中国海関総署(税関総署)は、4月23日、「2024年中国税関知的財産権保護状況」と十大典型事例を公示した。その内容は、下記の通り。
●2024年中国税関知的財産権保護状況
2024年に全国の税関は、輸出入貨物に知的財産権保護措置を5.32万件(前年6.7万件、前年比▲20.6%減)に実施し、被疑権利侵害貨物を4.16万(前年6.2万)ロット、8,160.5万(前年8,289万)件を差止めた。内訳では、越境EC取引(B2Bを含む)に対する法執行が最も多く、2.5万ロット、2,027.4万件の被疑侵害品を差止めた。
-侵害品の種別は変らず同じ
差止対象品目は、衣類、電化製品、カバン類が依然として上位3位を占めており、それぞれ21,600ロット、5,500ロット、4,800ロットで、数量では、電化製品、スポーツ用品、たばこ製品が上位3位で、それぞれ2,796.6万個、1,107.5万個、446.3万個である。
-知的財産権の種別も変わらず商標権侵害がトップ
知的財産権被疑貨物の差止対象は、商標権、特許権、著作権などの知的財産権が対象で、被疑商標権侵害貨物4.1万ロット、7,639万件で、それぞれ年間総数の99.5%と93.57%を占める。次は、被疑著作権侵害貨物で534ロット、101.2万件で、それぞれ全体の0.8%と1.2%を占める。次いで、被疑特許権侵害貨物24.9万ロット、499.6万件で、それぞれ前年比+71.3%、+393.6%と増加した。
-諸外国との違いは輸出の差止が中心
2024年に全国の税関は、輸出貨物の被疑侵害品を4.1万バッチ8,033.4件を差止、それぞれ全体の99.2%と98.4%を占める。輸入貨物の被疑侵害品を345バッチ、130.2万件を差止、それぞれ前年比▲34.2%、▲26.5%と減少した。
-中西部の税関での法執行が向上
2024年に深圳、上海、広州、寧波などの東部沿岸地域の税関は、被疑侵害貨物3.16バッチ8,024万件を差止、それぞれ全体の76%、98%を占めた。一方、ウルムチ、南寧、昆明、ハルビンなどの国境地域の税関は、被疑侵害貨物1,151バッチ、86.2万件を差止めた。成都、西安、南昌などの中西部の税関は、被疑侵害貨物8,800バッチ、53.3万点を差止めた。石家荘、南昌、合肥などの税関での差止数量は、前年比2倍以上増加した。重慶、太原などの税関でも2023年と比べ大幅に増加した。なお、一般担保申請は141件と前年比+12.8%増加した。また、通過貨物での被疑侵害品の差止は、3,732件と前年比+31.8%増加した。
-知的財産権の税関登録は増加傾向
2024年に税関利用者登録申請した知的財産権者は、4,836人で4,516人が承認され、前年比+11.4%増加した。代理人による登録申請受理は、964人、前年比+22.3%増加した。なお、保護申請届出は、2,9541件と初めて3万件に近づいた。このうち、21,614件が承認された。国内権利者申請は16,034件、前年比+24.2%増加した。
●税関押収十大典型事例
1.深圳税関:技術調査官を派遣し太陽光発電設備の特許権被疑侵害事件を調査・処理
2.上海税関:「新三品目(新エネルギー自動車、リチウム電池、太陽光発電製品)」の商標と特許権被疑侵害品の差止
3.杭州税関:大量なドリルビッドッドの商標権被疑侵害品を公安との迅速な連携メカニズムで差止
4.アモイ税関:複数の商標権被疑侵害輸入調味料の差止
5.北京などの税関:「Labubu」などの著作権被疑侵害品を差止
6.広州税関:商標権被疑侵害輸入スポーツ用品を差止
7.黄埔などの税関:商標権被疑侵害運動靴の積替えを摘発
8.青島、寧波税関:アフリカ諸国への商標権被疑侵害冷蔵庫輸出貨物の差止
9.成都、ウルムチ、拱北税関:越境EC商取引の商標権被疑侵害貨物を差止
10.南京、天津、大連税関:「税関行政処罰裁量基準3(軽微な侵害の処理)」を適用
参照サイト:http://www.customs.gov.cn/customs/xwfb34/302425/6478897/index.html
十大事例 http://www.customs.gov.cn/customs/xwfb34/302425/6478986/index.html