【台湾】北陸地震による特別措置(1月2日)

台湾知的財産局 (TIPO) は、1月2日付、2024 年1 月1 日に発生した令和6年能登半島地震より影響を受けた出願人への対応策を発表した。

特許及び商標のすべての出願等の手続きは、自然災害或いは自己の責によらない事由により法定期間に遅れた場合、特許法第17条及びその実施規則第12条、商標法第8条及びその実施規則第9条の規定に従い、原状回復を請求することができる。震災の影響により、特許出願人及び商標出願人が各手続きの法的期間を徒過した場合、上記の規定に従い、関連書類を提出し原状復帰の申請をすることができる。なお、原則として、個別の事案の具体的な状況に応じ柔軟かつ適切に判断する。

素早い対応に感謝します。

参照サイト:https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-931688-a0360-1.html

なお、日本は、特許庁が以下のように手続きの救済対応を1月4日付で公示しているが、期限を過ぎた場合は、原則、手続が可能となってから14日以内に手続をすることができる。

参照サイト:https://www.jpo.go.jp/news/koho/saigai/saigai-tetsuduki-20240104.html

【中国】国家知識産権局による「改正特許法施行に伴う審査処理暫定弁法」改正の公示(1月5日)

国家知識産権局(CNIPA)は、1月4日付の国家知識産権局による「改正特許法施行に関する審査業務処理暫定弁法」の公示(国家知識産権局第510号公告)を1月5日付で行い、1月11日より施行する。
 この公示は、2021年5月24日付の国家知識産権局公告第423号での経過措置の改正であり、主に意匠特許出願での部分意匠の図面、国内優先権主張、電子形式で受け付ける手続き、及び決定に対する不服の場合に出願人が取れる手続きを追記したものである。

この改正法移行での経過措置の弁法の改正で、これまで審査が滞留している部分意匠特許出願の方式上の問題点が浮き彫りになっていることが分かる。専利局としては、既に内部処理で、方式審査上問題のある出願、問題なく公告できる出願に分け、審査意見を出すか、認可を出すかの状況になっていることが推察される。従って、特許法実施細則と特許審査指南の発行されればすぐ対応できるが、それらが予定より少し遅れていることを示唆しているように思われる。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/1/5/art_527_181246.html
仮訳

【中国】改正特許法経過措置弁法の公示(5月25日)

国家知識産権局は、5月24日、国家知識産権局公告第423号を公布し、「改正後の特許法施行に関する関連審査業務処理暫定弁法(关于施行修改后专利法的相关审查业务处理暂行办法)」を改正特許法の施行日に合わせて施行することを公示した。これは、特許法実施細則が未発行であるため、その公示施行まで不可欠な規定の暫定措置を公示したのである。

暫定措置は全11条からなり、6月1日から可能な暫定措置の対象は以下の通り;
1.部分意匠出願の受理
2.緊急事態などを理由とした新規性喪失の例外の適用
3.意匠出願の国内優先権主張
4.優先権主張の副本の提出期限の緩和
5.審査遅延による特許期間の補償の請求
6.新薬の上市許可申請による特許期間の補償の請求
7.特許の開放許諾(LOR)の申請
8.被訴権利侵害者による特許権評価書発行の請求
9.審査における信義誠実違反、特許権濫用、原子核変換方法の有無の判断
10.意匠特許権の権利期間の適用
内容は仮訳でご覧ください。

意匠特許出願では、部分意匠出願が6月1日よりできるようになるが、日本での部分意匠出願の優先権主張も6か月遡って主張することができる。また、権利期間は、5月31日までの出願は出願日より10年間、6月1日より出願日より15年間となる。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/5/25/art_74_159631.html
仮訳

【欧州】EUIPOによるBREXIT移行時の最終的示唆(9月10日)

欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、2020年6月18日に特別BREXITサイトを開設し、関係当事者への通知を掲載していたが、このサイトに9月10日付の以下の2つの新しい文書を掲載し、さらに詳しくBREXIT後の制度改正と対策すべき内容を紹介した。

  • 通知No.2/20イギリスの欧州連合離脱が庁実務の特定の側面に及ぼす影響(Communication No 2/2020 of the Executive Director of the Office of 10 September 2020 on the impact of United Kingdom’s withdrawal from the European Union on certain aspects of the practice of the Office)
  • 付属Q&A説明書 イギリスの欧州連合離脱が欧州連合商標及び共同体意匠の側面に及ぼす影響Q&A(Impact of the United Kingdom’s withdrawal from the European Union on the European Union trade mark and the Community design Q & A document)

