【韓国】知財法改正施行(2024年5月1日)

韓国知的財産庁(KIPO)では、昨年末に改正されたデザイン法と商標法の改正が5月1日より施行される。

デザイン法(日本の意匠法に該当)
1.関連意匠出願期間を3年まで拡張
 現行法では、関連意匠出願ができる期間が基礎意匠出願日から1年以内であるところ、3年以内まで拡張される。
2.新規性喪失の例外主張の時期的制限削除
 現行法では、意匠出願の本人による公開日から12か月以内であれば新規性を喪失しない適用を受られるところ、当該時的制限の規定が削除された。なお、例外適用の主張時期は、出願時、登録可否決定前、異議申立に答弁書提出時、無効審判での答弁書提出時である。
3.優先権主張の要件緩和
 現行法では、優先権主張は最先の出願日から6月以内、優先権書類提出は出願日から3か月以内との時期的制限がありかつ徒過に対する救済はないところ、正当な理由がある場合に2か月の追完期間を設けるとともに、出願日から3か月以内に優先権の補正や追加ができる。

商標法
1.コンセント制度の導入
 現行法では、登録に障害となる先願や先登録商標があり審査意見書が出された場合に譲渡/アサインバックなどにより対策をしなければならないところ、先願や先登録の商標権利者から自身の商標登録に対する共存同意を得た場合、同意書を提出するだけで拒絶理由を解消できることができる。但し、対象の標章と指定商品・役務がいずれも同一である場合は適用されない。また、日本と違い完全手続き型であるため、混同の審査がなく同意書の提出があれば拒絶理由を解消できるため、同意交渉に基づく同意書の作成は不可決である。なお、現在出願継続中の案件で5月1日以降の審査意見書でも対応できる。
 注意するべきことは、コンセントに関わる登録商標の当事者のいずれも不正競争の目的で商標を使用し、誤認混同や品質誤認になると認定された場合、その混同や誤認をさせることになった商標権は、審判で無効取消され、関係当事者は無効取消後3年間同一の標章を登録できなくなることに注意が必要である。また、先行商標以外の拒絶理由がある場合は個別に対尾する必要がある。
 *共存同意書の提出可能時期
 ∙ 出願公告前:出願時から出願公告または特許庁の拒絶決定前まで
 ∙ 出願公告後:異議申立に対する答弁書提出期限或いは
        特許庁の職権拒絶に対する意見書提出期限内
 ∙ 再審査請求時:再審査請求期限内(拒絶決定書受領後3ヶ月以内)
 ∙ 拒絶決定不服審判請求時:請求時から審理終結前まで
 *共存同意書に記載されるべき事項
  同意日、先登録(出願)の詳細、出願商標の詳細、共存同意の指定商品・役務の範囲、共存同意での登録商標であることの登録原簿記載に対する同意、当事者の署名か捺印
 *認められない共存同意書
   条件付き同意、包括的同意、1商標1出願に違反に対する同意
2.マドプロ国際商標出願および基礎登録商標権分割出願の制限解除
 現行法では、韓国を指定した国際商標出願の韓国の手続きで当該出願の分割および基礎登録商標権分割出願ができるように制限する規定を改正或いは削除した。
3.国際商標登録出願の国内登録商標の部分代替認可導入
 最近改正されたマドリッド議定書規則に一致させせるため、国内登録商標の指定商品が国際登録商標の指定商品の「すべて」を「一部のみ」を含む場合も部分代替を認める規定を導入した。

参照サイト:KIPO、Kim&Chan

【日本】日中韓商標類似群コード対応表2024版の公示(3月8日)

日本特許庁(JPO)は、3月8日付、例年作成している日中韓の三庁が商標審査においてそれぞれ使用している類似群コードの対応関係を示す一覧表(日中韓類似群コード対応表)の最新版(12-2024版、令和6年1月1日発効)公表した。

一覧表は、エクセルファイルで、現地語の記載もあるため、中国や韓国出願時に参照すると便利である。

中国での出願に利用する場合、対象商品がやや違っている場合があるので、Web検索などして確認する必要が必要ある。中国の商標分類編成は、日本と違い機能分類となっており、また日本のように上位概念である類似群の名称を指定商品や役務とすることはできない、アメリカと同じような商品やサービスの列挙主義となっているため、商品や役務の選定には十分な注意が必要である。ご依頼があれば、指定商品や役務のドラフトを提供します。

