【中国】2025年人民法院不正競争防止典型事例(9月8日)

最高人民法院は、2025年中国公正競争政策広報週間(9月8日~12日)「統一市場、未来への公正競争」に併せて、司法裁判の模範的かつ指導的役割を示すために典型的不正競争防止事件8件を公表した。これらの事件は、偽造・混同、営業秘密侵害、商業上の名誉毀損、オンライン不正競争の認定、不正競争防止法の一般規定の適用といった重要な法的問題を扱っている。対象分野は、電子商取引プラットフォームや自動車整備サービスといったオンライン・オフラインの幅広い分野に加え、人工知能やライブストリーミングプラットフォームといった新技術・新ビジネスモデルを含んでおり、厳格な保護と公正な競争秩序の維持、「有名ブランド模倣」などの不正競争行為に対する厳罰、新しいタイプの紛争に対する適切に裁定の特徴がある。

事例1.「公牛」の商号不正競争事件
公牛集団股份有限公司vs公牛王(山東)科技発展有限公司ほか;(2024)最高法民再224号
原告は、コンセントなどの電気設備に「公牛」商標を保有し、何度も浙江省の知名商標と認定されているところ、被告は同業種の会社で、商号に公牛を使用するともに、「公牛王」の商標出願もしたことから、「公牛」を商号に使用することは不正当競争に該当すると提訴した。一審は、被告に主観的な故意があり、事業も一定の関連性があるため、関連公衆の混同誤認を招きやすく不正競争行為を構成すると判断し、商号の使用中止、10万元の損害賠償を命じた。二審は、商号として登録する行為は「商業的使用」行為ではなく、原告は被告が実際の商業的使用行為を証明していないとして、一審判決を破棄した。最高人民法院の再審では、反不正当競争法6条に規定する商号の使用には、銘板、取引書類、販促広告、製品包装への商号の記載だけでなく、商号の法人登記も含まれると判断し、二審を破棄、一審判決を維持した。

事例2.「遠心圧縮機選択型」のソフトウェア著作権及び営業秘密侵害事件
瀋某集団股份有限公司、瀋陽東平機械古墳有限公司vs瀋陽某機械有限公司、瀋陽斯某機械制造有限公司、孫氏、印氏、呉氏;(2022)最高法知民终1592号
被告の孫氏、印氏は、原告の元従業員で遠心圧縮機の設計・製造図面、本件に係るソフトウェア、および関連基礎データを不法に取得し、被告の企業での侵害行為を行い、2011年に和解により侵害行為の停止を制約していた。しかし、営業秘密情報を保持し、侵害行為を係属したことから提訴された。一審は侵害行為の停止と2500万元の損害賠償を命じた。二審では、リバースエンジニアリングの主張をしたが成立せず、著作権侵害と営業秘密の侵害として、ソフトウェアとデータの使用、開示などの停止、1.66置く減の支払いを命じた。

事例3. 「天然プロテアーゼ3」の営業秘密侵害事件
ニュージーランド某诊断会社vs武漢博某生物科技有限公司、孫氏の営業秘密侵害事件;(2023)最高法知民终2913号、(2022)鄂01知民初707号
原告の元従業員の孫氏が、退職後、被告会社の法定代表者になり、原告の、ヒト好中球の青顆粒から天然プロテアーゼ3(PR3)を分離・精製する製造プロセス及び製品調製手順に関する技術秘密を開示と特許出願を行い、秘密保持義務に違反し、損害を受けたとして提訴した。一審は、反不正当競争法9条の技術の同一性を認定し、開示、利用に該当するとして、被告らに侵害行為の停止、損害賠償180万元の支払いを命じた。二審は、営業秘密であることを認定し、控訴を棄却し、原判決を支持した。

