【中国】「知識産権検察業務白書(2024)」・2024年典型事例、前年比+5.9%増(4月23日)

最高人民検察院は、4月23日、記者会見を開くとともに、「知識産権検察業務白書(2024)」と知的財産権保護典型事例9件、併せて、最高検察院知識財権検察庁の設置を発表した。

●2024年知的財産検察業務結果
1.知的財産権侵害犯罪
 2024年の知的財産権侵害犯罪は7,646件で13,486人(前年比+5.9%、+10.2%)を逮捕した。起訴請求は13,767件33,805人を受理し、4,691件7,481人(前年比+23.2%、+17.4%)の逮捕を許可した。起訴は9,452件20,817人で+44%、不起訴は1,929件5,754人、+21.7%であった。
 刑事事件起訴請求は商標に集中しており、商標権侵害犯罪が27,368人で全体の81%を占め、2020年から2024年まで年平均+18.8%増加した。著作権侵害犯罪は3,266人で同9.7%を占め、2020年から2024年まで年平均+43.5%増加した。営業秘密侵害犯罪は385人で、特許権侵害罪は3人である。なお、他の犯罪で知的財産権侵害行為を含む犯罪は2,783人で、全体の8.2%を占める。なお、共同犯罪率が高く、商標関係は全体の84.3%、著作権関係は76.8%を占めている。
 このうち起訴となった件数について、商標関係は、登録商標虚偽表示罪で1,796件2,933人を受理し3,520件7,554人を起訴した。登録商標虚偽表示商品販売罪で1,959件2,962人を逮捕し、3,841件8,290人を起訴した。登録商標不正製造販売罪で279件425人を逮捕し、574件1,577人を起訴した。特許関係は、特許虚偽表示罪で1件2人を起訴した。著作権関係は、著作権侵害罪で336件539人の逮捕を許可し、860件1879人を起訴した。著作権侵害複製品販売罪で45件58人を逮捕し、94件211人を起訴した。商業秘密関係で、営業秘密侵害罪で72件131人の逮捕を許可し、91件220人を起訴した。
 刑事事件では自白や刑罰受忍に対する寛大な処置制度が適用されており、知的財産権侵害犯罪9,211件20,950人に適用され、対象者数は前年比+20.4%増加し、自白や刑罰受忍の申立率は86.7%である。量刑勧告は15,415人で14,685人(95.3%)に実施された。
2.知的財産民事検察業務
 中国の検察院の業務範囲には民事訴訟の判決や執行の監督業務が含まれており、2024年は1,764件処理し、判決監督事件は1,143件、裁判活動監督事件は263件、執行活動監督事件は225件、民事訴訟支援事件は133件あった。判決の控訴は94件と前年比2.5倍増加した。再審請求の勧告は452件。再審後の事件変更は482件と事件の97.2%を占めた。違法な事裁判活動223件に提言し、222件で採用された。違法な執行活動205件(前年比+27.3%増)に提言し、201件で採用された。
 この他、悪意知的財産権訴訟に対する監督を強化し、知的財産権侵害訴訟558件の監督を開始し、控訴26件、再審請求407件を勧告した。
 なお、刑事付帯民事訴訟が1,085件と前年比+70.6%増加した。 2021年以降年平均約3.9倍増加している。
3.知的財産民事検察業務
 中国の検察院の業務範囲には行政訴訟の判決や執行の監督業務が含まれており、2024年は行政訴追事件1,559件処理し、判決の監督は177件(前年比+16.4%増)、審理の監督18件、行政執行監督84件で、執行と刑事訴追で検察意見を1,280件提出した。判決監督事件では、商標事件は139件で全体の78.5%、特許事件は36件で全体の20.4%を占めた。北京での事件が137件と大半を占めている。執行と刑事訴追で執行の逆調整を行い、2,049件受理し、1,770人に関わる1,280件に検察意見を提出した。

