【中国】「最高法院の第一審知的財産権民事、行政事件管轄の規定」施行(5月1日)加筆

最高人民法院は、2021年12月27日に最高人民法院裁判委員会第1858回会議で可決された、「最高人民法院による第一審知的財産権民事、行政事件管轄に関する若干の規定(最高人民法院关于第一审知识产权民事、行政案件管辖的若干规定)」(法釈〔2022〕13号)を公示し、2022年5月1日から施行する。また、併せて、「最高人民法院による基層人民法院が第一審知的財産権を管轄する民事、行政事件の基準(最高人民法院关于第一审知识产权民事、行政案件管辖的若干规定)」(法〔2022〕109号)を公示し、具体的な管轄裁判所、訴額制限と管轄地域を明確にした。

なお、最高人民法院は、4月27日付の「発明特許等の知的財産権契約紛争の控訴管轄問題に関する通知」(法[2022]127号)を5月20日付公示し、発明特許、実用新案特許、植物新品種、集積回路配置設計、営業秘密、コンピュータプログラムに関する契約紛争の控訴は、第一審を担当した裁判所の上級裁判所が管轄権を有し、5月1日より適用するとした。

最高人民法院による第一審知的財産権民事、行政事件管轄に関する若干の規定
 知的財産権事件の管轄制度をさらに改善し、四級裁判所の裁判職能を合理的に位置づけ、「中華人民共和国民事訴訟法」、「中華人民共和国行政訴訟法」などの法律規定に基づき、知的財産権裁判の実務と結びつけて、本規定を制定する。
第1条 発明特許、実用新案特許、植物新品種、集積回路図面設計、技術秘密、コンピュータソフトウェアの帰属、権利侵害紛争及び独占紛争第一審民事と行政事件は、知識産権法院、省・自治区・直轄市人民政府所在地の中級人民法院と最高人民法院が確定した中級人民法院が管轄する。
 法に知的財産権裁判所の管轄に対する規定がある場合、その規定に従う。
第2条 意匠特許の帰属、権利侵害紛争及び馳名商標認定の第一審民事、行政事件は、知識産権法院と中級人民法院が管轄する。但し、最高人民法院の承認を経て、基層人民法院が管轄できるが、意匠特許行政事件を除く。
 本規定第1条及び本条第1項の規定以外の第1審知的財産権事件訴訟の訴額が最高人民法院の指定額を超える場合、及び国務院部門、県クラス以上の地方人民政府または税関の行政行為に関連する場合、中級人民法院が管轄する。
 法に知的財産権裁判所の管轄に対する規定がある場合、その規定に従う。
第3条 本規定第1条、第2条の規定以外の第一審知的財産権民事、行政事件は、最高人民法院が指定する基層人民法院が管轄する。
第4条 新しいタイプ、複雑な難題、或いは法律の適用に指導的意義のある知的財産権民事、行政事件に対して、上級人民法院は訴訟法の関連規定に基づき、下級人民法院の報告或いは自ら昇格審理を決定することができる。
 本院管轄の第一審知的財産権民事事件を下級人民法院で審理する必要がある場合、民事訴訟法第39条第1項の規定に従い、事件ごと当該上級人民法院に報告し承認を受けなければならない。
第5条 本規定に基づき最高人民法院が管轄を確定或いは調整する必要のある訴額基準、地域範囲を確定する必要がある場合、最高人民法院に報告し承認を受けなければならない。
第6条 本規定は2022年5月1日より施行する。
 最高人民法院の従来の司法解釈と本規定と一致しない場合、本規定に準ずる。

参照サイト:https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-355871.html
管轄裁判地 https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-355831.html