事例4. オンラインゲーム第三者取引プラットフォーム不正競争事件
深圳市騰訊計算機系統有限公司vs鄭州市易晟信息技術有限公司;(2022)粤73民终3597号、(2020)粤0192民初46315号
原告は、被告のゲームコインなどの仮想資産の取引サービスを利用者に提供する行為が利用者の権益を損ない、違法な利益追求の情況を起こしているとして提訴した。一審は、その可能性を十分に認識しながらゲーム通貨の取引サービスを継続し、消費者と公共の利益、原告の正当な権益を損ない不正競争行為に該当すると判断し、合法的出所が証明できないゲーム通貨の取引サービスの停止、損害賠償303万元の支払いを命じた。二審は控訴を棄却し、原判決を支持した。

事例5. 「商品ライブ配信販売」での商標権侵害及び不正競争事件
華為科技有限公司vs衢州市大某電子商務有限公司、張氏、北京抖某科技有限公司など;(2025)浙08民终563号、(2024)浙0803民初1192号
原告は、被告らが許可なく「華為」などの商標を付けた多数の短編動画を中国版Tiktokの抖音で公開し、ライブ配信のでも常設背景として使用しデジタル商品を販売したため侵害行為の停止と損害賠償を求めて提訴した。一審は、侵害行為の停止に加え、被告が賠償から逃れるような行為を審理中に行ったことを受けて、3倍の懲罰的賠償を含め110万元の賠償を命じた。二審は、商標権侵害に加え、知名度の会社名や商品名の無断使用は誤認混同につながる不正当競争法6条に該当すると判断し、一審を支持し、控訴を棄却した。

事例6. 「点検整備サービス」での不正競争事件
上海途虎信息技術有限公司vs北京某東世紀貿易有限公司、北京某東世紀信息技術有限公司、北京某広行信息技術有限公司;(2025)沪73民终33号、(2024)沪0112民初3840号
原告は「途虎」商標を35類や37類に保有し比較的著名であるところ、被告らが「震虎价」をうたって低価格の点検整備サービスのキャンペーンを展開し、特に、「虎」の文字を使って原告に対抗するような宣伝広告を実施したため提訴した。一審は、被告らが低価格販売キャンペーンで原告を悪徳事業者という虚偽かつ誤解を招く情報を捏造・流布し、事業と製品の信用を毀損したことが反不正当競争法8条に該当すると判断し、侵害行為の停止と損害賠償500万元の支払い命じた。二審は、一審を支持し、控訴を棄却した。

事例7. 移行ソフト「盗図抄店」での不正競争事件
浙江淘宝網絡有限公司、浙江天猫網絡有限公司vs鎮江市微楓計算機軟件有限公司、鎮江微陶信息軟件開発有限公司など;(2024)蘇民终212号、(2023)蘇11民初29号
被告らは、他人のECプラットフォームの保護措置を回避し当該ECサイトが販売する商品を販売する店舗を開設して、当該店舗で受けた注文をECサイトから出荷させるアプリを有料で提供しており、原告は不正競争行為に該当するとして提訴した。一審は、潜在的取引機会と利益が奪われたたとし、反不正当競争法12条2項4号に該当すると判断して、500万元の損害賠償を命じた。二審は一審を支持し、控訴を棄却した。

事例8. 「画像イラスト化アプリ」の不正競争事件
北京抖音科技有限公司vs億睿科信息技術(北京)有限公司;(2023)京73民终3802号、(2023)京0105民初71391号
原告は、AI技術を駆使した顔写真を漫画風にリアルタイムでイラスト化するアプリをリリースし、市場で大きな反響を受けていたところ、被告が同種のアプリはリリースし、それは原告のアプリとほぼ同じイラストを作成することから、技術を盗用した不正競争にあたるとして侵害行為の差止、損害賠償を求めて提訴した。被告の反証がないことから、反不正当競争法2条に該当すると判断し、150万元の賠償を命じた。二審も一審を支持し競争上の利益に重大な損害を与え、競争秩序を混乱させ、消費者の権益も毀損したと認定し、控訴を棄却した。

