【中国】最高検察院「技術調査官」60名採用(2月9日)

最高人民検察院知的財産検察庁は、2月9日、技術調査官の選考分野、選考方法、選考条件、責任、事件参加要件などを明確にした「技術調査官管理弁法」を1月に施行し、最高人民検察院知的財産検察庁と検察技術情報研究センターが第1期の技術調査官60名を任命したことを公示した。

最高人民検察院が扱う事件のうち技術関連の事件が60%を占め、複雑な技術事実の解明が伴う特許再審査、特許侵害、営業秘密侵害、不正競争防止、独占禁止、著作権紛争事件でも、技術的な問題の検討・判断が必要であることから、技術調査員は主に機械、通信、化学工学、光学、材料、電子情報、コンピュータ、医学、生物学などの分野で生産、管理、研究開発、設計または特許審査、特許代理に従事する専門技術者から選抜しており、技術案件の処理の質と効率を向上させることが期待される。任期は5年である。

弁法は、事件の専門的技術的問題に関して、技術調査官が遂行すべき8つの職務を規定しており、技術的事実に関する争点の明確化、技術的事実の確定に関する勧告、検察官の監督下での捜査・証拠収集、検査、審査への参加、事件の取調べ、尋問、審問、弁論活動への参加、必要に応じて検察合同会議、検察委員会会議に出席し、事件の専門的問題の説明や質問の受け付け、裁判所の許可を得て専門知識を有する者として出廷し、技術的事実の説明を行うことなどが含まれている。

人民法院と地方政府の知識産権局がすでに技術調査官の活用を開始していることから、検察院が導入を開始したことで、ほぼすべての技術系事件に技術調査官が活用されることになる。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zhuanlan/202502/t20250209_681876.shtml

【中国】最高検察院2023年度活動報告(3月15日)

2024年3月8日の第14回全国人民代表大会第2回会議で最高人民検察院検事長が行った最高人民検察院活動報告が、3月15日付、同サイトに公示された。知的財産関係のコメントは以下の通り。

イノベーションによる発展の保障
 検察院は知的財産権事件を扱うための45の措置を打ち出し、総合的保護を強化する。商標権、特許権、著作権、営業秘密侵害などの犯罪を告訴人数は、1万8000人で前年比40.8%増加した。訴訟では営業秘密保護を強化し「二次秘密漏洩」を防止した。 知的財産権民事行政訴訟監督は、2,508件と前年比2.7倍であった。知的財産権分野の公益訴訟は、873件を処理した。知的財産権に関する悪意訴訟の特別監督を実施したが、某文化メディア会社による音楽ビデオ作品著作権者を偽装し悪意訴訟を5800件以上提起し、広東省、山東省など9つの省・市の検察機関が同時に法に基づき再審監督を指導し5人の犯罪容疑者の逮捕した特徴的な対応を行った。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/tt/202403/t20240315_649599.shtml

【中国】最高検察院による知的財産権司法保護と指導性事件の発表(2月8日)

最高検察院は、2月8日付、「法により知的財産権の司法保護サービスの強化、イノベーション型国家建設の保障」と題する新聞発表会を開催し、検察院での司法保護活動の状況及び第26回目となる指導性事件を公表した。主なポイントは以下の通り:

1.最高検察院は昨年11月に、知識産権検察弁公室を設置し、党中央の政策決定に従い、知的財産権にまつわる刑事、民事、行政の検察機能を統合し、一体化して事件を処理することを推進している。これに合わせて、北京、天津、上海など8省市の検察機関で一年間の知的財産権検査機能集中実施プロジェクトを実施している。
2.「検察機能を十分に履行し、知的財産権保護強化に関する意見」などを公布し、知的財産権に関わる事件の処理の規範化を進めた。特に、現実的ニーズに応え、刑事と民事の対応を総合的に運用し、商業秘密の司法保護を強化するために、技術調査や二次的漏洩メカニズムを健全化し、公平で秩序ある市場競争秩序を維持するよう努めた。
3.知的財産権保護のために部門間のコミュニケーションと協力を強化するために、関係機関と緊密に協力し、権利侵害や偽造品分野での情報共有プラットフォームの確立し共同推進を開始した。今後は政府組織やこくがいとの連絡や調整を行い、積極的に検察の機能を発揮し、知的財産権の全てのチェーン保護を強化し、知的財産権保護全体の効果を高める
4.知的財産権の刑事事件としては商標や著作権にかかるものが多数を占めるが、商業秘密犯罪の基本状況としては、事件数の増加幅は大きいが絶対数は少なく、起訴数は知財侵害刑事事件総件数の0.5%である。事件受理地域に偏りがあり、11の省での起訴受理数が全体の80%を占める。逮捕や起訴に至らない状況が多く、全刑事事件のよりそれぞれ10ポインと5ポイント高い。軽い処罰や執行猶予が多く、事件の約80%で被告人に懲役3年以下が言い渡される。犯罪の多くは企業のコア技術秘密で従業員或いは元従業員による犯罪である。
5.今回発表する指導性事件は、虚偽登録商標罪、虚偽偽登録商標商品販売罪、著作権侵害罪、商業秘密侵害罪が含まれる。犯罪手段としては伝統的な知的財産侵害犯罪やインターネット環境での新しいタイプの犯罪が含まれている。
 (1) 鄧秋城、双善食品(厦門)有限公司などの“STARBUCKS VIA”商標虚偽登録商標商品販売事件
 (2) 広州卡門実業有限公司の“KM”商標虚偽登録商標商品事件監督事件
 (3) 陳力など8人の著作権侵害事件
 (4) 姚常龍など五人の“CISCO”“HP”“HUAWEI”虚偽偽登録商標事件
 (5) 金義盈氏の営業秘密侵害事件

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/zgjjxyfjqzscqsfbhfwbzcxxgjjsxwfbh/xwfbh.shtml
      https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbh/202102/t20210208_508826.shtml