【中国】「市場監督管理担当の知的財産権事件事由規定(試行)」(1月8日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、1月8日付、国家知識産権局とともに、2024年12月31地付で地方政府の関係部門に「市場監督管理担当の知的財産権事件事由規定(試行)(市场监管领域知识产权案件案由规定(试行))を通知(国市監稽発〔2024〕125号)したことを公示した。これは、各地の市場監督管理局・知識産権局が知的財産権関連法の違反に関する摘発を行うときの手続き規定と対象の違反事件例を示す目的である。
 規定は全10条と付属書からなり、付属書の違反内容は活用する上で参考になる。

【市場監督管理担当分野における知的財産権事件事由規定(試行)】
第1条 知的財産権事件の事由管理を強化し、知的財産権法執行の標準化レベルを向上させるために、本規定を制定する。
第2条 市場監督管理部門は、知的財産権事件を処理する場合に本規定を適用する。
第3条 事由(原因)は、訴訟事件名の重要な構成部分であり、当事者の違法行為の性質を反映する。
第4条 事由は3級に分けられ、それぞれ:一級事件事由、二級事件事由、三級事件事由である。下級事由は、上級事由のブレークダウンである。
第5条 法執行による事件の処理、業務指導、事件宣伝などの業務において、適用事由の標準化しなければならない。
 事件で行政処罰決定を下す前、或いは実際に違法行為があったが、行政処罰をしない決定を下す前に、適用事由には「被疑」の2字を追加しなければならない。
第6条 事件の事由を確定するとき、階層的進度の原則に従い、下から上へと優先的に3級事件事由を適用しなければならない。対応する下級事由がないときは、上級の事由を適用する。下級事由が適用可能な状況の場合、直接上級の事由を適用することはできない。
第7条 同一事件に複数の違法行為が存在するとき、異なる事由を並べて適用することができる。複数の異なる性質の違法行為に対し、異なるレベルの事件の原因を並列に適用することができる。
第8条 すでに本規定の事由を適用して処理した事件に対し、他の法律法規を適用する場合、移送前に本規定の事由を適用し、移送後に他の事由を適用する。
第9条 法律、行政法規、部門規則と法執行実践に基づき事由をダイナミックに調整する。
 法執行の実践で出現した新しいタイプの事件に対し、本規定を適用して事件の事由を確定することができない場合、指導と明確化のため市場監督管理総局に逐次報告しなければならない。
第10条 本規定は国家市場監督管理総局、国家知的財産権局が解釈を担当する。

付属書 市場監督管理分野における知的財産権事件の事由

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/zw/zfxxgk/fdzdgknr/zfjcs/art/2025/art_44ab94682af94fa78b9249aa4dabab90.html
抄訳 市場監督管理分野における知的財産権事件の事由

【中国】CNIPA2022年特許行政保護典型事例(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、全国知的財産権週間に合わせて、2022年度の特許行政保護典型事例10件と商標行政保護事例10件を公示した。2022年度の特許(発明、実案、意匠)にまつわる紛争を地方政府の知的財産部門が処理した紛争事件は5.8万件、保護支援事件7.1万件、調停仲裁事件8.8万件となっているが、その内の侵害事件では医薬品や食品などを典型事例で挙げているが、行政調停や省際越境事件処理が目立っている。

案例1.“櫛(くし)”意匠特許侵害事件
担当部局: 安徽省涇県知識産権局
特許番号:306931506S (202130464274.7)
特許権者:汪強
侵害者:安徽涇県朴存商貿有限公司
【概要】ECサイトでの侵害品販売に評価書を提出して行政投訴。知識産権局は類否判断主体の「一般消費者」を含め国家知識産権局(CNIPA)に意見を求め、特定の判断者の知識レベルや認知能力に基づく判断を避けることを主な目的とすることを前提に、保護範囲に入るとして販売停止処分。