参照サイト:https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/kokusai/jpo_cnipa_kipo-ruiji2024.html

【韓国】特許・商標オフィシャルフィー改定(8月1日施行)

韓国知的財産庁(KIPO)は、7月27日、28日にの出願人の経済的負担を緩和し、技術革新を促進するための特許登録料と年金の値下げを含む「特許料等の徴収規則」の改正を8月1日から施行することを公示した。主な、改正は以下の通り。

1.特許登録料(設定登録料と年金)の値下
 設定登録料と年金を一律的10%程度値下
 ①設定登録料(1~3年目の登録料) 特許査定書が2023年8月1日以後の出願に適用
 ②特許年金(4年目以降の年金) 納付日が2023年8月1日以後の登録に適用

2.特許審査請求料の一部値上
 基本16万6千ウォンに、請求項当たり5万1千ウォンを加算した額
 出願日(PCT出願も同じ)が2023年8月1日以後である出願に適用

3.特許分割出願に対する追加料金の導入
 2回以上の分割出願に対して累進的に適用。特許にのみ適用。
  2回目の分割出願:新規出願料に該当する金額の2倍
  3回目の分割出願:新規出願料に該当する金額の3倍
  4回目の分割出願:新規出願料に該当する金額の4倍
  5回目の以降の分割出願:新規出願料に該当する金額の5倍
 2023年8月1日以後の分割出願から適用

4.商標出願料及び指定商品数の調整
 ①出願基本指定商品数を、20個から10個に縮小、
  10個を超える商品数に追加料金、1個当たり2千ウォン
 ②商標出願及び商標登録時の現行商標手数料から一律的に1万ウォン値下
  適用対象:2023年8月1日以後の商標出願、更新などの手続きから適用

5.特許・商標の移転登録料
 移転登録料を実用新案・デザインの移転登録料と同一4万ウォンに改正
  2023年8月1日以後に移転登録手続きから適用

参照サイト:https://www.kipo.go.kr/ko/kpoBultnDetail.do?menuCd=SCD0200618&ntatcSeq=19823&aprchId=BUT0000029&sysCd=SCD02
https://www.kipo.go.kr/ko/kpoBultnDetail.do?menuCd=SCD0200609&ntatcSeq=19468&aprchId=BUT0000020&sysCd=SCD02
情報提供 Kim&Chang

【韓国】デザイン保護法一部改正(12月21日) 

韓国政府は、5月25日の改正案可決を受けて、2023年12月21日付、デザイン保護法の一部改正を施行する。概要は以下の通り。

1.関連意匠出願期限の拡張
 現行法での基本意匠(韓国では、意匠をデザインという)出願の関連意匠の出願期限を現行の1年以内を3年に拡張される。2022年12月21日以降の出願が対象となる。

2.新規性喪失の例外主張の適用の拡大
 現行法での新規性喪失の例外の提出期限は、①出願時(30日補充期間あり)、②意匠登録決定、拒絶査定通知書の発送前、③異議申立への答弁書提出時、④無効審判への答弁書提出時であったが、提出に係る第36条第2項が削除され、いつでも提出できるようになる。

3.優先権主張要件の緩和
 現行法での優先権主張は最先の出願日から6ヶ月以内、優先権書類の提出期限は出願日から3か月以内、期限徒過後の救済手続きはないところ、正当な理由により期限を過ぎた場合には2か月の猶予期間が設けられた。また、これまで規定のなかった、優先権主張に対する補正・追加が新設され、出願日から3か月以内に手続きがができる。

情報提供:Kim&Changほか

【韓国】不正競争防止法改正施行(9月29日)

韓国の「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」の善意の先使用者の保護やアイデアの冒用の禁止権の時効に関する規定が3月28日に改正され、2023年9月29日に施行される。

