日本でも報道されている中国の輸出管理法(中華人民共和国出口管制法)は、特許法などと同時に10月17日付で全人代第22回常務委員会で承認された。知的財産関係の規定を確認したが、アメリほど広い規定ではなく、主に軍事転用であるが、何を言われるかわからないのでチェックしておく必要はあるかと思うので、ご参考まで。
全体の構成は下記のようで全5章49条からなる。
第一章 総則 第1条~第7条
第二章 規制政策、規制リストと管制措置
第一節 一般規定 第8条~第20条
第二節 両用物輸出管理 第21条~第22条
第三節 兵器輸出管理 第23条~第27条
第三章 監督管理 第28条~第32条
第四章 法律責任 第33条~第44条
第五章 附則 第44条~第49条
確認する基本条項は以下の通りです。
第2条(対象) 国家は、二重用途品目、軍事製品、核およびその他の国家の安全と利益の維持、拡散防止等の国際義務の履行に関する貨物、技術、サービス等の品目(以下、規制品目と総称する)の輸出規制に対し、本法を適用する。
前項でいう規制品目には、品目に関する技術資料などのデータが含まれる。
この法律でいう輸出規制とは、国家が中華人民共和国国内から国外に対して規制品目を移転すること、及び中華人民共和国公民、法人及び不法人組織が外国組織及び個人に対して規制品目を提供すること、禁止又は制限措置をとることをいう。
本法でいう二重用途品目とは、民事の用途があり、また軍事的な用途があり、または軍事的な潜在力を高めるために役立ち、特に、大量破壊兵器と運搬道具を設計、開発、生産または使用することができる貨物、技術、サービスをいう。
本法でいう軍事製品とは、軍事目的のための装備、専用生産設備その他関連貨物、技術、サービスをいう。
この法律でいう核とは、核物質、核設備、原子炉用の非核物質及び関連技術とサービスのことです。
第12条(許可制度) 国は規制品目の輸出に対して許可制度を実施する。
輸出規制リストに記載されている規制品目または臨時規制品目は、輸出事業者が国家輸出管制管理部門に許可を申請しなければならない。
輸出規制リストに記載される規制品目及び臨時規制品目以外の貨物、技術及びサービスは、輸出事業者が知っている、或いは国家輸出管制管理部門から通知を受けて、関連貨物、技術及びサービスに以下のリスクがある可能性がある場合、国家輸出管制管理部門に許可を申請しなければならない。
(1)国家の安全と利益を損なう;
(2)大量破壊兵器及び輸送具の設計、開発、生産または使用に用いられる;
(3)テロ目的で使用される;
輸出事業者が輸出予定の貨物、技術、サービスが本法に規定された規制品目に該当するかどうかを確認できずに、国家輸出管制管理部門に相談する場合、国家輸出管制管理部門は速やかに回答しなければならない。
第13条(チェック内容) 国家輸出管制管理部門は以下の要因を総合的に考慮し、輸出経営者の輸出規制品目の申請を審査し、許可或いは許可しない決定を下す。
(1)国家の安全と利益;
(2)国際義務と対外承諾;
(3)輸出の種類;
(4)規制品目の敏感度;
(5)輸出先の国或いは地域;
(6)最終利用者と最終用途;
(7)輸出事業者の関連信用記録;
(8)法律、行政法規に規定されたその他の要素。
第33条(処罰) 輸出事業者が関連規制品目の輸出資格がなく関連規制品目の輸出に従事した場合、警告、違法行為の停止、違法所得を没収する。違法事業額が50万元以上の場合、違法事業額の5倍以上の10倍以下の罰金を科する。違法経営額がない或いは違法経営額が50万元未満の場合、50万元以上の500万元以下の罰金を科する。
処罰は、第34条(無許可)、第35条(不正手段)、第36条(協力者)などの規定があるが、懲罰的規定となっている。
なお、中国を経由する貨物等も対象となる(第45条)ので注意が必要である。
参照サイト:http://www.gov.cn/xinwen/2020-10/18/content_5552119.htm