【中国】「インターネット不正競争典型事例」公示(6月27日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、6月27日、「内向型」競争を全面的に是正し、公正な競争市場秩序を維持し、プラットフォーム経済の健全な発展を促進するため、不正競争対策を継続的に強化するとして、2024年にインターネット不正競争対策特別法執行キャンペーンを展開し、2025年にはインターネット不正競争是正特別キャンペーンを展開する。正常な市場秩序を乱し、市場の有効な運営を阻害する不正競争の顕著な問題を効果的に是正するために、SAMARは、事業者のコンプライアンス意識の向上と明確なルールを策定するためのインターネット不正競争典型的事例5件を公示した。

1.鎮江市微計算機軟件有限公司によるインターネット技術利用不正競争調査処分事件(江蘇省鎮江市市場監督管理局)
 当事者は、「w出荷アシスタント(w上货助手)」や「w流通アシスタント(w分销助手)」などのソフトウェアを独自に開発・販売し、商品情報データの「ワンクリック引越(一键搬家)」「ワンクリック配送(一键代发)」などのサービスを提供し、様々なECサイトでオンライン運営し、ソフトウェア使用料を徴収していた。当事者は、ECサイト事業者及びサイト内の事業者の同意を得ずに、本ソフトウェアを利用しショッピングプラットフォームの商品情報データを他の競争関係のあるECサイトにワンクリックでアップロードした。これは、事業者の実質的代替を構成し、他の事業者の合法権益を妨害し、破壊し、インターネット市場秩序を乱し、他のプラットフォーム事業者の合法的権益を害した。これは、反不正当競争法2条と12条2項(4)号の規定に違反し、違法行為の停止、罰金53万元を科した。

2.杭州谷邦網絡科技有限公司による他の事業者が合法的に提供するインターネット製品・サービスの正常な運用を妨害・破壊調査処分事件(浙江省杭州市拱墅区市場監督管理局)
 当事者はブランド維持会社で、主な業務はECサイト上で関連ブランド品販売店舗の価格を統制し、ブランド価値を維持することにある。当事者は要求通りに価格を調整しない店舗から技術的手段を用いて頻繁に商品を大量購入、返品を繰り返し、対象店舗に送料の損失や商品滞留などの損害を発生させた。同時に、ECサイトの規則により、頻繁な大量購入と返品は、検索の低下、取引機会の減少、評価の低下などの悪影響があり、結果的に対象店舗は当事者の要求に応じて商品価格の訂正や商品リンクの削除に応じなければならなくなった。これは、インターネット反不正競争暫定規定16条(3)項及び反不正当競争法2条と12条第2項(4)号の規定に違反し、法行為の停止、罰金20万元を科した。

3.湖州凌邁網絡科技有限公司による虚偽宣伝幇助調査処分事件(浙江省湖州市呉興区市場監督管理局)
 当事者は、架空注文プラットフォームを構築し、ECサイトショップの顧客から架空注文を受け、当該ECサイトを通じ顧客から架空注文商品の代金と注文1件当たり5~6元の手数料を徴収した。従業員を組織的に顧客のショップの商品に架空取引を行わせることで、ショップの取引量と評価レビューを増加させ、その露出を高めた。主犯は司法機関により法に基づき処分されました。これは反不正当競争法8条第2項に違反し、違法行為の停止、罰金39万元を科した。主犯は司法で処分された。

4.重慶潮玩秒拍電子商務有限公司による混同行為調査処分事件(重慶市両江新区市場監督管理局)
 杭州賽凡科技有限公司が運営するソフトウェア「5E对战平台」と「5EPlay」は、CS:GOゲーム分野で広く知られており、「5E」ロゴは長年の使用により顕著な識別機能を形成しているところ、当事者は、「5EGAME开箱」というソフトウェアを開発・運営し、「反恐精英·全球攻势」(CS:GO)のゲームアクセサリー開封サービスを提供している。当事者は、許可なく「5E」に非常に類似する「5EGAME」ロゴをソフトウェア名称に使用しているため、アプリケーションストアで「5E」を検索すると、「5EPlay」と「5EGAME开箱」が最初に並んで表示され、多くのユーザーに両ソフトウェアは関係があると誤認させた。これは、重慶市不正当競争条例6条1項(4)号、反不正当競争法6条1項(4)号に違反するため、違法行為の停止、罰金50万元を科した。

