2月24日付の知的財産誌の報道によると、2020年に国家知識産権局に登記された特許、商標の担保融資総額は2180億元(約3.5兆円)と前年同期比+43.9%伸びた。質権設定プロジェクト数は1.2万件と同じく+43.8%伸びた。この内、特許は1,558億元(約2.5兆円)であるが、主に金融機関が質権者であり、全事業の67.4%を占めている。最新のデータによると、第13次5か年計画(十三五、2015-2020年)期間中の特許の譲渡、許諾、質権などの設定登録数は138.6万件と前5か年計画期間の2.5倍、年平均成長率は+23.7%に達し、平均設定登録数増加は900件を超えている。また、資金総額は4705億元(約7.5兆円)と前5か年計画期間の3.1倍である。2020年の設定登録数は40.5万件、融資総額は前述の1558億元といずれも2014年の2.8倍と なっている。
こうした質権設定増加の背景には、例えば、2020年11月から12月にかけて、国家知識産権局は中国銀行保険規制委員会との協力で、一連の特別プログラムが北京、浙江省、湖南省、広東省、および広東省の53の工業団地で連続して実施され、220社以上の金融機関と1,400社以上の企業が参加し、政策発表、経験交換、銀行と企業のマッチングを通じて、7.1億元の成約している。
また、こうした活動の結果の国家知識産権局での登記手続きも、質権設定登録手順の規定を改訂し、「绿色通道(グリーンルート)」の迅速かつ効率的な処理対応が提供されており、特許の質権設定の処理は書面手続きの場合7営業日から3営業日に、電子手続きの場合は1営業日まで圧縮されている。
中国ではこうした知的財産権の証券化が積極的に進んでいるが、事業に成功しないスタートアップなどの理由から債権回収難などの問題も生じている。今後は知的財産権の価値評価や保険などがどのように展開するか課題となるであろう。これに比べて、日本は牛歩より亀の冬眠のような感じと言えるだろうか。
参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/2/24/art_53_156889.html
https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/2/19/art_53_156785.html