【韓国】改正商標法、デザイン保護法施行(7月22日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、改正商標法が2025年7月22日から施行されると発表した。

1.異議申立期間の短縮(現行2か月→30日)
 出願公告された商標に対する異議申立期間が、現行の公告日から「2か月」から「30日」に短縮される。出願公告日が2025年7月22日以降の商標出願から適用される。
 韓国では、商標出願情報は出願と同時に公開されるため、第三者は情報提供制度を通じていつでも意見を提出できる。また、異議申立理由を補正可能な延長申請の30日が設けられている。
 かねてより長期化している韓国の商標審査期間を短縮させることが予想されるが異議申立対象の商標出願を見逃さないよう対応に注意が必要である。

2.懲罰的損害賠償額の上限を5倍に引上(現行3倍)
 故意による侵害行為が認められる場合、懲罰的賠償を請求することができるが、今回の改正はその上限額を5倍に引上げた。特許法、不正競争防止法では、すでに2024年8月21日から5倍と改正されている。2025年7月22日以降の事件から適用される。

【カナダ】商標の審判と裁判手続きの改正(2025年4月1日施行)

カナダ知的財産庁(CIPO)は、2月27日付、商標法と商標規則の改正を官報に公示するとともに、2025年4月1日に施行することを公示した。この改正は、商標異議審判部(TMOB:Trademarks Opposition Boardと連邦裁判所( Federal Court) での手続きに関するもので、その主な目的は、商標紛争解決の効率を高め、過度の遅延や費用の原因となるような好ましくない行為を訴訟手続き中に抑止することにある。
 改正は、2018年の商標法改正法案C-86号に基づき、商標登録官に新たな権限を付与するもので、登録官に費用支払い命令、秘密保持命令と特定の公式標章の採否などに関する権限を与えている。また、登録官が訴訟手続きの管理権限など与えている。

TMOBでの新たな手続き
1.異議(Opposition)、取消(Cancellation)、情報提供(Objection)の申立手続きで秘密保持命令(confidentiality order)の請求。機密性の高い証拠が開示される記録に収録されるのを防ぐため、証拠などの提出前に秘密保持の請求と提出期限延長を請求できる。
2.相手方当事者に対する費用裁定(costs award)の請求。悪意商標出願の場合、手続きに不合理な行為のある場合、審理の14日以内に請求取下のある場合、複数の異議申立を受けるために分割出願した場合に請求し、所定期限内に請求することで各手続き費用の2倍から5倍の額が認定される。
3.特定の手続きでのTMOBによる案件管理。事案処理で、複数の事件の調整、期限延長、故意の遅延行為対策などによりの効率とコスト管理が可能となる。

連邦裁判所での手続きの変更
1.登録後3年未満の登録商標に基づく侵害訴訟では、使用を証明すること。
2.登録官の決定に対する行政不服訴訟で自動的に追加の証拠を提出する権利の喪失。

参照サイト:https://ised-isde.canada.ca/site/canadian-intellectual-property-office/en/amendments-trademarks-regulations-published-canada-gazette-part-ii

【韓国】商標法改正施行(2月4日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、2022年2月3日に法律第18817号で成立した再審査請求と部分拒絶の導入を2月4日の出願より適用を開始した。

1.再審査請求制度(新設 第55条の2、第40条第1項第1号)
指定商品や役務の補正や削除で拒絶理由を解消できる場合でも、対応方法が拒絶決定不服審判請求のみであったが、改正により、拒絶査定後、指定商品や役務を補正或いは削除などの減縮により拒絶理由を解消できる場合、審判でなく再審査請求で対応できるようになった。
第55条の2
①第54条に基づく商標登録拒絶決定を受けた者は、その決定の謄本送達日から3か月(第17条第1項に基づいて第116条による期間が延長された場合にはその延長された期間)以内に指定商品或いは商標を補正して当該商標登録出願に関する再審査を請求することができる。ただし、再審査請求時に既に再審査に基づく拒絶決定、第116条に基づく審判請求がある場合は、除く。
②出願人は第1項に基づき再審査の請求とともに意見書を提出することができる。
③第1項に基づき再審査請求された場合、当該商標登録出願に対する従前の商標登録拒絶決定は取消したものと見做す。ただし、再審査の請求手続きが第18条第1項に基づき無効となった場合は、除く。
④第1項に基づく再審査請求は取下ることができない。

