【中国】「商標出願早期審査弁法」(意見募集稿)の公示(11月29日)

国家知識産権局(CNIPA)は、11月29日、従来試行してきた「商標登録出願に関する早期審査弁法(試行)」を正式に施行する改正案を公示し、一般の意見募集を開始した。弁法(試行)は、国内各地の発展を擁護するために、2022年1月18日に施行されたが、地方政府の推薦書を必要とするのため、外国企業にとっては現地法人のみが利用できる可能性がある程度で利用できるものではない規則であり、改正案でもその条件が残っているため、利用できないことに注意が必要である。

 今回の改正は、従来試行としてきた弁法(規則)の運用の結果、その目的とする「国家発展の戦略的新興産業と未来産業の利益の保護が十分ではないこと、省クラスの人民政府が関係の商標保護規定を設けていないこと、対象となる標章が文字商標に限られること、指定できる商品とサービスの名称が「類似商品とサービス区分表」に記載される標準的名称に限られることで十分機能していないことから改正するとしている。
 改正案は、次世代情報技術、バイオ技術、新エネルギー、新素材、ハイエンド機器、新エネルギー車両、グリーン環境保護、航空宇宙、海洋機器などの国家発展戦略的新興産業とAI、量子情報、遺伝子技術、未来ネットワーク、深海・宇宙開発、水素エネルギーとエネルギー貯蔵などの未来産業、そして商標専用権の取得が喫緊に必要な状況を出願可能な範囲に組み込むなどその保護対象を具体的にし、出願標章や指定商品も柔軟に対応できる内容となっている。
 参考まで、主要条文は以下の通り
 第3条 早期審査を請求する商標出願は、以下に掲げる条件を同時に満たさなければならない:
 (1)出願人全員の同意がある場合;
 (2)電子出願方式を採用する場合;
 (3)出願する商標の標章が文字、図形、アルファベット、数字或いは以上の要素の組合せである場合;
 (4)団体商標、証明商標の出願でない場合;
 (5)指定する商品或いはサービスが第2条に記載される情況と密接に関連し、かつ国家知識産権局が公表した受入れ可能な商品及びサービスの名称である場合; (6)優先権主張しない場合。
 第6条 国家知識産権局は早期審査を許可した場合、承認日から20営業日以内に審査を完了しなければならない。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2024/11/29/art_78_196343.html

【アメリカ】USPTO商標出願料金改定(2025年1月18日適用)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、11月18日付の官報で、3月25日に公示した商標出願関連手数料改定を2025年1月18日より適用することを公示した。出願から更新まで全体的に値上げとなる。更新出願手続き関連では、改正案より更新出願は抑え、宣誓書関連を一律上げる変更をしているため、来年の初めに更新を迎える登録商標を所有している場合、値上げ前に手続きを繰り上げることをお勧めする。下記の説明では、利用が少ないため、紙出願の手数料を値上げの説明を省略する。

出願手続きでは、現在の商標電子出願システムTEAS Standard及びTEAS Plusのために分かれた手数料を廃止し、単一の料金体系に改め、記載不備の補正と指定商品・役務の自由記載の場合の出願手数料を新設する。

登録後手続きでは、登録商標の維持率が減少しており、今後もその傾向が続くと予想されること、コストの増加などの理由から収益のバランスを調整するために、更新関連手数料を値上する。また、登録日から6年及び10年後に期限が到来する商標法8条もしくは71条(マドプロ)に基づく使用宣言書(Declarations of Use)の提出も値上げする。

その他の手続きの手数料は、異議申立や無効取消に代わる情報提供(LOP:Letters of protest)の手続きコストが今後も増加する可能性が高いため、また、請願(Petition)及び放棄出願復活の請願も同様に手続きの収益のバランスを調整するため値上げする。

参照サイト:https://www.federalregister.gov/documents/2024/03/26/2024-06186/setting-and-adjusting-trademark-fees-during-fiscal-year-2025

【インド】長期滞留商標出願を4月に特別推進(3月6日)

インド特許意匠商標総局 (CGPDTM)は、3月6日付、長期滞留商標出願の特別推進(Special Drive for Old Pending TM Applications)を発表し、2010年までの滞留案件の総計5177件について、4月8日から25日を特別推進期間とし、出願人、代理人などが適切な商標登録局で直接審理を受ける機会を提供すると公示した。

公示には、対象となる商標出願案件のリストが添付されており、対象案件とその連絡先が記載されている。日本企業の案件も20件弱含まれている。代理人が不明であるような場合は、新たに代理人を指定して対応することも可能なようである。

参照サイト:https://www.ipindia.gov.in/writereaddata/Portal/News/962_1_Public_Notice_regarding_Special_Drive_for_Old_Pending_TM_Applications.pdf