案例2.“動物用薬瓶”実用新案特許侵害事件
担当部局: 湖南省長沙市芙蓉区知識産権局
特許番号:210096380U(201920076353.8)、203122427U (201320028054.X)
特許権者:湖南楽福地医薬包材科技有限公司、湖南千山製薬機械股份有限公司
侵害者:長沙某商貿有限公司(仮名)
【概要】2つの行政投訴があり合併調査審理モデルを適用、技術専門家が参加し、調査、証拠収集、技術支援が行われ、それぞれ保護範囲に入ると判断。1件は行政調停により和解成立し、長沙市中級人民法院で司法確認完了。2012076353.8(折畳み式蓋)は販売停止命令、ライセンス契約するようを命じる行政裁決。

案例3.“銅線補助固定クリップ”シリーズ発明特許侵害事件
担当部局:広東省中山市知識産権局
特許番号:107026009B(201710330407.4)など10件
特許権者:中山展暉電子設備有限公司
侵害者:元従業員
【概要】特許権者は元従業が製品図面を不正な手段で入手し製造販売した「全自動巻線機」が10件の発明特許権侵害を中山市知的財産権局にと営業秘密侵害を中山市公安局港湾支局に投訴した。同時に立件、共同現場調査で侵害仮認定、被訴侵害者が抗弁しないために行政調停で和解成立、160万元の賠償と侵害行為の停止の調停合意書締結。

案例4.“押し板ガイドスライド機能付き高効率電池材料焼成炉”実用新案特許侵害事件
担当部局: 江蘇省知識産権局
特許番号: 205655661U (201620358253.0)
特許権者: 蘇州滙科機電設備有限公司
侵害者:無錫中工熱控科技有限公司
【概要】特許権者は被訴侵害者が中堅技術者を引抜き、実案特許技術と同じスラブ炉製品を生産販売していると行政投訴、知識産権局は立件後現場調査で確認した関連製品や図面から請求項1を完全に侵害するとして販売停止、在庫の販売中止と行政裁決、被訴侵害者は行政不服訴訟を二審の最高人民法院まで訴求したが棄却された。完成品ではなく部品など関連部材など現場での収集証拠からの侵害判断に意味がある。

案例5.“フライドポテトボックス(薯条盒)”意匠特許侵害事件
担当部局: 天津市河東区知識産権局
特許番号:305171075S(201930039762.6)
特許権者:陸明燕
侵害者:天津某市场管理有限公司(仮名)
【概要】個人事業者の特許権者の侵害投訴を受けた知識産権局は侵害状況を検討後、被訴侵害者の反論に法的認定を良く説明説得し、侵害行為の停止の和解の行政調停にまとめた。調停和解書は裁判所による司法確認完了。

案例6.“ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤(糖尿病)”発明特許侵害事件
担当部局:北京市知識産権局
特許番号:102134230B(201110006009.X)
特許権者: 武田薬品工業株式会社
侵害者:北京百灵威科技有限公司、北京迈瑞达科技有限公司
【概要】特許権者の投訴を受けて、被訴侵害者1は侵害事実を知らず、製品回収、販売停止を弁明、被訴侵害者2はそのサイトでの販売の申し出のみで掲載を削除と弁明があったが知識産権局はぞれぞれの製品が保護範囲に入るとして、販売の申し出を禁じる行政裁決をだした。外国企業の権利保護をアピールすることが目的。

案例7.「エキス入りキャンディ」特許虚偽表示商品販売事件
担当部局: 河北省石家庄市橋西区市場監督管理局
特許番号: 101053352B(200710068855.8)
侵害者:郑州庞博教育科技有限公司
【概要】通報を受けた市場監督管理局がインターネットライブ販売サイトで販売するキャスターの特許3件の説明に対して事実関係を確認したところ、その立証できず、うち1件は関係があるものの特許権者からの使用許諾もないことから、特許法実施細則84条1項3号に違反するとして、違法所得72,206.70元の没収と罰金108,310.10元を科した。

案例8.“椅子(月亮椅、ムーンチェア)”意匠特許侵害事件
担当部局:四川省宜賓市、四川省濾州市、重慶市栄昌区の知識産権局
特許番号:306888296S (202130435026.X)
特許権者:杜朝彬
侵害者:羅某氏、重慶市栄昌区某藤芸厂、(各仮名)
【概要】特許権者が所在地の異なる侵害者をそれぞれ管轄する知識産権局に被訴侵害者を行政投訴したために、立件を決定した3地域の知識産権局は共同運営体制をとり、地域を跨ぐ事件の研究と対応を行うとともに、被訴侵害者の製造販売に併合審理を行い、販売状況が悪くすでに販売していないことから和解にまとめるとともに、調停和解書の司法確認を完了した。

