【中国】「商標行政法執行証拠規定」(意見募集稿)の公示(8月19日)

国家市場監督管理総局(SAMR)は、8月19日、「商標行政法執行証拠規定(商标行政执法证据规定)」(意見募集稿)を公示し、一般からの意見募集を9月19日まで受け付ける。

党中央委員会と国務院は、知的財産権強化に関する一連の施策を実施しているが、本証拠規定は、商標行政執行、証拠収集、証拠審査と認定などの内容と要件をさらに明確にし、事業主体の正当な権益を保護することを目的としており、2023年12月1日に「商標行政法執行証拠基準規定(商标行政执法证据标准规定」)(意見募集稿)を商標行政法執行の専門的指導を強化し、法執行基準を統一し、商標の違法事実を正確に認定し、証拠の収集、審査、認定を規範化するためのもので、これまで商標行政法執行法には専門的な証拠規定が制定されいなかったために本規定と同様の構成で5章46条で起草された。
 今回は、2度目となり、全24条に減縮されている。主な内容は、目的と法律根拠、適用主体と事件範囲、証拠の概念、証拠の種類を明確にし、主に、書類証拠、物証、視聴覚資料、電子データ、証人証言、当事者の陳述、鑑定意見、現場記録及び外国での証拠などを対象とし、各証拠に対する収集要件と認定を明確にしている。

参照サイト:https://www.samr.gov.cn/hd/zjdc/art/2024/art_275583fb35664df595acaf3c38cba102.html
仮訳

【中国】国家知識産権局による行政判断の認定(2月7日)

国家知識産権局は、浙江省と河北省の知識産権局からの行政判断の照会に対して、1月27日付で回答、指示したことを2月7日付公示した。

1.行政裁決における口頭審理以外の質疑を最終決定の根拠とできるか(国知発保函字〔2022〕12号、浙江省知識産権局:浙知〔2021〕28号)
 「当事者双方が同意した場合、口頭審理以外の質疑(質証:証人の証言に対しする更なる尋問)を最終決定の根拠とすることができる」という意見に同意する。
 現行の専利行政法執行弁法16条の特許業務管理部門が特許侵害紛争を処理する場合、事件の必要性に応じて口頭審理を行うかどうかを決定することができる」という規定に基づき、口頭審理は特許業務管理部門が特許侵害紛争の行政裁決を下すために必須の手続きではない。特許侵害紛争の行政裁決は高効率、低コスト、専門性、簡便性の特徴を備えた行政手続きとして、公平公正の原則を順守し、迅速な解決を促進することに資するものでなければならない。そのため、特許侵害紛争の行政裁決事件において、行政裁決の特徴を十分に発揮するために、行政裁決請求書と答弁書における両当事者の証拠に対する質疑は最終決定の根拠とすることができる。但し、被申立人が申立人から提出されたすべての証拠を明確に認識し、事実が明確であり、証拠が十分であることが前提でなければならない。

2.行政裁決における先行意匠による抗弁をどのように裁決するか(国知発保函字〔2022〕13号、河北省知識産権局:冀知発〔2021〕25号)
 特許法67条の規定により、特許侵害紛争において、被訴侵害者がその実施技術或いは意匠が従来技術或いは先行意匠に属していることを証明する証拠がある場合、特許侵害を構成しない。従って、従来技術或いは先行意匠の抗弁は、被請求者が主張しかつ関連証拠を提供した場合のみ適用される。特許侵害紛争の行政裁決手続において被請求者が従来技術或いは先行意匠の抗弁をしたが、有効な証拠を提供されていない場合、裁決機関は法により侵害が成立しないと認定する権利がないが、被請求者に既存の関連技術状況を説明することができる。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/2/7/art_546_173009.html
      https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/2/7/art_546_173010.html

【中国】北京知識産権法院の商標権取消復審事件と偽証罪に関する報告(9月10日)

北京知識産権法院は、9月10日、商標権取消再審不服行政訴訟における偽証での処罰状況の説明会を開催した。説明会では、商標権取消復審不服行政訴訟事件の審理状況を報告するとともに、この種の事件で3年連続不使用の使用証拠の偽証行為の現状、規制する主な方法と知的財産権の一連の保護強化に対する提案、及び典型的事例6件を発表した。
以下は、その報告の抜粋を紹介する。全文は当社サイト「ひとりごと」でご確認ください。

1.商標権取消復審不服行政事件に関わる偽証での処罰情況の報告

(1) 北京知識産権法院での商標権取消復審不服行政事件の審理状況
 2019年以降、本院は商標登録権利確認事件40,114件を結審した。その内、商標権取消復審行政事件は3,843件と全商標登録権利確認事件の9.6%を占める。この内、国家知識産権局が商標を取消した事件は970件と取消率は27.7%で商標登録権利確認事件の平均取消率を上回る。本院が審理したこうした商標権取消復審不服行政事件には以下の特徴がある。
①商標権取消復審不服行政事件は商標3年連続不使用行政事件が占める比率が高い。
②商標権者は通常行政訴訟手続きで新しい証拠を補充提出する。
③商標権者は十分な使用証拠を提出できない場合、虚偽の証拠を提出することさえある。
④行政訴訟での取消率は行政事件の平均取消率より高い。

