【韓国】改正特許法、実用新案法施行(7月11日)

韓国知的財産庁(KIPO)は、特許法・実用新案法施行規則の一部改正を7月11日に施行すると公示した。

1.意見書の提出期間を4か月に延長
 特許及び実用新案出願に対して発行された審査官の拒絶理由通知に対する意見書及び補正書の提出期限が、これまでの2か月から4か月に延長される。出願人が1か月或いはそれを超える単位で延長申請できる制度には変更はない。本改正の効力は、2025年7月11日から直ちに発効する。なお、拒絶決定通知時の対応期間(3か月)は従来と同じである。

2.分割出願に審査猶予期間導入
 従来、分割出願は、通常出願で認められる出願人が特許出願日から6か月以内に特許査定決定保留申請書を提出し、出願日から12か月まで査定を保留、また、審査請求日から24か月が経過した日以降、出願日から5年(実用新案は3年)以内の期間を指定した審査猶予申請が認められなかった。今回の改正により、分割出願も保留申請や審査猶予申請が可能となった。
 この改正は、2025年7月11日からの分割出願について適用される。なお、本改正は、特許出願と実用新案出願の両方に適用される。

【中国】「不正競争防止法」改正(10月15日施行)

中国全人代は、6月27日、第14期全国人民代表大会常務委員会第16回会議で「反不正当競争法(不正競争防止法)」の改正を審議し、2025年10月15日に施行することを公示した。

本改正は、2019年の第2回に続くもので、2024年12月21日に改正草案が審議され、12月25日に最終的な意見募集が行われました。このたび、公示された改正法は、意見募集稿と概ね同じであるが、8条追加され全5章41条からなり、第1条の目的文に「予防」を加え、新設された3条で、公平な競争審査制度を整備確立し、法に基づき公平な競争審査業務を強化し、各事業者が法に基づき生産要素を平等に使用し、市場競争に公平に参加できることを保障するとし、今回の改正で目指す、事業者の義務、行政部門の職責を明確にするともに、処罰を増額するなど、全面的に強化した内容となっている。
 知財関係の誤認混同では、他人の登録商標や未登録の馳名商標の商号での使用の禁止や商品名を含めキーワードとすることを誤認混同誘引行動として明確に不正競争行為とした。また、誤認混同の幇助行為に対する規制も明確にしている(7条)。その他、贈賄だけでなく収賄を追加規定(8条)、懸賞付き販売の対する規制(11条)、データやアルゴリズムの使用やプラットフォーム規則を利用することでの他の事業者の合法的権益の妨害の規制(13条)など明確にしている。中国では、トラフィックの獲得競争で低価格を謳い、中小事業者に値下げのプレッシャーをかけるような状況が増えており、中小企業の権益をプラットフォーム事業者や大企業が取引上の優位な立場を濫用するととを規制し中小企業の権益を保護する(14,15条)、また、虚偽情報などによる市場の混乱を防止しようとする規定が注目される。

ご参考まで、まるまる追加された条は、第3条、第14条、第15条、第18条、第21条、第30条、第31条、第40条であり、40条は以下の通り、外国での不正競争行為について規定しているため、注意が必要である。

第40条(新設) 中国国外で行われた本法に規定される不正競争行為は、国内市場の競争秩序を乱し、或いは国内経営者の合法的権益を毀損する場合、本法及び関連法律の規定に従い処理する。 

参照サイト:http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202506/t20250627_446247.html
全文・新旧対象仮訳: https://note.com/kykip/n/n61960e5131cf

【台湾】商標法改正(5月1日施行)

台湾智慧産権局が昨年5月に公布した商標法改正とその施行規則が2024年5月1日より施行された。主な改正点は以下の通り。

1.早期審査制度の導入
 早急に権利を取得する必要がある場合侵害品に対する権利行使などのために早期に権利取得が必要な場合、審査促進を請求することができる。早期審査請求は、NT$6,000(区分毎)の納付が必要であるが、以下の条件を満たすことが必要である;
(1)すべての指定商品・役務について、商標を既に使用している或いは使用の準備を進めている出願で、
(2)以下のいずれかに該当する
 A. 第三者が当該出願商標を無断で使用、或いは使用の準備を進めている;
 B. 当該出願商標の使用に対して第三者から侵害警告を受けている;
 C. 当該出願商標に対して第三者から使用許諾を求められている;
 D. 当該出願商標を利用し市場参入計画があり、提携先と販売等の契約締結がある;
 E. 当該出願商標を展示会に出展予定がある;
 F. その他のビジネス上の必要性と緊急性を証明できる状況場合。
注意事項としては、当該商標出願に未使用、未準備の指定商品・役務がある場合、分割出願や減縮の必要がある。使用の準備については、具体的実質的な証拠の提出が必要である。提出書類に不備がある場合、10営業日以内に補正通知がある。不備がなければ2か月以内に初回の審査意見通知書或いは登録査定が発行される。