参照サイト:https://www.baidu.com/link?url=xDiPie_SZDuErhNxIgrcXaAPRqlPLwgOwuo5wSAEDqwXxDyUvKt2OanFJgSqCE4euO5CfSAUPMLyUgqQUEhiAa&wd=&eqid=c22804a6013203600000000668c35375
https://m.thepaper.cn/baijiahao_31591091

【中国】「インターネット不正競争典型事例」公示(6月27日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、6月27日、「内向型」競争を全面的に是正し、公正な競争市場秩序を維持し、プラットフォーム経済の健全な発展を促進するため、不正競争対策を継続的に強化するとして、2024年にインターネット不正競争対策特別法執行キャンペーンを展開し、2025年にはインターネット不正競争是正特別キャンペーンを展開する。正常な市場秩序を乱し、市場の有効な運営を阻害する不正競争の顕著な問題を効果的に是正するために、SAMARは、事業者のコンプライアンス意識の向上と明確なルールを策定するためのインターネット不正競争典型的事例5件を公示した。

1.鎮江市微計算機軟件有限公司によるインターネット技術利用不正競争調査処分事件(江蘇省鎮江市市場監督管理局)
 当事者は、「w出荷アシスタント(w上货助手)」や「w流通アシスタント(w分销助手)」などのソフトウェアを独自に開発・販売し、商品情報データの「ワンクリック引越(一键搬家)」「ワンクリック配送(一键代发)」などのサービスを提供し、様々なECサイトでオンライン運営し、ソフトウェア使用料を徴収していた。当事者は、ECサイト事業者及びサイト内の事業者の同意を得ずに、本ソフトウェアを利用しショッピングプラットフォームの商品情報データを他の競争関係のあるECサイトにワンクリックでアップロードした。これは、事業者の実質的代替を構成し、他の事業者の合法権益を妨害し、破壊し、インターネット市場秩序を乱し、他のプラットフォーム事業者の合法的権益を害した。これは、反不正当競争法2条と12条2項(4)号の規定に違反し、違法行為の停止、罰金53万元を科した。

2.杭州谷邦網絡科技有限公司による他の事業者が合法的に提供するインターネット製品・サービスの正常な運用を妨害・破壊調査処分事件(浙江省杭州市拱墅区市場監督管理局)
 当事者はブランド維持会社で、主な業務はECサイト上で関連ブランド品販売店舗の価格を統制し、ブランド価値を維持することにある。当事者は要求通りに価格を調整しない店舗から技術的手段を用いて頻繁に商品を大量購入、返品を繰り返し、対象店舗に送料の損失や商品滞留などの損害を発生させた。同時に、ECサイトの規則により、頻繁な大量購入と返品は、検索の低下、取引機会の減少、評価の低下などの悪影響があり、結果的に対象店舗は当事者の要求に応じて商品価格の訂正や商品リンクの削除に応じなければならなくなった。これは、インターネット反不正競争暫定規定16条(3)項及び反不正当競争法2条と12条第2項(4)号の規定に違反し、法行為の停止、罰金20万元を科した。

3.湖州凌邁網絡科技有限公司による虚偽宣伝幇助調査処分事件(浙江省湖州市呉興区市場監督管理局)
 当事者は、架空注文プラットフォームを構築し、ECサイトショップの顧客から架空注文を受け、当該ECサイトを通じ顧客から架空注文商品の代金と注文1件当たり5~6元の手数料を徴収した。従業員を組織的に顧客のショップの商品に架空取引を行わせることで、ショップの取引量と評価レビューを増加させ、その露出を高めた。主犯は司法機関により法に基づき処分されました。これは反不正当競争法8条第2項に違反し、違法行為の停止、罰金39万元を科した。主犯は司法で処分された。