●2024年知的財産検察典型事例
1.恵州市順某科学技術有限公司vs国家知識産権局などの商標権取消再審行政訴訟控訴事件
(不使用取消再審請求での虚偽証拠の認定)
2.寧波声某文化メディア有限公司著作権侵害紛争シリーズ虚偽訴訟監督事件
(虚偽の授権書の利用)
3.張氏ら2人による視聴覚作品の著作権侵害事件
(違法ダウンロードとインターネット専用アプリ)
4.杜氏ら3人によるオンライン小説作品著作権侵害事件
(違法ダウンロードとインターネット専用アプリ)
5.呉氏らによる登録商標虚偽表示商品販売事件
(偽造漢方薬の販売)
6.李氏ら8人による登録商標虚偽表示等事件
(虚偽表示のワイン販売)
7.北京君某科技有限公司、孫氏ほか4人による営業秘密侵害事件
(元従業員による検査処理システム技術の持出)
8.郝氏の営業秘密侵害事件
(元従業員による制御システム情報の持出)
9.「扁刺繍」知的財産権保護行政公益訴訟事件
(無形文化遺産や地理的表示の保護)

参照サイト:白書 https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbh/202504/t20250423_693689.shtml
典型事例 https://www.spp.gov.cn/xwfbh/dxal/202504/t20250423_693873.shtml

【中国】「刑事検察業務白書(2024)」公表(3月9日)

最高人民検察院は、3月9日、「刑事検察業務白書2024(刑事检察工作白皮书)」を公表した。白書は、2024年の刑事事件の処理情況や課題などをまとめている。

 刑事事件は全体的に減少傾向ではあるが、財産や経済系の犯罪は増加しており、企業経営秩序に関わる犯罪は+100%増加、偽造品や粗悪品の製造・販売犯罪は+79.2%増加、市場秩序を乱す犯罪は+24.9%増加している。知的財産権侵害罪で、2024年に33,805人を受理・審査・起訴、前年比+10.2%と増加した。知的財産権侵害刑事事件は、依然として商標権侵害罪を主とし、著作権侵害罪と営業秘密侵害罪が急増している。行政処罰に1,280件1,770人を移送している。

第4章の経済社会の質の高い発展の保障に、知的財産権検察の総合的司法保護の強化の項目を設けて以下のように総括している。
1.高度な科学技術の自立を確保
 イノベーション主導型発展戦略の実施のために、次世代通信技術、人工知能、バイオ医薬、新エネルギーなどの重点分野と新興産業に対する知的財産権の司法保護を強化し、新しい高品質の生産力の発展加速を促進する。営業秘密侵害罪で220人を起訴し、前年比+34.2%増加した。最高検察院は、チップ製造、動力電池などの重要なコア技術に関する重大事件を処理するよう地方検察院を指導した。張氏らは、某社のチップコア技術を不正に入手し生産事業に利用したため、上海検察院は営業秘密侵害の疑いで起訴している。
2.文化的強国の建設
 カルチャー分野の知的財産権保護を強化し、カルチャー産業のイノベーションに市場の熱量が高く、新しいタイプの作品に重点を置き、特にコンピュータソフトウェア、電子書籍、映画ドラマ、オンラインゲームなどのデジタル作品と脚本キリング、文創製品、ネットワークライブラリなどの新しいタイプの作品を対象に、著作権侵害罪の処罰に引き続き強化することで、カルチャー産業と市場の繁栄と発展を促進する。著作権侵害罪で2,090人を起訴し、前年比+27.4%増加した。最高検察院は、著作権侵害処罰の典型な実例を発表しており、国家著作権局などの関連部門と共同で重大な著作権侵害海賊版事件60件を監督・処理している。
3.知的財産権検察の総合的職責履行を強化
 各地の事情に応じ、階層的に分類し知的財産権検察の専門性を強化するよう指導し、知的財産権刑事、民事、行政、公益訴訟の検察機能を総合的に履行する。「知的財産権検察業務白書(2021-2023年)」を発表し、知的財産権検察の総合的職責履行状況と保護効果を包括的に総括した。検察機関の知的財産権保護の典型的な事例を発表し、引き続き指導を強化する。知的財産権事件の技術性、専門性の強い特徴に適応し、技術調査官制度を確立するために初めて技術調査官60名を採用し、検察官の事件処理に技術的支援を提供した。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbh/202503/t20250309_688590.shtml

【中国】検察による知的財産権悪意訴訟処分報告(10月29日)