2.機能的要素の取り扱い
 出願標章に機能的要素がある場合、点線で表示するなどディスクレームする対応が求められる。
3.非法人組織等の出願人適格要件の緩和
 パートナーシップの組織、法に基づき設立登記された非法人団体、商業登記法により登記された個人・パートナーシップ企業まで拡大された。
4.使用意図の確認
 悪意など産業や商標制度の健全な運営を阻害する出願を排除するため、出願人に指定商品・指定役務に使用意図があることを、必要に応じて審査手続き中に証拠提出が求められる場合がある。
5.情報提供手続き
 第三者による提供情報を採用する場合に、出願人の権利保護のために応答の機会を与える規定が追加された。
6.譲渡は譲受人の手続き
 出願後の出願人変更や移転登録は、権利承継人が行わなければならないと規定が明確にされた。
7.商標代理人資格
 商標代理業務の専門性の認定し代理人情報の透明性を高めることで、出願人や権利者の権益保護のために商標代理人資格が新設された。商標代理人登録が必要で、認定試験に合格するか一定期間の商標審査業務経験が必要である。
8.フェアユースの明文化
 非侵害の対象に、商業取引の習慣に該当する信義誠実の原則に従い、商品或いはサービスの使用目的を表示する場合であって、他人の商品或いはサービスを示すために他人の商標を使用する必要がある場合が追加され、修理サービスでメーカーの商標を掲げるなどの行為は非侵害になる。
9.税関での侵害確認手続きの簡素化
 商標権者は税関に真贋確認方法の情報を登録しておくことで、税関で発見された被疑侵害品の確認を現場だけでなく写真などの情報を税関から受けて真贋確認ができるようになる。

出典:代理人情報

【マレーシア】特許法及び規則2022年改正施行(3月18日)

マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、3月17日付、マレーシア特許法及び規則2022年改正を2022年3月18日に施行を公示した。主な改正内容は以下の通り、なお、改正法の一部は後日の施行になる点に注意が必要である。

1.オフィシャルフィーの値上げ
​ 全てのオフィシャルフィー(PartI,II,III,PCT)が値上げされた。特に、超過クレーム料金の段階的改定が多い。
2.電子出願制度
 改正法では電子出願は準備が完了するまで保留とされている。
3.塩基配列リスト
 特許出願で塩基配列を含む場合、出願明細書に含まれるものとし出願とともに提出しなければならない。
​4.優先権主張の回復
 出願人は、優先期間内に特許出願を提出しなかったことが意図的でない場合、所定の料金を支払い、優先権主張の回復を要求できる。
 国内特許出願の場合、優先権主張期間満了日から2か月以内に回復請求できる。
 PCT出願の場合、優先日から30か月の満了日から1か月以内、または早期審査請求日から1か月以内に請求できる。
5.公開と早期公開
 PCT出願を除き、最先の出願日起算18か月で官報に掲載される。なお、印刷発行はされず、電子的閲覧が可能である。早期公開をオフィシャルフィーの支払とともに請求することができる。
6. 情報提供(Third Party Observations)
 第三者は特定な特許出願に対し、新規性と進歩性違反を理由に、出願公開より3か月以内(PCT出願は移行出願後3か月以内)に情報提供をすることができる。
7.実体審査請求
 実体審査請求時の対応国の審査状況の情報提供はオプションの対応になる。
 修正実体審査請求した場合、選択国での最終処分ある場合に、変更はできない。
 審査延期申請(料金支払要)は、修正実体審査請求のみ可能となり、選択国の審査未了の場合となる。
8.実体審査応答期限
  審査意見に対応数する期限が2か月から3か月に変更。
9.分割出願(26B条)
 分割出願のための延期申請はできなくなった。
 実体審査の第1回目の審査意見で認可が明確である場合、出願人は認可を遅らせないように、審査意見の発行日から3か月以内に分割出願を検討することになる。
10.年金納付
 年金納付期間を最大5年間分一括納付ができる。
11.失効特許の回復
 失効した特許の回復手続き期限を2年から12か月に短縮した。
12.マレーシア国外で最初に出願するための要件
 マレーシア国外で最初に出願承認請求には、所定の願書での請求と料金の支払いを条件とする。
 本件については、居住者の定義が以下の通り明確にされた;
 a)マレーシア市民とは、マレーシアの居住者、
 b)マレーシアの非市民とは
   i)マレーシアに永住権を取得し、通常マレーシアに居住している;
   ii)マレーシアに入国および滞在するための有効な証明書を所持し、マレーシアに居住している;
   iii)マレーシアの法律に基づき成立、設立、または登録された法人;
   iv)マレーシアの法律に基づき設立または登録された法人化されていない団体。
13.国家管轄当局への情報開示義務
 2017年生物資源および利益共有法[法律795]へのアクセスの下で設立された国家管轄当局または関連する管轄当局に、特許登録局がチェックポイントとしての機能する目的で、関連特許出願の公開前に情報の開示を可能とする。
14.担保権
 所定申請書と料金の支払いをすることで、担保権登記をすることができる。
15.強制実施権
​ TRIPS協定31条の2に従い、マレーシアでの医薬品の生産と当該医薬品の輸出を可能とする。