4.重慶潮玩秒拍電子商務有限公司による混同行為調査処分事件(重慶市両江新区市場監督管理局)
 杭州賽凡科技有限公司が運営するソフトウェア「5E对战平台」と「5EPlay」は、CS:GOゲーム分野で広く知られており、「5E」ロゴは長年の使用により顕著な識別機能を形成しているところ、当事者は、「5EGAME开箱」というソフトウェアを開発・運営し、「反恐精英·全球攻势」(CS:GO)のゲームアクセサリー開封サービスを提供している。当事者は、許可なく「5E」に非常に類似する「5EGAME」ロゴをソフトウェア名称に使用しているため、アプリケーションストアで「5E」を検索すると、「5EPlay」と「5EGAME开箱」が最初に並んで表示され、多くのユーザーに両ソフトウェアは関係があると誤認させた。これは、重慶市不正当競争条例6条1項(4)号、反不正当競争法6条1項(4)号に違反するため、違法行為の停止、罰金50万元を科した。

5.瑞麗市璞赢珠宝有限公司による宝石ライブ配信虚偽広告調査処分事件(雲南省瑞麗市市場監督管理局)
 当事者は、ライブ配信プラットフォーム「拼享惠」ウィジェットに「翠珠阁珠宝(翠玉閣ジュエリー)」という名のライブ配信ルームを登録し、翡翠の原石をライブ配信で販売しました。当事者はゴム林の自然環境を利用してライブ配信を行い、キャスターとオーナー役が値引き交渉を行い、消費者に販売された翡翠の原石がオーナー役の人物が直接持ち込んだものと誤認させ、消費者を騙し、誤認させた。これは、反不正当競争法8条1項に違反するため、違法行為の停止、罰金20万元を科した。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2025/art_0d043840ec9445a689496bcf30c94820.html

【中国】「不正競争防止法」改正(10月15日施行)

中国全人代は、6月27日、第14期全国人民代表大会常務委員会第16回会議で「反不正当競争法(不正競争防止法)」の改正を審議し、2025年10月15日に施行することを公示した。

本改正は、2019年の第2回に続くもので、2024年12月21日に改正草案が審議され、12月25日に最終的な意見募集が行われました。このたび、公示された改正法は、意見募集稿と概ね同じであるが、8条追加され全5章41条からなり、第1条の目的文に「予防」を加え、新設された3条で、公平な競争審査制度を整備確立し、法に基づき公平な競争審査業務を強化し、各事業者が法に基づき生産要素を平等に使用し、市場競争に公平に参加できることを保障するとし、今回の改正で目指す、事業者の義務、行政部門の職責を明確にするともに、処罰を増額するなど、全面的に強化した内容となっている。
 知財関係の誤認混同では、他人の登録商標や未登録の馳名商標の商号での使用の禁止や商品名を含めキーワードとすることを誤認混同誘引行動として明確に不正競争行為とした。また、誤認混同の幇助行為に対する規制も明確にしている(7条)。その他、贈賄だけでなく収賄を追加規定(8条)、懸賞付き販売の対する規制(11条)、データやアルゴリズムの使用やプラットフォーム規則を利用することでの他の事業者の合法的権益の妨害の規制(13条)など明確にしている。中国では、トラフィックの獲得競争で低価格を謳い、中小事業者に値下げのプレッシャーをかけるような状況が増えており、中小企業の権益をプラットフォーム事業者や大企業が取引上の優位な立場を濫用するととを規制し中小企業の権益を保護する(14,15条)、また、虚偽情報などによる市場の混乱を防止しようとする規定が注目される。

ご参考まで、まるまる追加された条は、第3条、第14条、第15条、第18条、第21条、第30条、第31条、第40条であり、40条は以下の通り、外国での不正競争行為について規定しているため、注意が必要である。

第40条(新設) 中国国外で行われた本法に規定される不正競争行為は、国内市場の競争秩序を乱し、或いは国内経営者の合法的権益を毀損する場合、本法及び関連法律の規定に従い処理する。 

参照サイト:http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202506/t20250627_446247.html
全文・新旧対象仮訳: https://note.com/kykip/n/n61960e5131cf