最高人民検察院は、10月29日、悪意による商標の先取り登録など知的財産権を利用した悪意、虚偽訴訟などに対する特別プロジェクトの活動報告を公表した。中国各地の検察機関は、2022年7月より知的財産権悪意訴訟監督プロジェクトを実施し、今年2024年9月までに、抗訴と再審の申立のあった8,142件の知的財産権民事事件に対して監督を実施し、被疑犯罪案件175件を検察に移送した。約27か月でみると月6件とかなり多い数と言えるが、以下の3項目にまとめ特徴的事件を取り上げ、注意喚起を行っている。

(1)知的財産権悪意訴訟
 上場企業の使用している商標を悪意で先取り登録し、権利侵害と不正競争に基づき提訴し損害賠償を請求した訴訟で、検察が捜査により悪意訴訟と認定した事件では、国家知識産権局が先取り登録された72件の登録商標を無効宣告し、審査中の14件の商標出願を却下した。
 上場を目指しているハイテク企業に対して、競合する装備企業が自身の特許の有効性に問題があることを知りながら侵害訴訟を起こし、ハイテク企業の上場を中止に追い込んだ事件では、検察の捜査によりそうした事態が判明し、訴訟却下、原告に40万元の損害賠償の支払いとメディアでの影響の除去を命じ、ハイテク企業が上場に成功した。

(2)虚偽の著作権登録による虚偽訴訟
 他人が著作権を享受している音楽テレビ作品について虚偽の著作権譲渡契約書などを提出して著作権登録証を取得し、虚偽訴訟を1万件以上に提起した。検察は捜査を通じて、抗訴や再審勧告などの方法で是正した。

(3)ブラックブローカーやエージェントを含む悪意訴訟の輪
 知的財産権を悪用するブローカーやエージェントを含む利益共同体が形成されることが多い。知的財産権を悪用するため、専門会社の設立、知的財産権取得、被害者となる被告探索、訴訟代理人、和解調停代理人までを準備するブローカーやエージェントが存在し、を探す悪意訴訟をするために、前項のように虚偽著作権登録、権利者になりすまし、訴訟提起などの業務分担の分業を明確にし、輪になって、完全な「産業チェーン」を形成している事件が多く発生している。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202410/t20241029_670235.shtml

【中国】検察機関の知的財産権事件保護典型事例

最高検察院は、4月25日付、4月19日まとめた検察機関の知的財産権事件保護典型事例を知的財産権の法的保護強化、包括的なイノベーション強力、合法化されたビジネス環境を構築し、新たな生産力の発展を促進のための参考として、9件の典型事例を地方政府の検察機関に通知した。知的財産権行政保護典型事例は以下の通り:

1.浙江兆某股份有限公司、方氏など6人の営業秘密侵害刑事事件
 青島雲蒙先進材料技術有限公司のアモルファスストリップの製造用スプレートラック、晶析装置、晶析装置の研削機構などのコア技術である営業秘密を被告企業とその従業員が同社の従業員を買収し取得し製造ラインを建設し、その従業員10人以上を引き抜いた事件で、青島人民法院は被告会社に300万元の罰金、4人に禁固3年から5年、罰金100~200万元、原告元従業員2人に懲役1年、罰金5万元を科した。上告棄却で結審。

2.劉氏など3人の著作権侵害刑事事件
 フィリップスやGEのCTなどの医療機器のセキュリティ保護されたソフトウェアや保守マニュアルなどを無断で持出しセキュリティを回避する手段を作成し、ネット上でダウンロード販売した事件で、上海人民法院は著作権侵害として被告らに禁固1年から3年2か月、罰金8万元~70万元を科した。

3.重慶乾波機械設備有限公司、官氏など著作権侵害刑事事件
 重慶乾波機械設備有限公司の役員が業務提携先のNC工作機械の制御システムマザーボードチップのリバースエンジニアリングを当該会社の臨時従業員に委託し、入手した技術で同機種を製造販売した事件で、重慶市人民法院は著作権侵害として官氏に禁固3年、罰金12万元を科した。

4. 関氏など3人の営業秘密侵害刑事事件
 寧波凯越国際貿易有限公司の営業職の従業員である関氏は就業中にドイツ顧客との取引情報を取得し、退職後自社設立し秘密保持義務に違反しドイツ顧客との取引を開始し原告に大きな損害を与えた事件で、寧波人民法院は関氏に禁固4年、罰金400万元を科し、その他の従業員に禁固1年8か月、罰金4~5万元を科した。