​今後の施行となる規定
1)微生物の寄託(26c条)
2)包袋閲覧 
3)登録後異議申立

関連サイト:
特許法2022年改正法
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/02-PATENTS-AMENDMENT-ACT-2022.pdf
特許規則2022年改正規則
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/PERATURAN-PERATURAN-PATEN-PINDAAN-2022.pdf
改正法実施政令
 https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/DIRECTIVE-OF-PATENTS-ACT-1983-AND-PATENTS-REGULATIONS-1981-17.03.2022-1.pdf

【中国】「民事訴訟法」の改正(2022年1月1日施行)

中国政府は、第13回全人代常務委員会第32回会議で「中華人民共和国民事訴訟法」の改正を審議し、12月24日に承認した。2022年1月1日より施行される。

今回の改正では、インターネットを活用した審理、少額簡易訴訟についての規定と、用語の調整を行い、7条追加、26条修正となっている。インターネットを活用した裁判は、16条に以下のように定められている。

第16条 当事者が同意する場合、民事訴訟活動は情報ネットワークプラットフォームを通じてオンラインで行うことができる。
 情報ネットワークプラットフォームを通じてオンラインで行われる民事訴訟活動は、オフラインの訴訟活動と同じ法的効果を有するものとする。

参照サイト:http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202112/3c3f10d770db4b9ea6bb70edb5634e35.shtml
http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202112/ba0edda840674b34a59fdf6c250a38b9.shtml

【韓国】特許法などの一部改正施行(8月17日)

韓国政府は特許法、実用新案法、デザイン保護法、商標法などの一部を改正する法律を2021年8月17日に公布し、公布後3ヶ月(一部は6ヶ月後)後から施行される。

特に、出願実務で影響があるのは、特許法第84条の審査請求料の返還の範囲が拡大されたことで、従来、審査前は全額返還、審査請求後は、
①専門機関による先行技術調査業務に対する結果通知があったとき、
②同一人により同じ発明が同じ日に2件以上の特許出願がある場合に、当該特許出願人に期間を定めて協議の結果を申告するよう命じる協議結果申告命令があったとき、
③拒絶理由通知があったとき、
は、特許出願を取下・放棄しても既に支払った審査請求料の返還はされなかった。
改正特許法では、
①は、先行技術調査業務の結果通知があった後に特許出願を取消・放棄した場合に、審査請求料の全額返還(約45万ウォン,約4.3万円)
②は、「協議結果申告命令があった後、申告期間が満了する前」に
③は、「拒絶理由通知後、意見書提出期間の満了前」に
特許出願を取消・放棄した場合、審査請求料の1/3の返還 (約15万ウォン,約1.4万円)
に改正された。なお、不法な手数料の減免を受けた場合は倍額の徴収を受ける。11月18日より施行。

その他の改正は以下の通り:
① 特許審判段階での調停制度の導入
 審判を終結することのできる調整制度の導入により、審判中に審判長が調停を必要と認める場合、当事者の同意を条件に産業財産権紛争調停委員会に付託できる。調整委員会に回付された審判事件は、回付された時から3か月以内に両当事者間の合意により迅速に終結することができる。
② 民事訴訟法(2002年法)の適時提出制度の準用
 特許審判の当事者が主導的に主張や証拠を適切な時期に提出せず、審判長が要求する時期より遅れた場合、故意或いは重過失で遅延した主張や証拠の提出は却下されるようになった。
③ 特許審判院での専門人材の配置
 最先端技術に対する専門性と信頼性を強化するために、特許審判院に関連専門家を配置し審判事件の支援とすることができるようになった。
④職権補正での誤りは無効措置
 審査官の誤った職権補正は初めからなかったものとなる。