1.善意の先使用者の使用権及び周知商標使用者による誤認混同防止請求権
 第2条第1号イ目、改正新設
 1)他人の商品標識が国内に広く知られる前からその他人の商品標識と同一・類似の標識を不正な目的なしに継続して使用する場合;
 2)1)に該当する者の承継人として、不正な目的なしに継続して使用する場合。
 第2条第1号ロ目、改正新設
 1)他人の営業標識が国内に広く知られる前からその他人の営業標識と同一・類似の標識を不正な目的なしに継続して使用する場合;
 2)1)に該当する者の承継人として、不正な目的なしに継続して使用する場合。
 第2条第1号ハ目、改正新設
 1)他人の氏名、商号、商標、商品の容器・包装、その他他人の商品又は営業であることを表示する標識が国内に広く知られる前からその他人の標識と同一・類似の標識を不正な目的なしに継続して使用する場合;
 2)1)に該当する者の承継人として、不正な目的なしに継続して使用する場合;
 3)その他非商業的使用等、大統領令で定める正当な理由に該当する場合。
 第3条の3 誤認混同防止の請求を新設
 第2条第1号イ目又はロ目の他人は、次の各号のいずれかに該当する者に、その者の商品又は営業と自己の商品又は営業間で出所の誤認や混同を防止する上で必要な表示をすることを請求できる。
 1.第2条第1号イ目1)又は2)に該当する者
 2.第2条第1号ロ目1)又は2)に該当する者
 ★周知商標権者が善意の先使用者やその継承者に対する権利行使の範囲を制限、また適切な誤認混同を防止する表示の記載を要求する権利が明確にした。中国と同じような規定である。

2.アイデア奪取(盗用、冒用)行為に対する来住請求権に消滅時効導入
 第4条第3項 新設
 ③第1項に基づいて第2条第1号ヌ目の不正競争行為の差止或いは予防を請求できる権利は、その不正競争行為が続く場合に、営業上の利益が侵害されたか侵害されるおそれのある者がその不正競争行為により営業上の利益が侵害されたか侵害されるおそれのあるという事実及びその不正競争行為をした者を知った日から3年間行使しなければ、時効の完成により消滅する。その不正競争行為が始まった日から10年が過ぎたときも、同様である。
 第13条の見出「善意者」を「営業秘密侵害善意者」に改正
 第14条の見出「(時効)」を「(営業秘密侵害行為差止請求権等に関する時効)」に改正
 ★営業秘密などのアイデアの盗用や冒用について、その事実や惧れを知った日から3年或いはその実施日から10年で時効が完成するため、早々の証拠保全と法的措置が求められる。

3.不正競争行為の調査対象を電子データまで拡大
 第7条第1項「関係書類や帳簿・製品等」を「関係資料や製品等」に改正
 ★行政による対象となる不正競争確認において、製造や事業施設に立ち入り調査、保全をするときの対象を「関係書類や帳簿・製品など」を改正することで、電子データやファイルも可能とした。

参照サイト:代理人情報、Jetro韓国サイト

【韓国】商標法改正施行(2月4日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、2022年2月3日に法律第18817号で成立した再審査請求と部分拒絶の導入を2月4日の出願より適用を開始した。

1.再審査請求制度(新設 第55条の2、第40条第1項第1号)
指定商品や役務の補正や削除で拒絶理由を解消できる場合でも、対応方法が拒絶決定不服審判請求のみであったが、改正により、拒絶査定後、指定商品や役務を補正或いは削除などの減縮により拒絶理由を解消できる場合、審判でなく再審査請求で対応できるようになった。
第55条の2
①第54条に基づく商標登録拒絶決定を受けた者は、その決定の謄本送達日から3か月(第17条第1項に基づいて第116条による期間が延長された場合にはその延長された期間)以内に指定商品或いは商標を補正して当該商標登録出願に関する再審査を請求することができる。ただし、再審査請求時に既に再審査に基づく拒絶決定、第116条に基づく審判請求がある場合は、除く。
②出願人は第1項に基づき再審査の請求とともに意見書を提出することができる。
③第1項に基づき再審査請求された場合、当該商標登録出願に対する従前の商標登録拒絶決定は取消したものと見做す。ただし、再審査の請求手続きが第18条第1項に基づき無効となった場合は、除く。
④第1項に基づく再審査請求は取下ることができない。