【中国】民生品での不正競争防止典型7事例を公示(11月5日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、2024年9月までの不正競争方防止保護活動で8,474件の不正競争事件を捜査、処理し、罰金と没収額は5億4,400万元に達したが、その内、民生品分野での不正競争事件が2,787件あり、罰金と没収額は1億400万元あることに注目し、代表的な事例7件を厳選し発表した。概ね生活福祉、高齢者など弱者の権利と保護に関し、反不正当競争法第8条1項の虚偽表示に係り、誤認混同に関係している。

1. 棗強県徳会体育用品経営部の虚偽宣伝事件(河北省)
 当事者は、テレビ放送で麗富健多機能家庭用トレーニング器と麗富健マッサージジェルは血圧抑制、脂肪・老廃物の除去、咳、便秘、静脈瘤などの病気を治療することができると宣伝したが、いずれも効果がなく、当事者は宣伝内容の証拠を提示できなかった。高齢者に誤認させ、騙す虚偽宣伝行為と認定した。
処分:反不正当競争法8条1項違反、違法行為の停止、罰金50万元の処罰。

2. 上海周康医療機器有限公司の虚偽宣伝事件(上海市)
 当事者は、顧客を自社の事業所に招き、科西安電位温熱療法装置の体験、販売し、神経疾患、高脂血症、糖尿病、肺がん、高血圧などすべての病気を治すとの宣伝、説明を行ったが、宣伝内容を証明する関連証拠を提供できず、実際には上記疾患を治療する機能がなかった。高齢者の需要につけこむ虚偽宣伝行為と認定した。
処分:反不正当競争法8条1項違反、違法行為の停止、罰金50万元の処罰。

3. 中宣書店の虚偽宣伝事件(安徽省池州市貴池区)
 当事者は、店舗内の宣伝ポスター、告知板などで教材図書を「教育部推薦」、「教育部教育技術と資源発展センター指定」などと宣伝したが、その宣伝の証明資料を提供できず、多くの学生と保護者を騙し誤解させた虚偽宣伝行為と認定した。
処分:反不正当競争法8条1項違反、違法行為の停止、行政指導と罰金5000元の処罰。

4. 九江市福鑫柏健品牌管理有限公司の虚偽宣伝事件(江西省)
 当事者は、中高齢者に無料で血糖測定、血圧測定、足湯などの体験できるとその事業所に招き、関節痛の除去、炎症の進行の阻止、損傷した滑膜や軟骨の修復などの薬効があるとして、青神康®グルコサミン・コンドロイチンカルシウム錠や富心百賢®コラーゲンペプチドスペシャルダイエットなどを説明、紹介したが、いずれも健康食品であり、薬効はなく、中高齢者に対する虚偽宣伝行為と認定した。
処分:反不正当競争法8条1項、食品安全法実施規則34条に違反し、違法行為の停止、違法所得13,920元の没収と罰金2万元の処罰。

5. 広東童友衛生用品有限公司の商標権侵害事件(広東省仏山市)
 当事者は、清芯触感の「Pannpoers」と呼ばれるおむつと幼児用パンツのシリーズを製造販売しているが、P&G社の「Pampers」製品の外装は、色、模様のデザイン、形状、配置が類似し、同社の登録商標第11218447号、第37842201号とアルファベット構成、読みと全体的印象が類似しており、誤認混同を招くとして、P&G社の商標権侵害行為と認定した。
処分:反不正当競争法6条(1)号、商標法57条(2)号に違反し、違法行為の停止、関連製品の没収と罰金60万元の処罰。

6. 屯昌楓木瑞木健康管理センターの虚偽宣伝事件(海南省屯昌市)
 当事者は、中高齢者に無料でマッサージチェアを体験できるとその事業所に招き、不眠症、便秘、慢性医療症候群、神経衰弱などの効果があると洗脳的な集中講義しながら健康食品を販売したが、宣伝内容の証明資料を提供できず、虚偽宣伝行為と認定した。
処分:反不正当競争法8条1項違反、違法行為の停止、罰金20万元の処罰。