以上

【中国】商標の商品役務区分表2021年改正(12月29日)

中国知識産権局商標局は、ニース分類第11版の2021年度改正に伴う、中国商品役務区分表の改正を12月29日付公示した。2021年1月1日より適用されるので、仮訳ご紹介する。

弊社の中国商標出願は現地代理人費用を含め格安ですので、この機会にご利用ください。

参照サイト:http://sbj.cnipa.gov.cn/tzgg/202012/t20201229_324763.html
仮訳

【中国】特許審査指南(第二部10章)の改正(12月11日)

中国国家知識産権局は、12月11日付、局令第391号を公示し、特許審査指南第二部第10章「化学分野の発明専利出願の審査に関する若干の規定」の改正を公示し、2021年1月15日から適用することを公表しました。この改正は、9月30日に意見募集していた内容で、ほぼ改正案と同じ内容となった。

改正の内容
(1)審査の原則の明確(第3.5.1節)
(2)実験データの補充に関する規定新設(第3.5.2節)
(3)組成物請求項の他の限定に関する改正(第4.2.3節)
(4)化合物の新規性に関する改正(第5.1節)
(5)化合物の進歩性に関する改正(第6.1節)
 1.3ステップ法(中国語:三歩法)の化合物の進歩性判断に対する指導的役割の明確化
 2.「予期せぬ技術効果」の位置づけの明確化
 3.既存の化合物の進歩性判断事例の改正並びに事例の追加
(6)生物材料の寄託単位に関する改正(第9.2.1節(4)
(7)モノクローナル抗体の請求項の記載についての改正(第9.3.1.7節)
(8)バイオテクノロジー分野における発明の進歩性に関する改正(第9.4.2節)
 1.「遺伝子」「組換えベクター」「形質転換」「モノクローナル抗体」における具体的な情況の進歩性の評価基準を改善(第9.4.2.1節)
 2.「ポリペプチド或いはタンパク質」のテーマにおける具体的進歩性の評価基準を追加

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2020/12/14/art_74_155606.html
仮訳

【台湾】意匠審査基準の改正(2021年11月1日)

台湾経済部智慧財産局は、特許審査基準の第3部意匠特許(設計専利)実体審査の改正を2020年9月29日に公布し、11月1日から施行した。今回の改正は、(I)意匠の説明書や図面開示要件の緩和、(II)建築物や内装設計を意匠の保護対象とする定義、(III)分割出願規則の緩和、(IV)画像意匠が適用されたコンピュータプログラム製品を物品に追加;(V)その他であり、対象は第1章、第2章、第3章、第7章、第8章及び第9章で、概要は以下の通り;

第1章 説明書及び図面
2.3.2画像デザインの外観が変更されたもの
2.3.3各図面間の同一、対称性、またはその他の理由による省略
3.1 具備しなければならない図面
3.2.5色彩を主張しない意匠
第2章 意匠とは
1. 意匠の定義
1.1 前書き
1.2 意匠は物品に適用されなければならない
2.2純粋に機能的な物品
第3章 特許要件
2.4.3.4(3) 判決原則/その他の注意事項(色彩の視覚効果)
3.4.5.6 従来意匠を使用した外観
第7章 分割及び変更
1.2.2 分割要件/実体的要件
第8章 部分意匠
2.1.3 意匠の説明
2.2.1 具備しなければならない図面
第9章 アイコン意匠
1. アイコン意匠の定義
1.1 一般原則
1.2 アイコン意匠の態様
2. 説明書と図面
2.3出願の意匠の解釈
3.2.1 特許要件/物品の同一或いは類似判断
3.2.2 特許要件/外観の同一或いは類似判断
3.2.3 事例
3.3 創作性
3.4 先願原則
4. 一意匠一出願

参照サイト:https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-881881-d8fd4-1.html

【アメリカ】特許審査便覧(MPEP)2020年6月改訂版の公示(7月1日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は7月1日付、特許審査便覧(MPEP:MANUAL OF PATENT EXAMINING PROCEDURE)の2020年6月版を公示した。