5.許氏など26人の登録商標虚偽表示、偽造登録商標商品販売刑事事件
 「ROLEX」時計の模倣品や部品、ケースなどに「ROLEX」商標を表示し大人数のグループで販売した事件で、江蘇省鎮江市人民法院は登録商標偽造罪、登録商標偽造品販売罪などで禁固1~6年、罰金6 万~5,000万元を科した。

6.叶氏の登録商標虚偽表示刑事事件
 被告は、商標権者に無断で第三者の「DELIXI」商標の銘板を作成し自社の配電ボックスに表示し販売し、登録商標偽造罪で刑事告訴された事件で、内モンゴル人民法院第一審で認定に誤りがあり、差戻審で禁固3年6月、罰金33万元が科された。

7.天長市新某有限公司vs湛江市蘇某有限公司、海口市椰某有限公司など不正競争民事紛争控訴民事事件
 原告の登録商標がその標章に悪影響があることを理由に無効とされた状況で、原告から製品の製造委託を受けていた被告が原告製品を無断で製造販売し不正競争行為として提訴された事件で、杭州人民法院は不正競争行為と認定し、15万元の賠償を認定した。

8. 上海今鼎貿易有限公司vs上海市嘉定区市場監督管理局登録商標権利侵害行政処罰執行事件
 商標権侵害した被告に侵害停止と罰金13万元を科したが、応じなかったために市場監督管理局が催告し行政訴訟を提起した事件で、強制執行の処罰決定が下された。

9. 「鎮湖刺繍」知的財産権行政保護行政公益訴訟事件
 国家無形文化遺産に選定されている「鎮湖刺繍」は江蘇省蘇州市湖丘区鎮湖街が発祥で手作り、2010年に国家地理的保護表示製品に指定された。機械刺繍の偽装品が大量に出回り意匠特許や著作権侵害紛争が頻発したが保護が難しいため、行政公益訴訟が検察院から勧告され、基準を満たさない製品に対する警告、処罰、調停を通じて対策に成功した。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn//xwfbh/wsfbt/202404/t20240425_652529.shtml

【中国】最高人民検察院による「新時代における検察機関のインターネット法治業務の強化に関する意見」(4月18日)

最高人民検察法は、4月18日付、「新時代における検察機関のインターネット法治業務の強化に関する意見(关于加强新时代检察机关网络法治工作的意见)」を公布した。意見は、6つの観点21項目から構成されており、党の20大インターネット包括的統治システムの健全化に関する重要な展開に焦点を当て、検察の実際の職責履行と結びつけ、インターネットにまつわる立法、法執行、司法、法律普及及び法治研究、チーム構成などの面で新時代の検察機関のインターネット法治活動の強化に対して具体的な要求を提示している。

6つの観点は以下の通り:
1.インターネット強国に関する習近平総書記の重要思想を深く徹底し、インターネット法治の業務を確実に行う政治意識、法律意識と検察意識を絶えず強化する(1~2)
2.司法事件処理機能を十分に発揮し、サイバー空間の安全を維持し、デジタル経済の健全な発展に貢献する(3~7)
3.刑事、民事、行政、公益訴訟の検察の監督を統合運用し、一体的な職責遂行のデータ権限を強化し、サイバー空間の総合的ガバナンスを協同して推進する(8~13)
4.インターネットの立法に積極的に参加し、インターネット法律体系の建設を推進する(14~16)
5.インターネット法治の研究を強化し、インターネット検察チームの専門化を推進し、法に基づくインターネット管理能力のレベルを継続的に向上させる(17~18)
6.インターネット法治の宣伝や対外コミュニケーションを強化し、清朗なサイバー空間の共同構築を推進する(19~20)