案例9.“置換オキサゾリジノン及び血液凝固の分野での使用”発明特許侵害事件
担当部局: 江蘇省南京市知識産権局
特許番号: 1262551C(00818966.8)
特許権者:Bayer AG(拜耳医药保健股份公司)
侵害者:南京恒生制药有限公司
【概要】特許権者は被訴侵害者が「第18回世界製薬原料薬中国展」展示会に出展した薬剤が係争特許を侵害し、販売の申し出にあたるとして行政投訴、被訴侵害者は旧特許法69条5項(行政審査を受ける医薬品のための情報収集)に該当すると非侵害を主張した。知識産権局は侵害と判断し侵害行為停止の行政裁決。被訴侵害者の行政不服訴訟は二審の最高人民法院でも棄却された

案例10.“断熱窓ユニットのためのスペーサ枠用スペーサプロファイル及び断熱窓ユニット”発明特許侵害事件
担当部局:上海市知識産権局
特許番号:101044292B(200580030094.6)
特許権者:Technoform Glass Insulation Holding GmbH(泰诺风玻璃隔热控股股份有限公司)
侵害者:威海宇光施尔乐节能材料有限公司ほか
【概要】特許権者は被訴侵害者が「第31回中国国際ガラス工業技術展覧会」で展示した関連製品が特許侵害するとして行政投訴、担当した知識産権局は当事者間に業務委託業務関係があり和解の意思があるが、上海浦東と山東省威海市と地域が離れていることから共同運営体制をとり、ネット会議により調停和解書を締結し、司法確認を完了した。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2023/4/26/art_3207_184726.html

【中国】国家知識産権局による特許の虚偽表示と広告における違法行為の認定(10月9日)

国家知識産権局は、10月9日付の山東省と安徽省からの特許の虚偽表示と広告における違法行為に対する行政処分に関する照会に対する回答(国知発保函字〔2021〕160号)を10月12日に公示した。本件は、山東省市場監督管理局による「特許表示の規範的でない行為」、安徽省知識産権局による「同一の違法行為」に対する法律適用に関する対処方法の照会であり、国家知識産権局は以下の4点の回答・指示を行っている。

1.特許の無効或いは終了後も製品やその包装に特許表示を継続する行為について
 特許法実施細則第84条の規定に基づくと、「特許権が無効宣告を受けた後、或いは終了後も製品或いはその包装に特許表示を継続する」行為は、特許法第68条に規定する特許詐称行為に該当する。また、商品の包装上の法律法規或いは国の関連規定による標記以外の文字、図形、画面などが商業広告の特徴に合致する場合、広告法の規定が適用される。従って、製品或いはその包装に無効宣告後或いは権利終了後の特許を表示する場合、広告法を適用して処罰することも、特許法を適用して処罰することもでき、罰金は「行政処罰法」第29条の規定に基づき執行される。
「特許法第68 条 特許を詐称した場合、法により民事責任を負うほか、専利法執行部門は是正を命じるとともに公告し、違法所得を没収し、違法所得の5 倍以下の罰金を科すことができる。没収した違法所得或いは違法所得額が5万元以下の場合、25 万元以下の罰金を科すことができる。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。」
「行政処罰法第29条 当事者の同一の違法行為に対して、2回以上の罰金を科する行政処罰を与えてはならない。同一の違法行為が複数の法律規則を違反した場合、罰金を科さなければならない。罰金額は高い規定で処罰する。」

