.楊某氏の「FION」登録商標虚偽表示調査処分事件(湖北省利川市市場監督管理局)
 被疑者は、住宅で2022年11月からインターネットを通じて「FION」ブランドの偽バッグを販売し、既に1000個以上販売し、4524個の在庫があり600万元相当し、商標法57条に違反し、犯罪行為があるとして公安局に移送し処理した。

6.新疆阿加依普国際貿易有限責任公司の化学肥料特許虚偽表示調査処分事件(新疆ウイグル自治区和田地区市場監督管理局)
 被疑者の事業所の捜査で包装に「錯化チタン特許配合ZL 201610715940.8」と印刷されたフルボ酸硫黄系窒素肥料、窒素配合肥料、尿素アンモニウム窒素肥料を発見したが、既に76トン15.86万元に相当するが、同特許は拒絶査定されており、特許権が付与されていないにもかかわらず特許表示したことが判明し、違法所得1.13万元を没収、罰金7.5万元で処罰した。

7.上海聖貝企業服務有限公司の無権専利代理行為調査処分事件(上海市市場監督管理局)
 被疑者は、「執業許可証」を取得せずにそのウェブサイトで宣伝し、2021年9月から109社と特許出願委託代理契約110件を締結し、発明、実用新案など特許出願831件を受任し497件を出願した。専利代理条例9条に違反し、違法所得5.22万元没収、罰金5.22万元で処罰した。

8.中知産(北京)知識産権運営管理有限公司の偽造証明書による商標出願調査処分事件(北京市市場監督管理局)
 被疑者は、「青龍絨毯カシミヤ」など3件の地理的標識証明商標出願代行過程で、出願人と共謀し必要書類や公印を改ざんしたことが判明し、市場監督管理局は警告と罰金8万元で処罰した。

9.済南成和知識産権代理有限公司の無権商標代理行為調査処分事件(山東省済南市市場監督管理局)
 被疑者は、2019年11月1日以来、49社を代理し大量の商標出願をしたが、当該出願商標はAdidas、SKAJ USA、Lacoste、New Balance及びその他の著名商標或いは非常に類似した商標であり、「便乗」「すり寄り」の意図は明らかで出願秩序を乱しているとして、商標法19条3項に違反し、悪意商標出願の違法行為を構成するとして、警告、違法所得0.5万元の没収、罰金4万元、また責任者に警告、罰金2万元で処罰した。

10.成都愛爾眼科病院有限公司の第31回ユニバーシアード大会ロゴ無断使用調査処分事件(四川省成都市青羊区市場監督管理局)
 被疑者は、第31回ユニバーシアード夏季大会実行委員会の許可を得ずに、成都ユニバーシアードのエンブレム、文字、図形を微信公式アカウントのツイートに使用し、特殊標識管理条例16条に違反するとして、罰金3000元で処罰した。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2024/art_67e05d6c113943f58b0bd19e2ead74ea.html

【中国】行政処罰法関連法規の改正施行(7月15日)

国家市場管理監督局は、7月2日付、局令第42号を公示し、行政処罰法などに基づく「市場監督管理行政処罰手続き暫定規定(市场监督管理行政处罚程序暂行规定)」を「市場監督管理行政処罰手続き暫定規定」に改め、新設を含めて56の改正を行い、7月15日より施行することを公示した。併せて、「市場監督管理行政処罰聴取暫定弁法(市场监督管理行政处罚听证暂行办法)」も「市場監督管理行政処罰聴取弁法(场监督管理行政处罚听证办法)」に改め、14の改正を行い、同日に施行することを公示した。

今回の改正は暫定規定を正式な規定にし、市場監督局による行政処罰と聴取手続きの統一と標準化することで、法執行部署、管轄権及び事件処理手順の適切な実現、厳格な推進を目的としている。改正内容は、日付を営業日に改正、電子技術を用いた事実確認、聴取範囲の拡大、調書の効果、突発的状況発生時の対応などが追加規定されている。レイドなどで行政処罰を求める場合の実際の手続き規定になるので、必要に応じて参照する規定であるが、注意する点は営業秘密の守秘義務など行政処罰法の改正に対応した改正になっている。

参照サイト:http://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/202107/t20210706_332331.html

【中国】改正「行政処罰法」の施行(7月15日)

中国人民政府は、2021年1月22日付、主席令第70号で、「行政処罰法(行政处罚法)」の改正を公布し、7月15日より施行することを公示している。改正の主な内容は以下の通り:

1.行政処罰の定義(第2条)と種類類型(第9条)を改めて追加規定:主な追加種類には、事業の制限、閉鎖がある。
2.行政処罰の管轄及び適用:主な適用では、減免(第33条)、裁量(第34条)、無効(第38条)がある。
3.行政処罰の手順:主に、公示制度(第39条)、手続き記録制度(第47条)、突発自称発生時対応(第49条)、重大事件審査制度(第58条)、行政処罰決定期限90日の新設(第60条)である。
4.行政処罰の過料:追徴金の新設(第72条)、簡易手続きでの上限を引上げ(第51条)である。
5.外国法人組織への適用:他の法律に規定がない場合本法の適用(第84条)の新設である。
6.その他:決定事項の公表、守秘義務(第50条)

参照サイト:http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202101/08336daf00b84b82b891f39e32326308.shtml
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