2.部分拒絶(第57条、第68条、第87条ほか)
拒絶理由が指定商品や役務の一部のみにある場合でも出願全体が拒絶されていたが、改正により、拒絶の対象が指定商品や役務の一部のみである場合、出願人が指定商品や役務を削除するなどの手続きを取らなくても拒絶理由のない商品や役務が登録に進むようになる。また、拒絶査定不服審判請求ので、これまで全商品や役務を対象に審判請求する必要があったが、改正により、拒絶絶決定された商品や役務のみ或いはその一部を対象として不服審判請求することができる。
第57条第1項各号以外の部分本文中の「場合は」を「場合(一部の指定商品に対して拒絶理由がある場合は、当該指定商品に対する拒絶決定が確定された場合をいう)は」に改め、同項第2号中「商標登録出願」を「商標登録出願の指定商品」に改める。
第68条中「場合は」を「場合(一部の指定商品に対して拒絶理由がある場合は、当該指定商品に対する拒絶決定が確定された場合をいう)は」に改める。
第87条第1項各号以外の部分に以下を新設し、同条に第④項を次のように新設する。
この場合、指定商品追加登録出願の指定商品の一部が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該指定商品のみに対して指定商品の追加登録拒絶決定をしなければならない。
④審査官は第②項に基づき拒絶理由を通知する場合、指定商品別に拒絶理由と根拠を具体的に書かなければならない。

なお、法律第18817号で同時に成立した以下の商標評の使用行為は、昨年8月に施行されている。
第2条第1項第11号ロ目「譲渡、引渡、譲渡或いは引渡の目的で展示・輸出若しくは輸入」を「譲渡、引渡、電気通信回線を通じて提供する行為或いはこれを目的とした展示、輸出・輸入」に改める。

以上

【中国】商標法改正に関する質疑(4月23日)

2019年4月23日全人代常務委員会第10回会議で商標法の6条文について改正が決定され、2019年11月1日から施行されることが決定し、改正発表時の質疑応答が下記のように公表されたが、国家知識産権局は、付帯する法律法規と部門規則の早急な改正準備中である。今後の発表される関連規定が注目される。

質疑応答1:今回の商標法改正の背景は何か?
 知的財産権の保護の強化の実務上、突出した問題として、商標の悪意登録をより効果的に抑制し、商標専用権の保護力を強化にある。

質疑応答2:悪質な登録行為に規制を強化する理由は何か?
 商標登録手続きの最適化、審査期間の短縮、登録コストの低減に伴い、当事者の商標権獲得の利便性が向上したことと同時に、傍名牌(名声便乗)目的での悪意ある出願や譲渡益獲得の商標を大量に先取り(中国語:囤积(囲積)=買いだめし売惜しみして高値になることを待つの意味、以下先取りはこれを意味する)するなどの問題が発生しており、市場経済と商標管理の秩序に大きな妨害をするなど、社会の注目を集め規制が強く叫ばれている。
 悪意のある出願行為については、現行法律に明確に規定があり、近年大きな効果を上げており、こうした行為は効果的に抑制されている。しかし、譲渡目的で先取り登録する行為の規制については、法律に原則的な規定しかなく、直接的、明確に、活用可能な条項が欠けているため、実務上効果が上がらない。今回の改正では、悪意のある申請行為を元から制止して、商標登録出願を本来の制度の目的に沿うよう戻すものある。

質疑応答3:悪意による登録行為の規制はどのように改正に反映されているか?
 今回の改正では、悪意のある登録行為に対する規制は主に以下の3つにある。
1.商標の使用義務を強化し、「使用を目的としない悪意のある商標登録出願は、却下しなければならない」という規定を追加し、まず審査段階において適用し、悪意のある出願に対策を打つ関門を前に移動するとともに、異議申立と無効宣告請求の理由とすることで、直接異議手続と無効手続において適用する;
2.商標代理行為を規範化し、商標代理機構が知っているか、或いは委託者の悪意のある出願行為を知っている場合、委託を受けてはならない;
3.出願人、商標代理機構の悪意のある商標登録出願や悪意のある訴訟行為に対して処罰を定めた。
悪意のある出願行為を規制することは、商標登録と保護手続き全体を通じて行われ、責任を持つ主体には出願人申請者と権利者、並びに仲介サービス機関も含まれる。