5.瑞麗市璞赢珠宝有限公司による宝石ライブ配信虚偽広告調査処分事件(雲南省瑞麗市市場監督管理局)
 当事者は、ライブ配信プラットフォーム「拼享惠」ウィジェットに「翠珠阁珠宝(翠玉閣ジュエリー)」という名のライブ配信ルームを登録し、翡翠の原石をライブ配信で販売しました。当事者はゴム林の自然環境を利用してライブ配信を行い、キャスターとオーナー役が値引き交渉を行い、消費者に販売された翡翠の原石がオーナー役の人物が直接持ち込んだものと誤認させ、消費者を騙し、誤認させた。これは、反不正当競争法8条1項に違反するため、違法行為の停止、罰金20万元を科した。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2025/art_0d043840ec9445a689496bcf30c94820.html

【中国】「不正競争防止法」改正(10月15日施行)

中国全人代は、6月27日、第14期全国人民代表大会常務委員会第16回会議で「反不正当競争法(不正競争防止法)」の改正を審議し、2025年10月15日に施行することを公示した。

本改正は、2019年の第2回に続くもので、2024年12月21日に改正草案が審議され、12月25日に最終的な意見募集が行われました。このたび、公示された改正法は、意見募集稿と概ね同じであるが、8条追加され全5章41条からなり、第1条の目的文に「予防」を加え、新設された3条で、公平な競争審査制度を整備確立し、法に基づき公平な競争審査業務を強化し、各事業者が法に基づき生産要素を平等に使用し、市場競争に公平に参加できることを保障するとし、今回の改正で目指す、事業者の義務、行政部門の職責を明確にするともに、処罰を増額するなど、全面的に強化した内容となっている。
 知財関係の誤認混同では、他人の登録商標や未登録の馳名商標の商号での使用の禁止や商品名を含めキーワードとすることを誤認混同誘引行動として明確に不正競争行為とした。また、誤認混同の幇助行為に対する規制も明確にしている(7条)。その他、贈賄だけでなく収賄を追加規定(8条)、懸賞付き販売の対する規制(11条)、データやアルゴリズムの使用やプラットフォーム規則を利用することでの他の事業者の合法的権益の妨害の規制(13条)など明確にしている。中国では、トラフィックの獲得競争で低価格を謳い、中小事業者に値下げのプレッシャーをかけるような状況が増えており、中小企業の権益をプラットフォーム事業者や大企業が取引上の優位な立場を濫用するととを規制し中小企業の権益を保護する(14,15条)、また、虚偽情報などによる市場の混乱を防止しようとする規定が注目される。

ご参考まで、まるまる追加された条は、第3条、第14条、第15条、第18条、第21条、第30条、第31条、第40条であり、40条は以下の通り、外国での不正競争行為について規定しているため、注意が必要である。

第40条(新設) 中国国外で行われた本法に規定される不正競争行為は、国内市場の競争秩序を乱し、或いは国内経営者の合法的権益を毀損する場合、本法及び関連法律の規定に従い処理する。 

参照サイト:http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202506/t20250627_446247.html
全文・新旧対象仮訳: https://note.com/kykip/n/n61960e5131cf

【中国】「インターネット不正競争暫定規定」(9月1日施行)

国家市場監督管理局は、5月6日付、局令第91号を公布し、「インターネット不正競争暫定規定(网络反不正当竞争暂行规定)」を2024年9月1日より施行することを5月11日付で公示した。これは、インターネット上での不正競争を予防、制止し、公平な競争の市場秩序を維持することで、イノベーションを奨励し、経営者と消費者の合法的権益を保護し、デジタル経済での競争行為を規範化し、健全で持続的発展を促進することを目的としている。

