【アメリカ】USPTO「ターミナル・ディスクレーマー規則改正案」取下(12月3日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、12月3日付、5 月 10 日付の官報で公示し、意見募集した特許出願におけるターミナル・ディスクレーマー規則改正案を取下げることをそのウェブサイトと官報で公示した。ターミナル・ディスクレーマー(TD:Terminal Disclaimer)は、発明技術を特許出願した際に、先の特許出願から派生するような関連発明をいくつか出願した場合に、審査において特許の登録要件(35USC§103)の非自明性型(non-obviousness)を違反すると指摘を受け、二重登録(ODP:Obviousness-type double patenting)を回避するために、先の関連登録特許との存続期間を調整し一部を放棄する手続きである。

USPTOの改正案は、先の特許出願が新規性或いは非自明性の要件に違反し拒絶または無効となった場合、後の派生特許出願でTDの期間調整をした特許は、特許の有効性をはんだんすることなく、権利行使不能となるとの提案であった。この改正案は、権利の有効性確認手続きが高額になることから競争を阻害するとの理由から提案されたものであるが、発明に基づく権利範囲を複数の特許でブロックする特許群を作るような戦術からすると大きなマイナス要因となるためアメリカ国内では反対意見もあり、制度的にも特許審査遅延や医薬品特許の上市審査のための特許期間補償(PTA、PTE)の適用などでも不公平感があるなど、さまざまな理由や議論がされていた。

USPTOは、取下げた理由を明確にしていないが、知財業界としては安堵しているとの会話が聞こえている。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/12/04/2024-28263/terminal-disclaimer-practice-to-obviate-nonstatutory-double-patenting-withdrawal