改正対象のセクションは100-1000、1200-1500、1700-2800。 更新されたセクションには[R-10.2019]改訂があり、2019年10月31日までの特許審査実務及び関連判例が反映されている。

100章 140節 外国出願許諾(Foreign Filing Licenses) 706.03(s)から移行
200章 優先権主張 201.04節 仮出願、213.01節 対象国リスト
300章 301節 所有者、譲渡
400章 402.02節 委任状
500章 501節 書類提出、509節 料金支払、 511
512節 通信
600章 601.5節 出願データシートADS
700章 706.02-03節 引例による拒絶
800章 804.05節 権利化間の調整(新設)
900章 903.08節 ファイル管理
1000章 審理 1002.02(c)節 請願(Petition)、1004節 主審査官
1200章 不服 1203節 手続き、
1204節 不服通知、1209 口頭審理、1210 弁駁
1300章 認可 
1302節 認可通知、
1305節 管轄、
1306節 登録料
1308節 発行前取下
1400章 補正 
1500章 意匠特許 1504節 審査
1700章 その他
1800章 PCT
1900章 異議
2100章 特許性 
2200章 引例
2300章 インタフェアランス
2400章 バイオテクノロジー 
2500章 年金
2600章 当事者系再審査
2700章 特許期間 調整、延長

参照サイト:
概要 https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/mpep-0005-change-summary.pdf
内容 https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/index.html?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

【中国】特許法、著作権法など改正の審議開始(6月20日)

全国人民代表大会のサイトには、6月20日付、2020年度立法業務計画について公示されている。知的財産権関連では、特許法(専利法)と著作権法がその対象になっている。そのほか、電子データ保護法、行政処罰法、個人情報保護法など多数の法令改正が挙げられている。
 他の情報ソースによると、6月28日から30日かけて開催される全人代常務委員会第20回会議で特許法改正第2回審議稿の審理が行われる予定で、意匠(国際意匠制度加盟、部分意匠の保護)、特許実施運用(公然許諾)の促進、特許開放規定及び特許紛争解決メカニズム関連が含まれる。
参照サイト:http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202006/b46fd4cbdbbb4b8faa9487da9e76e5f6.shtml

6月29日追記、28日の会議では、
部分意匠の導入が議論され、諸外国に準じた保護を入れる方向になった模様。いずれにしても、国際意匠制度との調整をすることになろう。
特許の奨励について、発明者や創作者に対する奨励と特許の開放に関し、公然使用許諾による収益分配或いは同等の通常実施権の付与など何らかの規定がされる模様。
医薬品の期間延長も導入になる模様。
法定賠償額では、特許と実案・意匠の価値の違いから、同様の規定が適用されることに異論が生じているようで、最低額の規定が削除されるかもしれない。
以上
参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1149817.htm

【香港】改正商標条例公布(2020年6月19日)

香港特別行政府香港知識産権署は、6月19日付、改正商標条例(Trade Marks Ordinance 2020)を公布した。この改正ではマドプロに対応する部分、書式及びその他を含む、35の改正がされているが、マドプロ部分の5条及び第4部を除いて施行された。なお、マドプロについては、香港とWIPO間でのマドプロ加盟国手続きは未だ行われていないために、WIPOはこの件について、何らの公示も行っていない。
その他の部分では、
1.書類の送付先の変更、2.登録商標の変更、3.出願の変更、4.延長申請、5.譲渡、6.団体商標、7.優先権主張、8.分類、9.同意などによる使用、10.防御商標、11.相対的拒絶理由、12.更新と回復措置、13.不使用取消などがある。
また、第12A部の権利行使では、96A条から96L条で税関に被疑侵害品の査察やその他の権限を付与している。

参照サイト:公示 https://www.info.gov.hk/gia/general/202006/19/P2020061900203.htm?fontSize=1
改正商標条例:https://www.gld.gov.hk/egazette/pdf/20202425/cs1202024253.pdf
https://www.ipd.gov.hk/sc/intellectual_property/trademarks/registry/log_of_change_2020.pdf

なお、6月16日付、絶対的拒絶理由に関する改正審査基準が公示されている。

参照サイト:https://www.ipd.gov.hk/sc/intellectual_property/trademarks/registry/Absolute_grounds_for_refusal.pdf

【韓国】商標審査基準の改正(2020年1月施行)