本規定は、「規定」は、全5章43条、総則、インターネット上の不正競争行為、監督検査、法的責任と付則からなり、主に以下の特徴がある。
(1)総則では全体的要求の明確化。
(2)インターネット上の不正競争行為を包括的に整理、列挙し、①インターネット環境下での新たな不正競争行為として、架空注文履歴ややらせレビュー、良いレビューに対する返金などのホットな問題を規制し、監督管理の盲点の解消。②インターネット上の不正競争行為を細分化し、トラフィックハイジャック、悪意のある妨害、悪意のある非互換の表現形式と認定要素を列挙。③架空注文履歴ややらせレビュー、違法データ取得、差別的待遇などの技術手段を利用した新たな不正競争行為を規制し、今後出現可能な新しい行為に監督管理の根拠の提供する。
(3)プラットフォーム事業者の責任強化。
(4)法執行処理手続き規定の最適化。インターネット上の不正競争行為の広域性、クロスプラットフォーム、クロスエリアなどの特徴に対し、監督検査手順に特別な規定を設け、重大な事件の接点に基づき管轄権を確定する。また、専門的オブザーバー制度を創設し、困難な問題解決に知的、技術的支援を提供する。
(5)法的責任の明確化。反不正当競争法に、電子商取引法、独占禁止法、行政処罰法などの法律を効果的に連携させ、違法所得を没収する法的責任を明確にし、監督管理効果を強化している。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/xwxcs/art/2024/art_b8580b91cdb841d399538e0c670d7907.html
規定 https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/fgs/art/2024/art_80019fe59e464196bef173dc56678a42.html

【中国】ルブタンの赤いソールは中国で勝利(9月13日)

北京知識産権法院は、9月13日付、「500万元の賠償! 北京知識産権法院は「赤いソールの靴」は特定の影響力を持つ商品名、包装、および装飾を構成していると判断」とのニュースリリースをそのサイトに掲載した。

ルブタンが赤いソールのハイヒールの周知著名性を、日本で不正競争防止法)2条1項1号及び2号で周知著名な原告の表示と類似した商品等表示の使用した商品による誤認混同を争った事件で、日本の裁判所、東京地方裁判所民事第40部は今年2022年3月11日に門前払いした。同じ事件が、中国の北京で争われ、北京知識産権法院は半年後の9月13日にルブタンに軍配を上げ、被告に侵害停止と損害500万元(約1億円)と合理的支出44.5万元(約890万円)の賠償の支払いを命じた。詳細はひとりごとで。

参照サイト:http://bjzcfy.bjcourt.gov.cn/article/detail/2022/09/id/6908303.shtml

【中国】「最高人民法院による不正競争防止法の適用に関する解釈」の施行(3月20日)

最高人民法院は、3月17日付、2022年1月29日に最高人民法院裁判委員会第1862回会議で可決された「最高人民法院による反不正当競争法の適用に関する若干問題の解釈(最高人民法院关于适用《中华人民共和国反不正当竞争法》若干问题的解释)」法釈〔2022〕9号を公示し、3月20日から施行する。本司法解釈は2021年8月19日に意見募集稿を行ったものである。

反不正当競争法(不正競争防止法)は、2018年1月と2019年4月に改正法が施行されており、旧法に対応する法釈[2007]2号「最高人民法院による不正当競争民事事件の審理に関する法律適用の若干問題解釈」に代わる司法解釈となる。なお、営業秘密については、法釈「2020]7号の「最高人民法院による営業秘密侵害の民事事件の審理における法律適用に関する若干の問題の規定」が施行されている。

今回の改正は、意見募集稿の34条に1条追加6条削除及び修正を含む29条からなり、善意使用、悪意による互換性排除、ネットワーク利用、データ収集、時効、裁判所の管轄権に関する条項が除外され、27条に外国発生事件の域内結果発生に対する管轄権を確認している。全体的に見ると、混同行為、虚偽宣伝や中傷について、複数の条項を設けて明確にしている一方、1条と24条は反不正当競争法2条が適用できる条件から特許法、商標法、著作権法などの規定に定める場合は除くというように考えられる。つまり、商標と商号などに及ぶ侵害行為と不正競争行為が関係する事件の場合で、商標法の適用と不正競争防止法の適用の両方が考えられる被疑者の行為を提訴するとき、通常は両方の法適用を主張しますが、どちらかにしろというようなもので、訴権の制限や賠償の制限をしているように理解できる。また、2条は競争関係がないと適用しないと理解できるから、反不正当競争法の利用に一定の制限をつけることを意識しているように理解できる。
以下、一部をご参考まで。全文仮訳はひとりごとをご参照ください。