7. 安寧国市苗王蛇宝酒業販売4店舗の虚偽宣伝事件(安徽省寧国市)
 当事者は、お米ギフトを利用し農村部の高齢者を自社の店舗に呼び込み、市病気治療の機能があるとして、健康酒「苗王蛇包」のプロモーションに参加させ、宣伝をおこなったが、医薬品でも健康食品でもなく、虚偽宣伝行為と認定した。
処分:反不正当競争法8条1項違反、違法行為の停止、行政指導と罰金1万元の処罰。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2024/art_c07a69d77e9a46b481edf9b036ee9b48.html

【中国】「インターネット不正競争暫定規定」(9月1日施行)

国家市場監督管理局は、5月6日付、局令第91号を公布し、「インターネット不正競争暫定規定(网络反不正当竞争暂行规定)」を2024年9月1日より施行することを5月11日付で公示した。これは、インターネット上での不正競争を予防、制止し、公平な競争の市場秩序を維持することで、イノベーションを奨励し、経営者と消費者の合法的権益を保護し、デジタル経済での競争行為を規範化し、健全で持続的発展を促進することを目的としている。

本規定は、「規定」は、全5章43条、総則、インターネット上の不正競争行為、監督検査、法的責任と付則からなり、主に以下の特徴がある。
(1)総則では全体的要求の明確化。
(2)インターネット上の不正競争行為を包括的に整理、列挙し、①インターネット環境下での新たな不正競争行為として、架空注文履歴ややらせレビュー、良いレビューに対する返金などのホットな問題を規制し、監督管理の盲点の解消。②インターネット上の不正競争行為を細分化し、トラフィックハイジャック、悪意のある妨害、悪意のある非互換の表現形式と認定要素を列挙。③架空注文履歴ややらせレビュー、違法データ取得、差別的待遇などの技術手段を利用した新たな不正競争行為を規制し、今後出現可能な新しい行為に監督管理の根拠の提供する。
(3)プラットフォーム事業者の責任強化。
(4)法執行処理手続き規定の最適化。インターネット上の不正競争行為の広域性、クロスプラットフォーム、クロスエリアなどの特徴に対し、監督検査手順に特別な規定を設け、重大な事件の接点に基づき管轄権を確定する。また、専門的オブザーバー制度を創設し、困難な問題解決に知的、技術的支援を提供する。
(5)法的責任の明確化。反不正当競争法に、電子商取引法、独占禁止法、行政処罰法などの法律を効果的に連携させ、違法所得を没収する法的責任を明確にし、監督管理効果を強化している。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/xwxcs/art/2024/art_b8580b91cdb841d399538e0c670d7907.html
規定 https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/fgs/art/2024/art_80019fe59e464196bef173dc56678a42.html

【中国】北京知識産権法院2022年データ不正競争10大典型事例(4月23日)

北京知識産権法院などは、4月23日、世界知的財産権の日に合わせた2023中関村知的財産権フォーラムで、北京知識産権法院のデータ不正競争(反不正当競争法)に関する10大典型事例を発表した。事件の当事者は比較的有名な電子情報サービス企業であり、対象の不正競争行為はデータの収集、応用、処理、取引などの各段階で発生する典型的な事例であり、商業道徳のあるべき姿や不正競争法の適切な適用が、データ所有者、データ需要者、消費者などの主体の利益、個人情報の保全、技術的手段の悪用などの面で注目できる紹介となっている。典型事例は以下の通り。

事例1:抖音(douyin、中国版 tiktok)のショートビデオキャプチャー事件 (2021)京73民终1011号
北京微播视界科技有限公司(Weibo)vs北京创锐文化传媒有限公司
【抖音サイトから5万件以上のショートビデオ、1万件以上の個人情報、127件のユーザーコメントを自社サイトに無断転載した。反不正当競争法2条違反、影響の除去、500万元の損害賠償】

事例2:自動車消費者のクレーム情報略取事件 (2022)京73民终3718号
北京车质网信息技术有限公司vs北京奥蒂思品牌管理咨询有限公司ほか
【被告は原告の運営するサイトから5万件以上のクレーム情報や自動車の品質情報を自社サイトにクレーム処理情報と捏造、転載した。反不正当競争法2条、8条違反、不正競争行為の停止、影響の除去、105万元の損害賠償】