(2) 商標権取消復審行政訴訟事件における偽証行為を規制する主な方法
 商標の価値はその使用にあり、使用を通じて商品或いはサービスの出所を識別する役割を発揮する。しかし、商標権者が行政訴訟で商標の使用証拠を偽造する行為は、商標の使用事実を捏造し、信義誠実の精神の欠如や希薄な遵法意識などの問題を反映している。このような行為に対して、本院は多くの商標権取消復審不服行政事件で処罰を科した。2016年10月、登録商標第146278号「家家JIAJIA及び図」の商標権者には虚偽の証拠を提出した行為があると認定し、行政訴訟で初めて、行政訴訟法の関連規定に基づき偽証に対し1万元の罰金を科した。信義誠実による商標登録と使用の秩序を構築するため、本院は今後も以下の多くの措置を採り全面的に偽証行為を規制する。
①証拠原本との検証や証拠審査のレベルを向上する。
②公的サイトを利用し、主導的に証拠の真実性を検証する。
③提出理由の説明と偽造証拠の結果の釈明を命じる。
④審査基準を厳格化し、3年連続不使用の商標は取消す。
⑤偽証行為を厳格に処分し、法に基づき処罰する。
⑥原因を整理し、訴訟ガイドラインを補強する。

(3)偽証行為のさらなる規制と全てのチェーンにおける保護強化に関する提案
 知的財産権保護は一つの体系的プロジェクトであり、審査登録、司法保護、業界自律などの連携における協同と協力を必要とし、知的財産権の大規模な保護活動の枠組みを構築する必要がある。商標権取消復審不服行政事件での偽証行為をさらに規制し、知的財産権の全てのチェーンにおける保護を強化するため、本院は以下に掲げる内容を提案する。
①商標の使用行為を完備する。
②信義誠実の原則を強化する。
③商標の使用証拠の審査と処罰レベルを強化する。
④司法手続きと行政手続きの連携を強化し、連動メカニズムを確立する。

2.商標権取消復審行政事件での偽証処罰典型事例
①登録商標第1486278号“家家JIAJIA及び図”事件 (2015)京知行初字第1165号
 提出された検査報告書のコピーと原本の商標の不一致、ハラル食品営業許可証の事業対象の不一致、屋外広告登録証の宣伝期間の不一致、提出された領収書の品名が不一致などの事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。
②登録商標第3084001号“茶馬古道及び図”事件 (2020)京73行初14664号など6事件
 提出された商品の写真にある商標と中国商品情報サービスプラットフォームでの商標が不一致、領収書に記載された販売者が国家企業信用情報公示システムと当該地区の工商行政管理局で確認したが不存在及び納税者識別番号もそれぞれ不一致、領収書のコピーに記載の商品と全国増値税領収書検査プラットフォームのデータに記載されている商品とが不一致及び商標の表示なしなどの事実により3万元の罰金。対象登録商標取消。
③登録商標8403409号“緑森林小屋”事件 (2020)京73行初13177号
 提出された3枚の領収書の記載と全国増値税領収書検査プラットフォームのデータの内容が不一致などの事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。
④登録商標第9841494号“ITSTYLE ”事件(2020)京73行初13083号
 提出された領収書のコピーには商標と商品の記載があるが、全国増値税領収書検査プラットフォームのデータに記載されている商品が不一致などの事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。
⑤登録商標第10048229号“美琪琳”事件(2021)京73行初8597号
 提出された5枚の領収書には商標の記載があるが、全国増値税領収書検査プラットフォームのデータには記載がない、商標権者が不一致を認め証拠を撤回したためきょぎこういとして1万元の罰金。対象登録商標取消。
⑥登録商標第4579231号“Black Diamond”事件(2021)京73行初3275号
 提出された2枚の領収書のコピーは領収書の作成日と番号が同じで商品名は不一致の事実により1万元の罰金。対象登録商標取消。

参照サイト:北京知識産権法院SNSサイト

【中国】商標局は「商標評審事件の電子データ証拠ガイドライン(提案稿)」(3月26日)

国家知識産権局商標局は、3月26日付、「商標評審事件の電子データ証拠ガイドライン(提案稿)(商标评审案件电子数据证据指引建议稿)」を公表し、商標局は商標審判事件で活用する電子データによる証拠の審査のガイドラインの提案稿が作成されたことを紹介している。

これは、中国政府による「知的財産権保護の強化に関する意見」での「証拠基準の厳格化」「証拠指針の制定」「権利者の立証難問題の解決」などの要求を徹底する一環として、商標審判事件に使用できる電子データ証拠の範囲、証拠取得要件及び審査判断規則をさらに明確にし、電子データの検証、審査基準を確実に実行可できる専門的なものとして制定し、証拠とする電子データの取得難、立証難などの問題を解決することを目的としており、2020年に商標局が「商標審査事件における電子データ証拠規則」の研究を開始し、中国人民大学法学院の電子証拠研究チームに委託して提案稿が作成された。本提案稿は終期的に審査を経て正式に別に定めれる規則とともに運用されることになる。本ガイドラインは以下の全4章29条からなり、提案稿には各条解説と参考事件例が掲載されているため、理解の補助としては有用である。