2.他人の特許番号の表示及び関連の販売に関する行為について
 「許可なく製品或いは製品の包装に他人の特許番号を表示する」、「製品説明書などの資料に許可なく他人の特許番号を使用する」、「特許証、特許公報或いは特許出願書類を偽造或いは変造する」行為、及び、「許可なく製品或いは製品の包装に他人の特許番号を表示した」製品を販売、「特許権が付与されていない製品或いはその包装に特許標識を表示した」製品を販売、「特許権が無効宣告を受けた後、或いは終了後も製品或いはその包装に特許表示を継続した」製品を販売した行為は、特許法実施細則第84条の規定により認定する。

3.製品説明書などの資料に未登録の特許を使用する行為について
 製品説明書などの資料において特許出願を特許と称する行為については、特許法実施細則第84条を適用して認定する。上記製品説明書を広告とする、或いは登録されていない特許出願を広告に使用する行為については、広告法第12条を適用して認定する。
「広告法第12条 広告が特許製品或いは特許方法に関わる場合、特許番号と特許の種類を明示しなければならない。特許権を未取得の場合、広告に特許権を取得済みと虚偽の表示をしてはならない。未登録特許出願及び既に満了、取消或いは無効の特許を広告に使用してはならない。(第59条により広告主などに10万元以下の罰金)」

4.特許標識表示に関する規範について
 広告に特許製品或いは特許方法が関連する場合、特許番号及び特許種別を明示しなければならない。販売行為における特許標識の規範的でない行為は「専利標識表示弁法」を適用し認定する。

今回の通知は、これまでも特許の虚偽表示の違反行為が数多く実施されている状況があり、国家知識産権局は違法行為であることを折に触れて説明してきたことを追認するとともに、広告法の適用のほうが罰金が倍になる可能性もあるので、強い処罰を認める立場を表明したものと言える。当職もこれまで、折に触れてこのリスクを報じてきました。権利が満了したり、無効となった特許を引き続き、ウェブサイト、パンフレット類、製品に記載している場合、競合先から投訴をされることになりかねないのでご留意ください。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/10/12/art_546_170706.html?xxgkhide=1

【中国】商標権侵害判断基準の公示(2020年6月15日)

国家知識産権局は、6月17日付で6月15日付公布の商標権侵害判断基準を公示した。本基準は昨年12月に意見募集が8章58条で公示されたものだが、国家知識産権局は、これまでの商標行政保護の経験と実務を体系的に整理総括した38条で、商標の使用、同じ商品、類似商品、同じ商標、類似商標、混同しやすい、販売免責、権利衝突、適用中止、鑑定識別などの内容を細かく規定したものと説明している。

意見募集稿との違いは、侵害判断部分での出願審査の判断が含まれる条項と例外部分の調整が主である。本判断基準で注意しなければならないことは、12条の商標の指定商品との侵害判断において、現行の区分表に基づいて判断することである。権利行使時にはこの点を十分確認する必要があり、古い登録商標しか保有していない場合、現状の事業に合った商標権を取得することが必要である。また、上位概念の指定商品や役務での登録の場合、権利行使ができないこともありうるため、具体的商品名で権利化を改めてすることが必要である。

本基準は、行政ルートの権利行使で各地の知識産権局が参照する基準であるが、主だった12項目について、以下のように簡単にまとめることができる。
1.商標の使用:商標の使用が商標権侵害行為を判定する前提要件とし、商標の使用の定義、具体的な表現形式を列挙して、商標の使用の判定原則を明確にしている。
2.同じ商品、類似商品:同じ種類の類似商品の判定原則を規定し、区分表がその判断基準になることを明確にしている。
3.同じ商標、類似商標:伝統的商標に加え、立体商標、色の組合せ商標、音声商標などの新しい商標について判断基準を明確にし、「商標審査及び審理基準」の役割を明確にしている。
4.混同しやすい:2014年の改正商標法では初めて混同しやすいについての規定がされ、2つの混同しやすいケースと考慮すべき要因を明確している。
5.商標登録者の許諾の範囲:商標使用許諾の範囲を超えたために紛争が発生した場合の判断基準を明確にしている。
6.商標権侵害の具体的行為:実務上多発しやすい商標権侵害行為の態様を挙げて、商標法の具体的な適用条項を明確にしている。
7.販売の免責:侵害を知らない状況及び仕入先の説明に関する関連条件を明確にしている。
8.他の知的財産権との衝突:商標と他の知的財産権の衝突の処理原則、商標出願日を比較基準と明確にしている。
9.先使用の抗弁:未登録商標の先使用の抗弁を規範化するために、一定の影響がある商標、原使用範囲などを明確にしている。
10.中止の適用:係争中に事件処理を中止できる状況を細分化し明確にしている。
11.再犯:5年以内に2回以上の商標権侵害行為に対する処罰を適用する基準を明確にしている。
12.権利者の認識:商標権者が発行した鑑定意見に対する法律責任を規定しており、法律執行機関は意見主体の合法性、鑑定意見の真実性、関連性及び鑑定意見を審査し証拠とする前提条件を明確にしている。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1149656.htm
仮訳 