韓国特許庁は2020年1月から商標審査基準を改正し、施行している。その主な内容は次のとおり。

使用による識別力の判断
商標の使用期間については原則的に5年以上とし、その間実質的に非競合的かつ継続的に商標を使用した場合、使用による識別力取得認定の重要判断根拠として考慮することができる。
 ただし、短期間でも多量の広告宣伝を通じて認知度が上昇することもあるため、使用期間が短くても売上額、市場占有率、認知度などが大きく上昇した場合には考慮して使用による識別力取得を認めることができる。
 消費者認知度調査のためのアンケート調査の場合は、原則的に人的・物的要件が備わった信頼性ある調査機関により実施されなければならず、同種商品の実際のまたは潜在的な需要者を対象とし、地域、性別、年齢などの代表性があり、質問形態は公正かつ適切に構成されなければならず、回答標本数が500人以上、回答者の50%以上が該当商標を特定の所有者の商標として認識している場合、調査の信頼度を高く評価することができる。
 なお、審査手続きは、使用による識別力の判断を審査官1名の単独審査から審査官1名による審査後、識別力が認められると判断される場合は審査官3名の合議体で再検討後、識別力が認められると判断されれば最終的に審査委員会が最終決定する。

医薬品関連の商標出願
 他人がすでに製造販売・輸入品目許可・申告をした医薬品名称と同じ医薬品名称を商標出願した場合には、商標使用意思がないものと拒絶する。
 出願人が本人の著名な医薬品名称と同一・類似の商標を他の医薬品の名称として出願したり、他人の医薬品の名称と同一・類似の商標を出願した場合、商品の品質を誤認させる或いは需要者を欺瞞するおそれがある商標と拒絶する。

日本の年号
 「令和」、「れいわ」または「레이와(Reiwa)」は韓国で指定商品と関連し識別力がないとみることができないが、「年号+○○年」などのように標章が構成される場合、「西暦○○○○年」に準じてその他の識別力がない部分とみなす。

出展:Kim&Chang

【中国】特許審査指南第9章改正の解説

国家知識産権局は、1月22日付、2020年2月1日より施行される特許審査のガイドライン(「専利審査指南」)第9章の(コンピュータプログラムに係る発明特許出願の審査に関する若干の規定)第6節の新設条項に関する解説を公示した。下記はポイントのみの仮訳である。

参照サイト: http://www.cnipa.gov.cn/zcfg/zcjd/1145668.htm

仮訳
1.改正背景
 人工知能など新業態の特許出願審査規則の必要性から国家知識産権局は新業態新分野の知的財産権保護制度に関する特定テーマの研究を行い、問題点を整理し、審査実務経験をまとめて、速やかに『専利審査指南』回収することとした。今回は関連の特許出願の審査規則を修正し、審査実務における多くの難題を明確化し、さらに特許審査の品質と効率を向上させ、イノベーション駆動の発展を支援するという目標を実現する。

2.改正内容
 「専利審査指南」の第二部分第九章には、第6節「アルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴を含む特許出願の審査に関する規定」が追加され、6.1節「審査基準」、6.2節「審査実例」及び6.3節「明細書及びクレームの作成」がそれぞれ設けられた。今回の改正は具体的事例を引いて、出願の登録客体、新規性と創造性、明細書及び請求項の作成について明確に規定している。