2.部分拒絶(第57条、第68条、第87条ほか)
拒絶理由が指定商品や役務の一部のみにある場合でも出願全体が拒絶されていたが、改正により、拒絶の対象が指定商品や役務の一部のみである場合、出願人が指定商品や役務を削除するなどの手続きを取らなくても拒絶理由のない商品や役務が登録に進むようになる。また、拒絶査定不服審判請求ので、これまで全商品や役務を対象に審判請求する必要があったが、改正により、拒絶絶決定された商品や役務のみ或いはその一部を対象として不服審判請求することができる。
第57条第1項各号以外の部分本文中の「場合は」を「場合(一部の指定商品に対して拒絶理由がある場合は、当該指定商品に対する拒絶決定が確定された場合をいう)は」に改め、同項第2号中「商標登録出願」を「商標登録出願の指定商品」に改める。
第68条中「場合は」を「場合(一部の指定商品に対して拒絶理由がある場合は、当該指定商品に対する拒絶決定が確定された場合をいう)は」に改める。
第87条第1項各号以外の部分に以下を新設し、同条に第④項を次のように新設する。
この場合、指定商品追加登録出願の指定商品の一部が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該指定商品のみに対して指定商品の追加登録拒絶決定をしなければならない。
④審査官は第②項に基づき拒絶理由を通知する場合、指定商品別に拒絶理由と根拠を具体的に書かなければならない。

なお、法律第18817号で同時に成立した以下の商標評の使用行為は、昨年8月に施行されている。
第2条第1項第11号ロ目「譲渡、引渡、譲渡或いは引渡の目的で展示・輸出若しくは輸入」を「譲渡、引渡、電気通信回線を通じて提供する行為或いはこれを目的とした展示、輸出・輸入」に改める。

以上

【韓国】特許法などの一部改正施行(8月17日)

韓国政府は特許法、実用新案法、デザイン保護法、商標法などの一部を改正する法律を2021年8月17日に公布し、公布後3ヶ月(一部は6ヶ月後)後から施行される。

特に、出願実務で影響があるのは、特許法第84条の審査請求料の返還の範囲が拡大されたことで、従来、審査前は全額返還、審査請求後は、
①専門機関による先行技術調査業務に対する結果通知があったとき、
②同一人により同じ発明が同じ日に2件以上の特許出願がある場合に、当該特許出願人に期間を定めて協議の結果を申告するよう命じる協議結果申告命令があったとき、
③拒絶理由通知があったとき、
は、特許出願を取下・放棄しても既に支払った審査請求料の返還はされなかった。
改正特許法では、
①は、先行技術調査業務の結果通知があった後に特許出願を取消・放棄した場合に、審査請求料の全額返還(約45万ウォン,約4.3万円)
②は、「協議結果申告命令があった後、申告期間が満了する前」に
③は、「拒絶理由通知後、意見書提出期間の満了前」に
特許出願を取消・放棄した場合、審査請求料の1/3の返還 (約15万ウォン,約1.4万円)
に改正された。なお、不法な手数料の減免を受けた場合は倍額の徴収を受ける。11月18日より施行。

その他の改正は以下の通り:
① 特許審判段階での調停制度の導入
 審判を終結することのできる調整制度の導入により、審判中に審判長が調停を必要と認める場合、当事者の同意を条件に産業財産権紛争調停委員会に付託できる。調整委員会に回付された審判事件は、回付された時から3か月以内に両当事者間の合意により迅速に終結することができる。
② 民事訴訟法(2002年法)の適時提出制度の準用
 特許審判の当事者が主導的に主張や証拠を適切な時期に提出せず、審判長が要求する時期より遅れた場合、故意或いは重過失で遅延した主張や証拠の提出は却下されるようになった。
③ 特許審判院での専門人材の配置
 最先端技術に対する専門性と信頼性を強化するために、特許審判院に関連専門家を配置し審判事件の支援とすることができるようになった。
④職権補正での誤りは無効措置
 審査官の誤った職権補正は初めからなかったものとなる。

以上

【韓国】知財法改正公布(10月20日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、特許法、商標法、デザイン保護法及び不正競争防止法の改正が公布された。

