【中国】「特許代理職業倫理と実務規律規範」の公布(9月22日)

中国の弁理士会に当たる中華全国専利代理師協会は、9月22日、2025年8月22日に全ての特許代理機関に向けて通知した「特許代理職業倫理と実務規律規範(专利代理职业道德与执业纪律规范)」を公示した。特許代理人である代理師の管理規定は、特許法である専利法のほか、専利代理条例、専利代理管理弁法と中華全国専利代理師協会章程があるが、新たに代理人としての職業倫理と実務規範を制定した。不正や非正常の特許出願を規制することが目的である。

本規範は、全6章65条からなり、以下の構成である。
第一章 総則
第二章 特許代理士の職業倫理
第三章 特許代理士の実務執行規律
第四章 特許代理機構の実務執行規律
第五章 罰則
第六章 付則

職業倫理については、信義誠実や職責を果たす能力や実践を規定している。一方、実務執行に関する規定では、事務所規程の遵守、事務所の兼任の禁止、秘密保持義務、利益相反の禁止、自己の名義での手続きの禁止、不正競争行為の禁止などが規程されている。

注目条項としては、15条2項に、特許代理人は、人工知能を用いて最終的に提出するための特許出願書類を直接生成してはならないと規定していることであろうか。9月だけでも3事務所が非正常出願で、1人の代理師が委任状用の印鑑を勝手に複数作成し出願に利用したとして、許可証が取消されているところ、こうした業界団体の責任も問われているところである。

参照サイト:http://www.acpaa.cn/article/content/202509/6936/1.html

【中国】特許代理人に格付け開始(4月11日)

国家知識産権局(CNIPA)は、3月31日付の地方政府の知識産権局などに対する「国家知識産権局による特許許代理人の信用評価のための行政措置(試行)」の通知(国知発運字〔2023〕10号)を4月11日にそのサイトで公示し、5月1日から「特許代理信用評価管理弁法(試行)」を施行し、特許代理人事務所(知識産権代理公司や弁護士事務所)や弁理士(代理師)に対し信用レベル(AからD)を付与し、行政指導や処罰などを受けた特許代理人事務所や弁理士に対し、信用レベルのランクダウンを適用するとともに、指導監視を強化する。

今回導入される「特許代理信用評価管理弁法(专利代理信用评价管理办法)試行」は、5章20条からなる:
第一章 総則
第二章 信用格付け評価
第三章 信用情報の開示、照会、異議及び信用回復
第四章 結果の運用
第五章 附則

評価レベルは5条に以下のように規定されている:
第5条 特許代理機構と特許代理士の信用レベルは等級の高い順に「A」、「B」、「C」、「D」に分け、採点状況により評価する。採点は100点満点、マイナスが適用される情報に基づき差引される。マイナスの情報には、非規範的事業や執務行為、機構事業の異常な状況、行政や刑事処罰、業界団体による懲戒などが含まれる。レベル基準は次の通り:
(1)A級が信用ポイント90点以上100点以下
(2)B級は信用ポイント80点以上90点未満
(3)C級は信用ポイント60点以上80点未満
(4)D級はクレジットポイントが60点未満。
 栄誉奨励、社会貢献などに基づき、追加加点項目を適切に設け、「A+」等級を追加し、等級基準は100点を超えるものとする。

評価レベルは、毎年見直され、政府サイトなどで公示される。CやDの評価を受けた場合、定期的な検査や指導をうけることになる。大手の事務所でない場合、地方の事務所を活用するときには参照すると良いかもしれないが、A+になると売り込みに使われそうである。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2023/4/11/art_75_183544.html