【アメリカ】商標出願OA応答期限3か月の審査基準発行(12月2日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、12月2日付、12月3日より改正が施行される商標出願のオフィスアクションの応答期限3か月に短縮を受けて、審査基準(Examination Guide 2-22, Change in Office Action Response Periods for Section 1 and/orSection 44 Applications)を公示した。

本件については、当サイトで10月13に付け紹介しているが、マドプロ経由以外の直接出願が対象で、12月3日以前に発行されたOAや登録後のOAは対象ではない。詳細は、以下のサイトでご確認ください。

参照サイト:
審査基準 https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/TM-ExamGuide-2-22.pdf
案内サイト https://www.uspto.gov/trademarks/laws/2020-modernization-act/new-response-deadline-applications

【アメリカ】商標出願手続きの電子出願完全移行ガイドライン施行(2020年2月15日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2020年 2月7日付公示し、商標出願手続きを一部の例外を除き全て電子出願移行するガイドライン施行を 2月15日付施行した。本件は、2月8日付アップした内容を、施行時にガイドラインの一部改正があったための再掲載である。

当初のコメントでは、日本からの手続きは原則、アメリカの代理人を経由することになるため、直接の対応はないと記載したが、現地代理人の指摘によると、新たな規定として、出願人の電子メールアドレスを代理人のメールアドレスに加えて、願書に記載することが要件とされた(ガイドラインのIII.A、37 C.F.R. §2.32(a)(2)参照)。電子出願の願書情報は、誰でもUSPTOのサイトで閲覧し、それに記載されるその個人の電子メールアドレスをみることができるため、個人情報の開示やプライバシーの問題に繋がるとの指摘が多くの代理人からなされた。こうした指摘を受けて、USPTOは、Trademark applicants and registrants who are represented by an appointed attorney may provide an email address of their choiceを追加した、つまり商標権者はUSPTOからのメールを受信するための目的の電子メールアドレスを選択することができると追加された。この場合、日本の商標権者が電子出願で使用しているような代表メールアドレスを持たない場合或いはこうした目的のための管理用の代表メールアドレスを用意できない場合、現地代理人と相談して、特定のメールアドレス、例えば代理人が受信できる代理人のドメイン名を利用したメールアドレスを新たに作り、利用することも可能となる対応策が示された感じである。一方、USPTOは商標権者の電子メールアドレスを申請により隠すオプションを入れるとの意向を示しているとのことであるが、まだ実現は不明である。

同時に、USPTOは2019年7月12日付、使用見本の改ざんや捏造が横行していることに対応するため、商標の使用見本に対する新たな審査ガイドライン (Examination Guide 3-19)を発表したが、このガイドラインも同時に施行される。今回の電子出願ガイドラインで追加で示された有効な使用見本(Specimen)に関する変更にも注意が必要である。

  • 規則2.56を更新して、使用見本(Specimen)に関する法定および判例法の要件、電子出願の対応を変更した
  • 商品またはサービスにかかわる使用見本のすべてのウェブページのURLとアクセス日または印刷日を要件とする
  • 商品或いは包装に添付して表示するラベルおよびタグ使用見本を要件とする

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/TM-ExamGuide-MEF-1-20.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

使用見本に関する審査ガイドライン:
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/Exam%20Guide%2003-19.pdf

引用:Mr. Jeffrey H. Kaufman, MUNCY, GEISSLER, OLDS & LOWE, P.C. (MG-IP)

【台湾】商標出願情報提供の手続きを公示(6月20日)

台湾智慧財産局は、2019年6月20日に「商標登録出願第三者意見書作業要点」を初めて公示し、これまで実務としては運用されていたが、明文化はされていなかった第三者の商標登録出願に対する「情報提供制度」の運用を明確化する。今回公表された要点の主な内容は以下の通り。

1. 匿名での提出が可能
何人も、匿名で情報提供をすることができる。情報不足で審査官が連絡を取れない可能性がある。
2. 出願人への通知
審査官は、提出された資料の内容を採用する場合、提出資料を出願人に送付しなければならない。
3. 提供情報の採用通知なし
情報提供された資料の採否や審査結果について、審査官は情報提供者に回答する必要はない。
. 提供情報理由
(1)識別性なし
(2)先使用の商標の存在(日付など立証証拠要)
(3)先取り(知っていたことの立証証拠要)
(4)著名商標や標識と同一類似
(5)著作権、特許権など他人の先の権利の侵害
(6)その他(商標法の規定に準じる)
5.審査結果に不満な場合
異議や無効手続きを取ることになる。

台湾での商標審査は6-8か月と早くなってきているので、情報提供のタイミングも難しい。

参考サイト: https://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=711316&ctNode=7127&mp=1