特許法は、2020年10月20日付、第225条第2項の改正の公布及び施行が同日にされた。
 本改正前の特許法は、特許権または専用実施権の侵害罪に対して7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金に処するものの、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」として規定しており、実効性のある手段になっていないとの指摘が提示されていた。これに対し改正特許法では、親告罪として規定されていた特許権または専用実施権の侵害罪を被害者が起訴を望まないという意思を確実に表明する場合にのみ起訴をしない「反意思不罰罪」(被害者告訴不要)に変更することによって特許権の保護を一層強化した。
 なお、韓国の刑事訴訟法では、刑事告訴の期間が「親告罪に対しては、犯人を知った日から6カ月を経過すれば告訴することができない」と制限されているが、今回の特許法改正により特許侵害罪の場合、この告訴期間(6カ月)の制限なしに、捜査機関が職権捜査して処罰可能となった。

商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法では、2020年10月20日付、「アイディア侵害禁止規定」に3倍賠償の規定を追加する改正、法定損害賠償額の増額が公布された。
 2019年7月9日に特許法改正と不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法という)の営業秘密侵害行為に3倍賠償制度は導入施行されているが、今回商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法の「アイディア侵害禁止規定」においてもその規定が導入された。商標法とデザイン保護法は公布と同日に施行された。不正競争防止法での施行は2021年4月21日の予定である。
 3倍賠償制度に関する規定はいずれの法律でもほぼ同じ内容であり、賠償金額の算定時に考慮しなければならない8項目について次の通り規定している。
①侵害者の優越的地位の有無;
 [商標法のみ「侵害行為により該当商標の識別力または名声が損傷された程度」と規定している]
②故意または損害発生のおそれを認識した程度;
③侵害行為により特許権者及び専用実施権者が受けた被害の規模;
④侵害行為により侵害者が得た経済的利益;
⑤侵害行為の及ぶ期間・回数など;
⑥侵害行為による罰金;
⑦侵害者の財産の状態;
⑧侵害者による被害救済努力の程度。
 商標法とデザイン保護法の法定賠償額は次の通り改正され、同日施行された。
①法定損害賠償金を5千万ウォンから1億ウォンに引上げ;
②故意侵害の場合における法定損害賠償金を3億ウォンに引上げ;
③使用料相当額の基準を“通常”受取ることができる金額から“合理的”水準に変更。

情報提供:Kim&Chang

【韓国】デザイン保護法施行規則の改正施行(2020年9月1日)

韓国特許庁はデザイン保護法施行規則の一部を改正し、が2020年9月1日付施行した。主な内容は以下の通り。

1.審査対象の拡大
韓国は、特定な分野のみを審査対象とする一部審査制度を実施しており、今回は、以下の分野を審査対象加えた。
第1類(食品)
第3類(他類に明記されない旅行用品、ケース、パラソルおよび身の回り品)
第9類(物品運送・処理用包装および容器)
第11類(装飾用品)
従来の第2類(衣類およびファッション雑貨用品)、第5類(繊維製品、人造および天然シート織物類)、第19類(文房具、事務用品、美術材料、教材)に加え、比較的幅広い対象となった。

2.図面提出要件の緩和
従来、フォントの書体を出願する場合、図面を別に作成して提出しなければならないところ、図面の代わりにフォントファイル自体を提出することが認められる。また、出願図面を補正する場合、出願時のファイル形式でのみでの補正を異なるファイル形式でも補正が可能になり、要件が緩和された。

ところで、韓国特許庁によるとデザイン権(意匠権)の重要性が高まり、権利保有期間が10年前に比べ2年弱伸びている。これは10年前(2010年)の平均権利保有期間5.1年で、2019年は平均6.9年と1.8年伸びている。2019年に消滅したデザイン権の保有期間は、10年以上が19.6%、3年~10年は41.5%、3年以内は30.1%である。2010年と比較すると、10年以上は3.8倍の増加(2010年5.2%→2019年19.6%)、3年以内は0.7倍の減少(2010年41.8%→2019年30.1%)している。出願人別では、大企業と中小企業がそれぞれ7.1年と7年で、10年前と比べて大企業は2.5年、中小企業は1.9年延びている。

情報元:Kim&Changほか

【韓国】特許法改正案国会通過(5月20日)