【中国】特許権侵害紛争行政裁決モデル構築業務の通知(11月14日)

国家知識産権局弁公室は、11月14日付、特許権侵害紛争行政裁決モデル構築業務の通知(国知弁発保字〔2019〕40号)を関連地方政府の知識産権局に送達したことを11月19日に公示した。 

この目的は、国務院の「行政裁決制度の健全化に関する行政判裁決業務強化に関する意見(以下、意見)」(中弁発〔2018〕75号)を貫徹し、特許権侵害紛争の解決における行政の判断が「分岐弁」の役割を十分に発揮し、社会の安定と調和を確実に維持し、法治政府の建設を推進し、事業者環境を最適化するためにあり、行政判断は多元化している紛争解決の重要な方法として、効率が高く、コストが低く、専門性が強く、手続きが簡単であるという利点があり、矛盾のある紛争の迅速な解決に有利であるため、第18回四中全会は「社会での矛盾のある紛争の予防解決メカニズムを健全化し、調停、仲裁、行政裁決、行政再審査、訴訟などの有機的な結合、相互に調和した多元紛争解決メカニズムの充実」「民事紛争解決での行政裁決制度の健全化、行政機関の同種管理活動の密接な連携機能強化」と提出しており、「法治政府建設実施要綱(2015~2020年)」は、「関係行政機関は法に基づく行政調停、行政裁決業務を展開し、矛盾する紛争の適時効果的解決」を要求している。また、国務院弁公庁が発行した「矛盾多元的解決メカニズムの整備に関する意見」は、「行政裁決制度を健全化し、行政裁決の適用範囲、裁決手順と救済ルートを明確にし、行政機関が行政管理活動と密接に関連する民事紛争解決機能を強化する」と規定しる。この一連の活動は行政判断制度の健全化と行政判断の強化の重要な指針となっている。

「意見」は「知的財産権侵害紛争と賠償の紛争」を行政が判断する業務の重点として明確に指摘し、特許法第60条の規定に基づき、地方政府の知的財産権局は、特許権者または利害関係者から特許侵害行為の処理を請求された場合、それは典型的な行政判断に属するとし、各知識産権局は専門性をもって、その特許侵害紛争行政裁決の経験に基づき、特許侵害紛争行政裁決制度をさらに健全化し、特許侵害紛争行政裁決業務の強化やその職能を全面的に十分に発揮しなければならないと指摘している。

今回の通達では、2020年1月から12月の期間に、地方政府の知識産権局が地方の条例の適用として、「処理する」から「決定する」や「行政裁決を下す」に調整するよう指示されていること、行政ルートの利用の推奨すること、業務処理を革新し、特許評価書が提出された実案や意匠の場合や事前に口頭審理の準備ができている場合のスムーズな処理、また外部の技術者の活用、無効取消が提起された場合の審判部門との連携が指摘されていること、調停や行政指導の活用を推進すること、健全な業務処理を行うこと、行政能力向上するための適切なスタッフの配置や外部専門家の活用を求めている。

そして、この通達に関連して、11月22日付、具体的な手続きや判断、処理手法をまとめた「特許権侵害紛争行政裁決指南」の意見募集稿が公示された。政府としては、毎年増加する特許権侵害紛争を行政ルートでも処理できるように、特許法改正を見据えながら外堀を埋める対策を順調に行っていると言える。

参考サイト:http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1143845.htm