【アルゼンチン】特許出願優先権の審査状況報告義務導入(8月26日)

アルゼンチン知的財産庁(INPI)は、2024年8月26日に政令No. 364/2024を官報に公示し、優先権主張を伴う特許及び実用新案出願について、当該優先権主張の基礎出願の審査状況を出願人は報告すること義務付け、報告がない場合は、見做し放棄とする通知を出した。本制度導入は、滞留する係属出願ですでに放棄されている案件が多くあり、そうした審査扶養案件の削減や審査期間の短縮を目的としている。

TRIPS協定の29条2段には、対応出願の情報を出願人に求めることができるとの規定があり、INPIは、2008年、2014年に優先権主張出願が登録になっているかどうかを出願人に照会する政令を出し、効果を上げることができた。今回はそうした経験に基づくもので、出願人はINPIから通知を受けた場合、60日以内に応答しなければならない。この期間は延長できないので、注意が必要である。応答内容としては、登録に未だなっていない場合でも、審査状況を報告することが重要であり、応答しない場合、見做し放棄処理され、特許公報に公示される。

参照サイト:https://www.boletinoficial.gob.ar/detalleAviso/primera/312803/20240826

【欧州】EPOの引用文献すべて電子データへ移行(2024年10月1日)

ヨーロッパ特許庁(EPO)は、7月31日、10 月 1 日よりEPC 及び PCTに基づく特許出願の調査および審査手続きで引用された特許文献を電子データでのみ利用可能にし、紙のコピーを今後は提供しないと公示した。

現在電子出願をしている利用者は全体の約 75% を占めているが、依然として郵送で手続きしている利用者も多いため、Espacenet を通じて引用特許文献にアクセスすることで年間 600 万ページ、両面印刷すると300万枚、積み重ねると185メートルで、ロンドンのビッグベンの 2 倍の高さにもなり、戦略計画 (SP2028) に沿ったペーパーレスのための重要なステップとしている。

参照サイト:https://www.epo.org/en/news-events/news/patent-literature-citations-going-solely-digital

【中国】CNIPAは6月末までに特許出願補助金制度廃止を指示(1月27日)

国家知識産権局(CNIPA)は、1月27日付、国知発保字〔2021〕1号を各地方政府の知識産権局、直属組織、各団体に発し、地方政府の知的財産権部門は特許出願に対する支援政策の規範を強化し、量によるイノベーション発展の知財の役割は既に終えており、特許の高品質による発展要求を強く実行するため、イノベーションの保護を目的としない非正常特許出願行為を排除するための具体的な施策を指示した。注目は、その中で、2021年6月末までに、特許出願時の資金援助の全面的に廃止を示唆し、登録時の補助金も2025年までに全面的に廃止するよう指摘している。

 具体的には、各地方政府は資金支援、奨励金、補助金などの方法で特許出願(発明、実案、意匠を含む)に財政支援を行っているが、現在の資金支援の範囲は、発明特許の登録時(PCTなど国外での登録を含む)に限定されるべきで、支援方法は登録後に補助する方法でなければならず、支援金の総額は登録時までのオフィシャルフィーの50%を超えてはならず、特許年金や代理人費用を支援金に含めることはできない。そして、虚偽により特許支援金が詐取された場合、回収すべきであるとしてる。
 また、こうした支援金は第14次5か年計画の最終年2025年までに全て廃止し、各地方の財政支援は特許保護強化、特に、特許の転化、行政保護、公共サービスへと重点を移行しなければならないと指摘している。

なお、対象となる非正常特許出願行為として、以下のような事例を挙げている。
(1)「特許出願行為の規範化に関する若干の規定」(国家知識産権局第75号局令)第3条に規定する6種類;
 (a)同一の出願人による内容が明らかに同一の複数の特許出願、或いは他人にそれをさせた場合;
 (b)同一の出願人による明らかに先の技術或いは意匠の特許出願を剽窃した複数の特許出願、或いは他人にそれをさせた場合;
 (c)同一の出願人による異なる材料、成分、配合比、部品などを簡単に代替或いは足した複数の特許出願;
 (d)同一の出願人による実験データ或いは技術的効果が明らかに捏造された複数の特許出願;
 (e)同一の出願人によるコンピュータ技術などを用いてランダムに製品形状、パターン或いは色を生成させた複数の特許出願;
 (f)他人或いは特許代理人の支援を受けた上記(a)から(e)の特許出願。
(2)出願人が故意に関連する特許出願を分散させて行った特許出願。
(3)出願人がその研究開発能力と明らかに矛盾した特許出願。
(4)出願人による異常な転売のある特許出願。
(5)出願人による特許出願で、複雑な構造で簡単な機能を実現する技術、従来の或いは簡単な特徴を組合せ或いは積み重ねるなど明らかに技術改良の常識から外れた技術であるもの。
(6)その他、民法典に規定する信義誠実の原則に違反、特許法関連規定に合わない特許出願管理秩序を乱す行為による特許出願。

詳しくはひとりごとをご覧ください。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/1/27/art_545_156433.html

【中国】特許出願集中審査管理弁法(試行)を施行(2019年8月30日)

国家知識産権局は、9月3日付、局令:国知発法字〔2019〕47号を公示し、特許出願の全体技術の理解を強化し、拒絶理由通知書の有効性を向上させ、審査品質と審査効率を向上させるために集中審査を実施するための手続き法を試行する。弁法は13条からなり公布日の9月3日から発効した。

特許出願人は、国家知識産権局或いは省クラスの知識産権局に集中審査を申請することになり、同一の重要技術に関する一連の特許出願をまとめて審査を受けることができる。集中審査を受ける条件は第3条に以下のように規定されている。
(1)実体審査請求がされ、審査が未開始の特許出願であり、同一出願人が特実同日出願した特許出願は除外する。
(2)国家の重点競争産業或いは、国の利益、公共の利益に重大な意義を持つ産業に関する特許出願である。
(3)集中審査対象出願件数は50件以上で、実体審査請求後一年を超えていない。
(4)その他の優先審査などの審査政策を受けていない。

また、出願人の義務は必要な情報や資料を提供することになるが、第8条に審査手続きでの協力内容が規定されている。
(1)審査部門の要求に基づき、関連技術資料を提供する。
(2)審査部門の技術説明会、会合、調査、巡回審査などに積極的に協力する。
(3)集中審査中の問題、実験、効果と価値などの質疑に速やかに対応する。
(4)その他の協力が必要な仕事。

日本企業の場合、特定プロジェクトの特許出願がこの対象になると思われるが、果たしてどうでしょうかね。以上、ご参考まで。全文訳が必要な方はご連絡ください。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1141943.htm