特許侵害による損害賠償額の増額

2020年5月20日付、特許法の一部改正案が国会を通過した。現行の韓国特許法 第128条 は特許侵害による損害額の算定方法の特別規定で、第2項は逸失利益の算定であり、侵害品の販売数量×特許権者が利益額で算出できる。この損害額算定は特許権者の生産能力の範囲内でのみ認められるという限界がありました(第3項)。そのため、損害賠償額が低過ぎるという批判があった。

今回の特許法改正は、 第128条第2項の修正及び第3項を削除し、特許権者の生産能力の範囲を超えた販売数量に対しても、合理的実施料相当額程度の損害賠償請求が可能になった。これまで、実務上はこうした算定方法が適用された事例はあるが、日本と同じように明文化されといえる。

特許法の改正は政府が改正公布日から6か月後に施行されて、施行日以後の事件に適用される。施行日は2020年12月頃の予定。なお、実用新案法も特許法の準用で、同様に適用される。

第128条(損害賠償請求権等)
①特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し侵害により受けた損害の賠償を請求することができる。
②第1項により損害賠償を請求する場合、その権利を侵害した者がその侵害行為を組成した物を譲渡したときは、その物の譲渡数量に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益額を乗じた金額を特許権者又は専用実施権者が受けた損害額とすることができる。
③第2項により損害額を算定する場合、損害額は特許権者又は専用実施権者が生産することができた物の数量から実際に販売した物の数量を差し引いた数量に単位数量当たりの利益額を乗じた金額を限度とする。ただし、特許権者又は専用実施権者が侵害行為以外の事由で販売できなかった事情があるときは、その侵害行為以外の事由で販売できなかった数量による金額を差し引かなければならない。
④~⑨ (省略)

出展:Kim&Chang

【韓国】臨時明細書の提出、匿名の情報提供などに関する施行規則改正(2020年3月30日施行)

韓国特許庁は、2020年3月30日付、特許法及び実用新案法施行規則の改正令が公布され、施行された。主な内容は、臨時明細書(仮出願)の提出及び匿名による情報提供が可能となった。

1.臨時明細書の提出
韓国企業による早期の特許出願日確保のためのアメリカの仮出願(Provisional Application)制度のように出願明細書のような形式の制約のない制度導入の要請を受けて新設された。出願日確保に新たな方策が現れた感じである。
 クレームの提出猶予制度(特許法第42条の2)を改正し、定められた書式でない、或いは発明の説明の要件を充足しない自由記載の臨時明細書を出願時に添付できることで、より迅速な出願ができるようになった。
 特許を受けるためには、
①出願日から1年以内に臨時出願明細書提出日を優先権を主張しながら再出願する
②臨時明細書の提出日から1年2か月以内に正式明細書を再度提出する。
 なお、臨時明細書で提出できる書類の形式や言語に制限がなく PDF、DOC、DOCX、PPT、PPTX、HWP、JPG、TIFなど一般的な電子ファイルで、韓国語の限定がないことから英語や日本語の文書で、例えば、研究ノート、研究報告書などに記載された発明をそのまま提出することができる。

2.匿名による情報提供
 情報提供書の提出時に「提出人」欄を記載する必須要件が改正され、匿名での情報提供ができるようになった。ただし、匿名で提出した場合、情報提供者にその結果は通知されない。他国でも同様の条件であるが、匿名での情報提供が可能にり、活用の幅が広がった。

情報提供:Kim&Changほか

【韓国】産業技術保護法の改正施行(2020年2月21日)

韓国では、 2019年8月20日に公布された「産業技術の流出防止及び保護に関する法律(産業技術保護法)の改正法が2020年2月21日に施行された。

今回の改正産業技術保護法の主な内容は、以下の通り。
①企業に国家核心技術を取り扱う専門人材の移籍などを管理させる(第10条)
②企業に外国企業が関与した国家核心技術保有企業のM&Aに対する承認・申告義務を課する(第11条の2)
③国家核心技術などの産業技術の流出・侵害行為に対して3倍の懲罰的損害賠償(第22条の2)及び3年以上の有期懲役刑(第36条)を課し、民刑事制裁の水準の引上、規制を強化した
④情報捜査機関に産業技術侵害に関する調査及び措置ができる権能を設けた(第15条)

