【中国】北京知識産権法院「特許登録確認審判事件分析(2014-2024)」発行(10月17日)

北京知識産権法院は2014年11月6日に中国初の知財法院として創設されて10年が過ぎたことから10月17日に国際公開デーを開催し、「外国関連事件における資格証明書類取扱いに関する参考資料(涉外案件主体资格证明文件办理参考)」(2024年版)及び「特許登録確認審判事例分析(2014-2024)(专利授权确权审判案析(2014-2024))」を発行した。資格証明書の参考書は、各国ごとに法人登記の証明書のサンプルとその中国語訳からなり、司法事務官に便宜となるものである。一方、「特許登録確認審判事例分析」は、過去10年強の特許出願にまつわる行政訴訟において、注目されるトピックを20項目に分けて実例を挙げて解説しており、特許実務家には参考になるもので中国語と英語で作成されている。

国際公開デーに、過去10年の特許司法審判について、以下の3つの特徴があると総括している。
1.全体の事件数は着実に増加傾向
 2024年9月まで、特許登録確定行政事件は14,345件受理されており、年平均5.65%増加している。内訳は、発明特許権利確定事件が最も多く、発明特許の重要性と高価値特許の重要性を反映している。
2.30%が新技術と新産業に関連
 次世代情報技術やハイエンド設備製造関連産業が最も大きな割合を占め、新興産業が積極的に特許を活用し、技術イノベーションにより産業競争力を強化する傾向を反映している。
3.20%強が外国企業が関与
 当事者は100 以上の国と地域に及んでおり、外国企業が中国で積極的に特許の権利確認していることは、中国市場の魅力を反映しており、中国の知的財産保護レベルと保護強度の向上を反映している。

「特許登録確認審判事例分析」は以下の20の項目について、58件の実例を挙げて、特許明細書作成上の問題点と判断を解説している。
1.請求項の保護範囲の認定
2.記載のない技術的特徴と請求項の保護範囲
3.明細書と請求項の保護範囲
4.ソーシャルメディアで公開された内容と先行意匠或いは技術の認定
5.使用による公開の証明
6.推定公開の認定
7.化合物の新規性の認定
8.最も近い先行技術の役割
9.技術的特徴間の対応関係の認定
10.技術的課題と請求項の保護範囲
11.技術的課題と技術的効果の関係
12.追加提出実験データの受入と採用
13.非自明性と技術思想
14.先行技術の組合せと技術的示唆
15.組合せ障害、技術的偏見と進歩性の判断
16.全体的技術思想と進歩性判断
17.対比文献の組合せ方法が進歩性の結論に及ぼす影響
18.実用新案特許の進歩性判断
19.無効手続きにおける請求項の補正方法
20.マーカッシュ請求項は明細書のサポートが得られるか

原文が必要な場合はご連絡ください。

参照サイト:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1813164408319882627&wfr=spider&for=pc
概要訳文

【中国】 2021年度中国特許無効宣言分析(2月10日)

中国の知財専門誌の「中国知識産権」(www.chinaipmagazine.com)のSNS版に2月10日に掲載された2021年度特許無効宣言事件の分析報告を当方の視点から整理し以下の通りご紹介する。国家知識産権局の審決データベースに公示された無効宣告審決を統計分析した結果である。

1.2021年特許無効宣言事件の特徴
・実用新案特許の事件が最も多く2,294件(43.8%)、次いで意匠特許、発明特許の順である。
・対象特許の存続年数は、2年目(1142件、21.8%)、3年目(915件、17.5%)が中心である。
・技術分野の上位は、医学、通信、電気であり、意匠は包装容器、ランプである。
・審理期間の中心は6~7か月(47%)である。
・審決結果すべて無効の事件は48.7%、発明特許31.6%、実用新案特許48.9%、意匠特許58.4%である。
・発明特許と実用新案特許ですべて無効とされた理由は主に進歩性であり、意匠特許では新規性と創作性である。

2.無効対象特許種別事件構成比
国家知識産権局専利復審と無効審理部は、2021年に復審無効データベースに特許無効宣告請求の審決5,240件を掲載している。この内、実用新案特許は2,294件(43.8%)、意匠特許は1,867件(35.6%)、発明特許は1,079件(20.6%)と、実用新案特許が最も多い結果である。
 参考までに、2020年と2019年の件数は以下の通り:
 2020年 発明特許1604 実案特許2987 意匠特許2553
 2019年 発明特許1406 実案特許2234 意匠特許1687

3.無効審理結果
無効対象は発明特許1,079 件、実用新案特許 2,294 件、意匠特許 1 867 件で無効率はそれぞれ 31.6% 、 48.9% 、 58.4%を占め る。 意匠特許の 一部無効はないが 無効率 は比較的 高い と言える 。 発明特許の有効は 44.8% と適切な審査が行われているのか、比較的厳しい進歩性判断にも対応しているように思われる。

4.無効宣告審理期間
審理期間は国家知識産権局の無効請求受理日から無効審決発送日までの期間とした。審理
期間が最も短いのは2-3 か月で35 件あるが、7 か月27%、6 か月が20%と多く、概ね現在は、
無効取消審理期間を6~7 か月(47%)と言える。審査期間が15 か月以上と長い事件があるが、20 か月以上の理由は事件の一括処理、関連事件、請求項が多い事件、特許権譲渡事件、保全や行政訴訟のからむ事件、あるいは行政訴訟再審事件に関連する事件であることが理由となっている。

5.実用新案特許無効理由分析
無効と審決された1,121 件の無効理由を分析する 進歩性違反が発明特許同様に 82% を占めている。新規性関連で15% あるので、公知引用文献の選定が重要になることが分かる。実施可能要件違反を無効理由に活用することにも注目できる。

上記は抜粋情報のため、詳細情報が必要な場合はご連絡ください。