知的財産関連は第6項目で以下の通り:
(6)デジタル経済の健全な発展に焦点を当て、法に基づきデジタル技術、デジタル産業、デジタル市場を保護し、規範化する。
 知的財産権検察弁公室の総合的職務遂行の優位性を発揮し、集積回路、人工知能、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの重点分野の核心技術に対する司法保護を強調し、法に基づきコンピュータソフトウェア、データベース、インターネットドメイン名、デジタル著作権、デジタルコンテンツ作品などのインターネット知的財産権の司法保護を強化し、法に基づき知的財産権の濫用による市場競争の排除、イノベーションの阻害行為を処罰し、デジタル技術成果の革新的な発展と転化を推進する。「メタバース」、人工知能、ブロックチェーン、クラウドコンピューティングなどの新技術や新業態に関する法律問題の展望研究を強化し、セキュリティリスクの総合的な研究・判断を強化し、イノベーションの発展と違法犯罪の限界を正確に把握し、新技術・新業態を看板に実施された各種犯罪活動を適時に発見し、正確に処罰し、イノベーションの発展を保護するだけでなく、各種リスクの重畳変化を効果的に防止する。企業のデータ財産権に対する司法保護を協力に強化し、法に基づき企業のデータを不法に取得した企業の営業秘密侵害などの犯罪活動を処罰し、デジタル産業のイノベーションの発展を保障する。法に基づきデジタル経済の各種市場主体の合法的権益を平等に保護し、インターネットを利用した虚偽の情報発信による企業のビジネス信用の誹謗、恐喝などの犯罪の処罰に力を入れる。多種多様な方式を総合的に運用し、電子商取引の消費者、新就業形態の労働者などの主体的権益の司法保護に力を入れる。データ取引、データサービスなどの新種の案件が関わるデータ権利の問題を深く研究し、データ収集、使用、取引などの過程における権利者の合法的権益を確実に保護し、データ権利の司法保護規則の整備を推進し、データ要素市場の法に基づき秩序ある発展を促進する。検察の機能に立脚し、法に基づき独占禁止公益訴訟の推進を穏当に模索し、事業者が市場での支配地位とデータアルゴリズムの優位性を乱用して独占行為を実施し、社会公共利益を損なうことを防止する。法に基づき、詐欺、ライブ配信、トラフィック乗っ取り、恐喝、虚偽広告、悪意のある商標、ドメイン名、ディープリンクの先制登録等の不正競争行為を取締まり、デジタル市場での公平な競争の良好な秩序を維持する。

いずれにしても、インターネット上の事業活動については、刑事処罰を前提とした対策が強化されることが見られるので、十分な研究と対応、そして活用が求められよう。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202304/t20230418_611553.shtml#1

最高検察院は市場競争秩序犯罪典型事例を発表(8月4日)

8月4日、最高人民検察院は6件の法に基づく市場競争秩序破壊犯罪の典型的実例を発表し、検察機関が市場競争秩序破壊犯罪を厳罰に処す態度、市場競争秩序の総合管理への積極的介入と効果を示した。

2019年6月から2022年6月までに、検察は虚偽登録商標罪、談合入札罪、商業秘密侵害罪、虚偽広告罪、商業信用毀損、商品名誉毀損罪などで1.8万件、4.1万人を起訴し、そのうち虚偽登録商標罪7400件1.5万人、談合入札罪2300件7000人、商業秘密侵害罪130件250人を起訴した状況がある。今回発表された6事例は最近検察が取扱った市場競争秩序破壊事件の中から典型例と選出したもので、最近の特徴をある程度反映し、複雑で多様な犯罪類型と絶えず現れる犯罪だけでなく、刑事民事の交差、刑執行などの状況にも関連していると説明している。

典型事例は以下の通り、
1.廖氏などによる有名ブランド商品模倣品販売事件
2.元従業員王氏による営業秘密侵害事件
3.李氏と范氏による競合ネットアプリの信用、評判毀損事件
4.南通インターネット会社などによる競合ウェブサイト攻撃事件
5.丁氏などのコンクリート市場独占を目的とした組織的暴力事件
6.馮氏、黄氏の非国家公務員グループでの贈収賄事件

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202208/t20220804_569841.shtml

【中国】 最高人民検察院の新時代の知的財産権検察業務の全面的強化に関する意見 (3月1日)

最高人民検察院は、3月1日付、新聞発表会を行い、「最高人民検察院の新時代の知的財産権検察業務の全面的強化に関する意見」、「検察機関による総合的司法保護に関する典型事例」などを発表した。