併せて、産業技術保護法施行令及び施行規則も整備された。施行令附則には、海外買収・合併等の申告に関する適用例を定める施行令第18条の5の改正で、本令施行時点に海外買収・合併等の手続が進行中の場合であっても適用するとしている。

情報提供:Kim&Chang

【韓国】商標審査基準の改正(2020年1月施行)

韓国特許庁は2020年1月から商標審査基準を改正し、施行している。その主な内容は次のとおり。

使用による識別力の判断
商標の使用期間については原則的に5年以上とし、その間実質的に非競合的かつ継続的に商標を使用した場合、使用による識別力取得認定の重要判断根拠として考慮することができる。
 ただし、短期間でも多量の広告宣伝を通じて認知度が上昇することもあるため、使用期間が短くても売上額、市場占有率、認知度などが大きく上昇した場合には考慮して使用による識別力取得を認めることができる。
 消費者認知度調査のためのアンケート調査の場合は、原則的に人的・物的要件が備わった信頼性ある調査機関により実施されなければならず、同種商品の実際のまたは潜在的な需要者を対象とし、地域、性別、年齢などの代表性があり、質問形態は公正かつ適切に構成されなければならず、回答標本数が500人以上、回答者の50%以上が該当商標を特定の所有者の商標として認識している場合、調査の信頼度を高く評価することができる。
 なお、審査手続きは、使用による識別力の判断を審査官1名の単独審査から審査官1名による審査後、識別力が認められると判断される場合は審査官3名の合議体で再検討後、識別力が認められると判断されれば最終的に審査委員会が最終決定する。

医薬品関連の商標出願
 他人がすでに製造販売・輸入品目許可・申告をした医薬品名称と同じ医薬品名称を商標出願した場合には、商標使用意思がないものと拒絶する。
 出願人が本人の著名な医薬品名称と同一・類似の商標を他の医薬品の名称として出願したり、他人の医薬品の名称と同一・類似の商標を出願した場合、商品の品質を誤認させる或いは需要者を欺瞞するおそれがある商標と拒絶する。

日本の年号
 「令和」、「れいわ」または「레이와(Reiwa)」は韓国で指定商品と関連し識別力がないとみることができないが、「年号+○○年」などのように標章が構成される場合、「西暦○○○○年」に準じてその他の識別力がない部分とみなす。

出展:Kim&Chang

【韓国】特許法改正施行、方法特許の申し出を侵害態様に追加(2020年3月11日)

韓国政府は特許法の改正を 2019年12月10日付で公布し、2020年3月11日から施行される。改正内容は、第2条(定義)の3項の実施について、ロ号の方法の発明の場合:「その方法を用いる行為」を「 その方法を用いる行為またはその方法の使用を申し出る行為」と改正し、使用の申し出を侵害態様に追加した。
 なお、 第94条(特許権の効力)に下記の②を追加し、侵害を知りながらの条件付きとしている。
②特許発明の実施が第2条第3号ロ目による方法の使用を申し出る行為の場合、特許権の効力は、その方法の使用が特許権または専用実施権を侵害するということを知りながらその方法の使用を申し出る行為にのみ及ぶ。

韓国特許法は、 「記録媒体に記録されたプログラム」のみを特許付与対象してきたために、オフラインで流通される場合にのみ保護され、コンピュータプログラムなどで具現化された発明技術の方法を含むソフトウェアがオンラインで販売、提供する行為を規制する改正が2005年から検討されており、今回の改正で導入されることになる。

ただし、「申出」が対象であり、「知りながら」を条件とするため、プログラムを侵害行為と知りながらオンラインで提供する者、具体的にはソフトウェアやデータを送信する行為やプラットフォームにアップロードする行為に対してのみ権利行使が可能であり、プログラムの使用には権利行使が可能ではない点に留意するしなければならない。もちろん、個人や善意の使用者にも権利行使はできない。権利範囲は狭く、また被疑侵害行為を立証する課題は大きいと思われる。

出展:Kim&Chang

【韓国】特許法及び不正当競争防止法の改正・施行(2019年7月9日)

2019年1月8日付で公布された、懲罰的損害賠償などを追加規定した改正特許法及び改正不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法)が2019年7月9日に施行される。