質疑応答4:悪意のある出願行為を規制する改正はどのように実施するか?
 今回の商標法改正の取組みとして、国家知識産権局の規定研究起草部門は「商標登録出願行為の規範化に関する若干の規定」の起草を検討している。
 本規定は、法律改正内容を手続き面から細分化し、悪意のある出願及び先取り登録の具体的な行為の種類などに対する処理や措置を明確化する。明らかに合理的限度を超えて大量に商標が登録されるような場合で、他人がすでに使用して一定の影響を持つ商標を先に登録し、不正な目的で商標登録を繰返すなどの典型的な行為の種類を詳しく列挙する。商標法に規定される商標登録手続における拒絶、無効などの手段のほかに、信用情報、業界の自主規制、重大な情状による商標代理業務停止などの監督管理手段を利用して規制するとともに、何人も非正常商標出願を発見した場合は、関連情報を提供し、行政管理部門が認定と処理を実施する支援する規定する。この規則の公開募集は既に終了したが、フィードバックされた意見は反映され、商標法改正内容に実際落し込まれている。
 現在の審査実務において、国家知識産権局はすでに法に基づき悪意のある出願に対して措置が取られている。商標審査委員会は、出願人の事業範囲、使用能力、商標出願履歴、出願名義の登録件数、出願商標の独創性、これまでの司法判断結果などを総合的に考慮し、個別の案件で悪意のある出願を構成するか否かを判断する。商標法の規定に基づき、出願人に悪意のある出願或いは先取り登録の疑いがあると認められた場合、その関連の説明を求めることができる。

質疑応答5:悪意のある出願行為の規制で商標代理機構の義務が追加された理由は何か?
 現在、商標代理機構は玉石混交であり、一部の好ましくない代理機構が直接悪意のある出願に従事したり、先取り登録したりする業界の混乱がある。ある代理機構は関連会社を設立し、業務と無関係の分野にまで大量に商標を出願したり、転売で利益を得たりしている。或いは自分の専門知識を利用して悪意で顧客の商標を先に登録して、高額の譲渡料を要求するなど社会に悪影響を与えている。
 今回の改正で悪意のある出願を商標代理機構は受任できない状況及び商標代理機構への処罰を組み込む中で、同時に商標代理機構が商標出願に異議や無効宣告を提起する事で、代理行為の規範化、商標代理市場の秩序の浄化、公衆の監督の奨励に有利である。まもなく導入される「商標登録出願行為の規範化に関する若干の規定」は、信用情報、業界の自主規制、重大な情状による商標代理業務停止などの監督管理手段を明確にする。

質疑応答6:今回の改正での侵害賠償額の引上げをしたのは何故か?
 権利侵害のコストをさらに重くするため、悪意のある侵害者を処罰し、商標の専用権を厳格に保護し、権利者にはより十分な補償を与える。今回の改正を「特許法改正案草案」の関連規定に照らし、商標専用権を悪意で侵害する侵害賠償額の算定倍数を1倍以上3倍以下から1倍以上5倍以下に引上げるとともに、商標権侵害の法定賠償額の上限を300万元から500万元に引き上げた。

問題7:今回の改正では商標盗用行為の取締りの改正や規定の追加はどうでしょうか?
登録商標盗用行為は消費者の利益を著しく侵害し、市場環境を深刻に妨害し、長期にわたり社会全体の注目を浴びている。今回の改正は、「民法総則」の民事責任の負担に関する規定、著作権法における司法機関の民事制裁の規定を参照し、登録商標を盗用した商品及び登録商標盗用商品を製造するための主要な材料、工具に対する処分を明確にした。新たな規定として、商標紛争事件の審理において、人民法院は権利者の請求により、登録商標盗用商品の廃棄及び登録商標盗用商品を製造するための主要な材料、工具の処分を命じることができる。しかし、登録商標盗用商品から盗用商標を除去してビジネスルートにいれることはできない。上述の改正はビジネスへの参入ルートの破壊と禁止することを最も主要な措置手段とし、登録商標盗用者の違法コストを大幅に高めてることで、有効な抑止力を形成した。また、増加された規定は商標法の現行規定の行政機関の処理手段とバランスを取り、商標権の保護をより全面的にするものである。

http://www.cnipa.gov.cn/zcfg/zcjd/1139030.htm