【欧州】EPO「品質アクションプラン2024/2025」公表(3月13日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、3月7日に「品質アクションプラン2024」の結果報告、3月13日に「品質アクションプラン2025」の内容について公表した。EPOは、2023年に、品質ダッシュボードを解説し、業績評価指標(KPI)に基づき、品質とユーザー満足度に関する情報をサーチ・見解書、審査、異議申立、電子化に分けて四半期ごとに提供し、その透明性や実効性をあげるとともに、以来、品質アクションプランを毎年実施している。

品質アクションプラン2024について
 品質の継続的な改善が確認され問題の発見が審査で前年比2.7%、サーチで4.4%減少した。審査で貢献したのは、新規性や進歩性の評価の改善で、誤った評価が前年度サンプ調査で7.9% から6.8% に減少した。また、従属請求項と明確性の評価も改善したとしている。また、異議申立でも前年の11.5% から6% に大幅に減少していると報告している。そのほか、新規に審査官111人の採用、サーチにAIの活用を展開したことを報告している。

品質アクションプラン2025について
 2025 年の優先事項はすべて、2024 年の成果と、あらゆる規模の出願人との数多くの会議、EPO 常設諮問委員会 (SACEPO) とそのさまざまな作業部会、利害関係者品質保証パネル (SQAP) の活動、およびワークショップで得られたユーザーの意見に基づいたものとし、以下の優先事項をあげている:
・審査官が各自の技術分野の最新の動向を把握できるよう支援すること
・最新のAI技術を活用し、審査官の審査支援をすること
・アクティブサーチ部門がサーチと見解書の完全性と正確性の向上を支援すること
・出願審査、異議申立、情報提供などでの重点的に審査業務を調整すること
なお、具体的な審査手続きの目標処理期限と達成度を以下のようにあげている:
・タイムリーなサーチ 通常のサーチの90%を期限内に処理する
 EP出願 6か月以内、各国出願7か月、EuroPCT出願8か月
・タイムリーな審査 通常の審査の70%を期限内に送付する
 タイムリーな異議申立審査 未処理件数を5000件以内とし、70%を18か月以内に処理する
・認可査定目標 通常出願の75%を48か月以内に処理する
・分割出願に対する迅速手続き 80%を48か月以内に処理する
・その他

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/quality-action-plan-2025
https://www.epo.org/en/news-events/news/quality-dashboard-2024-results

【サウジアラビア】商標出願審査手続きの簡素化(2024年4月)

サウジアラビア知的財産庁(SAIP)は、2024年4月から商標出願の審査手続きで、10日間の補正期間を廃止すると通達した。これにより、従来、審査手続きで、出願に不備がある或いは障害がある場合、先ず10日間の補正機会が与えられていたが、最終拒絶査定が通知されることになる。この通知を受けた場合は、60日以内に審判請求し、審判手続きの中で必要な対応をすることになる。

 今回このような改正がされた背景には、業務効率の向上(処理遅延対策)、正確・適切な出願の奨励を計っているようである。従って、出願前に商標調査や指定商品・役務の検討を十分行うことが望ましい。

出典:代理人情報

【日本】AI関連発明の審査体制強化(9月21日)

特許庁(JPO)は、AI関連発明について、効率的・高品質な審査を実現するために2021年1月に発足させたAI審査支援チームを10月1日より10名程度から40名程度に増員し、全ての審査室に1名ずつ配置することでAI審査支援チームの体制強化を行うことを公示した。これにより、これまで、AI担当官は、AI技術の活用が多くみられる審査室に中心に配置されていたが、これまでAI技術の活用がみられなかった分野においてもAI関連発明の審査を適切にサポートするとしている。

これまでの進捗は、以下のサイトで確認できる。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/ai/ai_shutsugan_seibi.html
また、AI審査支援チームの体制は以下で確認できる。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/ai/document/ai_shutsugan_seibi/taisei.pdf

参照サイト:https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230921001/20230921001.html