事例3:ゲームアカウントレンタルプラットフォーム事件 (2022)京73民终3270号
深圳市腾讯计算机系统有限公司(テンセント)vs四川众聚云购电子商务有限公司ほか
【原告のゲームの利用者のアカウントなどを他のゲームに利用できるように被告のAPPがレンタル仲介することは、ネットゲームの実名認証メカニズムと未成年者の熱中防止を妨害。反不正当競争法2条違反、12条非違反、不正競争行為の停止、影響の除去、116.7万元の損害賠償】

事例4:“省钱招(Save Money)”ブラウザプラグインによるトラフィック略取事件 (2021)京73民终1092号
北京网聘咨询有限公司ほかvs魔方网聘(北京)科技有限公司
【被告は原告サイトのサービスに対する価格比較ブラウザプラグインを提供し、利用者がこれを選択すると被告のサイトにジャンプするよう設定、利用者の原告利用履歴も収集。反不正当競争法条、12条1項、第4項違反、影響の除去、106万元の損害賠償】

事例5:大学卒業生の就職データ不正使用事件 (2020)京73民终3422号
広州爱拼信息科技有限公司ほかvs好未来教育集团(TAL Education Group)ほか
【被告らは原告が収集、加工した662校の大学卒業生10年の就職時給与と就職先業界の分析データを不正に入手し使用及び販売。反不正当競争法2条違反、65万元の損害賠償】

事例6:データの営業秘密侵害事件 (2020)京73民终2581号
北京融七牛信息技术有限公司vs赵媛姣、北京智源享众广告有限公司
【原告に入社した越氏は秘密保持義務に違反し、会社の市場経費台帳Excelファイルを共同被告の北京智源に開示、北京智源はそれを利用した。越氏は反不正当競争法9条1項3号違反、北京智源は同9条3項に違反、違反行為の停止、営業秘密文書の永久削除、越氏は5万元、北京智源は18万元の損害賠償】

事例7:マイクロブログの世論モニタリングデータ略取事件 (2019)京73民终3789号
北京微梦创科网络技术有限公司vs湖南蚁坊软件股份有限公司
【原告のWeiboバックグラウンドデータを違法無断で取得、保存し被告サイトで開示、データ分析レポートを提供した。反不正当競争法12条2項4号違反、違法行為停止、影響の除去、528万元の損害賠償】

事例8:“飯友(Find you)”APPによるデータ略取事件 (2019)京73民终2799号
北京微梦创科网络技术有限公司vs上海复娱文化传播股份有限公司
【被告は技術的保護手段をバイパスまたは破壊するために自社のAPPを利用して許可なく原告のWeiboバックグラウンドデータを取得した。反不正当競争法2条違反、影響の除去、210.3万元の損害賠償】

事例9:ビデオアカウントのタイムシェアリング事件 (2022)京73民终1154号
深圳市腾讯计算机系统有限公司(テンセント)ほかvs惠州市淘卓网络科技有限公司
【被告は原告らが提供するテンセントビデオ公式サイトとWeChatのVIPアカウントを分割して安価にレンタルした。反不正当競争法2条違反、影響の除去、45.7万元の損害賠償】

事例10:不動産情報略取事件 (2022)京73民终4201号
北京链家房地产经纪有限公司ほかvs北京神鹰城讯科技股份有限公司ほか
【被告は原告の運営する不動産情報サイトから無断違法に技術的手段を利用し、不動産基本情報、取引情報、特色、実測図、VR図、間取図などを取得し、原情報の透かしを削除し、自社サイトに転載、営業に使用した。反不正当競争法2条違反、影響の除去、550万元の損害賠償】

参照サイト:https://bjgy.bjcourt.gov.cn/article/detail/2023/04/id/7260310.shtml
ttps://baijiahao.baidu.com/s?id=1763973104028767804&wfr=spider&for=pc