会見では、2021年の検察の活動結果として、全国の検察機関は知的財産権侵害事件4,590件で7,835人を逮捕(前年比それぞれ+16.8%、+9.2%)し、知的財産権侵害事件6,565件で14,020人を起訴(前年比それぞれ+12.3%、+15.4%)した。また、知的財産関連の民事調停事件の監督538件を受け入れ、前年比3倍の増加となったと報告している。

人民検察院は国の法律監督機関であり、知的財産権犯罪を追及し、知的財産権法律の統一的かつ正確な実施を監督する重要な職責と使命を担っている。ここ数年来、各クラスの検察機関は党中央の政策決定と実施を貫徹し、知的財産権保護の重点分野と際立った問題に焦点を当て、知的財産権司法保護に引き続き力を入れ、経済社会の発展を促進するために積極的な貢献しているとして、本意見を公示した。本意見の目的は、知的財産検察のシステムとメカニズムをさらに改善し、知的財産検察機関の専門化を積極的に進め、知的財産検査の職務を包括的に遂行することとしており、以下の項目での課題と対策を明示している。
なお、営業秘密の保護については、ハイテク技術、核心技術分野及び企業の生存と発展にかかわる営業秘密侵害事件に焦点を当てて事件処理に注力するとしており、法定の原則を堅持し、窃盗、利誘、詐欺、脅迫、電子侵入またはその他の不正な手段による営業秘密犯罪、外国のための営業秘密犯罪の打撃に力を入れるとしている。

1.全体要求
 (1)指導思想
 (2)基本原則
 (3)主要目標
2.事件処理を中心に知的財産権の検察での総合的保護の質と効果を向上
 (4)知的財産権刑事検察の質と効果の向上
 (5)知的財産権民事検察の正確な職責履行の強化
 (6)知的財産権行政検察の深化を推進
 (7)知的財産権分野の公益訴訟の着実な展開
 (8)知的財産権の総合的司法保護を全面的に推進
 (9)営業秘密保護の強化
 (10)知的財産権の法律法規の改正と整備を積極的に推進
 (11)知的財産権の国際的協力をさらに推進
3.知的財産権検察体制・メカニズムを確立・整備
 (12)知的財産権司法改革を協同して推進
 (13)行政区画を跨る知的財産権検察制度を積極的に構築
 (14)司法協力メカニズムを改善
 (15)専門技術者による事件処理補助メカニズムの確立
4.組織の指導を強化し、知的財産権検察業務の基礎確立
 (16)政治と組織の保障を強化
 (17)機構の専門化建設を強化
 (18)規範的建設を強化
 (19)職責履行能力の向上
 (20)知的財産権検察活動の宣伝強化
 (21)情報化の推進を加速

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/index.shtml
      https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbh/202203/t20220301_546231.shtml

【中国】2021年上期の刑事事件情況(7月25日)

最高人民検察院は、7月25日、2021年6月までの全国検察機関の処理した統計データを発表した。今年上半期に検察が受理した各種刑事起訴事件数は前年同期を超え、1,102,975人が起訴審理され、パンデミックの情況下で刑事犯罪の発生件数が再び上昇傾向にあることが明らかになった。

最高人民検察院は昨年、知的財産権検査事務室を設立し、今年より知的財産権刑事、民事、行政の検察を集中的に実施するようになった。特に、北京、上海など9つの省市で知的財産権の集中的な検察業務を行い、知的財産権を保護し、発展を推進している。こうした知的財産関連でも処理強化の結果、件数が上昇している。

1,刑事検察状況
2021年上期の全国の検察が受理した知的財産権侵害事件では、容疑者逮捕4,286人(前年比+99%増)、起訴6017人(前年比+12.6%増)、不起訴540人(前年比-2.6%減)であった。主な起訴理由は登録商標偽造罪と登録商標偽造商品販売罪で、それぞれ2676人と2138人と起訴総数の80%を占める。事件は経済が発達している東南地域を中心で、広東1463人、上海987人、浙江416人、河南371人、江蘇341人を起訴し、合わせて全国の起訴総数の59.5%を占める。

2.民事検察状況
2021年上期の全国の検察が受理し知的財産権と競争紛争の民事裁判では、調停書監督受理事件100件(前年同期53件)であった。主な事件は知的財産権の帰属、権利侵害紛争で合計63件と全体の63%を占める。知的財産権契約紛争は28件と同28%を占める。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202107/t20210725_524723.shtml