(1)審査基準(第6.1節)
6.1節の「審査基準」部分は審査の一般原則を確立している。
①請求項の全体的な判断原則を強調
 人工知能、「インターネット+」、ビッグデータ及びブロックチェーンなどの発明特許出願において、請求項にはアルゴリズム、ビジネスルール及び方法などの知的活動の規則及び方法の特徴がしばしば含まれる。今回の修正は、審査において、技術的特徴とアルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴を簡単に切り離すべきではなく、請求項に記載されている全ての内容を一つの全体として判断すべきであることを明らかにした。これらの特徴を直接無視したり、技術的特徴と機械的に切り離したりすると、発明の本質的な寄与を客観的に評価することができず、真の発明創造を保護することができない。
②請求項が知的活動のルール及び方法に属するか否かを明確化(第6.1.1節)
 改正は、クレームが抽象的なアルゴリズムまたは単なるビジネスルール及び方法に関連するとともに、いかなる技術的特徴も含まない場合、このクレームは知的活動のルール及び方法に属し、特許権が付与されるべきでないことを明確化した。但し、請求項に技術的特徴が含まれる限り、その請求項は全体として知的活動のルール及び方法ではなく、特許法第25五条第1項(2)号に基づいて特許権を取得する可能性を排除してはならない。
③請求項が技術方案の審査基準に属するか否かを明確化(6.1.2節)
 改正は、客体に関する法律条項の審査順序を明確化した。保護を求める主題については、まず知的活動に該当するか否かルールと方法を審査し、特許法第2条第2項に規定する技術方案に該当するかどうかを審査しなければならない。一つの請求項の技術方案がどうかを判断する場合、その中に関わる技術的手段、解決する技術的課題及び獲得した技術的効果を分析しなければならない。これは「専利審査指南」第二部分第一章第2節に規定する技術方案が解決すべき技術的課題に対して自然法則を利用した技術的手段の集合などの判断原則と一致する。
④進歩性判断における関連する判断原則をさらに明確化(6.1.3節)
 前述の通り、改正後の「専利審査指南」は審査における全体的な判断原則を明確化しており、この原則は新規性と進歩性の判断にも適用される。さらに、進歩性の判断において、「専利審査指南」は、関連する判断原則、すなわち、技術的特徴の機能において相互にサポートし合い、相互に作用関係があるアルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴と、それらの技術的特徴とを一つの全体として判断し、アルゴリズム特徴またはビジネスルール及び方法の特徴を判断して技術方案に寄与すべきことをさらに明確化している。「専利審査指南」は同時に「機能的に相互にサポートし、相互に作用関係がある」という概念を説明し、例を挙げて説明している。ここで、「機能的に相互にサポートし、相互に作用関係がある」と国家知識産権局が2019年の公告328号で「専利審査指南」を改正した第二章第3.2.3.1節の進歩性の判断方法において明確化した「機能的に相互にサポートし、相互に作用関係がある技術的特徴については、保護を求める発明において達成される技術的効果を全体的に判断するべきである」との表現と一致する。

(2)審査事例(第6.2節)
 6.2節は正反対の2つの側面から10個の登録客体と進歩性に関する審査事例を追加した。例1−例6は、登録客体の属否を判断するための審査事例である。例1は抽象的な数学モデルの構築方法であり、特許法第25条第1項第(2)項に規定する知的活動のルールと方法に属する。例2、例3及び例4は、人工知能、ビジネスモデル及びブロックチェーンの分野に属する登録可能な客体あり、例5及び例6は、逆の例になる。例7−例10は、保護する方案が登録客体に属する場合の進歩性の有無を判断する審査事例である。例7及び例9は、進歩性を備える例であり、例8及び例10は、進歩性を備えていない例である。6.2節の審査事例は6.1節の審査原則に対するさらなる解釈であり、これらの実例を理解する場合、その体現している審査理念と法律原則を重点的に理解し、単純に機械的に当てはめてはならない。
 ここでは、一部の例をさらに説明する。
 例7は、マルチセンサ情報に基づく人型ロボットの転倒状態検出方法に関する。その進歩性の判断の完全な考え方について言うと、検索の結果、対比文献1があり、人型ロボットの歩行計画とセンサー情報に基づくフィードバック制御を開示するとともに、関連する統合情報に基づいてロボットの安定性を判断し、そして複数のセンサー情報に基づいて人型ロボットの安定状態の評価を行うことが含まれる。対比においては、対比文献1を最も近い先行技術とし、本願の解決方案と対比文献1の違いは採用されたファジー決定の実現アルゴリズムにある。これに基づき、このアルゴリズム特徴は技術的特徴として、機能的に相互にサポートされ、相互に作用関係がある、すなわち、緊密に結合され、特定の技術的課題を解決するための技術的手段が構成されているかどうかをさらに判断するとともに、対応する技術的効果が得られるかどうか、つまり、技術的な貢献があるかどうかである。肯定的な結論が得られた後、本願が実際に解決する技術課題を決定し、先行技術における示唆があるかどうかを組合せて判断し、このアルゴリズムの特徴を判断する。このファジー決定の実現アルゴリズムとロボットの安定状態への適用を判断すると、他の対比文献には開示がなく、公知常識ではないため、最終的に進歩性が認められる。
 例10は、動的視点変遷可視化方法に関する。その進歩性の判断の完全な考え方について言うと、検索の結果、対比文献1があり、それは感情に基づく可視化分析方法を開示しており、その時間は横軸で表わされ、それぞれの色帯は異なる時間の幅であり感情の度合いを表し、異なる色帯で異なる感情を表している。対比においては、対比文献1を最も近い先行技術とし、本願の解決方案と対比文献1の違いは設定された感情の具体的な分類ルールである。感情の分類ルールが違っても、該当データを着色処理する技術手段は同じであり、変更する必要はないので、上記の感情の分類ルールと具体的な可視化手段は、機能的に相互にサポートし、相互に作用関係があるわけではないため、技術方案に貢献しているわけではない。従って、本願の実際に解決する技術的課題を特定する場合、請求項が対比文献1に対して実際に解決する技術的課題がないことを認定することができ、そして、請求項は進歩性を備えていないという結論を直接導き出すことができる。ここで強調するべきことは、実際に何ら技術的課題を解決しているわけでもなく、請求項自体が技術的課題を解決していないのではない。いわゆる「可視化」の課題は、対比文献1ですでに解決されおり、本願の従来技術に対する貢献は、新しい感情の分類ルールを提案することにある。さらに説明が必要なことは、そのクレームについて、具体的な感情ルールの可視化の課題を解決し、該当データを着色する技術的手段を採用し、人の目の視覚感覚官の自然の属性を利用し、自然法則に則り、動態観点の進化を示す技術的効果を得たので、特許法第2条第2項の規定に適合することを説明する必要がある。
 指摘すべきことは、アルゴリズムに関する特許出願に対して、請求項と最も近い従来技術の適用の場面が同じで、違いがアルゴリズムの調整にのみにある、例えば、同じ無人運転における障害物の識別であり、請求項のアルゴリズムはパラメータと式に対する再選択または調整にあり、その実際に解決する技術的課題が障害物の検出精度をさらに高めることである場合、この課題を解決するための技術的示唆が先行技術に全体的に存在しないならば、請求項は自明ではない。請求項と最も近い先行技術の違いが単に適用のシナリオにあり、進歩性を判断する場合、通常は転用の遠近、難易度、困難な技術の克服する必要性、技術の示唆の有無、転用による技術的効果などの要素を判断する必要がある。

