最高人民法院は、7月28日、記者会見を含み、「最高人民法院による顔認識技術を使用し個人情報処理の民事事件の審理における法律適用に関する若干の問題の規定(最高人民法院关于审理使用人脸识别技术处理个人信息相关民事案件适用法律若干问题的规定)」 法釈〔2021〕15号を公示するとともに、8月1日より施行する。
中国では、この10年間に不法行為による人格権の訴訟が1,144,628件、また、この5年間、プライバシーに関する訴訟が1678件も発生しており、一方、刑事事件でもこの5年間に10,059件の訴訟が提起されている。これまで主にインターネットプロバイダーや利用者を対象とする不法行為責任を追及する体制であったが、民法典が施行され、個人情報保護を打ち出してきている。一方、顔認識を含む生体認証技術の利用の進展もあり、こうした明確な個人情報の保護に一石を投じる新たな司法解釈を出したと言える。
人格権を侵害しうる顔認識技術の運用の行為は第2条に8項目規定されており、例えば;
(1)ホテル、デパート、銀行、駅、空港、体育館、娯楽場所などの事業所、公共場所で法律、行政法規の規定に違反し、人の顔認識技術を使って人の顔検証、認識或いは分析を行う行為;
(2)人の顔情報を処理する規則が未開示或いは処理の目的、方式、範囲を明示していない行為;
(3)個人の同意に基づいて人の顔情報を処理する場合、自然人或いはその保護者の単独の同意を得ていない、または法律、行政法規の規定に従って自然人或いはその保護者の書面同意を得ていない行為;
などなど
損害などの対応は、主に民法第182条の規定に従う内容となっている。