第1条 事業者が市場競争秩序を乱し、その他の事業者或いは消費者の合法的権益を損ない、反不正当競争法第二章(不正競争行為)及び特許法、商標法、著作権法などの規定に違反する場合、人民法院は反不正当競争法第2条を適用しこれを認定することができる。

第2条 事業者と生産事業活動において取引機会の争奪、競争優位を損なうなどの関係にある市場主体は、人民法院が反不正当競争法第2条に規定される「その他の事業者」と認定することができる。

第3条 特定ビジネス分野で一般的に遵守され、認められている行動規範は、人民法院が反不正当競争法第2条に規定される「商道徳」と認定することができる。
 人民法院は事件の具体的な情況を結びつけて、業界規則或いは商慣行、事業者の主観的状態、取引相手方の選択意欲、消費者の権益、市場競争秩序、社会公共の利益に対する影響などの要素を総合的に考慮し、法により事業者が商道徳に違反しているか否かを判断しなければならない。
 人民法院は事業者が商道徳に違反しているか否かを認定するとき、業界主管部門、業界協会或いは自律した組織が制定した就業規範、自主規制、技術標準などを参照することができる。

第4条 一定の市場での知名度があるとともに商品の出所を区別する顕著な特徴のある標識は、人民法院が反不正当競争法第6条に規定される「一定の影響がある」標識と認定することができる。
 人民法院は反不正当競争法第6条に規定される標識が市場で一定の知名度があるかどうかを認定する場合、中国国内の関連公衆の周知の程度、商品販売期間、地域、金額及び対象、宣伝持続時間、程度及び地域範囲、標識が保護を受けた情況などの要素を総合的に考慮しなければならない。

参照サイト:https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-351291.html

【韓国】知財法改正公布(10月20日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、特許法、商標法、デザイン保護法及び不正競争防止法の改正が公布された。

特許法は、2020年10月20日付、第225条第2項の改正の公布及び施行が同日にされた。
 本改正前の特許法は、特許権または専用実施権の侵害罪に対して7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金に処するものの、被害者の告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」として規定しており、実効性のある手段になっていないとの指摘が提示されていた。これに対し改正特許法では、親告罪として規定されていた特許権または専用実施権の侵害罪を被害者が起訴を望まないという意思を確実に表明する場合にのみ起訴をしない「反意思不罰罪」(被害者告訴不要)に変更することによって特許権の保護を一層強化した。
 なお、韓国の刑事訴訟法では、刑事告訴の期間が「親告罪に対しては、犯人を知った日から6カ月を経過すれば告訴することができない」と制限されているが、今回の特許法改正により特許侵害罪の場合、この告訴期間(6カ月)の制限なしに、捜査機関が職権捜査して処罰可能となった。

商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法では、2020年10月20日付、「アイディア侵害禁止規定」に3倍賠償の規定を追加する改正、法定損害賠償額の増額が公布された。
 2019年7月9日に特許法改正と不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法という)の営業秘密侵害行為に3倍賠償制度は導入施行されているが、今回商標法とデザイン保護法及び不正競争防止法の「アイディア侵害禁止規定」においてもその規定が導入された。商標法とデザイン保護法は公布と同日に施行された。不正競争防止法での施行は2021年4月21日の予定である。
 3倍賠償制度に関する規定はいずれの法律でもほぼ同じ内容であり、賠償金額の算定時に考慮しなければならない8項目について次の通り規定している。
①侵害者の優越的地位の有無;
 [商標法のみ「侵害行為により該当商標の識別力または名声が損傷された程度」と規定している]
②故意または損害発生のおそれを認識した程度;
③侵害行為により特許権者及び専用実施権者が受けた被害の規模;
④侵害行為により侵害者が得た経済的利益;
⑤侵害行為の及ぶ期間・回数など;
⑥侵害行為による罰金;
⑦侵害者の財産の状態;
⑧侵害者による被害救済努力の程度。
 商標法とデザイン保護法の法定賠償額は次の通り改正され、同日施行された。
①法定損害賠償金を5千万ウォンから1億ウォンに引上げ;
②故意侵害の場合における法定損害賠償金を3億ウォンに引上げ;
③使用料相当額の基準を“通常”受取ることができる金額から“合理的”水準に変更。

情報提供:Kim&Chang