通知No.2/20は6月18日付の通知を補完する内容となっており、Q&A説明書は55の設問に回答する構成となっており、移行経過措置期間が2020年12月31日をもって終了することを踏まえて、この3か月間に対応するべきイギリスの離脱による実務上の対応に対する最終的示唆を提供している。

通知No.2/20は以下の構成となっており、主な注意点は以下の通り:
i. 範囲を目的
ii.権利者と代理人に対する通知
iii.シニオリティ・先行商標(欧州商標法39条、40条)
iv.コンバージョン・各国移行(欧州商標法139条)
v.当事者系手続きでの先の権利
vi.代理
vii.代理人
viii.国際出願の優先権の基礎

  • 2021年1月1日出願以降のイギリス商標出に基づくシニオリティの主張はできなくなる。以前に出願されたものは、経過措置期間終了時点で無効となる。
  • 欧州連合商標出願の拒絶或いは取下によりイギリス国内商標出願に2021年1月1日以前の3か月以内に国内移行係属中の事案は処理される。
  • 2021年1月1日より、イギリスの権利は当事者系手続き(異議、無効)において、もはや「先の権利(prior rights)」とは見做されなくなる。
  • 欧州連合(EU)及び欧州経済領域(EEA)以外に居住する権利者は代理人を必要とする。なお、経過措置期間終了前に手続きをしていた事案を除く。
  • 代理人を必要とする事案で代理人が指名されていない場合、庁はその対応を促すものの代理人が指名されない場合、手続きは却下される或いは提出物は対応されないことになる。権利者が対応しない。但し、2021年1月1日以前に提出された事案を除く。
  • 代理行為の継続は係属中の手続きに限られ、これまでのイギリスの代理人も代理人できる。
  • 係属中の案件の代理人情報を除き、EUIPOでの代理権限が失われる全ての代理人は、その情報が経過措置期間終了後自動的に削除され、代理人ID番号も失効し、庁が管理する代理人リストから除外され、手続きサイトで案件のメッセージの送信もできなくなる。

Q&Aは以下の構成となっており、主な注意点は以下の通り:
A.保護の範囲
B.権利維持
C.公用語としての英語
D.優先権及びシニオリティ
E.当事者系と査定系手続き
F.国際出願
G.欧州意匠
H.所有権と行為能力
I.イギリスの利用者への影響
J.代理
K.イギリスの代理人への影響

  • 欧州連合のいずれかの商標裁判所による措置或いは2021年1月1日から発効する措置は、経過措置期間終了前に手続きが開始された事案のみ、イギリスで執行することができる。
  • イギリスの裁判所は、当日から欧州連合内で効力を有する措置を下す権限を失うため、経過措置期間終了前に開始された法的手続きの結果として下された措置、或いは経過措置期間終了時の決定的な措置のみが欧州連合域内で執行可能である。
  • 欧州商標のイギリスでの使用は欧州連合域内での使用とは見なされなくなるため、2021年1月1日より前の欧州商標のイギリスでの使用は使用証明対象期間に該当する場合は考慮される。
  • 維持されていないイギリス商標のシニオリティはイギリスではもはや主張ができないが、このイギリス商標のシニオリティは、新たにクローンとして作成されたイギリス商標にリンクされる。
  • 英語は依然として公用語の1つであり、英語でのサービスは欧州商標に対する絶対的拒絶理由の根拠となる可能性がある。なお、イギリスにしか存在しない絶対的拒絶理由に基づいて拒絶や無効にすることはできない。
  • 英語を公用語とする場合相対的拒絶理由において関連があると見なされるが、今後は以前のヨーロッパでの権利とその後の欧州商標出願の衝突での評価目的に利用できないことに注意が必要である。
  • イギリスの先の権利は欧州知的財産庁での手続きに主張できなくなる。2021年以降、イギリス法に基づくいかなる異議申立や無効取消も受理されない。
  • 経過措置期間終了前のイギリスでの商標の使用は有効である。しかし、欧州連合でのそうした使用の評価は徐々に低下する。
  • 欧州商標の著名性の立証は当該立証時点での著名性に基づき決定されなければならないため、経過措置期間終了とともにイギリスでの著名性の評価はりようできなくなる。
  • 国際登録商標の欧州指定はイギリス国内商標に移行し登録される。

参照サイト:https://euipo.europa.eu/ohimportal/brexit-q-and-a