商標評審(審判)事件の電子データ証拠ガイドライン(提案稿)
第一章 総則
 第1条【目的と根拠】
 第2条【適用範囲】
 第3条【電子データの一般的形式】
 第4条【基本原則と要件】
第二章 証拠収集、立証と質疑
 第5条【自らの証拠収集】
 第6条【電子包袋及び電子文書管理】
 第7条【公証委託】
 第8条【鑑定委託】
 第9条【外国の電子データの証拠収集;香港、マカオ、台湾地区の電子データの証拠収集】
 第10条【第三者による証拠収集】
 第11条【証拠の連携使用】
 第12条【立証の原則及び原本要求】
 第13条【立証方法】
 第14条【立証調整】
 第15条【外国の電子データの提出;香港、マカオ、台湾地区の電子データの提出】
 第16条【外国語の電子データ及びその翻訳の提出】
 第17条【電子データへの質疑】
第三章 審査認定
 第18条【審査認定の基準と原則】
 第19条【真実性の審査】
 第20条【真実性の推定】
 第21条【完全性の審査】
 第22条【関連性の審査】
 第23条【ネットワークデータ公開性の判断】
 第24条【ネットワークデータ公開時期の判断】
 第25条【合法性の審査】
 第26条【証明力の評価】
 第27条【証明力のレベル】
 第28条【専門家の補助】
第四章 付則
 第29条【用語解釈】

参照サイト:http://sbj.cnipa.gov.cn/gzdt/202103/t20210325_327243.html

【中国】最高人民法院の知的財産権事件証拠に関する規定の施行(2020年11月18日)

最高人民法院は、6月15日付意見募集した「知的財産権民事訴訟の証拠に関する若干規定(最高人民法院关于知识产权民事诉讼证据的若干规定)」が2020年11月9日最高人民法院審判委員会第1815回会議を通過し、2020年11月18日より施行することを11月16日付で公示した。

意見募集稿は5章53条であったが、全33条とコンサイスにまとめられた。内容を見ると、証拠交換や口頭審理でしばしば問題となる外国の証拠や委任状の公証問題の解決、非侵害確認訴訟の確認事項、作られた立証証拠の取扱い、証拠保全、技術鑑定及び賠償額算定資料などを整理しており、事件対応では示唆のあるものとなっている。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-272241.html
仮訳

【中国】「最高人民法院による民事訴訟証拠に関する若干の規定」の改正施行(2020年5月1日)

最高人民法院は、2002年に公布された「最高人民法院による民事訴訟証拠に関する若干の規定(最高人民法院关于民事诉讼证据的若干规定)」を2020年5月1日に改正施行すること、12月26日付公示した(法釈〔2019〕19号)。本規定は、2001年に最高人民法院審判委員会第1201回会議で制定され、2019年10月14日の第1777会議での改正が承認されたものである。

本規定は6章100条から構成され、概要は下記の通り。
第1部 当事者立証 (第1条―第19条)
   新設:第6-8条、第12-15条
第2部 証拠の調査収集と保全(第20条―第48条)
   新設:第24条、第26条、第28-30条、第33-35条、第37-39条、第42条、第45-48条
第3部 立証期限と証拠の交換(第49条―第59条)
   新設:第52条、第55条、第59条
第4部 証人尋問(第60条―第84条)
   新設:第63-66条、第69条、第71条、第73条、第75-79条、第81条、第83-84条
第5部 証拠の審査認定(第85条―第97条)
   新設:第86条、第89条、第91-94条
第6部 その他(第98条―第100条)
   新設:第99条

新設条項の中で、電子通信に関する証拠は、第14条、第15条に下記の通り規定されている。
第14条 電子データには以下に掲げる情報、電子ファイルが含まれる:
(1)ウェブサイト、ブログ、ミニブログなどのインターネットプラットフォームからリリースされた情報;
(2)携帯メール、電子メール、インスタントメッセージ、通信グループなどのネットワークアプリケーションサービスによる通信情報;
(3)ユーザ登録情報、身元認証情報、電子取引記録、通信記録、ログインログなどの情報;
(4)文書、写真画像、音声、映像、デジタル証明書、コンピュータプログラムなどの電子ファイル;
(5)事件の事実を証明できるデジタル化され保存、処理、送信されるその他の情報。

第15条 当事者が視聴資料を証拠とする場合、当該視聴資料を格納する原記録媒体を提供しなければならない。
 当事者が電子データを証拠とする場合、原本を提供しなければならない。電子データの作成者が作成した原本と一致する副本または電子データから直接派生した印刷物または表示・識別できるその他の出力媒体は、電子データの原本と見做すことができる。

参考サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-212721.html