1.懲罰的損害賠償制度の導入
改正特許法及び改正不正競争防止法では、故意の侵害行為と認められる場合に、認定損害額の3倍を超えない範囲で法院が懲罰的損害賠償額を認定できる制度を導入した。法院が損害賠償額を決定する時の考慮事項は下記の通りで、特許と実用新案が対象;
(1)侵害行為をした者の優越的地位、
(2)故意または損害の発生のおそれを認識した程度、
(3)侵害行為により特許権者が被った被害規模、
(4)侵害行為により侵害者が得た経済的利益、
(5)侵害行為の期間・回数など、
(6)侵害行為による罰金、
(7)侵害者の財産状態、
(8)侵害者の被害救済努力の程度。
(特許法第128条第8項及び第9項の新設、不正競争防止法第14条の2第6項及び第7項の新設)

2.実施料賠償規定の改正
改正特許法では、従前特許法の「通常」という表現により損害額が実損より低く算定されて不十分な補償となる問題点に鑑み、「合理的」と変更し、特許侵害などの個別・具体的な状況を考慮して損害額を算定するようにした。(特許法第65条第2項及び第128条第5項の改正)

3.具体的行為態様の提示義務の新設
改正特許法は、特許権侵害訴訟において、特許権者が主張する侵害行為の具体的な行為態様を否認する当事者が自らの具体的な行為態様を提示するように義務付ける立証の転換を規定し、当該当事者が正当な理由なく自らの行為態様を提示しない場合、法院が特許権者の主張する行為態様が真実なものとして認定することができるように規定した。(特許法第126条の2の新設)

4.営業秘密要件の緩和
改正不正競争防止法は、秘密管理性の規定から「合理的な努力」の表現を削除し、合理的な努力がなくとも秘密として維持管理されているのであれば営業秘密と認定するように要件の立証義務のレベルを緩和した。これまで2015年不正競争防止法の改正により「相当な努力によって秘密として維持」の表現が「合理的な努力によって秘密として維持」に緩和された経緯があったが、今回は当該表現を削除し、要件をさらに緩和した。(不正競争防止法第2条第2号の改正)

5.営業秘密侵害行為などに対する罰則の強化
改正不正競争防止法の規定する処罰対象行為は、
(1)不正な利益を得るか営業秘密保有者に損害を与える目的で、営業秘密を指定された場所以外に無断で流出させる行為、
(2)不正な利益を得るか営業秘密保有者に損害を与える目的で、営業秘密保有者から営業秘密の削除または返還の要求を受けたにもかかわらず、これを継続して保有する行為、
(3)切取・欺瞞・脅迫、その他の不正な手段で営業秘密を取得する行為、
(4)営業秘密侵害行為の事実を知りながら、当該営業秘密を取得または使用する行為。
(不正競争防止法第18条第1項及び第2項の改正)

6.罰則を大幅に加重
国外使用目的:15年(元10年)以下の懲役または15億(元1億)ウォン以下の罰金
国内使用目的:10年(元5年)以下の懲役または5億(5千万)ウォン以下の罰金
こうした罰則の拡大は、処罰の空白を防止する効果があり、刑事処罰水準の強化を通じて営業秘密の保護がより強化されると期待される。

改正法では、営業秘密侵害犯罪の類型を大幅に拡大したという点に最も大きな意味があり、追加された犯罪類型の一部(営業秘密を指定された場所外に無断で流出させる行為、営業秘密の削除・返還要求に応じない行為等)は、民事上の侵害行為の類型にも含まれていないため、今回の改正により刑事責任の対象範囲が民事責任の対象よりも広く拡張され、営業秘密侵害に対する制裁の強化でもある。
また、処罰の範囲の拡張より、営業秘密侵害事件が法的紛争事件として増加するだけでなく、営業秘密流出時の実務的な対応とその紛争の形態にも変化をもたらすことが予測される。例えば、営業秘密侵害の相手方に警告状を発送したが、相手方が応じなければ、別途刑事措置を取ることができる。また故意侵害の根拠として相手方が警告状に応じなかったことを提示することで懲罰的損害賠償を請求することも可能になるなど、これまでとは異なる紛争状況につながる可能性がある。

出典:Kim&Chang