(3)明細書及びクレームの作成(第6.3節)
①明細書作成の基本的な要求を明確化(第6.3.1節)
 アルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴を含む発明特許出願において、第一に、この種の出願の特殊性はアルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴にあるため、明細書にはこれらの特徴が明記されていなければならない。第二に、技術的特徴がどのようにこれらの特徴と「機能的に相互にサポートし合い、相互の作用関係がある」かとともに技術的課題を解決するかを明記する。
 例えば、人工知能の発明特許出願では、その内部動作の特殊性により、発明にアルゴリズムの特徴を含む場合、抽象的なアルゴリズムを具体的な技術分野と結合しなければならず、少なくとも一つの入力パラメータ及び関連する出力結果の定義は技術分野における具体的なデータに対応しなければならないので、ここでの「特定な技術分野と結合」は、どの技術分野が適用されるかを簡単に言及するだけでなく、当業者が確認できるように、その適合プロセスを説明すべきである。第三に、明細書には有益な効果を明記しなければならない。例えば、品質、精度または効率の向上、システム内部性能の改善、必要に応じて、詳しく説明または証明する。第四に、ユーザーの観点から言うと、発明が客観的にユーザー体験を向上させる、すなわちユーザー体験の客観的な向上であるとともに、個人的な主観的な好みではなく、説明書で説明する。同時に、このようなユーザー体験の向上は、発明の技術的特徴を構成すること、そしてその機能上で相互にサポートし合い、相互の作用関係のアルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴によって、どのようにもたらされ、または生成されるかを明記する。
②クレーム作成の基本的な要求を明確化(第6.3.2節)
 アルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴を含む発明特許出願において、クレームは、技術的特徴及び技術的特徴と機能的が相互にサポートし合い、相互の作用関係があるアルゴリズムの特徴またはビジネスルール及び方法の特徴を記載しなければならない。

全体的に言うと、今回の改正は現行の特許法及び実施細則の枠組みの下で、人工知能など新業態の発明特許出願の審査規則に対する細分化であり、イノベーション主体の要求にタイムリーに応え、審査実務における問題点を解決することを目的としている。一方、審査実務における有益な方法を「専利審査指南」に加え、統一的な審査基準を示しながら、この種の出願を作成するためにあるべき明確な指針を提供し、出願の品質向上を促進する。別の面では、これらの出願の特徴に合わせて、技術的特徴及びアルゴリズムまたはビジネスルール及び方法などの知的活動を判断する規則及び方法の特徴を全体的に判断し、発明の技術的貢献を正確に把握することで、絶えず審査品質と審査効率を向上させ、新しい技術分野や新業態の新しいモデルのさらなる発展を推進させる。

以上